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第7章 新たな進化
63話 王都の肉問題解決する
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生産ギルドは、子爵の言葉に従うしかなかった。本来なら、生産ギルド総本部に連絡してそれから指示を仰ぐのが道筋である。
しかし、そのようなことをしていたら一週間どころか一ヶ月経っても答えは出ないだろう。仮にすぐに出るとしたら、ギルドに関与させるなと突っぱねる事になるのは目に見えていた。
「わかりました。生産ギルド王国本部は王国に協力します」
「ギ、ギルドマスター!そんな事を一存で決めてしまうのですか?」
「もし、何かあった場合私が責任を取る!」
「しかし!」
「お主達も腹を括れ!今まで、ヒロトシ様が何をしてきた?普通ではあり得ない事をしてきたではないか?」
「「「「「そ、それはそうですが」」」」」
「要は勝てばいいのだよ。ヒロトシ様の計画に協力して、生産ギルドの売り上げを上げれば、総本部も何も言えまい」
生産ギルドのギルドマスターは、今までのヒロトシの実績に賭けたのだった。子爵様から聞いて、冒険者ギルドに期待しても、今の現状では肉や薬草の収穫量が増えることはなく、高騰したままで王都の平民達を賄えない。
このままでは負の連鎖に陥り、残っている冒険者達がポーションを買おうにも、高くなりすぎて購入出来なくなってしまう。そうなると、更に食材が手に入らなくなるのだ。
「子爵様、生産ギルド王国本部は、国と協力関係となります。すぐにでも、食材を卸して下さい」
「よく決断してくれた。これで王都のインフレは解消するはずだ!」
その頃、アーセルド達はシュガー村の南西に位置する森の中で、オークソルジャーやオークマジシャン等、オークの上位種を討伐しながら、薬草や毒消し草を採取していた。
「なんだよ。この装備は!オークキングでもタイマンできるんじゃねぇか?」
「アーセルド、気を抜いたら死んでしまうわよ。それに、その装備は80レベルまでよ。それまでにいろいろ覚える事はたくさんあるわよ!」
「はぁあ!マーブル、なんで80レベルまでなんだよ?」
「あんた馬鹿ね!その装備はご主人様よ。80レベルになっても、まだご主人様に護って貰うつもりなの?」
「いや・・・・・・・そんなことは!」
「だったら、一流を目指すのよ!その装備は本当の強敵と対立する時だけよ」
「そうか。今はご主人様に護ってもらえているんだな・・・・・・」
「そうよ」
アーセルド達は、以前のように装備は自分の実力じゃなくまだまだだと思い油断はせず、慎重に行動してシュガー村へと帰還した。
「アーセルド、それにお前達もいいところに帰ってきたな。今から王都に行くから一緒に来るか」
「「「「「お供します」」」」」
「これらを生産ギルドに持っていくのですか?」
「ああ、そうだよ。アーセルド達が一生懸命集めてくれた食材だ」
「「「「「ご主人様・・・・・・」」」」」
ヒロトシ達は、シュガー村から王都にとび、生産ギルドに顔をだした。すると、職員達が総出でヒロトシを出迎えた。
「ヒロトシ様、お待ちしてました」
「ギルドマスター自ら出迎えとは、そんな気をつかわなくてもよかったんだけどな」
「いえいえ、ヒロトシ様のおかげで肉の価格がこれで安定します。本当にありがとうございます」
「それでなんだがな」
「なにか不都合でもございましたか?」
「いや、そうじゃないんだ。生産ギルドからの受注内容なんだがな」
「受注内容は、薬草1000毒消し草500、オークの肉10tウルフの肉5tボアの肉10tのはずですが、それがどうかしたのですか?」
「肉の方なんだが、オークソルジャーやマジシャンなんだよ」
「上位種ですか?」
「ああ、ウルフもサーベルウルフ、ボアもラージボアになるそれでもかまわないか?」
「ちょっと待って下さい!そのような肉は高い肉なので、特別な日に買うような肉です」
「いやいや、そうじゃないんだ。これらを下位種の価格で売ってほしい」
「オークソルジャーやマジシャンの肉を、オークの肉の価格でですか?」
「ああ」
「それはうちとしてもありがたいのですが、本当によろしいのですか?」
「ああ構わないよ」
「でもどうしてそんな得にならないことを?」
「この行為は今回だけだよ」
「今回だけ?」
「ああ、この食材は王都の肉の価格を下げるためのカンフル剤だ」
「な、なるほど!確かにこの食材が、普通のオークの価格で売り出されれば価格破壊になる」
「だから、この食材は安く店に卸してほしい。そうすれば、今王都に行商に来ている干し肉の価格も通常価格になるはずです」
「今、王都に来ている行商人には悪いが、王都の為だ。わかりました」
生産ギルドは、ヒロトシの提案を受け入れ、上位種の肉を精肉店に訳を話して、上位種の肉を安売りした。
「本当にオークソルジャーの肉をこの値段でいいのかい?」
「はい!ようやく王都に安く肉が入荷しました。奥さん達にはご迷惑をおかけして申し訳ありません。今日からしばらくはサービスデーです!」
「あたしはラージボアを400gおくれ!」
「うちは、サーベルウルフを300g!」
「皆さん落ち着いてください!在庫は十分にあります。サービスデーは一週間の予定です」
王都の精肉店は、家庭をもつ主婦達で賑わっていた。また、薬草も大量に仕入れることができたギルドは、錬金術師や薬師に通常価格で売る事ができたのだった。
そして、生産ギルドが気になっていた行商人だったが、ヒロトシが事前に商人ギルドに出向いて、王国本部のギルドマスターに事情を説明していた。
「ヒロトシ様いったいどういう事ですか?」
「うちが王都の肉の価格を下げるから、これ以上王都に肉を行商したら、損をすると行商人に通達しろと言っている」
「そんなことを言われても、商人ギルドとしたら今は儲けるチャンスで・・・・・・」
「いいのか?俺の忠告を無視したら、後悔するのは商人ギルドになるぞ?」
商人ギルドでは、ミトン支部のギルドマスターであるベネッサから、口をすっぱくして言われていた事があった。
《ヒロトシを蔑ろにするな》と警告されていた。これはベネッサの立場が、商人ギルドでかなり上の立場だった。
「わ、わかりました!近隣の町にはすぐに通達しておきます」
「はい!お利口さん。素直に聞いてくれるとこちらも安心できるよ」
ヒロトシは、商人ギルド王国本部の門を出た。
「ぐぬぬぬ!ベネッサさんからの警告がなければ、あんな若造に・・・・・・」
バン!と大きな音がなり、ギルドの門が開いた。
そこには、ヒロトシの姿があった。
「ヒロトシ様?」
「ギルドマスター、俺の態度に不満はあると思うが本当に言う事は聞いておいた方がいいぞ?冒険者ギルドのようにはなりたくないだろ?」
「わ、わかっています・・・・・・近隣の町に通達しておきますよ」
「じゃあ、本当によろしく頼みます」
ヒロトシは、そう言って商人ギルドの門を出たのが、一週間前の事だった。
しかし、そのようなことをしていたら一週間どころか一ヶ月経っても答えは出ないだろう。仮にすぐに出るとしたら、ギルドに関与させるなと突っぱねる事になるのは目に見えていた。
「わかりました。生産ギルド王国本部は王国に協力します」
「ギ、ギルドマスター!そんな事を一存で決めてしまうのですか?」
「もし、何かあった場合私が責任を取る!」
「しかし!」
「お主達も腹を括れ!今まで、ヒロトシ様が何をしてきた?普通ではあり得ない事をしてきたではないか?」
「「「「「そ、それはそうですが」」」」」
「要は勝てばいいのだよ。ヒロトシ様の計画に協力して、生産ギルドの売り上げを上げれば、総本部も何も言えまい」
生産ギルドのギルドマスターは、今までのヒロトシの実績に賭けたのだった。子爵様から聞いて、冒険者ギルドに期待しても、今の現状では肉や薬草の収穫量が増えることはなく、高騰したままで王都の平民達を賄えない。
このままでは負の連鎖に陥り、残っている冒険者達がポーションを買おうにも、高くなりすぎて購入出来なくなってしまう。そうなると、更に食材が手に入らなくなるのだ。
「子爵様、生産ギルド王国本部は、国と協力関係となります。すぐにでも、食材を卸して下さい」
「よく決断してくれた。これで王都のインフレは解消するはずだ!」
その頃、アーセルド達はシュガー村の南西に位置する森の中で、オークソルジャーやオークマジシャン等、オークの上位種を討伐しながら、薬草や毒消し草を採取していた。
「なんだよ。この装備は!オークキングでもタイマンできるんじゃねぇか?」
「アーセルド、気を抜いたら死んでしまうわよ。それに、その装備は80レベルまでよ。それまでにいろいろ覚える事はたくさんあるわよ!」
「はぁあ!マーブル、なんで80レベルまでなんだよ?」
「あんた馬鹿ね!その装備はご主人様よ。80レベルになっても、まだご主人様に護って貰うつもりなの?」
「いや・・・・・・・そんなことは!」
「だったら、一流を目指すのよ!その装備は本当の強敵と対立する時だけよ」
「そうか。今はご主人様に護ってもらえているんだな・・・・・・」
