研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第6章 研磨という職

43話 子供達の学び

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 ヒロトシの孤児院では、子供達の将来まで見据えた教育を施してくれると話題に登った。

「聞いたか?」
「ああ!聞いた聞いた。ヒロトシ様は本当にすげぇよな」
「本当だぜ。あれほど問題だったスラムの子供達を働き者にしちまった」
「俺もヒロトシ様の孤児院に入りたかったぜ」
「俺も思っていたよ」
「それより聞いたか?」
「まだなにかあるのか?」
「個人経営の孤児院の子供達も、ヒロトシ様の孤児院に入所しているらしいぜ」
「そりゃそうでしょ。ヒロトシ様のところに行けば技術が身に付けられるんだから、15才になればすぐに即戦力で働けるんだからな」
「本当にうらやましいぜ。俺なんて下積み時代が辛かったからよ」
「わかるぜ。その気持ち・・・・・・」

  町の生産者達は、ヒロトシの孤児院の子供達を羨んでいた。そして、町の教会のシスターも子供達の将来を考えて、子供達をヒロトシの孤児院へ転入させようとしていた。

「ヒロトシ様、うちの子供達も面倒を見ていただけないでしょうか?」

「シスター、何を言っているんですか?」

 ヒロトシに子供達を託そうとしてきたのは、ヒロトシがいつもお祈りをしに行く教会のシスターだった。

「何をって、子供達の事を考えたらヒロトシ様に託した方が子供達の為になるから、子供達をお願いしたいのです」

「いやいや、シスターの教会孤児院の子供達はシスターの側にいた方が子供にとってもいいでしょ?」

「そんなことはありません!このままわたくしの孤児院にいても、子供達が15才になってからスタートになります。しかし、ヒロトシ様に託せば子供達は、生活に困る事はありません」

「シスターはそれでいいのか?子供達はシスターになついているじゃないか。それに、俺もシスターが子供の事を可愛がっているのをしっている」

「それでも子供達の事を考えたら、うちの孤児院にいるよりヒロトシ様の孤児院に在籍したほうが、子供達の為になると思います」

 ヒロトシは、子供達がシスターの側を離れたくないと言っているのを知っていた。それほどシスターは子供達を可愛がっていた。

「とりあえずシスター子供達を預かる話は保留にさせてほしい」

「なんでですか?」

「子供達は、俺の孤児院に在籍する事に納得してないからだよ」

「それは、わたくしの方で説得します」

「嫌がる子供達を無理やり言うことを聞かせるのは間違っているよ」

「ですが・・・・・・」

「実はですね。このように孤児院を転院させようとしているのは、シスターのところだけじゃないんですよ。たしかに、子供達の中には転院を希望する子供達がいます」

「では、ヒロトシ様は希望する子供達だけ受け入れるおつもりですか?」

「自分がこの孤児院に来たいと思っているから、やる気も出るというものですよ」

「じゃあ、ヒロトシ様はうちの子供達はやる気がないと言うのですか?」

「そうは言ってないよ」

 シスターはヒロトシの説明に憤慨した。シスターが顔を真っ赤にして怒った事に、ヒロトシは慌てて否定した。

「ですが、ヒロトシ様はうちの子供達がやる気がないと・・・・・・」

「そうじゃないよ。子供達の気持ちを無視をしてシスターの気持ちを押し付けては駄目だと言っているんだ」

「だけど・・・・・・」

「シスターは子供達の事を考えているから、子供達もシスターを慕って離れたくないと言っているんだよ」

 ヒロトシは、シスターになついている子供達を無理やり転院させる事を断り、別の提案をした。

「シスター?」

「わかりました。うちの子供達をヒロトシ様に、押しつけようとしたわたくしが間違ってました。申し訳ありません」

「シスターは、何を言っているんだ?俺が、子供達を押しつけられるなんて思うわけないだろ?」

「・・・・・・」

「いつもお祈りをしに行く教会の子供達だぞ。ダーツやナ―シャの事は俺だって幸せになってほしいと思っている」

「だったら!」

「だけど、シスターの側を離れたくないと言う子供達は預かれない。それより、いい案がある」

「いい案?」

「子供達をこの孤児院に通わせたらいいんだよ」

「通わせる?」

「ああ!シスターのところの子供のように、今の孤児院を離れたくないと言う子供達は、たくさんいるんだ」

「なるほど」

 ヒロトシは、子供達を昼間、鶏の世話をしてもらうことで人員を確保して、その対価として手に職をつけさせると提案した。

「シスターは、子供達の世話をしてもらい、昼間は俺が世話をしよう。子供達の昼間のご飯は俺が用意すれば、教会の負担も楽になるだろ?」

「子供達は、いつ学べるのですか?」

「週に一回休みがあるじゃないか?子供達にはその休みの日に生産者の手伝いをしてもらう」

 シスターは、ヒロトシの提案を受け入れ、教会に帰り、子供達に説明した。子供達はシスターの側にいれる事を喜び、次の日からヒロトシのところで鶏の世話をしたのだった。
 そして、町の教会孤児院の子供達には、ヒロトシの養鶏場で働いてもらうことになった。

 子供達が、その日鶏の世話をした帰りヒロトシに呼び止められた。

「おーい!ダーツ、ナ―シャ教会に帰る時は事務所に寄れよ。朝来た時言っただろ?」

「「「「「あっ、忘れてた」」」」」

 シスターのところの子供達は、5人揃って養鶏場に来ていた。他の孤児院の子供達も事務所に寄り、今日の給金をもらっていた。

「ヒロトシ兄ちゃんこれは?」

「今日働いた給金に決まっているだろ」

「でも、お母さん(シスター)からは鶏の世話をする対価で休みの日に生産職を教えてくれるって聞いたぞ」

「いやいや、タダ働きをさせる訳ないよ。これは君たちが今日働いた給金だ。まぁ、安くて悪いが受け取ってくれ」

「「「「「こんなにいいの?」」」」」」

 子供達は、安いと聞いたがギルドの雑用依頼よりも多くてびっくりしていた。
 子供達は、いつもギルドのFランクの依頼を受けてその日の給金をシスターに渡していた。
 ギルドの依頼は、ギルドが中間マージンをとっている為、どうしても安くなるが、養鶏場の仕事は直接契約となり、ギルドの取り分がないので子供達は高いと思っていた。

「いいか?注意しておくが、世の中には悪い事を考える人間もいるからな。ギルドの依頼は安全が保証されている。もし、依頼をやったのに依頼料金を払わない人間も世の中にはいるんだ」

「本当か?」

「その時、ギルドの依頼は保証されるが、このようにギルドを通さす依頼をした場合、高い給金で釣って騙された場合泣き寝入りする場合もあるから、信頼おける人間から直接契約をしろよ」

 ヒロトシは、子供達に世の中の事をちゃんと教えていた。子供達は、おいしい話には飛びつかない事を学んだのだった。
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