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3話 自慢できる事
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博也が帰っていった後、明美は一人公園のベンチに座って佇んでいた。やはりこの季節は、天気が変わりやすいと明美は思った。自分の心と同じく、空が曇りポツリポツリと雨を感じていた。
(やっぱり、あたしは駄目だな……アオのおかげで、少しは社交的になったと思っていたのに……)
明美は、ベンチに座って空を見上げた。明美はハッとして、本格的に降る前に家に帰ろうと思い、鞄を頭の上に抱えて家までダッシュしたのだった。
家に帰り、明美はアオの手を取り話しかけていた。
「ねえ、アオ……あたしが、自信の持てる物ってあると思う?」
アオは、明美の声に反応し首を傾げた。
「あたしって、10歳の事からこんな感じだし見た目もあまり気にせず、男の子と話した事も最近のことなのよ?」
「くううん……」
「村田君も、無茶な事を言うと思わない?」
明美は、時間も忘れてアオに話しかけていた。そこに、父親が取引先の会社から帰宅したのだった。今日は久しぶりに取引先の打ち合わせで、滅多にこういうことは無いが遅くに帰宅したのである。
「ただいま!今日は疲れたぁ~~~」
「えっ、お父さん⁉今日は帰ってくるの早いね。すぐご飯の準備するわ」
「なにいってんだ?今日の打ち合わせはいつもより遅いぐらいだぞ。っていうか、今からご飯作るのか?」
「えっ⁉」
明美は驚き、部屋の外を見たら真っ暗で、夜の8時を過ぎていたのだった。明美は博也の言った自信を持つ事を、時間が経つのも忘れて、アオに話し続けていたのだった。
「まあ、こういう事もあるか……気にするな。今日は出前でも取ることにするか?」
「ごめんなさい……でも、ご飯だけは炊いてあるから、何か冷蔵庫にあるものでパパッと作っちゃうよ」
「そ、そっかあ?じゃあ悪いが、ご飯作っておいてくれ。わしは風呂でも沸かしておくよ」
「お父さんごめんね」
「気にするな!いつも家事は、お前に任せっきりなんだからな。いつもありがとな」
父の俊蔵は、明美の頭を優しく撫でて、風呂場を洗いに行った。その後を、アオが嬉しそうに尻尾を振ってついていくのだった。
そして、その日は夜遅くまで、明美は自分の自信の持てる事を考えて、中々眠ることが出来なかった。
次の日、眠い目をこすり明美は朝のルーティンである父のお弁当と自分のお弁当を作り、朝食の用意をしていた。
そして、朝の弱い父を叩き起こす事が、日課になっていたのだった。在宅ワークの父の為に、明美はお弁当を作り
冷蔵庫の中に入れているのである。
「お父さん!朝だよ。早く起きないとお父さん昼まで寝ちゃうでしょ!」
「う~ん……もう少し寝かせてくれえええ……」
「いいけど、仕事が遅れてもしらないよ。もう7時だからね!」
「分かったよ……ちゃんと起きるから後5分……」
俊蔵はグダグダしながら明美にたたき起こされたのだった、そして毎朝眠い目をこすりながら朝食を食べ始めるのだ。しかし、朝は途中まで父と一緒に家を出るほど、明美は父と仲が良かった。そして、近所のおばさんに朝の挨拶をして家を出るのだった。
朝、学校に着くと登校してくる生徒に挨拶が出来るようになっていた明美だった。以前は、クラスメイトと挨拶もなく、クラスメイト達は明美が教室に入ってきたことも気づいていなかった。
しかし、今では教室に入ると声をかけてくれたり、後から来た生徒も目があえば、朝の挨拶をしてくれるようになっていた。
そして、毎日朝ギリギリに教室に駆けこんでくるのが、隣の席の博也だった。
「ギリギリセーフ!」
「村田君、今日もギリギリだね……もっと早く起きたらいいのに」
「いやぁ……昨日もゲームをやってて気づいたら2時まわってた……」
「博也ぁ~昨日も夜遅かったのか?」
「まあ、いつも通りゲームにはまってて」
そんな話をしてたら、担任が教室に入って来た。
「村田さん!今日も遅刻しそうだったな。もっと早く来るように!」
「何で知ってんだ?」
「何言ってる!遅刻だあって廊下を走るんじゃない!丸わかりだろう!」
担任の言葉に、クラスメイトは大笑いしたのだった。
「すいません……」
「ったく……担任に恥をかかせるなよ。じゃあ、出席を取る。相田!」
「はあ~い」
