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8話 いじめ
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明美は、何故他のクラスの人間からあんなふうに、強制されなくてはいけないのか、よくわからなかった。村田君とは、クラスメイトであり隣の席の為、クラスの中では特によくして貰っているので仲良くするなと言われても無理というものである。明美は、これからどうしようと頭を悩ますしかなかった。
「はぁ……これからどうしようかな……」
明美は、学校の帰り道一人でトボトボと帰っていた。そして、いつもの公園のベンチに座り、久保田美沙の事を考えていた。
(なんで、久保田さんはあんな事を言うんだろう?村田君の事が好きならあたしにあんなこと言わず、勝手に告れば良いのに……)
(でも……村田君と久保田さんが恋人同士に……)
そんな事を考えていた自分が嫌になり首をぶんぶん横に振ったのだった。2人が恋人と思ったら、胸の奥がチクリしたのだ。
そんな時、明美の肩を叩いてきた人物がいた。
「立花、まだ家に帰っていなかったのか?」
「む、村田君⁉」
いきなり肩を叩かれ、明美は博也の事を考えていたのでびっくりした。
「なんだよ……そんなビックリしなくてもいいだろ?」
「ご、ごめんね……ちょっと考え事をしてたから」
「悩み事なら聞くけど何かあったのか?」
「うんん……たいしたことじゃないから大丈夫だよ。ありがとね」
明美は、博也の言葉を遮るように大丈夫と言って断ったのだった。博也もたいしたことないと言われては、それ以上追及するのも違うと思い、残念そうに引き下がったのだ。
ただ、博也は明美のありがとうと言った時、少し元気のない笑顔が気がかりだった。その顔は、明美が一人でいた時より、困ったような感じだったからだ。
「そ、そっか?だったらいいんだけど、何かあったら何でも言えよ?」
「うん……ありがとね」
「そ、そういや、アオは元気か?」
「う、うん。元気だよ。あたしが帰ったら、玄関に迎えに出てきてくれるからかわいいよ」
「そ、そっか……」
「うん」
博也はどうにもこの空間がもどかしかった。明美の素顔を見てから、どうにも意識してしまい、いつものように会話が続かないのだ。
「そ、それじゃ俺……腹がすいたし帰るわ!ま、またな!」
「あっ、う、うん……また、明日!」
明美は、博也の言葉にアタフタしながら挨拶をして別れた。明美も少し博也と話すことが出来て元気が出たのだった。
そして、次の日明美はいつも通り、放課後一人教室で小説を読み夕日の中頑張る博也を見ていた。
(今日も頑張ってるな……あたしも、あんなふうに頑張れるものがあったらなあ)
明美は、昨日一晩これからどうしようか悩んだ挙句、結局何ともならない事が分かって、久保田美佐の言った事は気にしない事にしたのだった。
すると、昨日と同じく小説を読みながら、博也を見ていると教室に昨日の三人が又入ってきたのだった。
「あのさあ!あたし達が昨日言った事聞いてなかった訳?」
「く、久保田さん……」
「久保田さんじゃないわよ!本当鬱陶しいんだよね?」
「なにがですか?……」
「何がですかじゃないわよ!博也に色目を使ってんじゃないわよ!博也は、あたしが目をつけていると言ったじゃない!あんた聞いてたの?」
「で、でも……あたしは、村田君とクラスメイトだし、となりの席なんだから会話ぐらい……」
「ブスの陰キャが調子に乗ってんじゃないわよ!陰キャらしく下を向いて会話しなきゃいいじゃない!」
「で、でも……話しかけられ……ひっ!」
反抗した明美に、美沙はイラつき教室の机を叩き大きな音を鳴らしたのだ。
「あんたのその態度が調子に乗っているというのよ!いい?あんたは陰キャらしく、教室の隅で小説を読んでいたらいいのよ!わかった?」
「何であなたに……ひっ……」
明美は、美沙の言う通りにしたくなかった。自分でも他人に、こんなにも反抗できるとは思っていなかったが、博也の言う自信は、自分の意見をハッキリ言えるようになる事だと思っていたのだ。
「分からない人ね!博也はあたしの物だと何回言えば!」
「俺は、久保田さんのものになったつもりはないけどな!」
久保田美佐と友達は声の方向を見た。するとそこには博也が立っていたのだ。
「博也君!こ、これは違うの!」
「何が違うんだよ!立花の様子が、昨日からおかしいと思ったら、まさかこんな事になってと思わなかったよ」
「だから、ちがうんだって!」
「博也君に、こんな陰キャで不細工な女が近づいていたら、博也君の印象が良くないとおもったから……それに、博也君にはあたしみたいな明るい女の子がいた方がいいじゃない!」
「何言ってんだよ!立花は陰キャでも不細工でもないよ!」
「何言ってんのよ!そんなダサい眼鏡をかけて、髪もぼさぼさで化粧もしてないし女子力全然ないじゃない!」
「はっ!確かに、立花は見た目はあんま気にしてないがよく見てみろよ。美人だろ?それに久保田さんは見た目ばかり気にして、なにも出来ないじゃないか!立花の弁当食った事ないだろ?むっちゃ美味いんだぜ?それのどこが女子力が低いんだよ?」
「何言ってんのよ!あたしの方が女子力高いじゃない!あたしも努力して化粧を覚え、プロポーションの維持を頑張っているんだから!」
「それも、確かに努力が必要で認めるよ!だけど、俺は料理の上手い立花を推すよ!それに、他人を影で脅して蹴落とす女の子に魅力を感じないからな!」
「ちょっと待ってよ!あたしは博也君の事を入学した時、いえ……中学から好きだったんだよ!」
「だったら、それを正直に告白してくれたらよかったんだ。そしたら、俺はちゃんとその想いに考えて答えたんだけどな。だけど、こんな事をみたら久保田さんの印象は、マイナスになるのが分からないのか?」
久保田美沙は、博也の言葉に押し黙ってしまった。
「ご、ごめんなさい……あたしが悪かったわ!」
「何で、俺に謝ってんだよ。違うだろ?」
「……」
「もし、立花に謝らなかったら、この事を俺は先生に言うぞ?」
「何であたしが、こんな奴に!」
「いいのか?今の時代、学校は虐めの問題にはナーバスになっているから、この事が学校や教育員会に知れわたったら、退学だけじゃすまなくなるぞ?」
「あたしが虐めていた証拠なんかないじゃない!」
博也は、先ほど美沙が明美に言い寄っていたところの、スマホの動画を見せたのだった。
「「「ひっ!」」」
「これで充分証拠になるよな?俺だって鬼じゃない!今謝ったなら目をつむるがどうする?」
美沙達3人は、慌てて明美に謝罪したのだった。そして、急いで教室から出ていくのだった。出ていく3人に対して博也はもう、明美に近づくなと釘を刺したのだった。
「はぁ……これからどうしようかな……」
明美は、学校の帰り道一人でトボトボと帰っていた。そして、いつもの公園のベンチに座り、久保田美沙の事を考えていた。
(なんで、久保田さんはあんな事を言うんだろう?村田君の事が好きならあたしにあんなこと言わず、勝手に告れば良いのに……)
(でも……村田君と久保田さんが恋人同士に……)
そんな事を考えていた自分が嫌になり首をぶんぶん横に振ったのだった。2人が恋人と思ったら、胸の奥がチクリしたのだ。
そんな時、明美の肩を叩いてきた人物がいた。
「立花、まだ家に帰っていなかったのか?」
「む、村田君⁉」
いきなり肩を叩かれ、明美は博也の事を考えていたのでびっくりした。
「なんだよ……そんなビックリしなくてもいいだろ?」
「ご、ごめんね……ちょっと考え事をしてたから」
「悩み事なら聞くけど何かあったのか?」
「うんん……たいしたことじゃないから大丈夫だよ。ありがとね」
明美は、博也の言葉を遮るように大丈夫と言って断ったのだった。博也もたいしたことないと言われては、それ以上追及するのも違うと思い、残念そうに引き下がったのだ。
ただ、博也は明美のありがとうと言った時、少し元気のない笑顔が気がかりだった。その顔は、明美が一人でいた時より、困ったような感じだったからだ。
「そ、そっか?だったらいいんだけど、何かあったら何でも言えよ?」
「うん……ありがとね」
「そ、そういや、アオは元気か?」
「う、うん。元気だよ。あたしが帰ったら、玄関に迎えに出てきてくれるからかわいいよ」
「そ、そっか……」
「うん」
博也はどうにもこの空間がもどかしかった。明美の素顔を見てから、どうにも意識してしまい、いつものように会話が続かないのだ。
「そ、それじゃ俺……腹がすいたし帰るわ!ま、またな!」
「あっ、う、うん……また、明日!」
明美は、博也の言葉にアタフタしながら挨拶をして別れた。明美も少し博也と話すことが出来て元気が出たのだった。
そして、次の日明美はいつも通り、放課後一人教室で小説を読み夕日の中頑張る博也を見ていた。
(今日も頑張ってるな……あたしも、あんなふうに頑張れるものがあったらなあ)
明美は、昨日一晩これからどうしようか悩んだ挙句、結局何ともならない事が分かって、久保田美佐の言った事は気にしない事にしたのだった。
すると、昨日と同じく小説を読みながら、博也を見ていると教室に昨日の三人が又入ってきたのだった。
「あのさあ!あたし達が昨日言った事聞いてなかった訳?」
「く、久保田さん……」
「久保田さんじゃないわよ!本当鬱陶しいんだよね?」
「なにがですか?……」
「何がですかじゃないわよ!博也に色目を使ってんじゃないわよ!博也は、あたしが目をつけていると言ったじゃない!あんた聞いてたの?」
「で、でも……あたしは、村田君とクラスメイトだし、となりの席なんだから会話ぐらい……」
「ブスの陰キャが調子に乗ってんじゃないわよ!陰キャらしく下を向いて会話しなきゃいいじゃない!」
「で、でも……話しかけられ……ひっ!」
反抗した明美に、美沙はイラつき教室の机を叩き大きな音を鳴らしたのだ。
「あんたのその態度が調子に乗っているというのよ!いい?あんたは陰キャらしく、教室の隅で小説を読んでいたらいいのよ!わかった?」
「何であなたに……ひっ……」
明美は、美沙の言う通りにしたくなかった。自分でも他人に、こんなにも反抗できるとは思っていなかったが、博也の言う自信は、自分の意見をハッキリ言えるようになる事だと思っていたのだ。
「分からない人ね!博也はあたしの物だと何回言えば!」
「俺は、久保田さんのものになったつもりはないけどな!」
久保田美佐と友達は声の方向を見た。するとそこには博也が立っていたのだ。
「博也君!こ、これは違うの!」
「何が違うんだよ!立花の様子が、昨日からおかしいと思ったら、まさかこんな事になってと思わなかったよ」
「だから、ちがうんだって!」
「博也君に、こんな陰キャで不細工な女が近づいていたら、博也君の印象が良くないとおもったから……それに、博也君にはあたしみたいな明るい女の子がいた方がいいじゃない!」
「何言ってんだよ!立花は陰キャでも不細工でもないよ!」
「何言ってんのよ!そんなダサい眼鏡をかけて、髪もぼさぼさで化粧もしてないし女子力全然ないじゃない!」
「はっ!確かに、立花は見た目はあんま気にしてないがよく見てみろよ。美人だろ?それに久保田さんは見た目ばかり気にして、なにも出来ないじゃないか!立花の弁当食った事ないだろ?むっちゃ美味いんだぜ?それのどこが女子力が低いんだよ?」
「何言ってんのよ!あたしの方が女子力高いじゃない!あたしも努力して化粧を覚え、プロポーションの維持を頑張っているんだから!」
「それも、確かに努力が必要で認めるよ!だけど、俺は料理の上手い立花を推すよ!それに、他人を影で脅して蹴落とす女の子に魅力を感じないからな!」
「ちょっと待ってよ!あたしは博也君の事を入学した時、いえ……中学から好きだったんだよ!」
「だったら、それを正直に告白してくれたらよかったんだ。そしたら、俺はちゃんとその想いに考えて答えたんだけどな。だけど、こんな事をみたら久保田さんの印象は、マイナスになるのが分からないのか?」
久保田美沙は、博也の言葉に押し黙ってしまった。
「ご、ごめんなさい……あたしが悪かったわ!」
「何で、俺に謝ってんだよ。違うだろ?」
「……」
「もし、立花に謝らなかったら、この事を俺は先生に言うぞ?」
「何であたしが、こんな奴に!」
「いいのか?今の時代、学校は虐めの問題にはナーバスになっているから、この事が学校や教育員会に知れわたったら、退学だけじゃすまなくなるぞ?」
「あたしが虐めていた証拠なんかないじゃない!」
博也は、先ほど美沙が明美に言い寄っていたところの、スマホの動画を見せたのだった。
「「「ひっ!」」」
「これで充分証拠になるよな?俺だって鬼じゃない!今謝ったなら目をつむるがどうする?」
美沙達3人は、慌てて明美に謝罪したのだった。そして、急いで教室から出ていくのだった。出ていく3人に対して博也はもう、明美に近づくなと釘を刺したのだった。
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