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第7章 新たな進化
61話 冒険者達の泣き寝入り
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冒険者ギルドでは、Bランク冒険者までもが、王都を離れ始め、ギルド本部では会議を開いていた。
「どういう事なんだ?」
「ギルドマスター・・・・・・やはり、冒険者の見舞金は払った方がよかったのでは?」
「今さらその様な事を言ってもしょうがないであろう!それに、総本部からあれしか出せないと言われていたのだ」
「しかし、そのせいで冒険者達に噂として広まりCランク冒険者は王都を離れ、ギルドはたちいかなくなったのは確かです」
「そうです!今も、王都に救援要請で呼び寄せていますが、帰ってくる冒険者はわずかです」
「しかも、事情の知らない冒険者達で今の王都の現状を知るや否や、王都から撤退してしまいます」
「くっ!どうすれば・・・・・・」
「どうすればじゃありませんよ。ここは、負傷した冒険者達に慰謝料という形を!」
「馬鹿な事を!負傷した冒険者が何人いると思っているんだ」
「今は、負傷した冒険者をフォローしないと、王都からBランク冒険者が更に居なくなります」
「駄目だ駄目だ!そんな資金総本部が認めるわけない。そんな前例を絶対に作るなと言われているんだからな!」
総本部の意向は、今回国から干渉された事さえあり得ない事だった。王都を遷都させると言われ、王国から排除させるとまで国王から本気を見せられ、あの対応をとったぐらいだった。
新しく就任したギルドマスターは、総本部からこれ以上、王国の言いなりにならないように指示されていた。
「負傷した冒険者には悪いが、これ以上ギルドの不満を言うなら、ギルドカードを剥奪と伝えよ」
「本気ですか?」
「ああ!手足を失いギルドカードを剥奪されたら、あいつらは生きていけないからな。それに、世話をしてやるというギルドの不満を言いふらすなんて、恩を仇で返すようなものだろ?違うか?」
「そ、それは・・・・・・」
後日、ギルドから負傷した冒険者にそう告げられたのだった。冒険者達は、正直なことを言って何が悪いと反論したのだった。
「申し訳ありませんがアーセルドさんのギルドカードは失効とさせていただきます」
「なっ!」
「そんな横暴な事が許されるのかよ!」
「「「「「そうだ!」」」」」
「俺達はもう、Fランクの依頼に頼るしかないんだぞ」
「だったら、なぜギルドの事実無根の不満を言いふらすのですか?」
「事実無根だと?」
「ギルドはあなた方に見舞金を払い、本来なら働けないあなた方は引退しかないはずです。それをFランクですが仕事を紹介しています」
「そ、それは・・・・・・」
「今までの負傷した冒険者に見舞金が払われましたか?冒険者は自己責任が普通!違いました?」
「「「「「ぐっ」」」」」
負傷した冒険者は、ギルドカードを剥奪されたら本当に生きていけなくなり、ギルドの要求を飲むしかなかった。
「アーセルドさん、何か反論はありますか?」
「ぐっ・・・・・・すまなかった・・・・・・」
「そうですか。でしたら、ギルドカードの剥奪は許します。以上です!」
この決定に納得はいかなかったが、負傷した冒険者達は頷きギルドを出た。中には、反発して冒険者ギルドが分からないだろうと思い、ギルドを吹聴してギルドカードを剥奪された人間もいた。
「くそっ!ギルドのやつめ!俺が、噂を流したのを徹底的に調べやがった」
アーセルドは、結局ギルドに反発して納得いかないことを、冒険者に愚痴ってしまった。アーセルドとしては、噂を広めたと言うより愚痴っただけだった。
しかし、その愚痴のせいで王都にやって来た冒険者が、王都から撤退してしまったのが悪かった。
アーセルドのように、愚痴ってギルドカードを剥奪された人間は結構出てしまった。そういった人間は、スラムに行くしかなかった。
