2 / 28
プロローグ
【ポーション】
しおりを挟む
ー6年前ー
「ししょー、すごい!すごい!」
少女、アウラの10才の小さな手がパチパチと拍手する。
アウラの左顔の火傷の痕を覆い隠す様に漆黒色のウェーブかかった前髪の隙間から少しだけ淡い紫苑色の可愛らしい瞳が見える。
アウラが9年前、巨大な鴉と共にやって来た第五王妃様の忘れ形見、アウローラ王女である事は、わしと娘しか知らない秘密だ。
「おばあさま、もういっかい、やって!」
少年、ルシオラが祖母そっくりのボサボサな瑠璃色の髪と、母親そっくりの瞳をキラキラと輝かして祖母にせがむ。
「仕方ないのぉ、少し待っておれ。『器を水で浸せ〈水〉』」
そう〈水魔法〉を詠唱すると、空っぽだった小さな土鍋の中が、底から徐々に魔法で作られた水【魔水】で浸されていく。
「「わぁぁ」」
それだけでもアウラとルシオラは感動していた。
2人は同い年なのでとても仲良しだ。
『ヘルバの森』の奥地にある庵には、わしと娘のカエルラと孫息子のルシオラ、愛弟子のアウラと「クロロ」と名付けた巨大な鴉の4人と1羽しかいない。
「お前達、よぉく見ておれ。
この【回復薬草】の粉末を入れてのぉ」
炎の魔法の力が宿った石【炎魔石】を使用した、長方形の【コンロ】に付いてる丸いスイッチを押すと、表面に細丸い輪っかが赤色に輝いた。
【コンロ】魔法が使いない人々の暮らしを豊かにする為に魔法使いと魔女達が作った“魔法家電製品”のひとつで、火を出さずに料理など温められるので使っている。
(魔女のわしらには必要ないもんじゃが…アウラは火が怖いもんの、無理もないわ)
わしはアウラの火傷の痕が出来た経緯を思い出す、アウラはあの時の記憶はなくても、身体は恐怖を覚えてしまっており、小さな火だけでも怯えてしまう。
「よっこいしょ」
その上に材料が入った小さな土鍋を置く。
「火にかけてぇ、ゆっくり混ぜながら、魔力を注いでのぉ」
木製のお玉で混ぜながら、土鍋の上に手をかざす。
「これぐらいでいいかのぉ」
祖母は【コンロ】のスイッチを切る。
『器を水と氷で満たせ〈水〉〈氷〉』
別の大釜の中が氷水で満たされ、大釜の中に先ほどまで煮込んでいた小さな土鍋を中に入れる。
「冷ましての」
祖母は棚から空っぽの小瓶を持って来て、周りに置いた。
「冷えたら、瓶に入れてのぉ」
木製の小さなお玉で薄緑色に輝く液体を小さな土鍋からすくって、用意した小瓶に濾しながら入れて蓋をしめる。
「これで初級【ポーション】の完成じゃい!」
「「わぁ~、すごい!すごい!」」
アウラとルシオラは、元気にはしゃぐ。
「「ねーねー、しょ…きゅ?ってなぁに⁇」」
「1番簡単に作れるって意味じゃ、この【ポーション】は切傷ぐらいなら、すぐ治る」
「「ほかにはぁ、あるのぉ?」」
「他か、作り方が少し難しい中級と、難しい上級があるんじゃ」
「「おしえてー、おしえてー」」
「2人がもう少しぃ大きくなったらの」
2人の頭を撫でる。
「そうじゃ、わしの大薬師”アルカヌム““称号”も説明するかのぉ」
「「????」」
「ししょー、すごい!すごい!」
少女、アウラの10才の小さな手がパチパチと拍手する。
アウラの左顔の火傷の痕を覆い隠す様に漆黒色のウェーブかかった前髪の隙間から少しだけ淡い紫苑色の可愛らしい瞳が見える。
アウラが9年前、巨大な鴉と共にやって来た第五王妃様の忘れ形見、アウローラ王女である事は、わしと娘しか知らない秘密だ。
「おばあさま、もういっかい、やって!」
少年、ルシオラが祖母そっくりのボサボサな瑠璃色の髪と、母親そっくりの瞳をキラキラと輝かして祖母にせがむ。
「仕方ないのぉ、少し待っておれ。『器を水で浸せ〈水〉』」
そう〈水魔法〉を詠唱すると、空っぽだった小さな土鍋の中が、底から徐々に魔法で作られた水【魔水】で浸されていく。
「「わぁぁ」」
それだけでもアウラとルシオラは感動していた。
2人は同い年なのでとても仲良しだ。