「そうよ」
アーセルド達は、以前のように装備は自分の実力じゃなくまだまだだと思い油断はせず、慎重に行動してシュガー村へと帰還した。
「アーセルド、それにお前達もいいところに帰ってきたな。今から王都に行くから一緒に来るか」
「「「「「お供します」」」」」
「これらを生産ギルドに持っていくのですか?」
「ああ、そうだよ。アーセルド達が一生懸命集めてくれた食材だ」
「「「「「ご主人様・・・・・・」」」」」
ヒロトシ達は、シュガー村から王都にとび、生産ギルドに顔をだした。すると、職員達が総出でヒロトシを出迎えた。
「ヒロトシ様、お待ちしてました」
「ギルドマスター自ら出迎えとは、そんな気をつかわなくてもよかったんだけどな」
「いえいえ、ヒロトシ様のおかげで肉の価格がこれで安定します。本当にありがとうございます」
「それでなんだがな」
「なにか不都合でもございましたか?」
「いや、そうじゃないんだ。生産ギルドからの受注内容なんだがな」
「受注内容は、薬草1000毒消し草500、オークの肉10tウルフの肉5tボアの肉10tのはずですが、それがどうかしたのですか?」
「肉の方なんだが、オークソルジャーやマジシャンなんだよ」
「上位種ですか?」
「ああ、ウルフもサーベルウルフ、ボアもラージボアになるそれでもかまわないか?」
「ちょっと待って下さい!そのような肉は高い肉なので、特別な日に買うような肉です」
「いやいや、そうじゃないんだ。これらを下位種の価格で売ってほしい」
「オークソルジャーやマジシャンの肉を、オークの肉の価格でですか?」
「ああ」
「それはうちとしてもありがたいのですが、本当によろしいのですか?」
「ああ構わないよ」
「でもどうしてそんな得にならないことを?」
「この行為は今回だけだよ」
「今回だけ?」
「ああ、この食材は王都の肉の価格を下げるためのカンフル剤だ」
「な、なるほど!確かにこの食材が、普通のオークの価格で売り出されれば価格破壊になる」
「だから、この食材は安く店に卸してほしい。そうすれば、今王都に行商に来ている干し肉の価格も通常価格になるはずです」
「今、王都に来ている行商人には悪いが、王都の為だ。わかりました」
生産ギルドは、ヒロトシの提案を受け入れ、上位種の肉を精肉店に訳を話して、上位種の肉を安売りした。
「本当にオークソルジャーの肉をこの値段でいいのかい?」
「はい!ようやく王都に安く肉が入荷しました。奥さん達にはご迷惑をおかけして申し訳ありません。今日からしばらくはサービスデーです!」
「あたしはラージボアを400gおくれ!」
「うちは、サーベルウルフを300g!」
「皆さん落ち着いてください!在庫は十分にあります。サービスデーは一週間の予定です」
王都の精肉店は、家庭をもつ主婦達で賑わっていた。また、薬草も大量に仕入れることができたギルドは、錬金術師や薬師に通常価格で売る事ができたのだった。
そして、生産ギルドが気になっていた行商人だったが、ヒロトシが事前に商人ギルドに出向いて、王国本部のギルドマスターに事情を説明していた。
「ヒロトシ様いったいどういう事ですか?」
「うちが王都の肉の価格を下げるから、これ以上王都に肉を行商したら、損をすると行商人に通達しろと言っている」
「そんなことを言われても、商人ギルドとしたら今は儲けるチャンスで・・・・・・」
「いいのか?俺の忠告を無視したら、後悔するのは商人ギルドになるぞ?」
商人ギルドでは、ミトン支部のギルドマスターであるベネッサから、口をすっぱくして言われていた事があった。
《ヒロトシを蔑ろにするな》と警告されていた。これはベネッサの立場が、商人ギルドでかなり上の立場だった。
「わ、わかりました!近隣の町にはすぐに通達しておきます」
「はい!お利口さん。素直に聞いてくれるとこちらも安心できるよ」
ヒロトシは、商人ギルド王国本部の門を出た。
「ぐぬぬぬ!ベネッサさんからの警告がなければ、あんな若造に・・・・・・」
バン!と大きな音がなり、ギルドの門が開いた。
そこには、ヒロトシの姿があった。
「ヒロトシ様?」
「ギルドマスター、俺の態度に不満はあると思うが本当に言う事は聞いておいた方がいいぞ?冒険者ギルドのようにはなりたくないだろ?」
「わ、わかっています・・・・・・近隣の町に通達しておきますよ」
「じゃあ、本当によろしく頼みます」
ヒロトシは、そう言って商人ギルドの門を出たのが、一週間前の事だった。
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