魔王を"封印"した聖女の生まれ変わりはまた聖女でした!

此花チリエージョ

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銀髪と緋色の瞳の聖女と仲間達

都の光と闇

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 ールティルナの都ー

「ねーねー、どこ行くー?」
「そうだな」

「ママ!パパ!早くー!」
「坊や、急ぐと危ないわよ」
「ジョン、パパと手を繋ごう」

「今日も新鮮な野菜や果物があるよー」
「どうぞご利用下さいませ~」

 私はフィル君と露店などのお店が立ち並ぶ中央通りを歩いている。

 今日はルティルナの都の何もない平日だけど、お祭りの時みたいな大混雑に私はフィル君と離れない様に必死について歩く、大男が私の視界を遮る様に通り過ぎた瞬間、ずっと追いかけていたフィル君の姿がなかった。

(えっ、ええっフィル君どこ)

 焦って周りを見回すと、横からぐいっと腕を引っ張られる、私は引っ張る人を確認する。
 引っ張った人は、探していたフィル君だった。

「フィル君」
「ハル、こっちへ」

 フィル君は少し汗ばんでいる表情でそう言うと、私と手を繋いでそのまま歩き出す。
 私は今世いまで、はじめて男の子と手を繋いでいるので、恥ずかしさで胸がいっぱい、いっぱいだった。











 表通りを離れて私達は顔を隠す様にフードを被ったまま、裏路地の奥へ歩いて行く。
 壁へ寄りかかって身動きが出来ずに倒れてる人を見かける、その人から呼吸してる様子がないのと異臭がするので亡くなって数日が経っている事が私にも分かった。

(さっきとは全然違う)

 同じルティルナの都だと思えない。
 表通りあっちが光なら裏路地こっちが闇だ。

 私は青くなりながらそう思っていると、フィル君と繋いでいた手がギュッと強く握られて、

「ハル、これから先、何があっても僕の手を離さないで」

 目の前にある、看板もない、店らしい建物を強く見つめたまま、フィル君はそう言った。

「うん、分かった」

 私が返事をすると、フィル君は建物の扉を開けて、中へ入り、直ぐ目の前に、真っ暗な地下へ続く階段があった。
 私達はその階段を下りて行くが、蝋燭などの明かりが無く、周りが見えないので、フィル君を中心にの様な輝きが私達を包み込む。

(フィル君の光の魔法だ)

 肌寒くなってきたので少量の使用なら身体への負担もないので、私は【火属性】の魔法で暖を取ろうと思ったが、見張りの男が私を凝視し、

『女だ』

 そう、小声で呟いた声が聞こえたのでやめた。【闇ギルド商会】は『女性』だけでも何されるか分からない場所だ。

『ハル、大丈夫だよ。
 何があっても僕が守るから』

 フィル君はテレパシーで、私を安心させる為に伝える、私は返事の代わりに繋いでる手を更に強く握り返した。

(私もフィル君を守らなくちゃ)

 私は、そう決意した。





 階段を下り続けて、やっと最下層について、重たい扉を2人で開ける。ギギッと錆びた鉄の音が響く。

 部屋の中は煙草たばこを吸ってる顔に傷がある男、ビールを呑んで酔ってるヤクザっぽい男が6人、拳銃けんじゅうや剣等の武器の手入れをしてる人間ひとに、ウサギやネコなどの動物の耳がついた【獣人】の男が4人居た。

「…ーッ!」

 私とフィル君は、その異様な雰囲気に固まった。
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