そして、その日の昼休み。生徒達待望の昼ご飯である。明美はお弁当を出し、友達に昼ご飯を一緒に食べようと誘われて、机を引っ付けていた。
「あ、あれ?な、なんでだ?」
隣の席の博也が、机の中やカバンの中を、ゴソゴソあさって何やらブツブツ言っていた。
「な、ない……なんで?」
「博也どうしたんだ?早く食べようぜ!」
「ないんだよ!」
「なにが?」
「弁当家に忘れた……」
それを聞いた、博也の友達がみんな大笑いしていた。
「あはははは!弁当忘れてどうすんだよ!昼から腹減って地獄だぞ」
「どうしよう……」
「購買でパンでも買って来いよ」
「金がねえ……」
「小遣い貰ってないのかよ……」
「いや……あと三日後に小遣い貰えるからと思って、ゲームに課金しちまった……」
それを聞き、又友達は大笑いしたのだった。
「頼む!300円でいいから貸してくれ!三日後に必ず返すから!」
「残念だったな……お前の友達である俺達が小遣いが残っていると思うか?」
「……」
「俺達も、お前と一緒でゲーム課金しちまったよ。あははははは!」
「どうすんだよ……午後から飯抜きで授業を受けないといけないじゃないか」
「「「弁当を忘れるお前が悪い!」」」
「そんな事言わず、少しづつおかずを分けてくれよ!」
「「「そんな事したら俺達も腹が減るだろう」」」
博也の友達は、おかずを取られない様にバリケートを張ったのだった。そんな様子を見ていた女子たちは、呆れていたのだった。
「ったく……博也って女子に人気なのに何であんなに抜けてんのかしら」
「でも、そんなところも可愛いと思うよ」
「ホントよねえ」
「でも、村田君午後から大丈夫なのかな?」
「あんなに心配なら、立花さんがお弁当わけてあげたら?」
「えっ⁉なんであたしが?」
その話声が聞こえた博也は、弁当の蓋を友達から借りて、明美達のグループに寄って来た。
「博也、何お弁当の蓋を持ってこっちに来るのよ?」
「た、頼む!弁当忘れて……少しづつでいいからわけてくれ!あいつ等何にもくれねえんだよ」
博也は、涙目になりながら、明美達におかずを分けてもらおうと必死だった。
「ったく……しょうがないわね!おかず一品だけだよ」
「ありがとうごぜえます!お代官様ぁ……」
「何、馬鹿な事言ってんのよ!ほら、もうあっちに行きなさい!」
みんなから一品づつ貰っていたが、男子高生には物足りない量だった。
「にしても、立花って凄い食うんだな?」
「えっ?」
明美は、博也たちの話に夢中で、自分の弁当箱を見ずにハンカチを解いていた。
「あああ~~~~!これ、お父さんのお弁当箱!」
それを聞いた、クラスメイトは大笑いしたのだった。
「立花の父ちゃん、今頃大変なんじゃないのか?」
「うん……あたしの、お弁当だと量が少なくてお腹を空かせてると思う……村田君、あたしこんなにも食べれないから、多めに貰ってくれる?」
「ほ、ほんとか?助かるよ!」
博也は、明美の弁当の半分以上貰って、笑顔となっていた。博也は、明美のおかずを食べて思わず大きな声を出した。
「この鶏の唐揚げ美味ぇ~~~!立花の母ちゃん料理むっちゃ上手いなあ!」
「あっ……うちお母さんいないんだ……」
「「「「えっ?」」」」」
「家のお母さん、あたしが10歳の時に病気で亡くなったからさ……」
「馬鹿!博也……」
「立花、ごめん……俺知らなくってさ」
「あっ!気にしないで、もうあたしも大丈夫だからさ!」
博也は、下を向いて落ち込んでいて、保奈美が話をかえようとした。
「じゃあ、そのお弁当お父さんが?」
「うんん……家事は、あたしが担当だから、そのお弁当はあたしが作ったんだよ」
「ま、まじ?この唐揚げむっちゃ美味いんだけど!」
「本当に?嘘でも美味しいって言ってくれて嬉しいよ」
「いや、嘘じゃねえって!本当に美味いよ」
「この料理なら、毎日食べてぇよ」
「えっ⁉」
博也の言葉に、明美は耳まで真っ赤になって俯いてしまった。
「博也ぁ~!あんた教室で何、口走ってんのよ!」
「何をって、こんな美味い料理なら、毎日食べたいって言っているだけじゃないか?」
「博也ぁ~~~プロポーズかよ!あはははは!」
後ろから博也の友達が、笑いながら煽ってきた。
「あっ……いや、そんな意味じゃなくて、俺は純粋にだな。この唐揚げが美味いって事を伝えたかっただけで……」
博也の説明に、明美はドンドン顔が真っ赤になっていくのだった。
「博也、もうやめてあげなよ。このままじゃ立花さん熱が出て倒れちゃうよ」
明美の友達は呆れて、博也を止めに入った。その日、博也と明美は友達に冷やかされて、一日が終わったのは言う間でもなかった。
(やっぱり、あたしは駄目だな……アオのおかげで、少しは社交的になったと思っていたのに……)
明美は、ベンチに座って空を見上げた。明美はハッとして、本格的に降る前に家に帰ろうと思い、鞄を頭の上に抱えて家までダッシュしたのだった。
家に帰り、明美はアオの手を取り話しかけていた。
「ねえ、アオ……あたしが、自信の持てる物ってあると思う?」
アオは、明美の声に反応し首を傾げた。
「あたしって、10歳の事からこんな感じだし見た目もあまり気にせず、男の子と話した事も最近のことなのよ?」
「くううん……」
「村田君も、無茶な事を言うと思わない?」
明美は、時間も忘れてアオに話しかけていた。そこに、父親が取引先の会社から帰宅したのだった。今日は久しぶりに取引先の打ち合わせで、滅多にこういうことは無いが遅くに帰宅したのである。
「ただいま!今日は疲れたぁ~~~」
「えっ、お父さん⁉今日は帰ってくるの早いね。すぐご飯の準備するわ」
「なにいってんだ?今日の打ち合わせはいつもより遅いぐらいだぞ。っていうか、今からご飯作るのか?」
「えっ⁉」
明美は驚き、部屋の外を見たら真っ暗で、夜の8時を過ぎていたのだった。明美は博也の言った自信を持つ事を、時間が経つのも忘れて、アオに話し続けていたのだった。
「まあ、こういう事もあるか……気にするな。今日は出前でも取ることにするか?」
「ごめんなさい……でも、ご飯だけは炊いてあるから、何か冷蔵庫にあるものでパパッと作っちゃうよ」
「そ、そっかあ?じゃあ悪いが、ご飯作っておいてくれ。わしは風呂でも沸かしておくよ」
「お父さんごめんね」
「気にするな!いつも家事は、お前に任せっきりなんだからな。いつもありがとな」
父の俊蔵は、明美の頭を優しく撫でて、風呂場を洗いに行った。その後を、アオが嬉しそうに尻尾を振ってついていくのだった。
そして、その日は夜遅くまで、明美は自分の自信の持てる事を考えて、中々眠ることが出来なかった。
次の日、眠い目をこすり明美は朝のルーティンである父のお弁当と自分のお弁当を作り、朝食の用意をしていた。
そして、朝の弱い父を叩き起こす事が、日課になっていたのだった。在宅ワークの父の為に、明美はお弁当を作り
冷蔵庫の中に入れているのである。
「お父さん!朝だよ。早く起きないとお父さん昼まで寝ちゃうでしょ!」
「う~ん……もう少し寝かせてくれえええ……」
「いいけど、仕事が遅れてもしらないよ。もう7時だからね!」
「分かったよ……ちゃんと起きるから後5分……」
俊蔵はグダグダしながら明美にたたき起こされたのだった、そして毎朝眠い目をこすりながら朝食を食べ始めるのだ。しかし、朝は途中まで父と一緒に家を出るほど、明美は父と仲が良かった。そして、近所のおばさんに朝の挨拶をして家を出るのだった。
朝、学校に着くと登校してくる生徒に挨拶が出来るようになっていた明美だった。以前は、クラスメイトと挨拶もなく、クラスメイト達は明美が教室に入ってきたことも気づいていなかった。
しかし、今では教室に入ると声をかけてくれたり、後から来た生徒も目があえば、朝の挨拶をしてくれるようになっていた。
そして、毎日朝ギリギリに教室に駆けこんでくるのが、隣の席の博也だった。
「ギリギリセーフ!」
「村田君、今日もギリギリだね……もっと早く起きたらいいのに」
「いやぁ……昨日もゲームをやってて気づいたら2時まわってた……」
「博也ぁ~昨日も夜遅かったのか?」
「まあ、いつも通りゲームにはまってて」
そんな話をしてたら、担任が教室に入って来た。
「村田さん!今日も遅刻しそうだったな。もっと早く来るように!」
「何で知ってんだ?」
「何言ってる!遅刻だあって廊下を走るんじゃない!丸わかりだろう!」
担任の言葉に、クラスメイトは大笑いしたのだった。
「すいません……」
「ったく……担任に恥をかかせるなよ。じゃあ、出席を取る。相田!」
「はあ~い」
そして、その日の昼休み。生徒達待望の昼ご飯である。明美はお弁当を出し、友達に昼ご飯を一緒に食べようと誘われて、机を引っ付けていた。
「あ、あれ?な、なんでだ?」
隣の席の博也が、机の中やカバンの中を、ゴソゴソあさって何やらブツブツ言っていた。
「な、ない……なんで?」
「博也どうしたんだ?早く食べようぜ!」
「ないんだよ!」
「なにが?」
「弁当家に忘れた……」
それを聞いた、博也の友達がみんな大笑いしていた。
「あはははは!弁当忘れてどうすんだよ!昼から腹減って地獄だぞ」
「どうしよう……」
「購買でパンでも買って来いよ」
「金がねえ……」
「小遣い貰ってないのかよ……」
「いや……あと三日後に小遣い貰えるからと思って、ゲームに課金しちまった……」
それを聞き、又友達は大笑いしたのだった。
「頼む!300円でいいから貸してくれ!三日後に必ず返すから!」
「残念だったな……お前の友達である俺達が小遣いが残っていると思うか?」
「……」
「俺達も、お前と一緒でゲーム課金しちまったよ。あははははは!」
「どうすんだよ……午後から飯抜きで授業を受けないといけないじゃないか」
「「「弁当を忘れるお前が悪い!」」」
「そんな事言わず、少しづつおかずを分けてくれよ!」
「「「そんな事したら俺達も腹が減るだろう」」」
博也の友達は、おかずを取られない様にバリケートを張ったのだった。そんな様子を見ていた女子たちは、呆れていたのだった。
「ったく……博也って女子に人気なのに何であんなに抜けてんのかしら」
「でも、そんなところも可愛いと思うよ」
「ホントよねえ」
「でも、村田君午後から大丈夫なのかな?」
「あんなに心配なら、立花さんがお弁当わけてあげたら?」
「えっ⁉なんであたしが?」
その話声が聞こえた博也は、弁当の蓋を友達から借りて、明美達のグループに寄って来た。
「博也、何お弁当の蓋を持ってこっちに来るのよ?」
「た、頼む!弁当忘れて……少しづつでいいからわけてくれ!あいつ等何にもくれねえんだよ」
博也は、涙目になりながら、明美達におかずを分けてもらおうと必死だった。
「ったく……しょうがないわね!おかず一品だけだよ」
「ありがとうごぜえます!お代官様ぁ……」
「何、馬鹿な事言ってんのよ!ほら、もうあっちに行きなさい!」
みんなから一品づつ貰っていたが、男子高生には物足りない量だった。
「にしても、立花って凄い食うんだな?」
「えっ?」
明美は、博也たちの話に夢中で、自分の弁当箱を見ずにハンカチを解いていた。
「あああ~~~~!これ、お父さんのお弁当箱!」
それを聞いた、クラスメイトは大笑いしたのだった。
「立花の父ちゃん、今頃大変なんじゃないのか?」
「うん……あたしの、お弁当だと量が少なくてお腹を空かせてると思う……村田君、あたしこんなにも食べれないから、多めに貰ってくれる?」
「ほ、ほんとか?助かるよ!」
博也は、明美の弁当の半分以上貰って、笑顔となっていた。博也は、明美のおかずを食べて思わず大きな声を出した。
「この鶏の唐揚げ美味ぇ~~~!立花の母ちゃん料理むっちゃ上手いなあ!」
「あっ……うちお母さんいないんだ……」
「「「「えっ?」」」」」
「家のお母さん、あたしが10歳の時に病気で亡くなったからさ……」
「馬鹿!博也……」
「立花、ごめん……俺知らなくってさ」
「あっ!気にしないで、もうあたしも大丈夫だからさ!」
博也は、下を向いて落ち込んでいて、保奈美が話をかえようとした。
「じゃあ、そのお弁当お父さんが?」
「うんん……家事は、あたしが担当だから、そのお弁当はあたしが作ったんだよ」
「ま、まじ?この唐揚げむっちゃ美味いんだけど!」
「本当に?嘘でも美味しいって言ってくれて嬉しいよ」
「いや、嘘じゃねえって!本当に美味いよ」
「この料理なら、毎日食べてぇよ」
「えっ⁉」
博也の言葉に、明美は耳まで真っ赤になって俯いてしまった。
「博也ぁ~!あんた教室で何、口走ってんのよ!」
「何をって、こんな美味い料理なら、毎日食べたいって言っているだけじゃないか?」
「博也ぁ~~~プロポーズかよ!あはははは!」
後ろから博也の友達が、笑いながら煽ってきた。
「あっ……いや、そんな意味じゃなくて、俺は純粋にだな。この唐揚げが美味いって事を伝えたかっただけで……」
博也の説明に、明美はドンドン顔が真っ赤になっていくのだった。
「博也、もうやめてあげなよ。このままじゃ立花さん熱が出て倒れちゃうよ」
明美の友達は呆れて、博也を止めに入った。その日、博也と明美は友達に冷やかされて、一日が終わったのは言う間でもなかった。
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