『ヘルバの森』の奥地にある庵には、わしと娘のカエルラと孫息子のルシオラ、愛弟子のアウラと「クロロ」と名付けた巨大な鴉の4人と1羽しかいない。
「お前達、よぉく見ておれ。
この【回復薬草】の粉末を入れてのぉ」
炎の魔法の力が宿った石【炎魔石】を使用した、長方形の【コンロ】に付いてる丸いスイッチを押すと、表面に細丸い輪っかが赤色に輝いた。
【コンロ】魔法が使いない人々の暮らしを豊かにする為に魔法使いと魔女達が作った“魔法家電製品”のひとつで、火を出さずに料理など温められるので使っている。
(魔女のわしらには必要ないもんじゃが…アウラは火が怖いもんの、無理もないわ)
わしはアウラの火傷の痕が出来た経緯を思い出す、アウラはあの時の記憶はなくても、身体は恐怖を覚えてしまっており、小さな火だけでも怯えてしまう。
「よっこいしょ」
その上に材料が入った小さな土鍋を置く。
「火にかけてぇ、ゆっくり混ぜながら、魔力を注いでのぉ」
木製のお玉で混ぜながら、土鍋の上に手をかざす。
「これぐらいでいいかのぉ」
祖母は【コンロ】のスイッチを切る。
『器を水と氷で満たせ〈水〉〈氷〉』
別の大釜の中が氷水で満たされ、大釜の中に先ほどまで煮込んでいた小さな土鍋を中に入れる。
「冷ましての」
祖母は棚から空っぽの小瓶を持って来て、周りに置いた。
「冷えたら、瓶に入れてのぉ」
木製の小さなお玉で薄緑色に輝く液体を小さな土鍋からすくって、用意した小瓶に濾しながら入れて蓋をしめる。
「これで初級【ポーション】の完成じゃい!」
「「わぁ~、すごい!すごい!」」
アウラとルシオラは、元気にはしゃぐ。
「「ねーねー、しょ…きゅ?ってなぁに⁇」」
「1番簡単に作れるって意味じゃ、この【ポーション】は切傷ぐらいなら、すぐ治る」
「「ほかにはぁ、あるのぉ?」」
「他か、作り方が少し難しい中級と、難しい上級があるんじゃ」
「「おしえてー、おしえてー」」
「2人がもう少しぃ大きくなったらの」
2人の頭を撫でる。
「そうじゃ、わしの大薬師”アルカヌム““称号”も説明するかのぉ」
「「????」」
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
[完結]私を巻き込まないで下さい
シマ
恋愛
私、イリーナ15歳。賊に襲われているのを助けられた8歳の時から、師匠と一緒に暮らしている。
魔力持ちと分かって魔法を教えて貰ったけど、何故か全然発動しなかった。
でも、魔物を倒した時に採れる魔石。石の魔力が無くなると使えなくなるけど、その魔石に魔力を注いで甦らせる事が出来た。
その力を生かして、師匠と装具や魔道具の修理の仕事をしながら、のんびり暮らしていた。
ある日、師匠を訪ねて来た、お客さんから生活が変わっていく。
え?今、話題の勇者様が兄弟子?師匠が王族?ナニそれ私、知らないよ。
平凡で普通の生活がしたいの。
私を巻き込まないで下さい!
恋愛要素は、中盤以降から出てきます
9月28日 本編完結
10月4日 番外編完結
長い間、お付き合い頂きありがとうございました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
新婚早々、愛人紹介って何事ですか?
ネコ
恋愛
貴方の妻は私なのに、初夜の場で見知らぬ美女を伴い「彼女も大事な人だ」と堂々宣言する夫。
家名のため黙って耐えてきたけれど、嘲笑う彼らを見て気がついた。
「結婚を続ける価値、どこにもないわ」
一瞬にしてすべてがどうでもよくなる。
はいはい、どうぞご自由に。私は出て行きますから。
けれど捨てられたはずの私が、誰よりも高い地位の殿方たちから注目を集めることになるなんて。
笑顔で見返してあげますわ、卑劣な夫も愛人も、私を踏みつけたすべての者たちを。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる