上 下
306 / 347
第7章 新たな進化

42話 魔法師団の間違い

しおりを挟む
 スミス達は、実戦でレベルを上げて購入されてから数ヶ月で、レベル80を越えた。

「これはすごいレベルアップだ!ファイヤーボールの威力が今までとは段違いだ」

 スミス達は、実戦とはいえミルデンスやアイリーン達にただついて行き、死なないように後ろから同行していただけだった。
 そして、同じパーティーを組み経験値を寄生したにすぎなかった。

「じゃあ、そのローブは脱いで主君に返還してくれるか」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺達この装備を脱いだら・・・・・・」

「言って置くが、そのロッドも返還してくれ」

「このロッドがなければ、攻撃力もなくなってしまう」
「そうですよ。これがないと回復力もなくなってしまいます」

「リリア、回復力は以前より上がっているはずだ」

「だけど、この武器がなければ!」

「いいか。主君の武器は強力すぎる。これがないと駄目だと思うんじゃない!主君がお前達にこれを持たせたのは、まずレベルを80にしたかったからなんだよ」

「「しかし、その装備があれば!」」

「強くなれるか?そんな強さ何の役に立つ?見せかけの強さなんか早死にするぞ?」

「見せかけって、実際強くなるじゃないか?」

「スミス、本当の強さは基本がしっかりあって、装備はその補助だ!このままでは装備品に振り回されるだけだぞ」

「しかし・・・・・・」

 スミス達魔法師団は、ヒロトシの装備品がなくなるのは不安を隠せなかった。いくらレベルが上がったとはいえ、捜索する場所は人間が立ち入れない魔の森なのだ。

「いいか?主君に見せかけの強さを持った部下はいらない!スミス、お前達は魔法師団として強くならないといけないんだ」

「だから!あの装備が必要なんじゃないか?」

「主君に借りた装備は、あくまでも補助だ!その証拠を見せてやろう。リッシュ、お前がスミス達10人を相手に揉んでやってくれ」

「俺達10人と!」

「当然だが、リッシュには主君の装備はさせないがスミス達は主君の装備はしてもらう。しかし、手は抜くなよ」

「リッシュは、護衛メンバー末席じゃないのか?」

「あたしを馬鹿にしないで欲しいわ。これでもレベル100はあるわよ。それに魔物を怖がって、ご主人様の装備を手放せない弱虫に負けるつもりはないわ!」

「しかし、この装備をした俺達10人に勝てるわけあるまい!」

「基本戦闘能力が足りない人間なんかに問題はないわよ。ごちゃごちゃ言ってないでかかってらっしゃい!」

 スミス達は、リッシュの言葉に憤慨し模擬戦闘をした。しかし、結果はスミス達の惨敗だった。

「ファイヤーボール!」
「セイントレイ!」

 スミス達は、勝負を一気に終わらせようと一斉に攻撃魔法を撃った。
 
「未熟者が!」

 リッシュのスピードは、魔法のスピードを凌駕していた。魔法が着弾した時には、その場所にはリッシュの姿はなく、スミスのバックを取っていた。

 リッシュはスミスに首トンをして気絶させ、リリアがスミスを回復しようとしたが、リッシュはリリアの魔法に気づき小石を投げてキャストブレイクした。

「馬鹿ね。魔法使いが敵に懐に入られたら終わりなのにわからないの?そんな戦法が通じるのはご主人様だけよ!」

 スミス達は、ヒロトシの装備に振り回されていたのだ。本来ならリッシュの動きを止めないといけなかった。いきなり攻撃魔法を唱えるのは悪手である。ヒロトシは無詠唱で魔法を連発できるが、スミス達は詠唱を唱えないといけなかった。

「そんな・・・・・・」

 キャストブレイクされたのを見て、他の者がスミスを回復しようとしたが、連携は崩れ二人でスミスを回復しようとしていた。

「本当どうしようもないわね」

 リッシュは、一人にダガーを投げつけ魔法をキャンセルさせ、もう一人の懐に瞬時に入り拳を腹にめり込ませた。
 魔法使いは、戦士とは違い防御力はないがヒロトシの装備で腹へのダメージはなかったが、リッシュの拳の威力は止められなかった。

「ぐふっ!」

 殴られた魔法使いは、リッシュのパンチで後方に飛ばされ、壁に打ちつけられ気絶してしまった。

 リッシュは、魔法使い達の間を縦横無尽に動き回り、誰もリッシュの動きを止めることができず、全員リッシュに気絶させられてしまった。

 そして、リッシュ一人に負けてしまったスミス達は、ミルデンス達に介抱されていた。

「どうだった?」

「まさか、我々10人がご主人様の装備をしていたのに、なにもできなかった」

「スミス、お前達は最初の行動から間違っていたんた。要は主君の装備をしていた事で、リッシュをなめていたんだ」

「はい・・・・・・返す言葉もありません」

「あれが、ダンジョンだったらお前達は死んでいたよ」

「「「「「・・・・・・」」」」」

「それと、リリア達はヒ―ラ―だぞ?お前が数少ない攻撃魔法を使ってどうする?」

「はい・・・・・・」

「お前達には、主君の装備はまだ早すぎる。あまりにも強い装備だから、お前達に油断を生じさせるだけなんだ」

「あたしからもいいかい?」

「「「「「はい・・・・・・」」」」」

「あたし達の役目はご主人様を守る事なんだよ」

「それはわかっています。自分達を購入してくれた恩を返す為にも!」

「なんだ。わかっているじゃあないか?」

「それは当然・・・・・・」

「だったら、何でご主人様の装備品に守ってもらおうとするんだい?」

「「「「「あっ・・・・・・」」」」」

「あんた達の役目は、ご主人様に守って貰うんじゃない!守る事なんだよ?あたしが言いたいのはそれだけだよ」

 リッシュは、スミス達に言いたい事を言って訓練場をあとにした。その言葉にスミス達は、ショックで黙ってしまった。

「ったく、リッシュのやつは言葉がきついな。お前達すまんな。あいつはまだ末席でまだ未熟だ。気にしないでくれ」

 スミス達は、あの鬼神のような強さを持ったリッシュを、未熟と言ったミルデンスに言葉を失った。

「要は何が言いたいかというと、お前達もまだまだ未熟だ。レベルだけ高く役に立たないんだ。これからはお前達の基本戦闘能力を鍛えていってもらうから覚悟するように!」

 ミルデンスは、真剣な表情でスミス達に激を飛ばし、スミス達はリッシュをいつか見返してやろうと気合いを入れ直した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

夢限
ファンタジー
 俺こと高良雄星は39歳の一見すると普通の日本人だったが、実際は違った。  人見知りやトラウマなどが原因で、友人も恋人もいない、孤独だった。  そんな俺は、突如病に倒れ死亡。  次に気が付いたときそこには神様がいた。  どうやら、異世界転生ができるらしい。  よーし、今度こそまっとうに生きてやるぞー。  ……なんて、思っていた時が、ありました。  なんで、奴隷スタートなんだよ。  最底辺過ぎる。  そんな俺の新たな人生が始まったわけだが、問題があった。  それは、新たな俺には名前がない。  そこで、知っている人に聞きに行ったり、復讐したり。  それから、旅に出て生涯の友と出会い、恩を返したりと。  まぁ、いろいろやってみようと思う。  これは、そんな俺の新たな人生の物語だ。

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

処理中です...