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第7章 新たな進化
7話 ミトンの町を旅立つ
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シルフォードは、ヒロトシの待つ客室にあわてて入室した。
「ヒロトシ君、聖教国に行くと聞いたが本当なのか?」
「シルフォード様・・・・・・兵士達に言っておいてくださいよ。どこにいこうが俺の勝手じゃないかと!」
「そうはいかん!ヒロトシ君はミトンの町には必要な人物だよ。いや、王国にとって大事な要人だ。他国に行くだなんて、容認はできぬよ」
「あのですね。容認って・・・・・・そんなこといくらシルフォード様、いえローベルグ様でもそんなこと言ったら、どうなるか知りませんよ」
「はぁあ?どうなるというのだね?」
「この聖教国に行く理由は、女神ミレーヌ様の依頼ですよ?」
「がっ・・・・・・ちょっと待ちたまえ」
シルフォードは、ヒロトシの言葉に固まった。
「俺達は、女神様の頼みで聖教国に行くんです」
「しかし、君は聖教国に自分の事を言って、聖教国からの依頼を断るように仕向けたではないか?」
「ああ。それはそれですよ。女神様はそんな教会の改装工事なんか望んでいませんよ」
「どういう事だね?」
ヒロトシは、今回の経緯をシルフォードに説明した。
「そんな事が?」
「つまり、女神様は教会の改装工事を理由に、俺を聖教国に入れたかっただけです。だけど、俺が他国の事で動くのは面倒なので、聖教国から断るように仕向けたんですよ」
「なるほど。女神様の思惑をはずしたというわけだね」
「そういう事です。そして、正式に女神様から依頼があったという訳です」
「それならば、そうと・・・・・・」
「言う必要はありませんよね?」
「だが、ヒロトシ君がミトンの町を、いや、王国領を離れるとなれば、こちらとしてもだな」
「それに俺も、この町を離れるつもりはありませんよ。屋敷にはセバスが、ひ美研にはマイン達もいるじゃありませんか?」
「それはそうだが・・・・・・」
「もし、この町を離れるとなれば聖教国に行く事はないですよ」
「そんな事は止めてくれ!ヒロトシ君がミトンの町を離れればどれ程の損失に!」
「だから、もしの話ですよ。仮に離れるとしたら、自分の土地に行きますよ」
「な、なるほど・・・・・・」
「あの土地は、魔の森に近いし誰も近寄れないですしね。人付き合いに疲れたらちょうどいい場所ですよ」
「そんな事言わないでくれよ」
シルフォードは、ヒロトシの言葉に困惑した。ヒロトシはシルフォードの心配を他所に説明を続け、毎日帰って来ると言い、更にシルフォードを困惑させた。
「それに俺は、毎日ミトンの町に帰って来るから大丈夫ですよ」
「何を言っている。聖教国まで普通に行けば、王都より道のりは遠いんだぞ?それを毎日帰って来るだなんてできるわけがなかろう」
「まぁ、普通じゃ無理です。しかし、俺ができると言えば信じられないですか?」
「そんな方法があるのかね?」
「ありますよ」
「まさか?」
ヒロトシは、転移マットを見せた。そして、毎日帰って来る方法を説明した。すると、シルフォードは目を輝かせ転移マットの販売を頼んできた。
「これは流通の革命が起こる!」
「ああ、この魔道具は販売しませんよ」
ヒロトシが転移マットの販売をしないというと、シルフォードは慌てた様子で訳を聞いてきた。
「なぜだ?」
「世の中にはシルフォード様のように、経済の発展を考える人間ばかりじゃないからですよ」
「はっ?どういう事だね?」
「この魔道具は犯罪や戦争に利用されやすいってことです。戦争なら軍隊を一夜にして全軍を移動させれます。また、犯罪者が手に入れれば暗殺は容易になり、簡単に逃亡も可能です」
「ぐっ・・・・・・しかし、これがあれば行商人は危険はなくなり、商品は安く流通させれるというのに・・・・・・どうしても駄目なのか?」
「駄目です!」
「とにかく、俺はシルフォード様だから打ち明けたんです。この転移マットがあるから、毎日帰ってこれます」
「わかったよ。ヒロトシ君には、もう世の中に敵う人間はいないだろう。好きにしたまえ」
シルフォードは、ヒロトシが女神様から依頼を受ける仲と知り、転移マットを初め叡智龍すら従魔としてしまい、ヒロトシを王国にとどめることはできないと理解した。
そして、ヒロトシはシルフォードの許可をもらい次の日朝早くミトンの町を旅立ったのだ。
「ヒロトシ君、聖教国に行くと聞いたが本当なのか?」
「シルフォード様・・・・・・兵士達に言っておいてくださいよ。どこにいこうが俺の勝手じゃないかと!」
「そうはいかん!ヒロトシ君はミトンの町には必要な人物だよ。いや、王国にとって大事な要人だ。他国に行くだなんて、容認はできぬよ」
「あのですね。容認って・・・・・・そんなこといくらシルフォード様、いえローベルグ様でもそんなこと言ったら、どうなるか知りませんよ」
「はぁあ?どうなるというのだね?」
「この聖教国に行く理由は、女神ミレーヌ様の依頼ですよ?」
「がっ・・・・・・ちょっと待ちたまえ」
シルフォードは、ヒロトシの言葉に固まった。
「俺達は、女神様の頼みで聖教国に行くんです」
「しかし、君は聖教国に自分の事を言って、聖教国からの依頼を断るように仕向けたではないか?」
「ああ。それはそれですよ。女神様はそんな教会の改装工事なんか望んでいませんよ」
「どういう事だね?」
ヒロトシは、今回の経緯をシルフォードに説明した。
「そんな事が?」
「つまり、女神様は教会の改装工事を理由に、俺を聖教国に入れたかっただけです。だけど、俺が他国の事で動くのは面倒なので、聖教国から断るように仕向けたんですよ」
「なるほど。女神様の思惑をはずしたというわけだね」
「そういう事です。そして、正式に女神様から依頼があったという訳です」
「それならば、そうと・・・・・・」
「言う必要はありませんよね?」
「だが、ヒロトシ君がミトンの町を、いや、王国領を離れるとなれば、こちらとしてもだな」
「それに俺も、この町を離れるつもりはありませんよ。屋敷にはセバスが、ひ美研にはマイン達もいるじゃありませんか?」
「それはそうだが・・・・・・」
「もし、この町を離れるとなれば聖教国に行く事はないですよ」
「そんな事は止めてくれ!ヒロトシ君がミトンの町を離れればどれ程の損失に!」
「だから、もしの話ですよ。仮に離れるとしたら、自分の土地に行きますよ」
「な、なるほど・・・・・・」
「あの土地は、魔の森に近いし誰も近寄れないですしね。人付き合いに疲れたらちょうどいい場所ですよ」
「そんな事言わないでくれよ」
シルフォードは、ヒロトシの言葉に困惑した。ヒロトシはシルフォードの心配を他所に説明を続け、毎日帰って来ると言い、更にシルフォードを困惑させた。
「それに俺は、毎日ミトンの町に帰って来るから大丈夫ですよ」
「何を言っている。聖教国まで普通に行けば、王都より道のりは遠いんだぞ?それを毎日帰って来るだなんてできるわけがなかろう」
「まぁ、普通じゃ無理です。しかし、俺ができると言えば信じられないですか?」
「そんな方法があるのかね?」
「ありますよ」
「まさか?」
ヒロトシは、転移マットを見せた。そして、毎日帰って来る方法を説明した。すると、シルフォードは目を輝かせ転移マットの販売を頼んできた。
「これは流通の革命が起こる!」
「ああ、この魔道具は販売しませんよ」
ヒロトシが転移マットの販売をしないというと、シルフォードは慌てた様子で訳を聞いてきた。
「なぜだ?」
「世の中にはシルフォード様のように、経済の発展を考える人間ばかりじゃないからですよ」
「はっ?どういう事だね?」
「この魔道具は犯罪や戦争に利用されやすいってことです。戦争なら軍隊を一夜にして全軍を移動させれます。また、犯罪者が手に入れれば暗殺は容易になり、簡単に逃亡も可能です」
「ぐっ・・・・・・しかし、これがあれば行商人は危険はなくなり、商品は安く流通させれるというのに・・・・・・どうしても駄目なのか?」
「駄目です!」
「とにかく、俺はシルフォード様だから打ち明けたんです。この転移マットがあるから、毎日帰ってこれます」
「わかったよ。ヒロトシ君には、もう世の中に敵う人間はいないだろう。好きにしたまえ」
シルフォードは、ヒロトシが女神様から依頼を受ける仲と知り、転移マットを初め叡智龍すら従魔としてしまい、ヒロトシを王国にとどめることはできないと理解した。
そして、ヒロトシはシルフォードの許可をもらい次の日朝早くミトンの町を旅立ったのだ。
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