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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
闇ギルド商会②
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私の声が部屋中に響いた。
顔に傷がある男がニヤリと笑いながら、私に手を伸ばす。
「やっぱり嬢ちゃんだったか」
あと少しで、私が被っていたフードに触れかけた時、男の手と私を隔てる様に、フィル君が間に入る。
(フィル君。
どうしよう、咄嗟に言っちゃったけど、大丈夫かな?)
私はフィル君の背中を見守りながら、自分の胸を押さえる。
どっくん、どっくんと、私の心臓がすごく煩い。
男の眼線が私からフィル君にうつり、
「嬢ちゃんと坊主、名前は?」
「名前は」
(本名で大丈夫なの?)
私が言い淀むと、
「アルド。姉はレーナ」
フィル君が偽名を言った。
(えっ、アルドとレーナってイグニの弟さんと妹さんの名前?偶然なの?)
男は私達を見て、顎に手をあてて、何か考えながら、
「お前ら、俺ら彼処に行くわぁ」
男が周りの男達に、そう声をかける。
私とフィル君、顔に傷がある男の3人だけ、真っ暗な場所に居た。
(コレって‼︎)
「「空間スキル!?」」
私とフィル君の声がかさなる。
「ご名答。ここは俺のテリトリーだ」
男は親指で自分を指して、そう言った。
(空間スキルって、私達の魔法鞄や、家そっくりなテントに使われてる【技術】だよね。でもこのスキルって)
フィル君は私を庇う様に前へ出る。
「空間スキルはノーマルスキルの中でも、上位のスキルだ。
『モノにスキルを宿す』だけなら、そうでもないが此処の様な『異空間』を創ると、魔力の消費が激しいだろ」
(そうだった『相性が合えば誰でも習得出来る』ノーマルスキルの中でも、扱いが難しんだった。
完全に使いこなすには、私の、聖女位の魔力が必要だと、教わった。
前世は合わなくて、習得出来なかったけど、この男の魔力は此処を作っても、魔力枯渇症にならない位、あるってことだ…)
【魔力枯渇症】はステータスの魔力を意味する、MPの数値がゼロになると起きる、脱水症状の様な禁断症状だ。
私は前世の知識を思い出しながら、不安な気持ちを必死で抑えて、2人の動向を見守る。
「何が目的だ?」
フィル君の言葉遣いが荒くなる。
男はフィル君を品定めする様に、眼を細めて見つめる。
「それは、テレポートされたら困るしなぁ」
男の口から「テレポート」と、ディアーナ王族のみが使える【ユニークスキル】名が出たと同時に、フィル君は私達を守る台風を魔法で発生させた。
「俺は、まだ15歳で闇ギルド商会に来た勇気や偽名を使う賢さは買ってるんだぜ。
なぁ、フィルシアール王子殿下」
男はフィル君の後ろに居る私を見ながら、
「そっちの嬢ちゃんは【今代の聖女】のハル様だろ」
「お前は誰だ?」
私がはじめて聞く、フィル君の怒りを孕んだ、低い声だった。
顔に傷がある男がニヤリと笑いながら、私に手を伸ばす。
「やっぱり嬢ちゃんだったか」
あと少しで、私が被っていたフードに触れかけた時、男の手と私を隔てる様に、フィル君が間に入る。
(フィル君。
どうしよう、咄嗟に言っちゃったけど、大丈夫かな?)
私はフィル君の背中を見守りながら、自分の胸を押さえる。
どっくん、どっくんと、私の心臓がすごく煩い。
男の眼線が私からフィル君にうつり、
「嬢ちゃんと坊主、名前は?」
「名前は」
(本名で大丈夫なの?)
私が言い淀むと、
「アルド。姉はレーナ」
フィル君が偽名を言った。
(えっ、アルドとレーナってイグニの弟さんと妹さんの名前?偶然なの?)
男は私達を見て、顎に手をあてて、何か考えながら、
「お前ら、俺ら彼処に行くわぁ」
男が周りの男達に、そう声をかける。
私とフィル君、顔に傷がある男の3人だけ、真っ暗な場所に居た。
(コレって‼︎)
「「空間スキル!?」」
私とフィル君の声がかさなる。
「ご名答。ここは俺のテリトリーだ」
男は親指で自分を指して、そう言った。
(空間スキルって、私達の魔法鞄や、家そっくりなテントに使われてる【技術】だよね。でもこのスキルって)
フィル君は私を庇う様に前へ出る。
「空間スキルはノーマルスキルの中でも、上位のスキルだ。
『モノにスキルを宿す』だけなら、そうでもないが此処の様な『異空間』を創ると、魔力の消費が激しいだろ」
(そうだった『相性が合えば誰でも習得出来る』ノーマルスキルの中でも、扱いが難しんだった。
完全に使いこなすには、私の、聖女位の魔力が必要だと、教わった。
前世は合わなくて、習得出来なかったけど、この男の魔力は此処を作っても、魔力枯渇症にならない位、あるってことだ…)
【魔力枯渇症】はステータスの魔力を意味する、MPの数値がゼロになると起きる、脱水症状の様な禁断症状だ。
私は前世の知識を思い出しながら、不安な気持ちを必死で抑えて、2人の動向を見守る。
「何が目的だ?」
フィル君の言葉遣いが荒くなる。
男はフィル君を品定めする様に、眼を細めて見つめる。
「それは、テレポートされたら困るしなぁ」
男の口から「テレポート」と、ディアーナ王族のみが使える【ユニークスキル】名が出たと同時に、フィル君は私達を守る台風を魔法で発生させた。
「俺は、まだ15歳で闇ギルド商会に来た勇気や偽名を使う賢さは買ってるんだぜ。
なぁ、フィルシアール王子殿下」
男はフィル君の後ろに居る私を見ながら、
「そっちの嬢ちゃんは【今代の聖女】のハル様だろ」
「お前は誰だ?」
私がはじめて聞く、フィル君の怒りを孕んだ、低い声だった。
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