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プロローグ
アウラとルシオラ
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霧雨が降り続く中、庵がある『ヘルバの森』近くの街、少し離れた場所に教会がある。
その協会の横の墓地に喪服を着たルクルは両手でアウラとルシオラの手を繋いで娘…カエルラが眠るお墓の前に佇んでいた。
「わぁ~、おかあさまぁ」
「うぅ、うぅ。泣かないでぇ」
そう言っているアウラが1番泣いており、大粒の涙か次から次へと溢れる。
ルクルはただただ娘の死が信じられず呆然とするだけだった。
カエルラはただの風邪だったが、拗らせて亡くなってしまった。
「カー」
アウラの頭に座ってるクロロが悲しそうに鳴くと、その鳴き声を聞いたルクルは…。
(娘がいない以上、次期の“アルカヌム”は、誰になる?)
ルクルは今も泣き続けるアウラとルシオラを見つめた。
(今のこの子達じゃ“アルカヌム”に付くのは無理じゃ。
わしにどれだけの時間が残っとるが分からんが…)
「アウラ…ルシオラ…よぉく、お聞き」
ルクルは屈んで2人に目線を合わせる。
「明日から、わしの全てを教える。
だから…お願いじゃ、わしのあと…“アルカヌム”を継いでおくれ…」
霧雨と涙で濡れるアウラとルシオラは何も分かってなく、瞳は不安で揺れていた。
ーーーー
ー3年前ー
「ただいま」
そう言いながら、ルシオラは戸口をガラッと開けて、アウラが後ろから顔を出す。
「師匠、薬草摘んできました」
薬草摘みに行っていた森から13歳に成長したアウラとルシオラが仲良く帰ってきた。
アウラは変わらず火傷の痕を隠す様な髪が腰まで伸びており、ルシオラは黒縁のメガネをかけて、ルクルそっくりのボサボサな肩までの髪を漆黒のリボンでひとつに結んでいる。
2人で一緒に持ってる大籠の中は様々な薬草が入っており、別の小籠の中は毒草が入っている。毒草も【解毒剤】を作る為の大事な材料だ。
「よし、大丈夫じゃ」
ルクルが指示した薬草と同じ薬草なのを確認してから2人に告げた。
「薬棚に分けてきます」
「僕も手伝う」
ぴったり寄り添う様に『きょうだい』にしては近過ぎる距離に。
(これは…どー見ても)
ルクルはアウラとルシオラに『アウラの出自』や『血の繋がりがない』事は話していないが『あまりにも似てない容姿』で、2人とも『血の繋がりがない』事は気付いてしまっている。
「付き合っとるじゃろ」
「し…師匠」
「ゴフッ!」
豚のショウガ焼きや、ほかほかなゴハン、トウフのミソシルのお昼を食べている時、ルクルの口から出た爆弾に、アウラは可愛らしく困った様に頬を桜色に染めて、ルシオラはリョクチャを思い切り吹き出した。
「ルシオラ、汚いぞ」
「お婆様、何を言い出すんですか?」
咳き込みながらルクルから布巾を受け取ったルシオラがテーブルを拭く。
「ひどいのう、別に反対せんのに、なんで言ってくれなかったんじゃ」
「「た…タイミングが…つかめてなく…て」」
徐々に小さくなっていく声で2人は恥ずかしそうに告げた。
「ルシオラ…ちぃと来い」
「?」
ルクルは手招きして、不思議がってるルシオラと一緒に、アウラに声が聞こえない距離まで来る。
「どこまでいっとるんじゃ?」
「な…なにを言っているんですかぁ!」
茹でダコの様に真っ赤にさせたルシオラが小声で叫ぶ。
「もうキスしたかの⁉︎」
「まだです‼︎」
ルシオラの2度目の小声の叫びが庵に響いた。
その協会の横の墓地に喪服を着たルクルは両手でアウラとルシオラの手を繋いで娘…カエルラが眠るお墓の前に佇んでいた。
「わぁ~、おかあさまぁ」
「うぅ、うぅ。泣かないでぇ」
そう言っているアウラが1番泣いており、大粒の涙か次から次へと溢れる。
ルクルはただただ娘の死が信じられず呆然とするだけだった。
カエルラはただの風邪だったが、拗らせて亡くなってしまった。
「カー」
アウラの頭に座ってるクロロが悲しそうに鳴くと、その鳴き声を聞いたルクルは…。
(娘がいない以上、次期の“アルカヌム”は、誰になる?)
ルクルは今も泣き続けるアウラとルシオラを見つめた。
(今のこの子達じゃ“アルカヌム”に付くのは無理じゃ。
わしにどれだけの時間が残っとるが分からんが…)
「アウラ…ルシオラ…よぉく、お聞き」
ルクルは屈んで2人に目線を合わせる。
「明日から、わしの全てを教える。
だから…お願いじゃ、わしのあと…“アルカヌム”を継いでおくれ…」
霧雨と涙で濡れるアウラとルシオラは何も分かってなく、瞳は不安で揺れていた。
ーーーー
ー3年前ー
「ただいま」
そう言いながら、ルシオラは戸口をガラッと開けて、アウラが後ろから顔を出す。
「師匠、薬草摘んできました」
薬草摘みに行っていた森から13歳に成長したアウラとルシオラが仲良く帰ってきた。
アウラは変わらず火傷の痕を隠す様な髪が腰まで伸びており、ルシオラは黒縁のメガネをかけて、ルクルそっくりのボサボサな肩までの髪を漆黒のリボンでひとつに結んでいる。
2人で一緒に持ってる大籠の中は様々な薬草が入っており、別の小籠の中は毒草が入っている。毒草も【解毒剤】を作る為の大事な材料だ。
「よし、大丈夫じゃ」
ルクルが指示した薬草と同じ薬草なのを確認してから2人に告げた。
「薬棚に分けてきます」
「僕も手伝う」
ぴったり寄り添う様に『きょうだい』にしては近過ぎる距離に。
(これは…どー見ても)
ルクルはアウラとルシオラに『アウラの出自』や『血の繋がりがない』事は話していないが『あまりにも似てない容姿』で、2人とも『血の繋がりがない』事は気付いてしまっている。
「付き合っとるじゃろ」
「し…師匠」
「ゴフッ!」
豚のショウガ焼きや、ほかほかなゴハン、トウフのミソシルのお昼を食べている時、ルクルの口から出た爆弾に、アウラは可愛らしく困った様に頬を桜色に染めて、ルシオラはリョクチャを思い切り吹き出した。
「ルシオラ、汚いぞ」
「お婆様、何を言い出すんですか?」
咳き込みながらルクルから布巾を受け取ったルシオラがテーブルを拭く。
「ひどいのう、別に反対せんのに、なんで言ってくれなかったんじゃ」
「「た…タイミングが…つかめてなく…て」」
徐々に小さくなっていく声で2人は恥ずかしそうに告げた。
「ルシオラ…ちぃと来い」
「?」
ルクルは手招きして、不思議がってるルシオラと一緒に、アウラに声が聞こえない距離まで来る。
「どこまでいっとるんじゃ?」
「な…なにを言っているんですかぁ!」
茹でダコの様に真っ赤にさせたルシオラが小声で叫ぶ。
「もうキスしたかの⁉︎」
「まだです‼︎」
ルシオラの2度目の小声の叫びが庵に響いた。
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