研磨職人！異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

第７章 新たな進化

４３話 ヒ美研に暴動？

　シュガー村には、いろんな必要な工房が建設された。サンライトは飲食店なので従業員が、毎日のようにミトンの町から転移マットで通勤という形となる。
　ヒ美研やポーション屋では、生産者がその町にはおらず、全員がシュガー村に在籍して仕事をしていた。

「マインちゃん＋３研磨でルビー研磨を頼むよ」

「ナッシュさん、いつもありがとうございます。内容は、＋３マジカル、オプションはストレングスでよろしいですね」

「ああ！それでよろしく頼むよ。いつ、できそうかな？出来るなら、急いでもらえるとありがたいんだが？」

「大丈夫ですよ。明日の夕方なら磨けていますよ」

「本当か？助かるぜ！」

　今や、研磨はアンシーンサーバントをたくさん召喚できるため、急ぎにも対応できていた。

「今や、ヒ美研は大抵の事は対応しますよ」

「そいつはありがたいんだが、値段はやはり高くなるのか？」

「まぁ、その辺はご了承していただかないと、こちらも商売なので・・・・・・」

「いつもの２倍か？いや、無理を言うんだ。３倍になるのか？」

「ご主人様を、悪徳商人のように言わないでください！３０％増しでよろしくお願いいたします」

「はぁあ？３０％でいいのか？」

「はい」

「そいつはありがたい！本当に助かるよ」

　そして、王都にもヒ美研がオープンされて、当初その店長にマインとアイにやってもらおうと思っていた。

「マインちゃん、ミトンじゃなく王都勤務になるのか？」
「嘘だろ？アイちゃんもいなくなるのか？」

「「皆様には今までお世話になりました」」
「今後は新しい店員達が対応しますので、新人達で迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いいたします」

　マイン達ベテラン勢が、冒険者達に頭を下げた。

「待ってくれよ」

「いかがなされましたか？」

「もう、ここには戻って来ないと言うことか？」

「はい。私達は新人にここを任せて、王都の店をご主人様に任されました」
「ここは、お客様も馴染みの常連客ばかりですので私達がいなくても大丈夫だと判断しました」

「大丈夫じゃねぇ！」
「「「「「そうだ！」」」」」

「お、お客様？」

　マイン達がいなくなると聞いて、冒険者達が騒ぎ出したのだった。

「ヒロトシ様に直談判させろ！」

「何を言っているんですか？」

「俺はマインちゃんが、王都に行くと言うならこの店は使わん！」

「はぁあ？何を言っているんですか？」

「「「俺達も断固抗議する！」」」」

「いやいや、私達は奴隷です。ご主人様の指示に従わないといけないのです」

「俺達のアイドルを、勝手に移動させるな！」
「そうだ！俺達は日頃の癒しを奪うな！」

「ちょっと待ってください。皆様の気持ちは嬉しいですが、あたし達は奴隷で・・・・・・」

「関係ないね。確かにヒロトシ様の装備には助けられた。しかし、それだけで俺達はここに通ってた訳じゃねぇ！」

　ヒ美研は、冒険者で暴動が起きるかと思ったほどだった。受付嬢は店の顔で、冒険者達はそれ目当てで来ると言っても過言ではない。

　ヒ美研の受付嬢は全員ヒロトシの奴隷であり、ギルド受付嬢のように言い寄る事はできないが、間違いなくヒ美研の売り上げに貢献していたのだ。

「今後は、お客様の対応は若くて可愛い娘が来ますし・・・・・・」

　この噂は、客で来ていた冒険者がギルドに走って報せに走ったようで、マイン達を推していた冒険者が次々に押し掛けたのだ。

「お客様！ちょっと待ってください！」

　冒険者達は、ヒ美研に防犯システムがあるのは知っている。その為、店員に危害を加えることは絶対にしない。
　そればかりか護衛メンバーの代わりに、マイン達を警護していたぐらいで、迷惑をかける人間を取り締まっていたくらいだ。

　それ故に、冒険者達はマイン達が王都に行かせるなと、ヒ美研で座り込みをし始めたのだ。

「ヒロトシ様に会わせてくれ！」

「そんなの無理ですよ！あたし達は王都勤務を命じられたので、従うしかありません」

「いいや！これだけは引けん！」

「あんた等何をしているんだ！営業の邪魔だろ？」

　そこに、ウィノア達護衛メンバーが店にやってきた。そして、店から追い出そうとしたが冒険者達は必死の形相で抵抗した。

「ウィノア、あんたは抵抗をしない平民に手を出すつもりか？」

「何を言って・・・・・・事実あんた等は営業の邪魔だろ？」

「いいや、俺達はヒロトシ様に話し合いたいと言っているだけだ」

　冒険者達は、装備品を地面において無抵抗の姿勢をした。

「うっ！だけど・・・・・・」

「ウィノアが、俺達に手を出したら衛兵に正直に話すからな？」
「そうだぜ。この通り店の防犯システムは働いていないからな。俺達は話し合いたいだけだ」

「ぬぐぐぐぐ！」

「ヒロトシ様と話をさせてくれ。この通りだ！」

　冒険者達は、マイン達受付嬢に頭を一斉に下げ、土下座したのだった。その時、カウンターの奥から声が聞こえてきた。

「ったく・・・・・・・あんた等は何をやってんだよ」

「「「「ヒロトシ様！」」」」
「申し訳ありません。皆様にはあたし達から説明をして！」

「マイン、アイ達もいいよ。事情はライラから聞いたから」

　ライラは、今度ヒ美研ミトン本部で働く女性だ。冒険者達をなんとかできるのは、ヒロトシだけと思い、シュガー村に呼びにいったのだ。

「ヒロトシ様！マインちゃん達を王都に行かせないでほしい。この通りだ！」

「あのな？王都ではどんな奴がいるかわからないんだ。だったら、ベテランのマイン達を受付嬢にした方が・・・・・・」

「それはわかるが、俺達はこの店に来るのが楽しみにしてた。マインちゃん達に癒されていたから日々頑張れたんだ」
「そうだぜ。アイちゃんは俺の心の拠り所なんだから、会えなくなると困るんだ」

　中には女性冒険者もいた。マイン達と話が合い女性冒険者とも、仲良く恋愛相談にのっていたマイン達と会えなくなると寂しかったようだ。

　ヒロトシはその様子を見て、ギルド受付嬢が冒険者達のサポートがどれ程役に立っていたのか思い知らされることになった。