上 下
330 / 347
第7章 新たな進化

66話 ヒロトシの策略

しおりを挟む
 こうして、負傷した冒険者はヒロトシの奴隷へと落ちたというよりは、ならせてもらったというのが正しい言い方だろう。

「それじゃみんなには、アーセルドの下に就いてもらい、レベルを上げてもらうからよろしく」

「「「「「はい!」」」」」

 負傷した冒険者達は、すでに手足の治療をすませヒロトシの前で整列している姿は、現役の冒険者ではなく王国騎士団のようである。
 
 やはり、現役であるCランク冒険者の装備は、大抵がレザーアーマーだが、ヒロトシの奴隷になり装備がプレートアーマーになり見映えが違っていたからだ。

「こんな立派な装備が支給されるとは思わなかったぜ!」
「ああ!これなら直ぐに魔の森にいけそうだな」
「本当にそうだな!」

 その会話を聞いた、アーセルドは苦笑いを浮かべた。以前の自分だと思ったからだ。すると、ヒロトシが話しかけた。

「君達に支給したその装備は、80レベルになったらこっちのノーマル装備になるから、わからない事や経験は80レベルまでにちゃんとしておくようにしろよ」

「「「「「えっ?」」」」」

「この地域は危険すぎるからその装備を支給しているだけだ。わからない事はアーセルドに聞いてわかるようにして、今の内に先輩達の行動を見ておくんだ」

「80レベルになったら、このノーマル装備に?」
「嘘だろ?」
「これって・・・・・・」

「見たらわかるだろうが、マジカルのないミスリル装備だよ」

「な、なんで?」

「このマジカル装備は、ミルデンス達のような達人いや、人外が装備して初めてその威力を発揮する装備だよ。80レベルになればミスリル装備でなんとか死にはしないから安心しろ」

「なんとかって!」

「このマジカル装備は、お前達には早い。もっと成長したら装備を許すよ」

「そんなぁ!魔の森をミスリルのノーマル装備で活動をしろと言うのですか?」

「大丈夫だ。その頃になれば、アーセルド達もお前達と一緒に魔の森を行動しているよ」

 この世の絶望のような顔をしている元冒険者達に、アーセルドが渇を入れてきた。

「それにだ。俺もお前達を非難はできないけどな」

「なんだよ!」

「その装備は、ご主人様の優しさなんだぞ!」

「「「「「はっ?」」」」」
「ノーマルミスリル装備で、魔の森に行かせるのがなんで優しさなんだよ」

「お前達は馬鹿なのか?」

「「「「「「なんだと!」」」」」」

「80レベルになっても、お前達はご主人様に守って貰うつもりなのか?」

「「「「「「えっ」」」」」」

「それじゃおかしいだろうが?ご主人様から平民以上の衣食住を与えられ、欠損を治してもらったんだろ?ギルドはそんなことしてくれたのか?」

「「「「「「そんな事は・・・・・・」」」」」」

「ご主人様は、俺達を80レベルまで成長させてくれるんだぞ?80レベルからは俺達が、ご主人様に恩を返していくんだろうが?」

「「「「「「ぐっ」」」」」」

 アーセルドの言葉に、元冒険者達は何も言い返す事ができなかった。そして、元冒険者達はヒロトシに頭を下げた。

「「「「「「すいませんでした!」」」」」」
「アーセルドの言葉に目が覚めました!早く俺達は80レベルになって、ご主人様に恩を返していきたいと思います!」

「ああ。期待しているよ。頑張ってくれ!」

「「「「「「はい!」」」」」」

 元冒険者達の言葉に、アーセルドも笑顔で一緒に頑張ろうと思った。

「それと、お前達を厄介払いした冒険者ギルドには、更なる制裁をくわえるから安心してください」

「「「「「更なる制裁!」」」」」

「冒険者ギルドは、肉や薬草はもう買い取ってもらえないと思って、残っている冒険者達には通常依頼をやらせるはずだ」

「それじゃ!冒険者ギルドに制裁だなんて与えられるとは?」

「まぁ、これから面白いものか見れて、君達の気持ちはスカッとするから楽しみにしてな」

 ヒロトシの言葉に、元冒険者達はもちろんだが、アーセルドもどういう事かわからない様子だった。

「シアン、セレン。冒険者ギルドはどうだった?」

 ヒロトシが、声を掛けると二人がスッと姿を現して、アーセルド達が目を見開いて言葉を失っていた。

「「「「「「一体どこから!」」」」」」

「ご主人様の言うように、冒険者ギルドは薬草や肉の依頼を撤廃させて、BやAランクの依頼を張り出しました」
「これで、王都の依頼は冒険者ギルドの為のものとなりました。全部、ご主人様の予想通りに動いています」

「そうか!それで、アイリーン達には伝えているのか?」

「はい!アイリーンはミランダ達とダンジョンに出発して明日帰ってくる予定です」

「そうか!アーセルド達は、明日俺と生産ギルドについてきてくれ。面白くなるからな」

 アーセルド達は、ヒロトシの悪い笑みに困惑していたが、次の日ヒロトシについてきて、あの悪い笑みの理由がわかった。

「まさか、ご主人様がこんな事を考えていたとは」
「とんでもねぇな・・・・・・」
「冒険者ギルド王国本部はもうダメだろうな」
「ああ・・・・・・」
「「「「「「ご主人様怖ぇ~~~~~」」」」」」

アーセルド達、全員が身の毛が震えたのだった。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

処理中です...