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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
魔王“封印”の代償 ※前世・ティーニャ視点
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ー『静寂の森』の奥『魔王神殿』ー
ティーニャは『魔王神殿』の象牙のような白い壁に手を付いて1人で歩いていた。
クゥも旅の仲間はいない。
ズル…ズルッと前に進む度に手のひらについた血は壁に引き摺る様な痕がついて行く。
背中は大きな3つの爪で引っ掻かれた傷が有り、そこから血がとめどなく流れていく。
『静寂の森』は奥へ『魔王神殿』へ近づくにつれて魔物が強くなってゆく。
たったひとりで『魔王神殿』を目指すのは死にに行くようなものだが、ティーニャはそうしなくてはならない理由があった。
『ムツ…キを…助け…ない…と』
(もう、私は…助から…ない)
『魔王神殿』来るまで、国王陛下直属の兵士と魔道士が王宮へ帰って行く姿を見た。
『おね…がい、まに…あって』
聖女を『元の世界に帰す方法』がない理由をもっと早くに気づけば良かった。
『“ふう…い…ん”の、い…“生…贄“に…させ…ない!』
ーーーーーー
ティーニャの視界が白くぼやけていく中、通路の先の部屋から銀と赤い光が溢れていた。
(なん…だろう。逆光で…見え…ない)
広い円状の様な部屋の中央の椅子に座って黒い鎖に繋がれて、完璧に“封印”されてる『魔王』らしき影と、その影の真後ろに細い不思議な柱の影1本と『魔王』らしき影を中心に円を描く様に細い不思議な柱が7本建っている影が見えた。
ティーニャは円状の部屋の中に入って柱だと思っていた影が柱じゃ無かった事に気付いた。
『あぁ!』
顔を両手で覆い、丸く蹲って大声で叫んだ。
瞳から大量の涙が滝の様に零れ落ちる。
『そんな、やだ!やだやだ‼︎』
ティーニャは眼の前の光景を信じたくない気持ちで頭を左右に振る。
『ムツキ‼︎』
柱だと思っていたのは“封印”の為に“生贄”になった聖女達が右手が銀、左手が赤の鎖で天井からぶら下がっていた。その中にムツキも居る。
『こんなの酷いよ‼︎』
酷すぎる。
いくらディアーナ王国と国民を救う為でも、聖女達を故郷や…家族と無理矢理引き離して“生贄”にしたあげく聖女達の遺体も埋葬しないで放置なんて!
『イー…ディスは、何して…るのよぉ!』
仲間達は何処に行ったの⁉︎
『イグ…ニは…』
王子のイグニーアは
『“生贄”知って…いた…のぉ⁉︎』
だんだん黒く視界がぼやけてきた。
(わ…たし、も、死ぬ…の…ね)
最後の力で拳をギュッと握り。
『みん…なを、このままに…して…おけない』
何千年と過ぎているのに聖女達の身体は朽ちることなく18歳の綺麗な姿のままだった。
『埋…葬…しな…い…と』
ティーニャは自分の1番近くにぶら下がっているムツキの鎖に触れると身体中に電流が走って、ムツキにもたれ掛かるように意識を失った。
ティーニャは『魔王神殿』の象牙のような白い壁に手を付いて1人で歩いていた。
クゥも旅の仲間はいない。
ズル…ズルッと前に進む度に手のひらについた血は壁に引き摺る様な痕がついて行く。
背中は大きな3つの爪で引っ掻かれた傷が有り、そこから血がとめどなく流れていく。
『静寂の森』は奥へ『魔王神殿』へ近づくにつれて魔物が強くなってゆく。
たったひとりで『魔王神殿』を目指すのは死にに行くようなものだが、ティーニャはそうしなくてはならない理由があった。
『ムツ…キを…助け…ない…と』
(もう、私は…助から…ない)
『魔王神殿』来るまで、国王陛下直属の兵士と魔道士が王宮へ帰って行く姿を見た。
『おね…がい、まに…あって』
聖女を『元の世界に帰す方法』がない理由をもっと早くに気づけば良かった。
『“ふう…い…ん”の、い…“生…贄“に…させ…ない!』
ーーーーーー
ティーニャの視界が白くぼやけていく中、通路の先の部屋から銀と赤い光が溢れていた。
(なん…だろう。逆光で…見え…ない)
広い円状の様な部屋の中央の椅子に座って黒い鎖に繋がれて、完璧に“封印”されてる『魔王』らしき影と、その影の真後ろに細い不思議な柱の影1本と『魔王』らしき影を中心に円を描く様に細い不思議な柱が7本建っている影が見えた。
ティーニャは円状の部屋の中に入って柱だと思っていた影が柱じゃ無かった事に気付いた。
『あぁ!』
顔を両手で覆い、丸く蹲って大声で叫んだ。
瞳から大量の涙が滝の様に零れ落ちる。
『そんな、やだ!やだやだ‼︎』
ティーニャは眼の前の光景を信じたくない気持ちで頭を左右に振る。
『ムツキ‼︎』
柱だと思っていたのは“封印”の為に“生贄”になった聖女達が右手が銀、左手が赤の鎖で天井からぶら下がっていた。その中にムツキも居る。
『こんなの酷いよ‼︎』
酷すぎる。
いくらディアーナ王国と国民を救う為でも、聖女達を故郷や…家族と無理矢理引き離して“生贄”にしたあげく聖女達の遺体も埋葬しないで放置なんて!
『イー…ディスは、何して…るのよぉ!』
仲間達は何処に行ったの⁉︎
『イグ…ニは…』
王子のイグニーアは
『“生贄”知って…いた…のぉ⁉︎』
だんだん黒く視界がぼやけてきた。
(わ…たし、も、死ぬ…の…ね)
最後の力で拳をギュッと握り。
『みん…なを、このままに…して…おけない』
何千年と過ぎているのに聖女達の身体は朽ちることなく18歳の綺麗な姿のままだった。
『埋…葬…しな…い…と』
ティーニャは自分の1番近くにぶら下がっているムツキの鎖に触れると身体中に電流が走って、ムツキにもたれ掛かるように意識を失った。
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