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第6章 研磨という職
35話 次のやる事
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子供達の楽しみは、月末にくるヒロトシのポン菓子の存在だった。ヒロトシが広場にくると、大きな爆発音が聞こえてくることで、あちこちから子供達が集まってくるのだ。
「ヒロトシお兄ちゃん。お米持ってきたよ」
「いつもありがとう」
「ううん。お兄ちゃんのボン菓子楽しみなんだ」
「そうか。楽しみにしてくれてありがとう」
子供達の間では、ポン菓子がいつの間にかボン菓子とよびかたが変わっていた。
これは、爆発音からよびかたが変わったみたいだった。
「ねえ、お兄ちゃん」
「イライザどうした?」
「なんでポン菓子って言うの?どう考えてもボン菓子の方があってるよ」
「なんでかな?ポン菓子の方が可愛くないか?」
「でも、あの大きな爆発音ポンじゃあないね。最初本当にびっくりしたもん」
「ごめんごめん。だけど、月末ポン菓子が楽しみになっただろ?」
「うん!お兄ちゃんありがとう」
「それにしても、今日はディオンの奴来てないな。いつもなら、爆発音が聞こえたら真っ先にくるのに何かあったかな」
ここで、イライザから衝撃の事実をきかされた。
「お兄ちゃん、ディオンはもういないよ」
「いないってどういう事?」
イライザは悲しそうにして、ヒロトシに10日ほど前の事を説明した。
イライザとディオンは、同じ孤児院だった。シルフォードのおかげで補助金が予算に組まれ、日々の生活が大分よくなってきていた。
しかし、それは健康児に対しての話だった。病気になった場合、薬が直ぐに手に入るかといえばそうではない。
それとこの世界では毒の存在が身近である。大人なら注意する知識があるが、孤児院の子供にはまだそういった知識がないのだ。
「ディオンは、10日前孤児院の中庭で遊んでいた時に毒蛇に噛まれたんだよ」
「はぁ?そ、それで」
「そのまま死んじゃった」
その話を聞いて、ヒロトシは愕然とした。蛇に噛まれたぐらいなら、キュアポーションで簡単に治療できるはずだったからだ。
「嘘だろ?キュアポーションで十分じゃないか」
「シスターも最初そんな事言ってたんだよ。だけどキュアで治らなかったんだ」
「なんで?」
「その蛇は強い毒を持っていたみたいなの。だからシスターのキュアで治らなかったんだ」
ヒロトシは、その説明に落ち込み、ミトンの町でも補助金が足りない事を思い知らされた。
補助金は、子供達のご飯や建物の修繕費に使われていて、怪我をしたり病気になった時の治療費までは手が出なかったみたいだ。
「その蛇はどうした?」
「兵士の人が殺したよ。なんでも新種の可能性があるって言ってた」
「そ、そうか・・・・・・だけど、キュアが効かないのであればシスターの上司の司祭がハイキュアとか使ってくれないのか?」
「そんなお金なんかないよ」
「だけどシスターはキュアを使ってくれたんだろ?」
「シスターだってキュアを使ったらお金をもらっているよ。」
「どこから?」
「補助金があるから、きっとそこから引いているんだよ。ディオンが亡くなった次の日のご飯はスープだけだったんだから」
それを聞いて、ヒロトシの顔は怒りにみちあふれていた。
「お兄ちゃん、顔が怖いよ」
「あっ、ごめん」
「どうしたの?あたし、なにか変なこと言ったかな?」
イライザからしたら、こうした事は普通の事だった。それゆえに、純粋にヒロトシに説明しただけだったのだ。
「まさか、孤児院がそんなところだったとはな」
「お兄ちゃん?涙が・・・・・・」
「いや、大丈夫だ」
(町の闇は、貴族だけじゃないのか)
ヒロトシは、ディオンの死を悲しんだ。
「シアン、セレンいるだろ?」
「「はい」」
「今のを聞いたろ?」
「聞きましたが何をしようというのですか?」
「そんなの決まっているだろ?子供達が安心して生活ができるようにする」
「しかし、孤児院の経営は教会がメインとなっています」
「教会が経営?子供達を食い物にしているだけじゃないか」
「しかし、孤児院は昔から・・・・・・」
「だから、お前達で詳しく調べてほしい」
ヒロトシは、教会の実態を把握したかった。いつもお祈りに行く教会のシスターがそんなあこぎな真似をしているとは思えなかったからだ。
そこにも孤児院があるが、その規模は小さいが孤児院の修繕もされていた。
イライザがいうような扱いがされているとは思えなかったからだ。
「「わかりました」」
シアンとセレンは、まずヒロトシの通う教会から潜入を開始した。その報告を受けたヒロトシはホッとする事になる。
シアンとセレンの報告は、教会には2種類あったからだ。
聖教国に属して、大陸中にその拠点がある教会と個人でしている教会だ。
ヒロトシが通う教会は、シスターが父の神父から引き継いだ教会で個人経営のものだった。
「つまり、教会には2種類あるという事か?」
「「そういう事ですね」」
「で?立派な建物がある教会が聖教国所属の教会って事なのはわかった」
「それでですね。やはり、ご主人様の懸念は当たっていました。」
「聖教国所属の教会は、子供達の扱いは相当酷いものです」
シアンとセレンの報告は酷いものだった。子供達は大部屋で閉じ込められ、ご飯は一日一食で自由に遊べる時間もないらしい。
ヒロトシの出店が唯一の楽しみであり、他の時間は内職をさせられていた。
