研磨職人！異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

第７章 新たな進化

４８話 Ｃランク冒険者に研磨武器を！

　ヒロトシは、冒険者達に説得を続けていた。冒険者達は、王都の環境が変わり苦しい生活を強いられていた。ビアンカが王都で働き、ようやく以前のように戻りつつある事で、マジカル装備を手にいれたい気持ちが強くなっていた。

「ヒロトシ様、頼むよ。俺達の装備を研磨してほしい」

「拒否する！君達はもっと経験を積むべきだ！」

「「「「「何でだよ？」」」」」
「俺達の装備が、マジカルになればより難易度の高い依頼が受けられるが、今やっている依頼は簡単にこなせるだろ？」
「そうだ、俺達が危険な場所に行くのはどこでも同じだ。だったら装備品がよくなればそれだけ安全になるんだ」
「金は払うと言っているんだ。俺達の装備を研磨してくれ！」

　日に日に、マジカル武器の要望が高まり、とうとう冒険者ギルドが、ヒロトシにお願いに来たのだ。

「ヒロトシ様、この度は研磨をＣランク冒険者にしてほしくお願いに上がりました」

「ギルドマスターが、そんなことを言ってくるとはな・・・・・・あんた達幹部も同じ意見なのか？」

「「「「はい！」」」」

「ヒロトシ様の研磨で、Ｂランク冒険者達は活動出来ています。それをそばで見ているＣランク冒険者達は納得いかないのですよ」

「わかっているのか？ノーマル武器が＋１になったぐらいで、基本能力が低いＣランク冒険者が簡単に活動出来るわけがないじゃないか」

　ミトンの町では、ミスリル装備が販売しても購入できる冒険者がいるが、王都にいる冒険者は普通に青鉱石製の装備をしている。
　つまり、今のところ王都での研磨は＋１マジカルである。Ｂランク冒険者と同じようにＣランク冒険者が出来るわけがなかった。

「しかし、Ｃランク冒険者も生活を楽にしたい気持ちはあります。研磨をしていただけたら、オークを苦労して討伐していたのが安全に討伐できる」

「そのあと調子に乗って、オーガを討伐して返り討ちになるのが目に見えるようですよ」

「そんなことは！」

「いいですか？あんた達ギルド職員は、冒険者の手綱を握らないといけないんじゃないのか？確かに冒険者が活動すれば、ギルドの売り上げは上がるが無理させないようにするべきだとおもうぞ？」

「そんな！我々が無理をさせるだなんて！依頼にはランク分けにしています」

「しかし、結局は冒険者の自己責任で受けられるじゃないか？」

「それはそうですが・・・・・・冒険者とはそういうものではありませんか？」

「馬鹿なことを！あんた達はそれでいいかも知れないが、俺はそうじゃないんだよ！」

「どういう事ですか？」

「俺が研磨したことで、死ななくてもいい冒険者が続出させる訳にはいかないんだ！未熟な冒険者に死ぬとわかっていて、強化を無責任にしたくないだけだ」

「何を言っているんですか？冒険者達を最初から死ぬ前提に話して？」

「そうですか・・・・・・ギルドが、そこまで言うのならＣランク冒険者に研磨を施しましょう」

「そうですか！これでギルドとしても助かります」

「本当に俺は知りませんよ？冒険者ギルド王国本部が潰れる結果になっても、俺の責任にしないで下さいね！」

「なぜ？冒険者ギルド王国本部が潰れるのだ？それこそ訳がわからないですよ？」

「いいですね？ギルドを支えているのは、ＡやＢランクのような高ランク冒険者達じゃない。Ｃランク冒険者が犠牲になったら、ギルドの根底が崩れる事になるんだからな？」

「そうならないために、装備の強化をするのですよね？」

「Ｃランク冒険者達が、まだ精神的に成長していたら俺も文句は言わないよ」



　ギルドマスターはヒロトシの言葉に笑っていた。幹部達もそんな事あり得ないとばかりに笑うのだった。
　そして、ヒロトシはライラにＣランク冒険者にも研磨依頼を解放させた。そして、Ｃランク冒険者達は歓喜したのは言うまでもなかった。

「ご主人様、本当によろしかったのですか？」

「駄目に決まっているだろ？」

「では、どうして？」

「あいつらには、口で言っても解らないからさ。研磨をしたことで、どういう未来が待っているのかを理解させてやるんだよ」

　後日、Ｃランク冒険者達はマジカル装備に感激していた。

「聞いてくれよ！俺達、オークの集団に勝てたんだぜ？」
「俺達も依頼がスムーズにこなせたぜ」
「これなら青鉱石製の武器も買えそうだよ」

　Ｃランク冒険者の武器は、普通に鉄のノーマル武器だ。苦労をして青鉱石製の武器を手に入れるのが普通なのだか、研磨のおかげでオークを討伐でき、より攻撃力の高い武器を手に入れることができそうだった。

　そして、ヒロトシが危惧していたことが起こり始めたのだ。