「あんたが、アーセルドか?」
「なんだ?俺に何かようか?」
アーセルドは、スラムでゴミを漁っていた。少しでも腹に入れるものを探していたのだ。
「あんたに用がある。ついてきてくれないか?」
「女が一人こんな場所にくるんじゃねぇよ!危険だろうが!」
「フッ、あたしが心配されるとは思わなかったよ。あんたはまだ腐っちゃいないんだね」
「身なりはこんなんだが、女を襲ったり物を盗む事はしねぇよ!だから、早くここから出ていきな。他のやつらは俺みたいな人間じゃねぇんだ」
「あんたを救いに来たんだよ。あたしのご主人様に会ってほしいのよ」
「お前奴隷なのか?」
「もう忘れたの?あたしよ。マーブルよ」
「マーブルだと?お前その腕はどうしたんだよ?それに顔もすっかり別人じゃねぇか!それにご主人様と言ったな?」
「ええ!ヒロトシ様があんたを探しているわ。もう一度ちゃんと考えて・・・・・・ヒロトシ様の奴隷にならない?悪い話じゃないわよ」
「だが、奴隷になったら・・・・・・」
「あなたのその手足は治るわ。それに冒険者にも戻れるし、まぁ結婚はできないけどね。けど、平民だった頃より贅沢はできるわよ」
「しかし・・・・・・」
「ここで断ったら、もう二度とこのチャンスは来ないわよ?あたしは、今ヒロトシ様の護衛メンバーを目指してレベルを上げているの」
アーセルドはマーブルを、改めて見直した。手や顔の怪我はすっかり治り、体つきが以前よりたくましくなっていた。
「レベルはいくつだ?」
「56だよ」
「なっ!なんだと!5・・・・・・ふがはきが?」
アーセルドはマーブルのレベルを聞いて大きな声を出しそうになったが、マーブルがすぐにアーセルドの口を押さえた。
「ちょっと、大きな声でやめてよね。個人情報!あんたは、同じパーティーだったから教えたんだからね」
「す、すまねぇ・・・・・・こんな短時間でレベルが上がっていたから驚いた」
「もし、ご主人様の奴隷になるなら、ギルドの面白い所を特等席で見れるよ」
「面白い所だと?」
「冒険者ギルドが王都からなくなるところよ」
マーブルの言葉に、アーセルドは言葉を失い固まってしまった。
「どういう事なんだ?」
「ギルドマスター・・・・・・やはり、冒険者の見舞金は払った方がよかったのでは?」
「今さらその様な事を言ってもしょうがないであろう!それに、総本部からあれしか出せないと言われていたのだ」
「しかし、そのせいで冒険者達に噂として広まりCランク冒険者は王都を離れ、ギルドはたちいかなくなったのは確かです」
「そうです!今も、王都に救援要請で呼び寄せていますが、帰ってくる冒険者はわずかです」
「しかも、事情の知らない冒険者達で今の王都の現状を知るや否や、王都から撤退してしまいます」
「くっ!どうすれば・・・・・・」
「どうすればじゃありませんよ。ここは、負傷した冒険者達に慰謝料という形を!」
「馬鹿な事を!負傷した冒険者が何人いると思っているんだ」
「今は、負傷した冒険者をフォローしないと、王都からBランク冒険者が更に居なくなります」
「駄目だ駄目だ!そんな資金総本部が認めるわけない。そんな前例を絶対に作るなと言われているんだからな!」
総本部の意向は、今回国から干渉された事さえあり得ない事だった。王都を遷都させると言われ、王国から排除させるとまで国王から本気を見せられ、あの対応をとったぐらいだった。
新しく就任したギルドマスターは、総本部からこれ以上、王国の言いなりにならないように指示されていた。
「負傷した冒険者には悪いが、これ以上ギルドの不満を言うなら、ギルドカードを剥奪と伝えよ」
「本気ですか?」
「ああ!手足を失いギルドカードを剥奪されたら、あいつらは生きていけないからな。それに、世話をしてやるというギルドの不満を言いふらすなんて、恩を仇で返すようなものだろ?違うか?」
「そ、それは・・・・・・」
後日、ギルドから負傷した冒険者にそう告げられたのだった。冒険者達は、正直なことを言って何が悪いと反論したのだった。
