研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第7章 新たな進化

60話 ヒロトシの本心

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 生産ギルドは、冒険者ギルドから薬草の時責められていたので、今回は反対に要求を訴えていた。

「このままでは、せっかく経済が持ち直してきたのに元に戻ってしまいます。早く肉の値段を元に!」

「そんなこと言われてもうちも手一杯で!」

「昔、うちは薬草の値段で責められた時は、ギルドで負担していたのですよ。それでも高いと責められていたんです。今度は、冒険者ギルドで負担して下さいよ」

 生産ギルドは、肉の値段が高いと言って、冒険者ギルドの儲け分を下げてくれと言ってきたのだ。

「待ってください!そんなことをすれば、うちが潰れてしまいます」

「だが、冒険者ギルドは以前、私達生産ギルドにも同じ事をしたではないですか?私達も身を削り、高い薬草を購入して、冒険者に安く提供していたんです」

「しかし、肉や素材となれば冒険者の数とは比較にならない王都の人間を!」

「それは私達には、関係ありませんよ。実際に町の人間が困っているのです。それに、冒険者ギルドは冒険者を蔑ろにしたから、王都から冒険者が離れたとききましたよ?」

「そ、それは・・・・・・」

「だったら、冒険者ギルドがなんとかしないといかないのでは?冒険者から信頼を取り戻し王都に戻って来てもらえば、この問題はすぐに片づく事かと思います。その間だけ、冒険者ギルドが負担してくれと言っているんですよ」

「そんな簡単に・・・・・・」

「いいですね。早く何とかしないと、私達生産ギルドが国から言われる事になるのです。そうなった時は、冒険者ギルドのせいだと責任を取っていただきます」

 毎日のように、冒険者ギルドは生産ギルドから苦情を言われていた。冒険者ギルドは冒険者達になるべく、食材や薬草採取の依頼を受けてもらい対応してもらっていた。

「何で俺達Bランクが、薬草採取の依頼ばかり受けなきゃいけないんだよ!」
「そうだ!せっかく装備をマジカルに磨いて貰ったのに、薬草採取じゃ赤字になるだろうが?」
「わかっているのか?このマジカルは一ヶ月限定なんだ。ダンジョンに潜らせろよ!」
「依頼の貼り紙薬草採取ばかりじゃねぇか!」

「俺達はAランクだぜ?何でオークやボアの肉なんだよ!」
「ダンジョンに潜ればミノタウロスを倒してきてやるよ」

「ミノタウロスでは、高級食材過ぎるのです。今は庶民が購入できる食材がほしいのです。それに、薬草採取も必要で圧倒的に数が足りません。あなた達のポーションが少なくなっても良いのですか?」

「それはそうだけどよう・・・・・・」
「俺達にも、生活があるんだぜ?あんた達はギルド職員だから仕事を退職すれば、退職金が出て生活に問題ないかもしれないが、俺達はそうじゃないんだよ」
「そうだぜ?装備のメンテナンスや強化、それに見合うだけの報酬を貰わないとやって行けねぇんだ」

 今では王都に、ヒロトシのポーション店だけではなく、薬草屋やポーション屋が増えてきていて、ヒロトシは薬草の行商はやめていた。
 ヒロトシがそれを続けると、他の店に悪影響が出るからだ。つまり独占販売となりかねないから手を引き、薬草はヒロトシの店だけで使用していた。

「それはわかっています。しかし、あなたもわかっていると思いますか、町の肉の高騰はどう思われますか?」

「それは・・・・・・」
「だけど!俺達だってだな!」
「「「「そうだ!そうだ!」」」」

 冒険者ギルドと冒険者達の意見は平行線で、カウンター越しで言い合いになっていた。
 その言い合いに参加しないBランク冒険者達は、酒場のテーブル席でパーティー会議を開いていた。

「あたし達も、王都を離れようか?」
「そうね。あたし達のパーティーは女ばかりだし、王都の依頼量なら生活できると思っていたのにね」
「うん。薬草採取ばかりじゃ、田舎の方が物価も安いもんね」
「体力(貯金)があるうちに、うちらは王都を離れようか」
「「「「「そうね」」」」」

 とうとう、王都を出るBランク冒険者達まで出て来たのだった。
 これには、ローベルグも焦りだしてきていて、一向に動き出さないヒロトシに、イライラをぶつけにやって来たのだった。

「ヒロトシ、まだ計画は動き出さないのか?」

「まあまあ、そんな簡単ではありませんよ」

「旦那様、そんなご冗談を国王様にするものではありませんよ」

「あっ!馬鹿。セバス、言ったら駄目だろうが!」

「ヒロトシぃ~~~~~!どういう事だ?動けるならなぜ動かんのだ?」

「こっちだって、事情があるんだよ。冒険者ギルドは今だに冒険者を苦しめているんだぞ?ようやく、Bランク冒険者が王都を離れ始めたんだ」

「それじゃ駄目だろうが!」

「いいんだよ。これで冒険者ギルドはもうたちいかなくなるからな」

「はぁあ?そうなれば町の食の経済が破綻するじゃないか?」

「大丈夫ですよ。少しぐらいあんな高価な肉を食わなくても野菜を食べます。実際に不満はあるかと思いますが、肉を買わずに野菜の購入額が増えているはずです」

「それはそうかもしれないが、やはり肉がこう高騰してはだな・・・・・・」

「それに、行商人が王都に増えているはずです。干し肉を行商し始めましたしね」

「ああ!めざとい行商人は、いち早く干し肉を売りに来ている」

「つまり、冒険者ギルドは立場はもうないって事ですよ。冒険者は自由人ですから、自分に不利だと思えば、すぐに拠点を他の町に移す事を思い知らせたかったんですよ」

「そんな事誰でも分かる事だろ?」

「ここ王都は別なんですよ。まあ聖都もそうかな」

「どういう事だ?」

「大きな町はそう言いきれないんですよ。都会で生活していたら、他の町は田舎になり不便だと思い込んでいます。だから、冒険者もよほどの事がないと移住はしません」

「な、なるほど!い、いや、納得できぬわ!そうなれば王都は住みづらいと思われているという事じゃないか?」

「今はね!だけど、今は冒険者ギルド王国本部に、冒険者を大切に扱わないとどうなるか思い知らせる方が大事ですよ」

「・・・・・・お主は、本当に権力者に容赦しないな」

「ええ!自分達が偉いと勘違いしている人間が大嫌いですからね。ギルド本部は上層部は入れ替わったばかりだけど、前の人間と考え方が一緒ですから王都から排除させてやりますよ」

「はぁあ?冒険者ギルド本部を排除だと?」

「国が干渉できない無能な組織がなくなっても構わないでしょ?」

「待て待て待て!冒険者ギルドがなくなったら問題だろうが!」

「一時的にですよ」

「一時的にだと?」

「ええ。冒険者ギルド王国本部がなくなったら、冒険者ギルド総本部が黙っていませんよ」

「ならいいが、本当に大丈夫なんだな?」

「大丈夫ですよ。ギルドはよく俺の手の上で転がってますよ。あはははははははは!」

 ローベルグは、ヒロトシの笑顔を見て王都の事より、ヒロトシの奴隷になった冒険者の仇をうっているんだと思った。ローベルグは、ヒロトシは絶対に怒らせてはならないと改めて心に誓うのだった。
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