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第6章 研磨という職
38話 不服を申し立てる
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ヒロトシが作った孤児院は、宣伝の必要がいらなくて子供達の間で瞬く間に拡がった。
そして、聖教国所属の教会の孤児院の子供達は、孤児院を出てヒロトシが経営する孤児院に移り住んだ。
「ヒロトシ様!あたしここに来て本当に良かったです」
「イライザ、そう言ってくれて俺も嬉しいよ」
子供達は、鶏の世話をして笑顔一杯に笑ってくれていた。鶏はヒロトシがテイムして養鶏場に放たれたものだ。
鶏は、薄暗い部屋の中ではなく、広大な土地に放たれて元気に動き回れるようにしていた。
テイム生物なので、逃げ回ることはなく朝になれば一回だけ鳴くようにした賢い鶏である。
「テイム生物だから、人間の言う事も聞いて楽だよね」
「確かに!」
「わしもこんなに楽な鶏は初めてだよ」
養鶏場経験者の奴隷を、ヒロトシは購入してここで働いてもらっていた。又、孤児院の世話をする人間も、奴隷を購入している。
「でも、ヒロトシ様」
「あたし達のご飯は本当に大丈夫なのですか?」
「子供が心配しなくてもいいよ。こういうのは大人に甘えたらいいんだよ」
「だけど、他の大人はあたし達の事なんて気にもしてなかったよ」
「そんな事はないぞ?」
「嘘だ!大人なんか、あたし達をいいように扱って言う事を聞かなかったら、その日のご飯はくれなかったんだよ」
「それは俺も同じだよ。君たちはちゃんと鶏の世話をしているから、ご飯がもらえるんだよ」
「でも、教会の孤児院は一日一食しかなかったよ。ここでは一日三食ももらえるし、服もベッドだってもらえるんだよ」
「子供達だって働いたら、満足いく収入は当たり前だろ?お金で渡せないとなれば、満足できる生活をあたえるのは当たり前だ」
「そんなの聞いた事ないよ」
「ここではそれが普通だ。君たちは鶏を世話する事でサンライトに多大な利益をあげているんだぞ?」
「「「「「あたし達が?」」」」」
「そうだ。サンライトでは卵を大量に使うけど、これを業者から購入すると卵一個50ゴールドかかるが、君たちが世話する事で20ゴールドに抑えることができるんだ」
「凄い」
「その浮いたお金が君たちの食事や服になっているんだよ」
「でも、そう考えると・・・・・・ヒロトシ様の儲けがないんじゃ」
「イライザは賢いな。そんなとこにも気づけるのか?」
「あたしは、大人になったら商人になりたいもの」
「そうなんだ。そいつは失礼した。しかし、商人になりたいならいろんなところに気を配るようにしないといけないよ」
「どういう事ですか?」
「イライザは儲けの事を考えれたけど、まだ全体に見れていないんだ。卵が直接安く仕入れれるって事で、新鮮な卵を仕入れれるようになったんだよ」
「・・・・・・」
「わからないかい?新鮮な卵を使うことで、サンライトのお客さまが増える事になるんだよ」
「それはなんでですか?」
「そりゃ当然だよ。今までと同じ値段でより美味しいケーキが提供できるんだ。お客さまは満足するから客足が伸びる事になり、俺の儲けもでる事になるんだよ」
「なるほど!」
「君たちは鶏を無理なく世話をして、日々の生活ができるようになり、俺は君たちの協力で儲ける事ができるんだ。損をする人間はいないんだよ」
子供達は、ヒロトシの話を真剣に聞いていた。そして、子供達の間でその話が噂になり、教会孤児院の子供達がいなくなってしまい、ヒロトシの孤児院に子供達が集まってしまったのだ。
この事で、不満をあらわにしたのが教会だった。孤児院から子供達がいなくなってしまい、ミトンの町から補助金を打ち切られてしまったのだ。
しかし、個人経営をしている孤児院からは、子供達が離れる事はなかった。5人程の人数ならば、食事や服も与えられていた為、子供達はシスターになついていたからだ。
