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第6章 研磨という職
37話 歓喜する子供達
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ヒロトシは、シルフォードと話し合いをしたが、教会の孤児院には口出しはできないと断られた。
シルフォードもまた、子供達の孤児院での待遇に納得できないところもあったが、一日一食でも食事をあたえることで、子供達の犯罪をおさえている事も事実だったからだ。
シルフォードが、教会の孤児院にうるさく言って孤児院を辞められると、シルフォードも困る事になるからだ。
「まさか、シルフォード様が教会孤児院に口出しできないとは思わなかったな・・・・・・」
「それは仕方がない事ですよ」
「シアンとセレンは、こうなるのは知っていたのか?」
「「まぁ・・・・・・」」
「ちゃんと説明してくれよ」
「申し訳ありません」
「しかし、教会の孤児院のおかげで子供達の犯罪が減少しているのも確かなことなのです」
ミトンの町は、大きくなったおかげで教会が、孤児院をひらいた。それまで、ミトンの町には個人経営の孤児院しかなかった。
その為、子供達を保護できるのはたかがしれていて、町には子供達のひったくりがたくさんあった。
子供達も生きて行くのに必死だったのだ。
「ご主人様、この町は大きく補助金も出ている方です。聖教国所属の教会は、大きな町に孤児院をたてて町に貢献しているのです」
「それはわかっている。だからといって子供達をぞんざいに扱っていい訳じゃないだろ?」
「では、どうするおつもりですか?」
「教会側も、子供達を保護するのであれば、補助金目当てではなく子供達の事を考えるべきという事だよ」
「しかし、今までそれが普通だったのに、いきなり考え方が変わるとは思えないのですが」
「フッ。そんな事簡単に変えられるよ」
「どういう事ですか?」
「つまり、聖教国所属の教会孤児院が子供達にとって生活がしにくいと思わせたらいいんだよ」
「子供達が教会孤児院を頼らないって?そんな事があるわけないじゃないですか」
ヒロトシは、シアンとセレンの意見を聞き流し、子供達が満足できる孤児院を建てる事にしたのだ。
「シルフォード様」
「なんだ?教会孤児院に意見はできないぞ?」
「いえ。そうじゃなくて、町の城壁の外側の南の土地を頂けませんか?」
「南の土地って、正面玄関口となる城門付近か?まあ、城門の外側の土地は誰でも使ってもかまわん」
「そうですか。それは良かったです」
「ただし、夜になっても兵士達から守ってもらえないぞ?ヒロトシ君が自己責任で管理しないといけないが大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。そこに子供達の楽園を作るつもりですから」
「どういう事だ?」
「要は孤児院を建てるつもりです。子供達も町にとって必要不可欠な人材となる事になるでしょう」
「子供達がミトンの町に必要不可欠となるのか?まあ、町にとって子供達の犯罪が減るのならば私から何も文句はないよ」
ヒロトシは、正面玄関口の城門の横の土地に、ウォールオヴストーンを唱えて城門を作った。この高さの城壁はミトンの町と変わらない高さがあり、城壁に囲まれた土地も広大な土地だった。
そして、ヒロトシはミトンの町に行き来できるように城壁に出入口を作ってしまった。
「ヒロトシ様!これは一体どういう事ですか?」
「シルフォード様に許可はとったよ?城壁の外側の土地を使ってもいいって」
「しかし、城壁に出入口を作られては・・・・・・」
「でも、外からは城壁で囲まれているから入れないよ」
「なるほど。確かにここから侵入される事はないのか」
「ええ。それにこの出入口にはうちの護衛メンバーが見張りに立ちますので安心できるはずです」
「ところで、ここには何を作るおつもりですか?」
「孤児院だよ」
「こんなに大きな土地にですか?」
「ええ。この大きな土地が必要不可欠ですからね」
ヒロトシは、寮のような建物を棟梁に頼んだ。当然、寮の材料は魔の森から伐採した木材だった。
四人一部屋の作りで、ベッドも完備して食堂もある立派な寮が建った。
すると、この噂は瞬く間に拡がり孤児達は、ヒロトシが作った孤児院に群がったのだった。
食事は一日三食と言われて、月終わりにはボン菓子も付く事に子供達は歓喜したのだ。
この孤児院の嘘を聞き付けた子供達が、ヒロトシの話を真剣に聞いていた。
「ヒロトシ様?本当に一日三食ももらえるのですか?」
「ああ。嘘は言わないよ。ただし、条件があるけどな」
「条件ですか?」
「ああ!この孤児院の世話になりたい場合、ここで働いてもらう事だ」
「それは他の孤児院でも、内職の仕事があるので同じ条件なんじゃ?一日三食もらえる仕事ってどんな仕事なのですか?」
「仕事は、鶏の世話をして卵をサンライトに卸してほしい。鶏はこちらで用意するから、実質鶏の餌やりと卵の収穫だな」
「本当ですか?」
「ああ。養鶏場の経験者の指示に従ってくれたら問題はないようにするから安心してくれ。君たちは成人するまでそこで働いてもらうから、今までのようなひもじい思いはさせない」
それを聞いた子供達は、歓声をあげたのだった。
シルフォードもまた、子供達の孤児院での待遇に納得できないところもあったが、一日一食でも食事をあたえることで、子供達の犯罪をおさえている事も事実だったからだ。
シルフォードが、教会の孤児院にうるさく言って孤児院を辞められると、シルフォードも困る事になるからだ。
「まさか、シルフォード様が教会孤児院に口出しできないとは思わなかったな・・・・・・」
「それは仕方がない事ですよ」
「シアンとセレンは、こうなるのは知っていたのか?」
「「まぁ・・・・・・」」
「ちゃんと説明してくれよ」
「申し訳ありません」
「しかし、教会の孤児院のおかげで子供達の犯罪が減少しているのも確かなことなのです」
ミトンの町は、大きくなったおかげで教会が、孤児院をひらいた。それまで、ミトンの町には個人経営の孤児院しかなかった。
その為、子供達を保護できるのはたかがしれていて、町には子供達のひったくりがたくさんあった。
子供達も生きて行くのに必死だったのだ。
「ご主人様、この町は大きく補助金も出ている方です。聖教国所属の教会は、大きな町に孤児院をたてて町に貢献しているのです」
「それはわかっている。だからといって子供達をぞんざいに扱っていい訳じゃないだろ?」
「では、どうするおつもりですか?」
「教会側も、子供達を保護するのであれば、補助金目当てではなく子供達の事を考えるべきという事だよ」
「しかし、今までそれが普通だったのに、いきなり考え方が変わるとは思えないのですが」
「フッ。そんな事簡単に変えられるよ」
「どういう事ですか?」
「つまり、聖教国所属の教会孤児院が子供達にとって生活がしにくいと思わせたらいいんだよ」
「子供達が教会孤児院を頼らないって?そんな事があるわけないじゃないですか」
ヒロトシは、シアンとセレンの意見を聞き流し、子供達が満足できる孤児院を建てる事にしたのだ。
「シルフォード様」
「なんだ?教会孤児院に意見はできないぞ?」
「いえ。そうじゃなくて、町の城壁の外側の南の土地を頂けませんか?」
「南の土地って、正面玄関口となる城門付近か?まあ、城門の外側の土地は誰でも使ってもかまわん」
「そうですか。それは良かったです」
「ただし、夜になっても兵士達から守ってもらえないぞ?ヒロトシ君が自己責任で管理しないといけないが大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。そこに子供達の楽園を作るつもりですから」
「どういう事だ?」
「要は孤児院を建てるつもりです。子供達も町にとって必要不可欠な人材となる事になるでしょう」
「子供達がミトンの町に必要不可欠となるのか?まあ、町にとって子供達の犯罪が減るのならば私から何も文句はないよ」
ヒロトシは、正面玄関口の城門の横の土地に、ウォールオヴストーンを唱えて城門を作った。この高さの城壁はミトンの町と変わらない高さがあり、城壁に囲まれた土地も広大な土地だった。
そして、ヒロトシはミトンの町に行き来できるように城壁に出入口を作ってしまった。
「ヒロトシ様!これは一体どういう事ですか?」
「シルフォード様に許可はとったよ?城壁の外側の土地を使ってもいいって」
「しかし、城壁に出入口を作られては・・・・・・」
「でも、外からは城壁で囲まれているから入れないよ」
「なるほど。確かにここから侵入される事はないのか」
「ええ。それにこの出入口にはうちの護衛メンバーが見張りに立ちますので安心できるはずです」
「ところで、ここには何を作るおつもりですか?」
「孤児院だよ」
「こんなに大きな土地にですか?」
「ええ。この大きな土地が必要不可欠ですからね」
ヒロトシは、寮のような建物を棟梁に頼んだ。当然、寮の材料は魔の森から伐採した木材だった。
四人一部屋の作りで、ベッドも完備して食堂もある立派な寮が建った。
すると、この噂は瞬く間に拡がり孤児達は、ヒロトシが作った孤児院に群がったのだった。
食事は一日三食と言われて、月終わりにはボン菓子も付く事に子供達は歓喜したのだ。
この孤児院の嘘を聞き付けた子供達が、ヒロトシの話を真剣に聞いていた。
「ヒロトシ様?本当に一日三食ももらえるのですか?」
「ああ。嘘は言わないよ。ただし、条件があるけどな」
「条件ですか?」
「ああ!この孤児院の世話になりたい場合、ここで働いてもらう事だ」
「それは他の孤児院でも、内職の仕事があるので同じ条件なんじゃ?一日三食もらえる仕事ってどんな仕事なのですか?」
「仕事は、鶏の世話をして卵をサンライトに卸してほしい。鶏はこちらで用意するから、実質鶏の餌やりと卵の収穫だな」
「本当ですか?」
「ああ。養鶏場の経験者の指示に従ってくれたら問題はないようにするから安心してくれ。君たちは成人するまでそこで働いてもらうから、今までのようなひもじい思いはさせない」
それを聞いた子供達は、歓声をあげたのだった。
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