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第6章 研磨という職

55話 聖教国の視察

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 王都は、平民達の活気が舞い戻ってきていた。この1ヶ月ビアンカがサンライトで働きだした事で、王都の土地が、以前のように薬草や資材の群生地が
ちらほら目立つようになってきたのだ。
 この報告に、ローベルグはもちろん貴族達は安堵し、冒険者や生産者達は歓喜した。

「これもヒロトシ様のおかげだな」
「いやいや、国王様も俺達平民の事を思って政をしてくれてるからだぜ」
「本当、俺達は王都に住めてラッキーだぜ」
「でも、聞いたか?ミトンの教会なんだが、一生に一度は訪れたい大陸の名所になったらしいぜ」
「らしいな!」
「本当に凄いらしいな。今まで教会の名所は聖教国の聖都が一位だったのによ」
「そうそう!ミトンの女神神像が大陸一神々しいらしいな」
「あたしも一度は訪れたいわ」
「俺も行きたいけど無理だよな。ミトンまで遠すぎるからな」
「ホント、ヒロトシ様の乗り物があったらねぇ」
「あの乗り物はミトンまで、一週間らしいな」
「ホント、ヒロトシ様は凄いな」

 その頃、ミトンの町には聖教国から生産ギルドに書簡がおくられてきていた。

「な、な、な、何で聖教国の大神官から書簡が届くんだ?」

「わたしに聞かれても知りませんよ」

「一体どういう事なんだ・・・・・・」

「それで何が書かれているんですか?」

「そ、そうだった」

 生産ギルドのギルドマスターは、急いで書簡の内容を読んだ。すると、驚きの内容が書かれていた。

「こ、これは!」

「どうしたんですか?何が書かれて?」

「今すぐ、ひ美研に向かうぞ」

「ヒロトシ様ですか?まさか、教会の件で聖教国がヒロトシ様に?」

「とにかく、ヒロトシ様に話を!」

「は、はい」

 生産ギルドの幹部達は、ヒロトシの屋敷に向かった。

「ヒロトシ様、お久しぶりです」

「今日は一体どうしたのですか?」

「実は、聖教国の大神官からこんなものが届いたのですがまずは見ていただけないでしょうか?」

「大神官から書簡?まさか、教会を取り戻しに?」

「いえ、そうじゃないんです。半年後ミトンの町に聖教国の使者が訪問しに来るそうです」

「はっ?」

「この書簡には、教会の女神神像の視察に来るそうです。そして、その出来を見て聖教国の女神神像の発注をお願いしたいそうです」

「まさか、聖教国が女神神像の依頼だと?」

「ええ。まさかギルドでも意外でした。聖教国がヒロトシ様に依頼をしてくるとはおもいませんでしたよ」

 聖教国は、ミトンの町の教会が名所になった事で
聖都の教会の女神神像が名所ではなくなってしまったからだ。
 その為、大神官はミトンの教会の噂を聞き、聖教国所属の聖職者を追い出した遺恨を持ち出さず、反対にヒロトシの技術の助けを求めてきたのだ。

「聖教国が女神神像の製作を依頼してくるとは、まさか俺も思わなかったよ」

「とにかく、ヒロトシ様はこういう依頼があることを頭に入れておいてほしいのです」

「生産ギルドは、聖教国の依頼を受けて貰いたいと思っているのですか?」

「ええ。ギルドとしては波風は立てたいとは思っていません」

「しかし、本当に聖教国は女神神像の製作を依頼するのですか?」

「生産ギルドは、あの女神神像を見て確信しております。聖教国の使者は、半年後船で来日しますが気に入るに間違いありません」

 生産ギルドは、聖教国の視察がくる前に依頼があることを確信していた。女神神像だけじゃなく、今までの、ひ美研の信用を信頼していた。

「わかりました。聖教国から依頼があれば検討してみます」

「よろしくお願いいたします」

 生産ギルドは、ヒロトシに頭を下げて、ギルドに帰っていった。



 そして、その10ヵ月後ガーラの町経由の航路を使い、聖教国の神官がやって来ると、ミトンの町の教会に視察をおこなった。

「ガーラの町からここまで遠かったですね」

「本当に・・・・・・」

「しかし、聖教国を追い出した町の教会が名所となるなんて納得できませんね」

「これっ!滅多なことを言うでありません」

「しかし!」

「いいですか?今回の事は女神ミレーヌ様が聖女に啓示が降りて遺恨のないようにと言われたではありませんか?」

「それはそうですが、司教様は納得しているのですか?」

「わたしは女神ミレーヌ様を信じています。今回の事も女神様の御言葉です。あなた方は女神様を信じられないのですか?」

「「「「「そんな事は!」」」」」

「だったら、ミトンの町の教会を視察をしっかりして検討するのです。聖都にみあう物なのかどうか、しっかり見届けるのです」

「「「「「わかりました」」」」」

「いいですか?絶対に色眼鏡をかけず、視察をするのですよ」

 司教と呼ばれた女性は、部下達に私情を挟まず仕事を全うするようにと言った。
 そして、聖教国の使者達はミトンの町に入り、すぐに教会へと足を運んだのだった。
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