13 / 52
銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達
都の光と闇
しおりを挟む
ールティルナの都ー
「ねーねー、どこ行くー?」
「そうだな」
「ママ!パパ!早くー!」
「坊や、急ぐと危ないわよ」
「ジョン、パパと手を繋ごう」
「今日も新鮮な野菜や果物があるよー」
「どうぞご利用下さいませ~」
私はフィル君と露店などのお店が立ち並ぶ中央通りを歩いている。
今日はルティルナの都の何もない平日だけど、お祭りの時みたいな大混雑に私はフィル君と離れない様に必死について歩く、大男が私の視界を遮る様に通り過ぎた瞬間、ずっと追いかけていたフィル君の姿がなかった。
(えっ、ええっフィル君どこ)
焦って周りを見回すと、横からぐいっと腕を引っ張られる、私は引っ張る人を確認する。
引っ張った人は、探していたフィル君だった。
「フィル君」
「ハル、こっちへ」
フィル君は少し汗ばんでいる表情でそう言うと、私と手を繋いでそのまま歩き出す。
私は今世で、はじめて男の子と手を繋いでいるので、恥ずかしさで胸がいっぱい、いっぱいだった。
表通りを離れて私達は顔を隠す様にフードを被ったまま、裏路地の奥へ歩いて行く。
壁へ寄りかかって身動きが出来ずに倒れてる人を見かける、その人から呼吸してる様子がないのと異臭がするので亡くなって数日が経っている事が私にも分かった。
(さっきとは全然違う)
同じルティルナの都だと思えない。
表通りが光なら裏路地が闇だ。
私は青くなりながらそう思っていると、フィル君と繋いでいた手がギュッと強く握られて、
「ハル、これから先、何があっても僕の手を離さないで」
目の前にある、看板もない、店らしい建物を強く見つめたまま、フィル君はそう言った。
「うん、分かった」
私が返事をすると、フィル君は建物の扉を開けて、中へ入り、直ぐ目の前に、真っ暗な地下へ続く階段があった。
私達はその階段を下りて行くが、蝋燭などの明かりが無く、周りが見えないので、フィル君を中心に光の様な輝きが私達を包み込む。
(フィル君の光の魔法だ)
肌寒くなってきたので少量の使用なら身体への負担もないので、私は【火属性】の魔法で暖を取ろうと思ったが、見張りの男が私を凝視し、
『女だ』
そう、小声で呟いた声が聞こえたのでやめた。【闇ギルド商会】は『女性』だけでも何されるか分からない場所だ。
『ハル、大丈夫だよ。
何があっても僕が守るから』
フィル君はテレパシーで、私を安心させる為に伝える、私は返事の代わりに繋いでる手を更に強く握り返した。
(私もフィル君を守らなくちゃ)
私は、そう決意した。
階段を下り続けて、やっと最下層について、重たい扉を2人で開ける。ギギッと錆びた鉄の音が響く。
部屋の中は煙草を吸ってる顔に傷がある男、ビールを呑んで酔ってるヤクザっぽい男が6人、拳銃や剣等の武器の手入れをしてる人間に、ウサギやネコなどの動物の耳がついた【獣人】の男が4人居た。
「…ーッ!」
私とフィル君は、その異様な雰囲気に固まった。
「ねーねー、どこ行くー?」
「そうだな」
「ママ!パパ!早くー!」
「坊や、急ぐと危ないわよ」
「ジョン、パパと手を繋ごう」
「今日も新鮮な野菜や果物があるよー」
「どうぞご利用下さいませ~」
私はフィル君と露店などのお店が立ち並ぶ中央通りを歩いている。
今日はルティルナの都の何もない平日だけど、お祭りの時みたいな大混雑に私はフィル君と離れない様に必死について歩く、大男が私の視界を遮る様に通り過ぎた瞬間、ずっと追いかけていたフィル君の姿がなかった。
(えっ、ええっフィル君どこ)
焦って周りを見回すと、横からぐいっと腕を引っ張られる、私は引っ張る人を確認する。
引っ張った人は、探していたフィル君だった。
「フィル君」
「ハル、こっちへ」
フィル君は少し汗ばんでいる表情でそう言うと、私と手を繋いでそのまま歩き出す。
私は今世で、はじめて男の子と手を繋いでいるので、恥ずかしさで胸がいっぱい、いっぱいだった。
表通りを離れて私達は顔を隠す様にフードを被ったまま、裏路地の奥へ歩いて行く。
壁へ寄りかかって身動きが出来ずに倒れてる人を見かける、その人から呼吸してる様子がないのと異臭がするので亡くなって数日が経っている事が私にも分かった。
(さっきとは全然違う)
同じルティルナの都だと思えない。
表通りが光なら裏路地が闇だ。
私は青くなりながらそう思っていると、フィル君と繋いでいた手がギュッと強く握られて、
「ハル、これから先、何があっても僕の手を離さないで」
目の前にある、看板もない、店らしい建物を強く見つめたまま、フィル君はそう言った。
「うん、分かった」
私が返事をすると、フィル君は建物の扉を開けて、中へ入り、直ぐ目の前に、真っ暗な地下へ続く階段があった。
私達はその階段を下りて行くが、蝋燭などの明かりが無く、周りが見えないので、フィル君を中心に光の様な輝きが私達を包み込む。
(フィル君の光の魔法だ)
肌寒くなってきたので少量の使用なら身体への負担もないので、私は【火属性】の魔法で暖を取ろうと思ったが、見張りの男が私を凝視し、
『女だ』
そう、小声で呟いた声が聞こえたのでやめた。【闇ギルド商会】は『女性』だけでも何されるか分からない場所だ。
『ハル、大丈夫だよ。
何があっても僕が守るから』
フィル君はテレパシーで、私を安心させる為に伝える、私は返事の代わりに繋いでる手を更に強く握り返した。
(私もフィル君を守らなくちゃ)
私は、そう決意した。
階段を下り続けて、やっと最下層について、重たい扉を2人で開ける。ギギッと錆びた鉄の音が響く。
部屋の中は煙草を吸ってる顔に傷がある男、ビールを呑んで酔ってるヤクザっぽい男が6人、拳銃や剣等の武器の手入れをしてる人間に、ウサギやネコなどの動物の耳がついた【獣人】の男が4人居た。
「…ーッ!」
私とフィル君は、その異様な雰囲気に固まった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる