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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
託された【魔石】
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俺が弟と執事長のお陰で立ち直って3日が過ぎた。
「叔父様。おはようございます」
「おはよう。ガルフォン」
俺がリビングに着くと叔父様はミルクをたっぷり入れたコーヒーを飲んでいた。
(あれ?)
「叔父様ブラックコーヒー派じゃありませんでしたか?」
「ん。ああ、そうだったか?まぁアレだ。お前にはまだ分からないが、年をとると味覚が変わるんだ」
俺が椅子に座ると同時に廊下からパタパタと足音が聞こえてくる。
「おはよーうございまーす!」
元気なガルダが部屋に入ってきて、自分の席にちょこんと座った。
「こらこらガルダ。もう少し落ち着きなさい」
「えへへ」
お父様がそうしていた様に叔父様が注意するとガルダは照れた様に笑った。
(お父様とお母様はもういないけど、これからもこんな日が続けばいいな)
俺がそう思っているとある一点を見て顔を真っ青にしたディオールが視界に入った。俺は気になってディオールが見てる先をたどると、そこに叔父様がいた。
叔父様もそんなディオールの視線に気づいて
「どうした?」
「…っ!。い、いえ。なんでも、ございません」
「………顔色が悪いな。体調が優れないなら今日は休んでなさい」
叔父様は何か考え込んでから、そうディオールに告げた。
「し、しかし」
「お前まで何かあればこの邸は立ち回らなくなるから、今日だけ休みなさい」
「…かしこ、まり、ました」
ディオールは歯切れ悪くそう言うと俺とガルダをチラッと見てリビングから出て行った。
「…ーーだわ」
「叔父さまなにか言った?」
「ん。何も言ってないよ。ガルダ」
___________________
書斎で俺がひとりで読書をしてると、まだ顔を真っ青にしたディオールがやって来た。
「ディオール本当に大丈夫か?医者に診て…」
「いいえ。その必要はございません」
「ディオール?」
ディオールは俺の手のひらに薄紫と水色が輝く石を置いた。
「これは…【魔石】か!?」
ディオールはコクンと頷いた。
【魔石】は自分の魔法やスキルを他人に譲渡する時に必要な石だ。
中身が空っぽな【魔石】は水晶の様な透明な石だが、この【魔石】は薄紫と水色が輝いている。これは2つの魔法かスキル、それ以外の力がこの【魔石】に宿っている証拠だ。
(いや、それよりも大事な事がある)
「これは誰の力が宿っている?」
【魔石】が宿した力を使える状態の条件に力の本来の持ち主の死が必要だった。
その為【魔石】は《禁具》とされ、使用は禁じられていると、そうお父様から習った。
「答えろ!ディオール!」
「私にもしもの事があれば…、【魔石】に宿った力がガルフォン様とガルダ様をきっと守って下さるでしょう」
「それはどういう意味だ?」
「…………、私も…よく、分かって、おりませんので、私の口からは、なん、とも言えません」
「ただ…これだけは言えます。ガルジェタ様の負のオーラに惹かれて」
「ガルジェタ様の身体にナニかが居ます」
「ナニかってなんだ?」
俺の問いに執事長はふるふると頭をふり
「ガルジェタ様以上の"暗闇"に覆われて…、分かりませんでした」
ディオールは【魔石】を持つ俺の手のひらを両手で包み込みぎゅっと握って
「ガルフォン様。安心して下さいませ。私が死ぬことはありません。…ただ」
「ディオール」
「【魔石】はお守りとして持っていて下さい」
ディオールお前はさっき言ったじゃないか。
『私にもしもの事があれば…、【魔石】に宿った力がガルフォン様とガルダ様をきっと守って下さるでしょう』
あの言葉は己の死を覚悟した者の言葉じゃないのか?
俺はそう問い詰めたかったが、ディオールのいつもと変わらない笑顔を見てしまうと何も言えなかった。
「叔父様。おはようございます」
「おはよう。ガルフォン」
俺がリビングに着くと叔父様はミルクをたっぷり入れたコーヒーを飲んでいた。
(あれ?)
「叔父様ブラックコーヒー派じゃありませんでしたか?」
「ん。ああ、そうだったか?まぁアレだ。お前にはまだ分からないが、年をとると味覚が変わるんだ」
俺が椅子に座ると同時に廊下からパタパタと足音が聞こえてくる。
「おはよーうございまーす!」
元気なガルダが部屋に入ってきて、自分の席にちょこんと座った。
「こらこらガルダ。もう少し落ち着きなさい」
「えへへ」
お父様がそうしていた様に叔父様が注意するとガルダは照れた様に笑った。
(お父様とお母様はもういないけど、これからもこんな日が続けばいいな)
俺がそう思っているとある一点を見て顔を真っ青にしたディオールが視界に入った。俺は気になってディオールが見てる先をたどると、そこに叔父様がいた。
叔父様もそんなディオールの視線に気づいて
「どうした?」
「…っ!。い、いえ。なんでも、ございません」
「………顔色が悪いな。体調が優れないなら今日は休んでなさい」
叔父様は何か考え込んでから、そうディオールに告げた。
「し、しかし」
「お前まで何かあればこの邸は立ち回らなくなるから、今日だけ休みなさい」
「…かしこ、まり、ました」
ディオールは歯切れ悪くそう言うと俺とガルダをチラッと見てリビングから出て行った。
「…ーーだわ」
「叔父さまなにか言った?」
「ん。何も言ってないよ。ガルダ」
___________________
書斎で俺がひとりで読書をしてると、まだ顔を真っ青にしたディオールがやって来た。
「ディオール本当に大丈夫か?医者に診て…」
「いいえ。その必要はございません」
「ディオール?」
ディオールは俺の手のひらに薄紫と水色が輝く石を置いた。
「これは…【魔石】か!?」
ディオールはコクンと頷いた。
【魔石】は自分の魔法やスキルを他人に譲渡する時に必要な石だ。
中身が空っぽな【魔石】は水晶の様な透明な石だが、この【魔石】は薄紫と水色が輝いている。これは2つの魔法かスキル、それ以外の力がこの【魔石】に宿っている証拠だ。
(いや、それよりも大事な事がある)
「これは誰の力が宿っている?」
【魔石】が宿した力を使える状態の条件に力の本来の持ち主の死が必要だった。
その為【魔石】は《禁具》とされ、使用は禁じられていると、そうお父様から習った。
「答えろ!ディオール!」
「私にもしもの事があれば…、【魔石】に宿った力がガルフォン様とガルダ様をきっと守って下さるでしょう」
「それはどういう意味だ?」
「…………、私も…よく、分かって、おりませんので、私の口からは、なん、とも言えません」
「ただ…これだけは言えます。ガルジェタ様の負のオーラに惹かれて」
「ガルジェタ様の身体にナニかが居ます」
「ナニかってなんだ?」
俺の問いに執事長はふるふると頭をふり
「ガルジェタ様以上の"暗闇"に覆われて…、分かりませんでした」
ディオールは【魔石】を持つ俺の手のひらを両手で包み込みぎゅっと握って
「ガルフォン様。安心して下さいませ。私が死ぬことはありません。…ただ」
「ディオール」
「【魔石】はお守りとして持っていて下さい」
ディオールお前はさっき言ったじゃないか。
『私にもしもの事があれば…、【魔石】に宿った力がガルフォン様とガルダ様をきっと守って下さるでしょう』
あの言葉は己の死を覚悟した者の言葉じゃないのか?
俺はそう問い詰めたかったが、ディオールのいつもと変わらない笑顔を見てしまうと何も言えなかった。
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