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第一章 木嶋真奈の日記より抜粋①

第十五話 でも、いいんだ。獅子美ってあだ名つけた男の子好きだったから

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 グレードは、普通と上と特上の三段階であり、上になるにつれ金額も上がるが、情報の質も上がる。どのくらい異なるかをざっと例を用いて説明したいと思う。
 ある男について知りたいと思う。その時注文が普通では、Infoで共有されている情報とその担当者が知っている情報しか得られない。一方特上では、その男本人しか知り得ないことまでありとあらゆることを調べ尽くしてくれる。
 普段ならば安く済ませたいので、タン塩の普通を注文するのだが、悠人からふんだくれるということもあり、今回はお高い特上カルビの注文である。
 
「さて、カルビはどこまで知ってるの?」
『真奈が悠斗君の頬に針を刺して、部屋を出たところまでかな』
「……カルビ、うちの部室に監視カメラ仕掛けたりした……?」
『まさかぁ。月水金に二人で部屋中大掃除して、隠しカメラと盗聴器ないかどうか確認してるじゃん』
「……まあ、とりあえず今はいいや。じゃあ、私の知りたい情報もわかるね?」
『文学部一年の、西尾和哉、佐々木拓哉、峯岸誠也の三人についてね』
「そう」
『代金、三人前になるけど』
「問題なし」
『ははっ、まあ人の金だからね』
「で、早速なんだけど」
『はいよ』
「この三人が今どこいるか、わかる?」
『んーと、ちょっと待ってね……。うーん……、今私の手元にある情報では、居場所特定まではいかないなぁ……。彼らがよく行く場所の候補くらいなら数カ所挙げられるけど……』
「あっ、それでいいよ」
『そう? 噂の出所かどこか調べてるんでしょ? 私が確認した方が良くない?』
「いいの。カルビは、この三人のここ一週間の動向を洗いざらい調べて」
『りょーかい。彼らが放課後いる可能性がある場所は、食堂、正門前のマック、総合教育棟201講義室かな。あっあと、悠斗君は知らないだろうけど、峯岸誠也のアパートかな』
「ふーっ?!」
「悠斗が知らないって……」
『まあ……、そういうことだよ』
 
 なるほど、どうやら悠斗の信頼は一方通行らしい。
 
「それじゃ、カルビさん。彼の住所、メールにお願いします」
『あいよ。分かってると思うけど、内密にね』
「当たり前でしょ」
『お願いね、じゃっ』
 
 ティロリロリン~♪
 
 早速住所が届いた。さすが仕事が早い。
 さて、まあ真っ先に行くべきは当然……
 
「峯岸誠也の家に行きましょう」
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