研磨職人！異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

第６章 研磨という職

５８話 ヒロトシの付き合い方

　聖教国の使者達全員が、シルフォードの言葉に固まり驚いた。そして、司教があり得ないことだと抗議をした。

「なっ！今回の事は申し訳ありませんが、他国の人間から、そのような事を言われるのはあまりに無礼ではありませんか？」

「気を悪くなされたら申し訳ありません。ただ、これはヒロトシ君を長年見てきた人間のおせっかいではなく、警告に近いものです」

「そのような事を・・・・・・」

「我々王国の人間は、いや・・・・・・権力者は今までと同じように接してきましたが、その常識が一切通じないのが、ヒロトシという人物なんです」
　　
　司教は、シルフォードの言葉に頭がきたがあまりの真剣な眼差しに息を飲んだ。

「それは、他国でも同じなのですか？」

「私はそう思っております。我々王国側は、今回の事でまた聖教国と交流させて頂きたく思っております」

「何を言っているのですか？」

「よろしいですね？ヒロトシ君とは、どちらかが偉いとかではなく、お互いが尊重しフェアな取引をしてください」

「しかし、私達は！」

「よろしいですね。私達王国の人間は、あなた達を神の使徒として敬います。しかし、ヒロトシ君はそのような常識はありません」

「馬鹿な事を！」

「よろしいですね？これはおせっかいではなく、警告に近いものです。ヒロトシ君は、教皇様や聖女さまでも気に入らなければ平気で正しますよ」

「そのような馬鹿な事が！」

「やり方は、私達凡人には想像できませんが、ヒロトシ君は必ず対等に接してきます。今までの常識が覆されます」

「そのような事はあり得ません」

「そういった権力者は頭を抱えてきました。我が主君を始めです！」

　シルフォードの言葉は、司教を始め聖職者達を驚愕させた。他国の使者に、そこまで土足で入り込んでくる行為は普通はあり得ない行為だった。しかし王国の伯爵の地位にある貴族が、必死に訴えてくるのだ。

「私は、ヒロトシ君を数年間見てきました。相手を尊重しあえれば、あれぼど頼りになる人間はいません」

「・・・・・・」

「私からは以上です。これから良いお付き合いをお願いいたします」

　シルフォードからは、ヒロトシの付き合いを気を付けろと言われただけだった。もし、ヒロトシとの付き合いを間違えば、王国側は何も出来ないと言われたのだ。

　そして、司教達は何も言えず、シルフォードの屋敷をあとにした。

「どういう事ですか？」
「そうです！あれでは、聖教国が馬鹿にされた感じではありませんか？」
「教皇様や聖女様が、商人と立場が一緒だなんて馬鹿馬鹿しい！」
「そうですよ。聖教国の大聖堂の仕事が出来るのですよ。ありがたく受けるのが当たり前です」

「ちょっと待ちなさい！」

「司教様は、シルフォード様の言う事を信じると言うのですか？」
「そうです！あれでは、聖教国が馬鹿にされたと同じではありませんか？」
「そうです！ヒロトシと立場が同じ？教皇様は人類の指導者です」

「しかし、今回は女神様が聖女様に啓示を告げたのですよ」

「「「「「あっ」」」」」

「私は、今回どうしても納得できない事がありました。なんで、女神様が王国より聖教国が悪いと言われたかです」

「「「「「・・・・・・」」」」」

「そして、聖教国が追い出された教会で、女神様の声がはっきり私達に聞こえた事です。貴方達にも初めての事だったでしょう？」

「「「「「そ、それは・・・・・・」」」」」

 　司教は、今回の事を部下達に話し、慎重に進めようと思った。
　一つ間違えば、大変な事になるかもしれないと、司教は冷や汗を流したのだった。
　そして、次の日聖教国の使者達は、ヒロトシと面会をしたのだった。