ディオンはやんちゃなところがあり、教会の大部屋を抜け出し遊んでいた時に、蛇に噛まれたらしいのだ。
その報告を受けたヒロトシは、次のやることが決まったのだった。
「ヒロトシお兄ちゃん。お米持ってきたよ」
「いつもありがとう」
「ううん。お兄ちゃんのボン菓子楽しみなんだ」
「そうか。楽しみにしてくれてありがとう」
子供達の間では、ポン菓子がいつの間にかボン菓子とよびかたが変わっていた。
これは、爆発音からよびかたが変わったみたいだった。
「ねえ、お兄ちゃん」
「イライザどうした?」
「なんでポン菓子って言うの?どう考えてもボン菓子の方があってるよ」
「なんでかな?ポン菓子の方が可愛くないか?」
「でも、あの大きな爆発音ポンじゃあないね。最初本当にびっくりしたもん」
「ごめんごめん。だけど、月末ポン菓子が楽しみになっただろ?」
「うん!お兄ちゃんありがとう」
「それにしても、今日はディオンの奴来てないな。いつもなら、爆発音が聞こえたら真っ先にくるのに何かあったかな」
ここで、イライザから衝撃の事実をきかされた。
「お兄ちゃん、ディオンはもういないよ」
「いないってどういう事?」
イライザは悲しそうにして、ヒロトシに10日ほど前の事を説明した。
イライザとディオンは、同じ孤児院だった。シルフォードのおかげで補助金が予算に組まれ、日々の生活が大分よくなってきていた。
しかし、それは健康児に対しての話だった。病気になった場合、薬が直ぐに手に入るかといえばそうではない。
それとこの世界では毒の存在が身近である。大人なら注意する知識があるが、孤児院の子供にはまだそういった知識がないのだ。
「ディオンは、10日前孤児院の中庭で遊んでいた時に毒蛇に噛まれたんだよ」
「はぁ?そ、それで」
「そのまま死んじゃった」
その話を聞いて、ヒロトシは愕然とした。蛇に噛まれたぐらいなら、キュアポーションで簡単に治療できるはずだったからだ。
「嘘だろ?キュアポーションで十分じゃないか」
「シスターも最初そんな事言ってたんだよ。だけどキュアで治らなかったんだ」
「なんで?」
「その蛇は強い毒を持っていたみたいなの。だからシスターのキュアで治らなかったんだ」
ヒロトシは、その説明に落ち込み、ミトンの町でも補助金が足りない事を思い知らされた。
補助金は、子供達のご飯や建物の修繕費に使われていて、怪我をしたり病気になった時の治療費までは手が出なかったみたいだ。
「その蛇はどうした?」
「兵士の人が殺したよ。なんでも新種の可能性があるって言ってた」
「そ、そうか・・・・・・だけど、キュアが効かないのであればシスターの上司の司祭がハイキュアとか使ってくれないのか?」
「そんなお金なんかないよ」
「だけどシスターはキュアを使ってくれたんだろ?」
「シスターだってキュアを使ったらお金をもらっているよ。」
「どこから?」
「補助金があるから、きっとそこから引いているんだよ。ディオンが亡くなった次の日のご飯はスープだけだったんだから」
それを聞いて、ヒロトシの顔は怒りにみちあふれていた。
「お兄ちゃん、顔が怖いよ」
「あっ、ごめん」
「どうしたの?あたし、なにか変なこと言ったかな?」
イライザからしたら、こうした事は普通の事だった。それゆえに、純粋にヒロトシに説明しただけだったのだ。
「まさか、孤児院がそんなところだったとはな」
「お兄ちゃん?涙が・・・・・・」
「いや、大丈夫だ」
(町の闇は、貴族だけじゃないのか)
ヒロトシは、ディオンの死を悲しんだ。
「シアン、セレンいるだろ?」
「「はい」」
「今のを聞いたろ?」
「聞きましたが何をしようというのですか?」
「そんなの決まっているだろ?子供達が安心して生活ができるようにする」
「しかし、孤児院の経営は教会がメインとなっています」
「教会が経営?子供達を食い物にしているだけじゃないか」
「しかし、孤児院は昔から・・・・・・」
「だから、お前達で詳しく調べてほしい」
ヒロトシは、教会の実態を把握したかった。いつもお祈りに行く教会のシスターがそんなあこぎな真似をしているとは思えなかったからだ。
そこにも孤児院があるが、その規模は小さいが孤児院の修繕もされていた。
イライザがいうような扱いがされているとは思えなかったからだ。
「「わかりました」」
シアンとセレンは、まずヒロトシの通う教会から潜入を開始した。その報告を受けたヒロトシはホッとする事になる。
シアンとセレンの報告は、教会には2種類あったからだ。
聖教国に属して、大陸中にその拠点がある教会と個人でしている教会だ。
ヒロトシが通う教会は、シスターが父の神父から引き継いだ教会で個人経営のものだった。
「つまり、教会には2種類あるという事か?」
「「そういう事ですね」」
「で?立派な建物がある教会が聖教国所属の教会って事なのはわかった」
「それでですね。やはり、ご主人様の懸念は当たっていました。」
「聖教国所属の教会は、子供達の扱いは相当酷いものです」
シアンとセレンの報告は酷いものだった。子供達は大部屋で閉じ込められ、ご飯は一日一食で自由に遊べる時間もないらしい。
ヒロトシの出店が唯一の楽しみであり、他の時間は内職をさせられていた。
ディオンはやんちゃなところがあり、教会の大部屋を抜け出し遊んでいた時に、蛇に噛まれたらしいのだ。
その報告を受けたヒロトシは、次のやることが決まったのだった。
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