つまり、個人経営をしている孤児院でも、日頃子供達を利用している孤児院からは、子供達が一斉にヒロトシの孤児院に移り住んだ事となったのだ。
これに不服を申し立てたのは、孤児院の経営者達だった。
「シルフォード様!補助金をいきなり打ち切るのはあまりにございます」
「しかし、孤児院と言っても子供達がいないじゃないか?そこに補助金は出せぬよ」
「しかし、いきなり子供達を奪われてこちらも困っているのです」
「困るもなにも、子供達がいないのであれば教会に町から補助金を出す必要はあるまい。あの税金は子供達を飢えささないようにしてもらう為のものだ」
「しかし、いきなり子供達を奪われて、ヒロトシ様の孤児院だけが補助金を全部もらう事は納得できないです!」
「馬鹿な事を!」
「しかし、あの孤児院は町の子供達をほとんど抱え込んでしまったのです。だったら、補助金は全てヒロトシ様の孤児院が・・・・・・」
「私が馬鹿な事を!と言ったのは、ヒロトシ君の孤児院は補助金の申請をしてないからだ。貴方達教会と一緒にしないでもらいたいと言っているんだ!」
「馬鹿な!あの人数ならば補助金が絶対に必要なはずだ!」
「ヒロトシ君は、子供達の事を第一に考えている。子供達を利用して補助金を奪う事はしていないんです」
「我々を馬鹿にしないでもらいたい!補助金を奪うだと!」
「確かに貴方達教会の孤児院は今までありがたい存在だった。それは認めます。しかし、ヒロトシ君の孤児院は補助金申請せずに運営をしているのです」
「そんなの最初だけだ!いずれ、他の孤児院を潰したら、補助金の申請をするに決まっている」
「そうかもしれないな」
「そんな不正、シルフォード様は認めるおつもりですか?」
「いやいや、不正ではなく補助金制度は当然の権利であろう」
「我々の孤児院が潰れてもいいと申すのか?」
「そうは言ってはおらん。それより何で、教会孤児院から子供達がいなくなった事を重く受け止めらないのだ?」
「そ、それは・・・・・・」
「私からこういう事を言うのは心苦しいが、教会孤児院の生活は、子供達にとって苦しいものだったんじゃなかったのかね?」
シルフォードの言葉に、教会関係者達はぐうの音も言えなかった。
そして、聖教国所属の教会の孤児院の子供達は、孤児院を出てヒロトシが経営する孤児院に移り住んだ。
「ヒロトシ様!あたしここに来て本当に良かったです」
「イライザ、そう言ってくれて俺も嬉しいよ」
子供達は、鶏の世話をして笑顔一杯に笑ってくれていた。鶏はヒロトシがテイムして養鶏場に放たれたものだ。
鶏は、薄暗い部屋の中ではなく、広大な土地に放たれて元気に動き回れるようにしていた。
テイム生物なので、逃げ回ることはなく朝になれば一回だけ鳴くようにした賢い鶏である。
「テイム生物だから、人間の言う事も聞いて楽だよね」
「確かに!」
「わしもこんなに楽な鶏は初めてだよ」
養鶏場経験者の奴隷を、ヒロトシは購入してここで働いてもらっていた。又、孤児院の世話をする人間も、奴隷を購入している。
「でも、ヒロトシ様」
「あたし達のご飯は本当に大丈夫なのですか?」
「子供が心配しなくてもいいよ。こういうのは大人に甘えたらいいんだよ」
「だけど、他の大人はあたし達の事なんて気にもしてなかったよ」
「そんな事はないぞ?」
「嘘だ!大人なんか、あたし達をいいように扱って言う事を聞かなかったら、その日のご飯はくれなかったんだよ」
「それは俺も同じだよ。君たちはちゃんと鶏の世話をしているから、ご飯がもらえるんだよ」
「でも、教会の孤児院は一日一食しかなかったよ。ここでは一日三食ももらえるし、服もベッドだってもらえるんだよ」
「子供達だって働いたら、満足いく収入は当たり前だろ?お金で渡せないとなれば、満足できる生活をあたえるのは当たり前だ」
「そんなの聞いた事ないよ」
「ここではそれが普通だ。君たちは鶏を世話する事でサンライトに多大な利益をあげているんだぞ?」
「「「「「あたし達が?」」」」」
「そうだ。サンライトでは卵を大量に使うけど、これを業者から購入すると卵一個50ゴールドかかるが、君たちが世話する事で20ゴールドに抑えることができるんだ」
「凄い」
「その浮いたお金が君たちの食事や服になっているんだよ」
「でも、そう考えると・・・・・・ヒロトシ様の儲けがないんじゃ」
「イライザは賢いな。そんなとこにも気づけるのか?」
「あたしは、大人になったら商人になりたいもの」
「そうなんだ。そいつは失礼した。しかし、商人になりたいならいろんなところに気を配るようにしないといけないよ」
「どういう事ですか?」
「イライザは儲けの事を考えれたけど、まだ全体に見れていないんだ。卵が直接安く仕入れれるって事で、新鮮な卵を仕入れれるようになったんだよ」
「・・・・・・」
「わからないかい?新鮮な卵を使うことで、サンライトのお客さまが増える事になるんだよ」
「それはなんでですか?」
「そりゃ当然だよ。今までと同じ値段でより美味しいケーキが提供できるんだ。お客さまは満足するから客足が伸びる事になり、俺の儲けもでる事になるんだよ」
「なるほど!」
「君たちは鶏を無理なく世話をして、日々の生活ができるようになり、俺は君たちの協力で儲ける事ができるんだ。損をする人間はいないんだよ」
子供達は、ヒロトシの話を真剣に聞いていた。そして、子供達の間でその話が噂になり、教会孤児院の子供達がいなくなってしまい、ヒロトシの孤児院に子供達が集まってしまったのだ。
この事で、不満をあらわにしたのが教会だった。孤児院から子供達がいなくなってしまい、ミトンの町から補助金を打ち切られてしまったのだ。
しかし、個人経営をしている孤児院からは、子供達が離れる事はなかった。5人程の人数ならば、食事や服も与えられていた為、子供達はシスターになついていたからだ。
つまり、個人経営をしている孤児院でも、日頃子供達を利用している孤児院からは、子供達が一斉にヒロトシの孤児院に移り住んだ事となったのだ。
これに不服を申し立てたのは、孤児院の経営者達だった。
「シルフォード様!補助金をいきなり打ち切るのはあまりにございます」
「しかし、孤児院と言っても子供達がいないじゃないか?そこに補助金は出せぬよ」
「しかし、いきなり子供達を奪われてこちらも困っているのです」
「困るもなにも、子供達がいないのであれば教会に町から補助金を出す必要はあるまい。あの税金は子供達を飢えささないようにしてもらう為のものだ」
「しかし、いきなり子供達を奪われて、ヒロトシ様の孤児院だけが補助金を全部もらう事は納得できないです!」
「馬鹿な事を!」
「しかし、あの孤児院は町の子供達をほとんど抱え込んでしまったのです。だったら、補助金は全てヒロトシ様の孤児院が・・・・・・」
「私が馬鹿な事を!と言ったのは、ヒロトシ君の孤児院は補助金の申請をしてないからだ。貴方達教会と一緒にしないでもらいたいと言っているんだ!」
「馬鹿な!あの人数ならば補助金が絶対に必要なはずだ!」
「ヒロトシ君は、子供達の事を第一に考えている。子供達を利用して補助金を奪う事はしていないんです」
「我々を馬鹿にしないでもらいたい!補助金を奪うだと!」
「確かに貴方達教会の孤児院は今までありがたい存在だった。それは認めます。しかし、ヒロトシ君の孤児院は補助金申請せずに運営をしているのです」
「そんなの最初だけだ!いずれ、他の孤児院を潰したら、補助金の申請をするに決まっている」
「そうかもしれないな」
「そんな不正、シルフォード様は認めるおつもりですか?」
「いやいや、不正ではなく補助金制度は当然の権利であろう」
「我々の孤児院が潰れてもいいと申すのか?」
「そうは言ってはおらん。それより何で、教会孤児院から子供達がいなくなった事を重く受け止めらないのだ?」
「そ、それは・・・・・・」
「私からこういう事を言うのは心苦しいが、教会孤児院の生活は、子供達にとって苦しいものだったんじゃなかったのかね?」
シルフォードの言葉に、教会関係者達はぐうの音も言えなかった。
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