どうやら一夜の過ちを犯してしまったようです。

 チュンチュンと小鳥の|囀《さえず》りが耳に届く。
 私はスマホ画面で|現在《いま》の時間を確認する。
 一昨年の梅雨から実家で飼っている、白猫の白玉と、黒猫の黒ごまが戯れあっている待ち受け画面に、6時15分と表示されている。
 見慣れないホテルの一室のダブルベッドの上、キャミソールとパンツだけしか身に付けてない私の隣に、上半身裸の見知らぬ、茶髪でゆるい癖毛の男性が、すやすやと眠っていました。


 “申し訳ございません。今回のことはなかったことでお願いします”

 そう書いたメモを、お金の横に置いて、起こさないよう、静かに、だけど急いで、部屋を後にした。

 早朝の優しい光が、私を優しく照らす。
 私、風間彩加、大学3年の21歳は、失恋のやけ酒の末、どうやら一夜の過ちを犯してしまったようです。

※カクヨム様、小説なろう様で同時掲載中です。

※表紙、挿し絵のイラストはRiiちゃん様に描いて頂きました。
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