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第7章 新たな進化

73話 孤立する王国本部

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 ハワード達が、ヒロトシの個人ギルドの事を、他の冒険者達に所属の事を広めると、生活ができなくなっていた冒険者達が続々とヒ美研にやってきた。

「本当に依頼をもらえるのか?」

「ええ。個人ギルド[ヒ美研]は冒険者達を受け入れますよ。ただし、無茶な依頼は絶対に受けないようにしてくださいね」

「わかった!」

「また、ヒ美研のギルドカードは王都でしか通用しません。他の町では入場する際、無料にはならないので注意してください」

「な、なるほど」

 冒険者達は、冒険者ギルドに依頼を受けに行く事がなくなってきた。これには冒険者ギルドはたまったものではなかった。

 せっかく、ギルド職員が頭を下げて依頼を取ってきても、今度は受けてくれる冒険者がいないのだ。

 ギルド職員が、町中で冒険者を見つけて問いただしても、安い依頼しかないから受けないと言われるだけだった。

「ハワードさん、ちょっと待って下さい!」

「なんだ?」

「なんでギルドの依頼を、全然受けてくれないのですか?もう、1ヵ月ギルドに来てませんよね?」

「それは俺のパーティーだけじゃないだろ?」

「そうです!ギルドの依頼を受けてくれる冒険者がいないのです!」

「まぁしょうがないんじゃねぇか?」

「しょうがないってなんですか?」

「だってよ!こっちは命をかけて町の外に出て、魔物の素材を取ってくるんだ。薬草だって、いつ魔物に遭遇するのか分からない中採取してくるんだぜ」

「それは私達だって知ってます!」

「だったら、なんでギルドの依頼は今までの報酬額の半額以下なんだよ?そんなの馬鹿馬鹿しいじゃないか?」

「これでもギルドは、必死で依頼を取って来ているのです!」

「そんなの当たり前であって、俺達冒険者に何の関係があるんだよ。依頼料が少なくなったんなら、ギルドの取り分も減らせよ」

「なっ!」

「依頼料が減らされているのに、ギルドは今までと同じだけ抜き取って、残りが俺達の取り分っておかしいだろ?そりゃ誰も受けるわけないだろ?」

「ギルドだって、苦しいんです!」

「だから、俺達も苦しめというのか?」

「うっ・・・・・・」

「それに、冒険者ギルドは俺達に、文句があるならヒ美研に行けと言ったよな」

「・・・・・・」

「ヒ美研は、冒険者達の事をちゃんと考えてくれたんだぞ?冒険者ギルドみたいに都合が悪くなったら他人のせいになんかせず、俺達の生活を考えてくれたんたぞ」

「それは、冒険者ギルドから依頼を取ったからできるのです」

「はっ?冒険者ギルドから依頼を取った?違うね!依頼主は進んで個人ギルド[ヒ美研]に依頼をしているよ。冒険者ギルドは守銭奴だってみんな言っているよ」

「それは、あなた方がしっかり依頼をこなさなかったからでしょ!」

「ほら!都合が悪くなったらすぐに他人のせいにする。確かに、俺達も悪かったかも知れねぇが、ヒ美研では悪かった場合、ちゃんと説明してくるんだぜ?」

 ヒ美研では、依頼主が不満があった場合、奴隷達が謝罪に行きどこが悪かったのか詳しく聞いて、それを冒険者達に説明していた。そして、ヒ美研が依頼主に依頼料の一部返還していた。
 冒険者達には、どこが悪かったのか説明して、次に活かせるようにしていた。要は冒険者にはペナルティーは課さず、ヒ美研が責任を取っていた。

「そんなことをすれば、ギルドが損をするじゃないですか」

「まぁ、冒険者ギルドはそう考えるよな。だから、俺達冒険者が冒険者ギルドから離れたんだよ。依頼主もだがな。ワハハハハハハハハ!」

 ハワードは、ギルド職員の言葉を制して笑いながらその場からいなくなってしまった。
 ギルド職員は、ハワードが言った事が全くわからなかった。冒険者が失敗してギルドが依頼報酬の一部を返還?そんなことをすれば、冒険者達は調子に乗って更に手を抜く事になるのだ。

 依頼失敗したら、それをさせないために冒険者にペナルティーを課すのは当然の事である。どこが悪かったのか、説明してギルドが失敗の責任をとる意味が全く理解ができなかったのだ。

「ギルドマスター!もうどうしようもございません・・・・・・」

「なんてことだ!冒険者が一人もいないだと?そんな冒険者はギルドカードを剥奪してしまえ!」

 ギルドマスターは、無茶な事を怒鳴った。悪い事をしたわけでもない人間のクビをきれるわけがないのだ。
 できる事は、依頼を受けないことでペナルティーを与え、ギルドランクを徐々に下げていき、最終的にFランクにするぐらいである。

「そんなこと出来るわけがありませんよ!今、ギルドに反抗している冒険者はAランク以上の冒険者達です。今まで、ギルドにどれだけ貢献してきたと思っているのですか?」

「ぐっ・・・・・・」

 ギルドマスターは、頭を悩ませた。せっかく王国本部のギルドマスターに就任できて出世出来たというのに、このままでは責任を取らされてしまうと冷や汗を流していた。

「仕方あるまい・・・・・・近隣の町のギルドに救援を願おう・・・・・・冒険者を派遣して貰うしかない」

 しかし、冒険者達が王都に向かう事はなかった。Bランクまでの冒険者達は、今はミトンの町に向かっていたからだ。今さら、王都のギルドに未練は残っていなかった。 
 そして、王都から出た冒険者達が、近隣の町を拠点にしている冒険者に情報を与えていた為、ギルドが王都に行っても構わない冒険者を募っても、志願者は誰も現れなかった。

「誰もいないのか?」

「ギルドマスター、ちょっといいか?」

「サランだったか?なんだ?」

「王都の噂は、冒険者はみんな知ってます!そんな状況下で王都に行くやつは誰もいないよ」

「だよな・・・・・・ワシも無理だと思う。ヒロトシ様が相手では謝罪するしかないよな」

 近隣の町のギルドマスターですら、お手上げ状態だった。近隣の町のギルドマスターからの返答は、誰も王都にはいきたくないとのことだった。

 この返答に、王国本部のギルドマスターは、顔を真っ赤にしてテーブルを叩いた。
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