「申し訳ありませんがアーセルドさんのギルドカードは失効とさせていただきます」
「なっ!」
「そんな横暴な事が許されるのかよ!」
「「「「「そうだ!」」」」」
「俺達はもう、Fランクの依頼に頼るしかないんだぞ」
「だったら、なぜギルドの事実無根の不満を言いふらすのですか?」
「事実無根だと?」
「ギルドはあなた方に見舞金を払い、本来なら働けないあなた方は引退しかないはずです。それをFランクですが仕事を紹介しています」
「そ、それは・・・・・・」
「今までの負傷した冒険者に見舞金が払われましたか?冒険者は自己責任が普通!違いました?」
「「「「「ぐっ」」」」」
負傷した冒険者は、ギルドカードを剥奪されたら本当に生きていけなくなり、ギルドの要求を飲むしかなかった。
「アーセルドさん、何か反論はありますか?」
「ぐっ・・・・・・すまなかった・・・・・・」
「そうですか。でしたら、ギルドカードの剥奪は許します。以上です!」
この決定に納得はいかなかったが、負傷した冒険者達は頷きギルドを出た。中には、反発して冒険者ギルドが分からないだろうと思い、ギルドを吹聴してギルドカードを剥奪された人間もいた。
「くそっ!ギルドのやつめ!俺が、噂を流したのを徹底的に調べやがった」
アーセルドは、結局ギルドに反発して納得いかないことを、冒険者に愚痴ってしまった。アーセルドとしては、噂を広めたと言うより愚痴っただけだった。
しかし、その愚痴のせいで王都にやって来た冒険者が、王都から撤退してしまったのが悪かった。
アーセルドのように、愚痴ってギルドカードを剥奪された人間は結構出てしまった。そういった人間は、スラムに行くしかなかった。
「あんたが、アーセルドか?」
「なんだ?俺に何かようか?」
アーセルドは、スラムでゴミを漁っていた。少しでも腹に入れるものを探していたのだ。
「あんたに用がある。ついてきてくれないか?」
「女が一人こんな場所にくるんじゃねぇよ!危険だろうが!」
「フッ、あたしが心配されるとは思わなかったよ。あんたはまだ腐っちゃいないんだね」
「身なりはこんなんだが、女を襲ったり物を盗む事はしねぇよ!だから、早くここから出ていきな。他のやつらは俺みたいな人間じゃねぇんだ」
「あんたを救いに来たんだよ。あたしのご主人様に会ってほしいのよ」
「お前奴隷なのか?」
「もう忘れたの?あたしよ。マーブルよ」
「マーブルだと?お前その腕はどうしたんだよ?それに顔もすっかり別人じゃねぇか!それにご主人様と言ったな?」
「ええ!ヒロトシ様があんたを探しているわ。もう一度ちゃんと考えて・・・・・・ヒロトシ様の奴隷にならない?悪い話じゃないわよ」
「だが、奴隷になったら・・・・・・」
「あなたのその手足は治るわ。それに冒険者にも戻れるし、まぁ結婚はできないけどね。けど、平民だった頃より贅沢はできるわよ」
「しかし・・・・・・」
「ここで断ったら、もう二度とこのチャンスは来ないわよ?あたしは、今ヒロトシ様の護衛メンバーを目指してレベルを上げているの」
アーセルドはマーブルを、改めて見直した。手や顔の怪我はすっかり治り、体つきが以前よりたくましくなっていた。
「レベルはいくつだ?」
「56だよ」
「なっ!なんだと!5・・・・・・ふがはきが?」
アーセルドはマーブルのレベルを聞いて大きな声を出しそうになったが、マーブルがすぐにアーセルドの口を押さえた。
「ちょっと、大きな声でやめてよね。個人情報!あんたは、同じパーティーだったから教えたんだからね」
「す、すまねぇ・・・・・・こんな短時間でレベルが上がっていたから驚いた」
「もし、ご主人様の奴隷になるなら、ギルドの面白い所を特等席で見れるよ」
「面白い所だと?」
「冒険者ギルドが王都からなくなるところよ」
マーブルの言葉に、アーセルドは言葉を失い固まってしまった。
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