研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第7章 新たな進化

74話 救援要請に応じた冒険者

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 ギルドマスターは、冒険者ギルド王国本部は潰れると思った。王都を出た冒険者は、ミトンの町に向かったので、西にある町で情報をながしていた。
 その為、東の帝国方面にある町からは、何組かの冒険者が王都にやってきたのだ。

「な、なんだ?この依頼をやらせる為に呼び寄せたのか?」

「お願いします・・・・・・」

「いやいや、相場の半分以下の報酬じゃないか?」
「そうだぜ!それに俺達はAランク冒険者だぜ?なんでオーガの依頼までしかないんだ?」
「馬鹿にしているのか?これならBランク冒険者で対処できるだろ?」
「それに、王都のギルドの依頼量は本当にこれだけなのか?」

「は、はい・・・・・・王都には、個人ギルドができてほとんどの依頼主はそちらの方に。しかも、冒険者達も冒険者ギルドの依頼には見向きもせず、その個人ギルドの方に・・・・・・」

「ちょっと待て。じゃあ、冒険者ギルドは個人ギルドというのに、仕事を乗っ取られたというのか?」

「はい・・・・・・」

「「「「「・・・・・・」」」」」

  救援要請に応じた冒険者達は、その事実に茫然としていた。本来なら、救援要請で拠点にしていない町に応じた場合、依頼報酬は上乗せされるのだが、王都のギルドにそんな余裕がないことが見てとれたのだ。

「おいおい。これじゃ俺達がここにきた意味がねぇじゃないか」
「本当だぜ!ここにきた旅してきた分もでないじゃないか!」

「お願いします!このままでは冒険者ギルド王国本部がなくなってしまいます」

 冒険者ギルドが、魔物を狩っても微々たる売り上げにしかならないのだ。ギルド職員の中にも、冒険者だった人間がいる。その人間が、薬草採取やボアの肉を取ってきても、たかだかしれていた。

「チッ!しょうがねぇな!」
「リーダーちょっと待った!一旦個人ギルドの方に行ってみましょう。冒険者ギルドに協力するのは一度待った方がいいです」

 救援要請に応じた冒険者達の魔法使いが、冒険者ギルドの依頼を受けるのを止めさせた。

「なるほど、さすがランドだ。確かに個人ギルドを確かめた方がいいな」

 魔法使いは、パーティーリーダーに耳打ちした。そして、王都のギルドに来たばかりの冒険者達は、冒険者ギルドから出ようとした。

「ちょっとどこに!」

「帰るんですよ。俺達は特別報酬を当てにして、王都に来たのにまさかこんなことになっているとは思わなかった」
「そうだ。マルシェ支部の冒険者ギルドには、きっちり報告させてもらう!」

 パーティーの頭脳的存在のランドは、マルシェに帰ると嘘を言った。リーダーもすぐさまランドに話を合わせたのだ。
 それと同じく到着したばかりの他のパーティーも
騒ぎ出していた。全員が、王都から東の地域にある町の冒険者達だった。
 この冒険者達が、拠点にしている町に帰還すると、冒険者ギルド王国本部は更に不味い状況に陥ることになるからだ。

「ちょっと待って!あなた達に協力してもらわないとギルドは!」

「そう思うなら、報酬額を増やしてもらわないと駄目だな」

 そう言って冒険者達は、冒険者ギルドから文句を言いながら出て行ってしまった。
 
「ランド?なんで帰ると嘘を言ったんだ?」

「冒険者ギルドは、俺達を騙したみたいなものだしな。おかげで、俺達は完全に赤字だからな。少しは焦らせておけばいいんだよ」

「なるほど!」

「それにしても、個人ギルドって発想は凄い事だよなぁ。今まで、ギルドの代わりをする店を出す商人がいたか?」

「いや、聞いたことないな。一体どんな商人なんだろうな?」

「おいおい。リーダーしっかりしてくれよ。そんな人間あの人ぐらいだぜ?」

「「「「「ランド、知っているのか?」」」」」

「なんだ?お前達まで分からないのかよ?そんなのヒロトシ様しかいないだろ!」

「「「「「あっ」」」」」

「まったくしっかりしてくれよ。ギルドの言う事を真に受けると損をするぞ?」

「「「「「損をする?」」」」」

「ああ。個人ギルドを作れるなんて、ヒロトシ様ぐらいしか考えられんよ。そうなった場合、ヒロトシ様がギルドの依頼をぶんどった事になる」

「「「「「そうだな・・・・・・」」」」」

「それがおかしいんだよ。そうなった場合、犠牲になるのは冒険者だ。噂に聞くヒロトシ様は、冒険者や弱い立場の人間にそんなこと間違ってもしない人間だ」

「つまり、ランドはそこまでわかっていたから、ギルドの協力を止めたという事か」

「当たり前だろ!ほら、見てみろよ。冒険者ギルドから救援要請に応じた冒険者達が出てきただろ?」

「「「「「本当だ・・・・・・」」」」」

「多分、他のパーティーも気づいているんだよ。個人ギルドに事情を聞きに行くぞ」

「あっああ。わかった!」

 他の町の冒険者達は、個人ギルド[ヒ美研]に足を運び王都の現状を聞き、信じられないとばかりに茫然とした。
 ギルドから、依頼をぶんどったなんて嘘ばかりで依頼主が、個人ギルドを選んでいた。そして、王都の冒険者達も、ヒ美研に登録をしてヒ美研で依頼をこなして生活していた事がわかったのだ。

 当然だが、他の町からきた冒険者達は、個人ギルド[ヒ美研]に登録を済ませるのだった。そして、Aランク冒険者達は、個人ギルドで研磨装備の事を聞いて、ヒ美研の依頼をこなしたのだ。

「リーダー。やっぱり冒険者ギルドの依頼は受けなくて良かっただろ?」

「ああ!ランド、お前のおかげだよ」

 赤字を回避出来た冒険者達は、しばらく王都に滞在して住み慣れた町に帰還して行った。

 
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