研磨職人！異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

第７章 新たな進化

７９話 冒険者ギルドの敗北

　ミルデンスは、ヒロトシの護衛で冒険者ギルド総本部へとついてきたが、総本部の大きさに驚いていた。

「こんなに大きな建物がいるのですか？」

「この部屋に案内されるまでの人数を見る限り要らないな。総本部と言っても事務局みたいなものだからな」

「はぁ～～～～～・・・・・・金のあるところにはあるものですね」

　ミルデンスは、建物の大きさに呆れていたのだった。



　しばらくすると、カイルがブラッドを連れて客室に入室してきた。
　ブラッドの顔は、怒りが満ちていながら又、困った感じにも見えた。

「ヒロトシ様、今日は何か・・・・・・」

「何かも何もない。カイルに用件は聞いているはずだ。王国から冒険者ギルドを撤退させろと言ったそうだな？」

「そ、それは、言葉の綾でなにも本気で言ったわけでは・・・・・・」

「そう言えば誰でも躊躇して、自分達の思い通りになると思っていたからだろ？」

「うぐっ」

「おあいにく様だったな！相手が俺じゃなかったら効果的だったが、俺相手にする手段じゃなかったかもな」

「・・・・・・」

「それでだ。冒険者ギルドは王国から撤退するんだな？そうなれば、俺が個人ギルドで王国を守るからいいよ」

「待ってください！そんな事になれば冒険者ギルドは！」

「それはそちらで頑張ってくれ。俺には関係のないことだからな」

「申し訳ありません！私達が愚かでした！」

　大陸の中でも、ロドン王国が一番繁栄している国なので、冒険者ギルドとしても追い出されると本当に不味い事になるのだ。

「はっ？今さらだろ」

「申し訳ありません！冒険者ギルドを王国から排除しないでください！どんな事でも聞きます」

「ブラッド社長！」

　カイルが、ブラッドの言葉に焦り大声を出したがすでに遅かった。

「ほう！どんな事でも聞きますか？」

「あっ！い、いや・・・・・・」

「じゃあ、冒険者ギルドは俺の個人ギルドの傘下に入ってもらう！」

「そ、それはいくらなんでも！」

「なんでも言うことを聞くと言っただろ？冒険者ギルドの考え方は気にくわないからな！俺が教育しなおしてやるよ」

「それは拒否させていただきます！」

「そうかそうか！そんなに嫌なんだ」

「私が良いと言っても、帝国本部や魔人国本部が認めません」

「だが、お前は総本部の社長だろ？冒険者ギルドは上の指示に服従なんだろ？」

「そ、それは・・・・・・」

「つまりだ。個人ギルド[ヒ美研]の下に、冒険者ギルド総本部があると考えな。総本部はヒ美研に絶対服従だ。異論は認めない！」

「そんな横暴な！」

「そんな横暴な事を、お前達冒険者ギルドは、冒険者達にしてきたんだろ。冒険者達はよくていざ自分達がそういう立場になったら駄目なんて筋が通らないだろ」

「・・・・・・」

「次は黙りか？」

「しかし、ヒロトシ様が一方的に言われても」

「はっ？何を言ってやがる。冒険者ギルド総本部の社長が俺に謝罪したんだろ？個人ギルド[ヒ美研]の傘下に入るのは当たり前だ！」

「そんな馬鹿な事があるわけ・・・・・・」
「「「「「そうだ！いくらなんでも横暴過ぎる！」」」」」

「そうかそうか！じゃあ、冒険者ギルドは王国から排除するだけだ」

「うっ！」

「好きな方をどちらか選べよ！俺はどちらでも構わんよ」

「そ、そんな・・・・・・」

 　冒険者ギルド総本部のブラッドや役員達は、顔を真っ青にしていた。
　そして、ブラッドは小さな声で傘下に入ると言ったのだ。

「社長！本当によろしいのですか！」

「仕方ないであろう！冒険者ギルドが王国から締め出されたら、聖教国本部も冒険者ギルドから撤退して、ギルドは潰れてしまうのだぞ？」

「しかし！」

「ブラッドの判断は正解だよ。ギルドが潰れたら王国と聖教国のギルドは機能するが、他の国は機能しなくなるからな」

「そんな事は！」

「あんた達のような考えの持ち主が選んだ人間がギルドマスターをしているんだ。いずれギルドは崩壊するよ」

「ぐっ！」

　ヒロトシは、冒険者ギルドをその手中に治めてしまった。そして、ヒロトシが一番最初に改革をしたのが、当然冒険者ギルド総本部である。

「「「「「「そんな馬鹿な事が！」」」」」」

「解雇されないだけありがたく思いなさい！」

　冒険者ギルド総本部の人間は全て僻地へと左遷されてしまった。そして、帝国や魔人国、ドワーフ国の大きな主要都市のギルドマスターが総本部の役員に抜擢される事になる。

　ヒロトシは、冒険者ギルドを繋げる事から始めたのだった。