17 / 19
理知、賽川組に入る
しおりを挟む
某月某日、賽川組事務所に明らかに異質な一輪の花が咲いた。
「笹山理知です!よろしくお願いします!」
「「「「「しゃっす!!」」」」」
いつもの厳つい表情を崩さず返事をした組員たちに向かって俺は口を開く。
「あ~、知ってるやつも多いかもしれねぇが、今日から上に住むことになった龍生の娘だ…」
さて、なんと言うべきか。
まだ俺が何か言いそうだと察して組員たちは黙って待っている。
優しくしてやってくれ…違うな。
良くしてやってくれ…これも違う。
「…大事な預かりものだ。お前ら手ぇ出すんじゃねぇぞ」
「「「「「へい!!」」」」」
考えすぎたあげく一番違う事を言ってしまった気がするがまあいい。
挨拶も済んだところで理知と上に向かう。
理知を預かるとわかって事務所の屋上に小屋を増設した。
理知のための家だ。
俺のマンションに住まわせても良かったが、俺はほとんど仕事でここにいてあそこにはめったに帰らない。
カチコミの心配はあるが逃走経路は用意してあるし、学校から帰ってきたとき誰もいないよりはいた方が理知も安心できるだろう。
俺も安心できる。
「…おじさん、ホントにここ理知の家?理知が住んでいいの?」
「ああ、わりーな狭くて」
「ううん、せまくないよ。全然せまくない」
確かに小学3年生が1人で住むには充分な広さだろう。
本当に狭いながらもトイレ風呂キッチン付きだ。
畳張りだが居間も俺が寝転べるぐらいの広さはある。
それから何と言っても…
「うわあ!かわいい!ここ理知の部屋?!」
「…」
居間から引き戸を隔てて続く理知の部屋。
コーディネートは理知と同い年の娘を持つ都山に任せたんだが…アイツ、最近娘が反抗期だって嘆いてたから思いきり趣味ぶつけてきやがったな…。
ピンクを基調にした布団に枕、カーテンまで。ちょっとラブホみたいじゃねぇか。
勉強机が普通の木のやつで助かった。
はしゃぐ理知を余所に居間に寝転ぶ。
どうしても煙草に手を出そうとする動作は止められず、した後にその手を頭の下に敷いた。
まさかこんな事になるとはな…。
一緒に暮らすとまではいかないが、前よりも確実に理知との時間は増える。
理知が大人になるまで変な虫が付かないか自分の目で監視できるって事だ。
それに、俺との時間が増えることでリィリの記憶を思い出す可能性も増すだろう。
「おじさん」
「んあ?」
色々と考えていたら寝転ぶ俺の横に理知が膝を付いた。
ちょっと状態を起こした俺にペコリと頭を下げる。
「これからお世話になります」
「っ…」
改まって言われると結婚の挨拶みてぇだ。
顔が緩みそうになるのを抑え、誤魔化すように理知の頭をガシガシと撫でた。
「おう、こちらこそ世話になるぜ」
「え?」
「たまに顔出すから、そん時は今まで通り茶でも出してくれや」
「ー!はいっ!」
それから、理知は茶どころか料理の腕を磨いて旨い飯まで食わせてくれるようになった。
下手したら3食、マジで世話になっている。
「笹山理知です!よろしくお願いします!」
「「「「「しゃっす!!」」」」」
いつもの厳つい表情を崩さず返事をした組員たちに向かって俺は口を開く。
「あ~、知ってるやつも多いかもしれねぇが、今日から上に住むことになった龍生の娘だ…」
さて、なんと言うべきか。
まだ俺が何か言いそうだと察して組員たちは黙って待っている。
優しくしてやってくれ…違うな。
良くしてやってくれ…これも違う。
「…大事な預かりものだ。お前ら手ぇ出すんじゃねぇぞ」
「「「「「へい!!」」」」」
考えすぎたあげく一番違う事を言ってしまった気がするがまあいい。
挨拶も済んだところで理知と上に向かう。
理知を預かるとわかって事務所の屋上に小屋を増設した。
理知のための家だ。
俺のマンションに住まわせても良かったが、俺はほとんど仕事でここにいてあそこにはめったに帰らない。
カチコミの心配はあるが逃走経路は用意してあるし、学校から帰ってきたとき誰もいないよりはいた方が理知も安心できるだろう。
俺も安心できる。
「…おじさん、ホントにここ理知の家?理知が住んでいいの?」
「ああ、わりーな狭くて」
「ううん、せまくないよ。全然せまくない」
確かに小学3年生が1人で住むには充分な広さだろう。
本当に狭いながらもトイレ風呂キッチン付きだ。
畳張りだが居間も俺が寝転べるぐらいの広さはある。
それから何と言っても…
「うわあ!かわいい!ここ理知の部屋?!」
「…」
居間から引き戸を隔てて続く理知の部屋。
コーディネートは理知と同い年の娘を持つ都山に任せたんだが…アイツ、最近娘が反抗期だって嘆いてたから思いきり趣味ぶつけてきやがったな…。
ピンクを基調にした布団に枕、カーテンまで。ちょっとラブホみたいじゃねぇか。
勉強机が普通の木のやつで助かった。
はしゃぐ理知を余所に居間に寝転ぶ。
どうしても煙草に手を出そうとする動作は止められず、した後にその手を頭の下に敷いた。
まさかこんな事になるとはな…。
一緒に暮らすとまではいかないが、前よりも確実に理知との時間は増える。
理知が大人になるまで変な虫が付かないか自分の目で監視できるって事だ。
それに、俺との時間が増えることでリィリの記憶を思い出す可能性も増すだろう。
「おじさん」
「んあ?」
色々と考えていたら寝転ぶ俺の横に理知が膝を付いた。
ちょっと状態を起こした俺にペコリと頭を下げる。
「これからお世話になります」
「っ…」
改まって言われると結婚の挨拶みてぇだ。
顔が緩みそうになるのを抑え、誤魔化すように理知の頭をガシガシと撫でた。
「おう、こちらこそ世話になるぜ」
「え?」
「たまに顔出すから、そん時は今まで通り茶でも出してくれや」
「ー!はいっ!」
それから、理知は茶どころか料理の腕を磨いて旨い飯まで食わせてくれるようになった。
下手したら3食、マジで世話になっている。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる