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第6章 研磨という職
36話 孤児院の実態
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ヒロトシは、ハイキュアポーションさえ使わない教会のシステムに憤りを感じた。もし、ハイキュアポーションが効かなくても、グレーターキュアポーションを使えば大抵の毒は解毒する事ができるからだ。
「グレーターキュアポーションさえも、教会は子供達の為に使用しないのか・・・・・・」
「ご主人様、それが普通なんですよ」
「そんなの普通じゃない。蛇が新種だったとしても毒は、ハイキュアポーションで十分治療可能じゃないか」
「そうですね」
「だろ?」
「しかし、実際のところ教会が子供達の心配はしておらず、孤児の援助金が目的なんですよ。病気にかかっても初級回復魔法しか使われないのが普通なんですよ」
「そういう事が普通だなんて・・・・・・そんなのおかしいだろ?子供達の未来はもっと大事に考えてやったら、ディオンだって助かったかもしれないのに・・・・・・」
「それでご主人様?いったいどうするおつもりですか?」
「ミトンの町の教会の孤児院は廃止だな」
「そんなの可能なのですか?それに廃止した場合、孤児達の行き場所がなくなるんじゃあ」
「この証拠を提出して、個人の教会に子供達を移してもらうのはどうだ?」
「そんなうまく行くとは思えないですか?」
「まぁ、とりあえずだな。シルフォード様に報告をしないといけないだろ」
ヒロトシは、シルフォードに子供達の状況を報告した。この報告に、シルフォードも驚愕して言葉がなかったのだ。
「ヒロトシ君、これは本当なのか?」
「ええ本当です。今すぐ、聖教国所属の教会の孤児院は何らかの処置をしないと、子供達がくいものにされています」
「処置と言っても何をしろと・・・・・・」
「子供達に、一日一食しかご飯を与えないんておかしいでしょ?」
「ヒロトシ君の言いたい事は分かる。しかし、教会の孤児院は個人の孤児院経営とは意味が違うんだ」
「それはどういう事ですか?」
「よく聞きたまえ。個人経営の孤児院は孤児の人数は多くても、10人はいない。しかし、聖教国所属の教会の孤児院は、100人程の収容人数になるんだ」
「だから、なんだというのですか?子供達をあずかり育ているんでしょ?人数が多いから手が回らないというのは言い訳にはならないでしょ?」
「しかしだな。町としてもそんな多人数をあずかってくれる施設はないから助かっているんだ。町としてもきつい事は言えないんだよ」
「馬鹿な事を!子供達は食事も満足にさせてもらえていないんですよ。それに、病気にかかっても治療してもらえないんだ」
「まぁ、待ちたまえ。食事が出るだけありがたいと思ってもらわないといけない」
「いやいや、町から補助金が出ているじゃないですか?子供達が怪我をしたらヒール代金を抜いて着服しているんですよ?」
「着服しているんじなく、当然の権利じゃないか。子供達に治療費が払えるわけはなかろう?」
「そうじゃないでしょ?子供の人数も考えず収容するだけして、後の事は考えずギリギリで運営するのは間違っていると思えませんか?」
「しかし、それだけ孤児が多いのも事実だ」
「じゃあ、どうあっても今のシステムを改善するつもりはないと?」
「いやいや、改善するのは孤児院側の問題だよ。辛くても子供達は孤児院を頼るしかないだろ?私達は孤児院に補助金として援助するしかないんだよ」
「ん?ちょっと待ってください」
「どうした?」
「孤児院は、町が教会にお願いしてるんじゃ?」
「違うよ。教会が孤児院の経営をしているだけだ。町としても子供達を保護してくれているので、補助金制度を使ってもらっているだけだ」
「なるほど!そういう事でしたか」
「だから、町として教会にきつくは言えないんだ。教会が孤児院を辞められると、町としても困るんだよ」
「なるほど・・・・・・」
「じゃあ、子供達は孤児院から出る食事を当てにしているだけという事ですか?」
「それは子供達に聞かないとわからんよ。雨風が防げるだけでありがたいと思っている子供達もいるかもしれんだろ?」
「シルフォード様が同じ立場だったら、雨風が防げるだけでいいと言うのですか?」
「それは・・・・・・」
「違うでしょ?食事だって、一日一食だけじゃなくしっかり食べたいでしょ?」
「私はそうだが、私はちゃんと働いているではないか」
「そりゃもちろんですよ。今言っているのはそういう事じゃないです。子供達をちゃんと保護できる環境を整えてあげてほしいと言っているんですよ」
「それは無理というものだ」
「孤児が数百人を食べさせるとなると、どれだけ予算を組まないといけないか・・・・・・ヒロトシ君も最近ではボン菓子を子供達に提供しているが、ただではあるまい?」
「それを言われるときついが、孤児院は子供を保護するのが本職じゃないか」
「だから、教会側もできる事をやっているんだろ?違うのかね?」
「わかったよ・・・・・・」
「わかってくれて助かるよ」
ヒロトシは、シルフォードの立場で教会の孤児院にうるさく言えない立場ではないと理解するのだった。
「グレーターキュアポーションさえも、教会は子供達の為に使用しないのか・・・・・・」
「ご主人様、それが普通なんですよ」
「そんなの普通じゃない。蛇が新種だったとしても毒は、ハイキュアポーションで十分治療可能じゃないか」
「そうですね」
「だろ?」
「しかし、実際のところ教会が子供達の心配はしておらず、孤児の援助金が目的なんですよ。病気にかかっても初級回復魔法しか使われないのが普通なんですよ」
「そういう事が普通だなんて・・・・・・そんなのおかしいだろ?子供達の未来はもっと大事に考えてやったら、ディオンだって助かったかもしれないのに・・・・・・」
「それでご主人様?いったいどうするおつもりですか?」
「ミトンの町の教会の孤児院は廃止だな」
「そんなの可能なのですか?それに廃止した場合、孤児達の行き場所がなくなるんじゃあ」
「この証拠を提出して、個人の教会に子供達を移してもらうのはどうだ?」
「そんなうまく行くとは思えないですか?」
「まぁ、とりあえずだな。シルフォード様に報告をしないといけないだろ」
ヒロトシは、シルフォードに子供達の状況を報告した。この報告に、シルフォードも驚愕して言葉がなかったのだ。
「ヒロトシ君、これは本当なのか?」
「ええ本当です。今すぐ、聖教国所属の教会の孤児院は何らかの処置をしないと、子供達がくいものにされています」
「処置と言っても何をしろと・・・・・・」
「子供達に、一日一食しかご飯を与えないんておかしいでしょ?」
「ヒロトシ君の言いたい事は分かる。しかし、教会の孤児院は個人の孤児院経営とは意味が違うんだ」
「それはどういう事ですか?」
「よく聞きたまえ。個人経営の孤児院は孤児の人数は多くても、10人はいない。しかし、聖教国所属の教会の孤児院は、100人程の収容人数になるんだ」
「だから、なんだというのですか?子供達をあずかり育ているんでしょ?人数が多いから手が回らないというのは言い訳にはならないでしょ?」
「しかしだな。町としてもそんな多人数をあずかってくれる施設はないから助かっているんだ。町としてもきつい事は言えないんだよ」
「馬鹿な事を!子供達は食事も満足にさせてもらえていないんですよ。それに、病気にかかっても治療してもらえないんだ」
「まぁ、待ちたまえ。食事が出るだけありがたいと思ってもらわないといけない」
「いやいや、町から補助金が出ているじゃないですか?子供達が怪我をしたらヒール代金を抜いて着服しているんですよ?」
「着服しているんじなく、当然の権利じゃないか。子供達に治療費が払えるわけはなかろう?」
「そうじゃないでしょ?子供の人数も考えず収容するだけして、後の事は考えずギリギリで運営するのは間違っていると思えませんか?」
「しかし、それだけ孤児が多いのも事実だ」
「じゃあ、どうあっても今のシステムを改善するつもりはないと?」
「いやいや、改善するのは孤児院側の問題だよ。辛くても子供達は孤児院を頼るしかないだろ?私達は孤児院に補助金として援助するしかないんだよ」
「ん?ちょっと待ってください」
「どうした?」
「孤児院は、町が教会にお願いしてるんじゃ?」
「違うよ。教会が孤児院の経営をしているだけだ。町としても子供達を保護してくれているので、補助金制度を使ってもらっているだけだ」
「なるほど!そういう事でしたか」
「だから、町として教会にきつくは言えないんだ。教会が孤児院を辞められると、町としても困るんだよ」
「なるほど・・・・・・」
「じゃあ、子供達は孤児院から出る食事を当てにしているだけという事ですか?」
「それは子供達に聞かないとわからんよ。雨風が防げるだけでありがたいと思っている子供達もいるかもしれんだろ?」
「シルフォード様が同じ立場だったら、雨風が防げるだけでいいと言うのですか?」
「それは・・・・・・」
「違うでしょ?食事だって、一日一食だけじゃなくしっかり食べたいでしょ?」
「私はそうだが、私はちゃんと働いているではないか」
「そりゃもちろんですよ。今言っているのはそういう事じゃないです。子供達をちゃんと保護できる環境を整えてあげてほしいと言っているんですよ」
「それは無理というものだ」
「孤児が数百人を食べさせるとなると、どれだけ予算を組まないといけないか・・・・・・ヒロトシ君も最近ではボン菓子を子供達に提供しているが、ただではあるまい?」
「それを言われるときついが、孤児院は子供を保護するのが本職じゃないか」
「だから、教会側もできる事をやっているんだろ?違うのかね?」
「わかったよ・・・・・・」
「わかってくれて助かるよ」
ヒロトシは、シルフォードの立場で教会の孤児院にうるさく言えない立場ではないと理解するのだった。
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