18 / 52
銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
悲劇の始まり ※ガルフォン視点
しおりを挟む
「ルリーナ!大変だルリーナ!!」
俺達が居間でティータイムをしてる時に、ぜぇはぁと息を乱してお父様と叔父様が戻ってきた。
「あなた!どうなさったんですか!?」
「魔王の封印がゆるまっている!!」
「ええっ!本当ですか!?」
「????」
俺は驚き、ガルダは何も理解してなさそうだった。
カシャン!と、お母様が持っていたティーカップが床に落ちて割れる。
「早すぎるわ!」
【魔王の封印】は魔術師達の計算では、千年単位でゆるみはじめて、3年後に"完全に封印が解かれる"と言われていた。
前回の【魔王封印】からは、
「まだ3年の猶予があるはずよっ!」
「私はこれから国王陛下に報告へ行く!
ルリーナお前は、ガルジェタと子供達を連れて邸へ戻れ!」
「私も行くわ!
先代国王陛下と王妃殿下が亡くなって、王位を継いだアイルダは、まだ19歳よ!」
「……ルリーナ。
お前はもう臣下の妻だ。王宮に行っても謁見するには時間がかかるぞ?」
元王女のお母様が王宮に参内するには、手続きだけでも、早くて1ヶ月程時間が必要だった。
「お義姉様。
ここはお兄様に任せましょう?」
今まで何も言わなかった叔父様が、お母様を宥める為に口を出してきた。
「あなたフィルシアールは、まだ12歳よ。
心配だわ。私も連れて行って下さいませ。」
「……お母様っ」
「母さま?」
俺とガルダは、読書や刺繍が好きで、おっとりしていたお母様が、取り乱す姿を初めて見た。
「ルリーナ」
「………………」
お父様と叔父様が言い淀む。
現在、ディアーナ王国、王族の地位にいるのは、若すぎる現国王陛下と、幼い王弟の2人だけだった為、お母様の心配も当然だった。
「無理を言っているのは分かっています。
降嫁した身とはいえ、私は2人の肉親です。あなた、お願いします」
「………わかった。準備をなさい」
「ありがとうございます!」
お母様はお父様に、深々と礼をした。
「お兄様!
お義姉様は私達と、一緒がいいんでは、ないでしょうか!」
リディエール家、当主が了承したにもかかわらず、叔父様はお母様を王宮に行かせたくないようだったが、両親は準備の為に、部屋から出て行った。
「お兄様待って下さい。
考え直して下さいっ!」
叔父様は、両親が、お母様が馬車で出発する時も、必死に止めていた。
そして、
俺達が馬車で移動している途中で、王都方面から使者がやって来た。
「お父様とお母様を乗せた馬車が事故に遭った‼︎2人の安否はっ⁉︎」
「兄さま?」
「…………」
叔父様は暗く、深刻な表情だった。
「……お亡くなりに…なり…ました」
お父様とお母様が亡くなった。
「嘘だ‼︎」
信じたくなかった。
俺達が居間でティータイムをしてる時に、ぜぇはぁと息を乱してお父様と叔父様が戻ってきた。
「あなた!どうなさったんですか!?」
「魔王の封印がゆるまっている!!」
「ええっ!本当ですか!?」
「????」
俺は驚き、ガルダは何も理解してなさそうだった。
カシャン!と、お母様が持っていたティーカップが床に落ちて割れる。
「早すぎるわ!」
【魔王の封印】は魔術師達の計算では、千年単位でゆるみはじめて、3年後に"完全に封印が解かれる"と言われていた。
前回の【魔王封印】からは、
「まだ3年の猶予があるはずよっ!」
「私はこれから国王陛下に報告へ行く!
ルリーナお前は、ガルジェタと子供達を連れて邸へ戻れ!」
「私も行くわ!
先代国王陛下と王妃殿下が亡くなって、王位を継いだアイルダは、まだ19歳よ!」
「……ルリーナ。
お前はもう臣下の妻だ。王宮に行っても謁見するには時間がかかるぞ?」
元王女のお母様が王宮に参内するには、手続きだけでも、早くて1ヶ月程時間が必要だった。
「お義姉様。
ここはお兄様に任せましょう?」
今まで何も言わなかった叔父様が、お母様を宥める為に口を出してきた。
「あなたフィルシアールは、まだ12歳よ。
心配だわ。私も連れて行って下さいませ。」
「……お母様っ」
「母さま?」
俺とガルダは、読書や刺繍が好きで、おっとりしていたお母様が、取り乱す姿を初めて見た。
「ルリーナ」
「………………」
お父様と叔父様が言い淀む。
現在、ディアーナ王国、王族の地位にいるのは、若すぎる現国王陛下と、幼い王弟の2人だけだった為、お母様の心配も当然だった。
「無理を言っているのは分かっています。
降嫁した身とはいえ、私は2人の肉親です。あなた、お願いします」
「………わかった。準備をなさい」
「ありがとうございます!」
お母様はお父様に、深々と礼をした。
「お兄様!
お義姉様は私達と、一緒がいいんでは、ないでしょうか!」
リディエール家、当主が了承したにもかかわらず、叔父様はお母様を王宮に行かせたくないようだったが、両親は準備の為に、部屋から出て行った。
「お兄様待って下さい。
考え直して下さいっ!」
叔父様は、両親が、お母様が馬車で出発する時も、必死に止めていた。
そして、
俺達が馬車で移動している途中で、王都方面から使者がやって来た。
「お父様とお母様を乗せた馬車が事故に遭った‼︎2人の安否はっ⁉︎」
「兄さま?」
「…………」
叔父様は暗く、深刻な表情だった。
「……お亡くなりに…なり…ました」
お父様とお母様が亡くなった。
「嘘だ‼︎」
信じたくなかった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる