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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
闇ギルド商会③
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異空間に閉じ込められた以上、フィル君のテレポートでも“外”に出れない。
“外”に出るには、顔に傷がある男を説得するか、倒すしかないんだけど、説得出来るほど、私達はこの男を知らない。
私達もそうなのだから、この男も私の事は知らない、召喚されたばかりで魔法を使えないと、思ってるはず。
体力も魔力と一緒に減るから“魔法武器”を待ってない状態で、魔法は使わないほうがいいんだけど。
私は静かに瞳を閉じる。
本来“魔法”の使用は、魔力だけで無く、体力も必要とするはずだった。
体力は、ステータスのHPを意味しており、この数値がゼロになると、人間は【死ぬ】為、昔の人々は魔法を使っても、体力が減らない様に、仕組みは不明だが“魔法武器”を作って、体力を必要としない様にした。
前世の“弓”のスキルが使えればよかったんだけど、どうしてか分からないが、合わなくなって使えなくなっていた。
接近戦になる“短剣:短刀”の魔法武器で戦う事は、
『力負けしたら危ない!』
って、理由でフィル君に反対されて、魔法武器を持てる様にする為に、遠距離戦になる“杖”のスキルが、どうしても必要だったんだけれど。
時間はかけれない!聖女の体力も、魔力も、無限じゃない‼︎
私は辺りを見渡す。
(土は、ない)
土属性の魔法だけ、自然の土や岩が必要だ。
(なら!)
ゴウッゴゴウッ
私は蛇の様に渦巻く、炎の魔法をフィル君の台風の周りに発生させて、炎の威力で、守りを強化した。
「………かた」
フィル君は驚いた顔で、私を見つめて何かを呟いたが、
ゴーッゴゴーッゴーッ
ゴゴウッゴゴウッ
台風と炎の音で、聞き取れなかった。
「ヒュー、嬢ちゃん。虫も殺せなさそうなのに、随分と交戦的だね。
ただ、まぁ“杖”がない状態で、魔法使用はやめたほうが、いいぜぇ」
「はぁ、はぁ」
(思ったより、ごっそりと体力と魔力が減ったかも)
私の身体から、汗がダラダラと流れる。
そんな私を見てフィル君は、男をギッと睨みつけて、
ゴーッ、ゴーッ
「くっ!」
鎌鼬の刃の様な風が、男を攻撃して、頬と腕から血が流れる。
「おいおい。
俺はやり合う気は、ねぇぞ」
男は焦って両手を挙げる。
フィル君を見つめながら、
「やっぱり覚えてねぇか。
まだ6歳のガキだったしなー」
そう言った。
(えっ、王族のフィル君と会ったことあるの!)
私はフィル君と、顔に傷がある男を交互に見つめる。
「フィル君」
私の口から、擦れた声が出る。
(この男って何者なの⁉︎)
私とフィル君は、男の容姿を観察する。
深緑の髪に薄紫色の瞳。
あれ?この容姿どっかで、見たような?
「あ!」
私は前世が出会った、1人の少女を思い出す。
くるくるふわふわな腰まで伸びた髪、睫毛が長く垂れ眼の瞳。
キラキラと光る、小さなダイヤを散りばめられてる、大きな翡翠のネックレス。
淡い水色と青色のレースやフリルが可愛らしい、マーメイドドレス。
「リディエール公爵家?」
そうだ、イグニの婚約者、ルルリナ•リディエール。
イグニの瞳と一緒の翡翠を好んで身に付けていた。
異世界から来た私が家名を口に出した事で、フィル君と男が驚いた顔で、私を見た。
ヤバい、転生者かも。
“外”に出るには、顔に傷がある男を説得するか、倒すしかないんだけど、説得出来るほど、私達はこの男を知らない。
私達もそうなのだから、この男も私の事は知らない、召喚されたばかりで魔法を使えないと、思ってるはず。
体力も魔力と一緒に減るから“魔法武器”を待ってない状態で、魔法は使わないほうがいいんだけど。
私は静かに瞳を閉じる。
本来“魔法”の使用は、魔力だけで無く、体力も必要とするはずだった。
体力は、ステータスのHPを意味しており、この数値がゼロになると、人間は【死ぬ】為、昔の人々は魔法を使っても、体力が減らない様に、仕組みは不明だが“魔法武器”を作って、体力を必要としない様にした。
前世の“弓”のスキルが使えればよかったんだけど、どうしてか分からないが、合わなくなって使えなくなっていた。
接近戦になる“短剣:短刀”の魔法武器で戦う事は、
『力負けしたら危ない!』
って、理由でフィル君に反対されて、魔法武器を持てる様にする為に、遠距離戦になる“杖”のスキルが、どうしても必要だったんだけれど。
時間はかけれない!聖女の体力も、魔力も、無限じゃない‼︎
私は辺りを見渡す。
(土は、ない)
土属性の魔法だけ、自然の土や岩が必要だ。
(なら!)
ゴウッゴゴウッ
私は蛇の様に渦巻く、炎の魔法をフィル君の台風の周りに発生させて、炎の威力で、守りを強化した。
「………かた」
フィル君は驚いた顔で、私を見つめて何かを呟いたが、
ゴーッゴゴーッゴーッ
ゴゴウッゴゴウッ
台風と炎の音で、聞き取れなかった。
「ヒュー、嬢ちゃん。虫も殺せなさそうなのに、随分と交戦的だね。
ただ、まぁ“杖”がない状態で、魔法使用はやめたほうが、いいぜぇ」
「はぁ、はぁ」
(思ったより、ごっそりと体力と魔力が減ったかも)
私の身体から、汗がダラダラと流れる。
そんな私を見てフィル君は、男をギッと睨みつけて、
ゴーッ、ゴーッ
「くっ!」
鎌鼬の刃の様な風が、男を攻撃して、頬と腕から血が流れる。
「おいおい。
俺はやり合う気は、ねぇぞ」
男は焦って両手を挙げる。
フィル君を見つめながら、
「やっぱり覚えてねぇか。
まだ6歳のガキだったしなー」
そう言った。
(えっ、王族のフィル君と会ったことあるの!)
私はフィル君と、顔に傷がある男を交互に見つめる。
「フィル君」
私の口から、擦れた声が出る。
(この男って何者なの⁉︎)
私とフィル君は、男の容姿を観察する。
深緑の髪に薄紫色の瞳。
あれ?この容姿どっかで、見たような?
「あ!」
私は前世が出会った、1人の少女を思い出す。
くるくるふわふわな腰まで伸びた髪、睫毛が長く垂れ眼の瞳。
キラキラと光る、小さなダイヤを散りばめられてる、大きな翡翠のネックレス。
淡い水色と青色のレースやフリルが可愛らしい、マーメイドドレス。
「リディエール公爵家?」
そうだ、イグニの婚約者、ルルリナ•リディエール。
イグニの瞳と一緒の翡翠を好んで身に付けていた。
異世界から来た私が家名を口に出した事で、フィル君と男が驚いた顔で、私を見た。
ヤバい、転生者かも。
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