研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第6章 研磨という職

34話 子供達のお祭り

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 ヒロトシは、セバスとガインの反応を見て、子供達も喜んでくれると確信ができた。
 そして、ヒロトシは何人かのメイド達とカノン達護衛メンバーを引き連れて、ミトンの町の広場に向かった。

「子供達はお米を一握り持って来てくれたら、ポン菓子は1ゴールドだよ!」

「ヒロトシ様、ポン菓子ってなんだ?」

「お米を使ったお菓子だよ」

 子供達の中には、ヒロトシに話しかけてくる子も何人かいた。子供達はカイワームをいつも見に来ていて、ビアンカにもドラゴン形態をせがんでいた。
 その為、ヒロトシにも面識が深くこのように会話を楽しんでいた。

「お米ってあの固いやつだろ?食べられるのかよ」

「おいおい、俺が食べられない物を出すわけないだろ」

「本当かよ?あのお米ってうちの鶏の餌だぞ」

「じゃあ。ディオンは俺が嘘をついていると言うのか?」

「そうは言わないけど」

「だろ?このポン菓子は子供達の為の楽しみの一つなんだぞ」

「楽しみって?」

「サンライトでケーキやドラゴン焼きを食べた事あるよな?」

「うん。一回だけだけど美味しかった。父ちゃんと母ちゃんが、俺の誕生日にって特別に連れていってくれたんだ。次の誕生日が楽しみなんだ」

「あの甘いスイーツは何回も食べられないけど、このポン菓子なら一握りのお米を持って来たら、1ゴールドで食べられるんだぞ」

「1ゴールドで?」

 その話を聞いていた子供達が、目を輝かせながら話しかけてきた。

「ヒロトシ様今のは本当?」

「ナコちゃん。ああ本当だよ」

「あたし持ってくる」

 1人がそういうと、子供達は親に許しをもらって一握りのお米とお小遣いで1ゴールドを持ってきたのだった。

「さあ、みんなのお米を預かるね」

「「「「「「うん!」」」」」」

 ヒロトシは、子供達から預かったお米を、圧力釜のなかにいれた。

「最初はナコちゃんからだ」

「ねえ。ヒロトシ様?本当にお米って食べられるの?」

「ああ。このポン菓子は、甘くてサクサクで美味しいんだぞ。本当はタダであげたいんだか燃料費だけもらうよ。ごめんね」

「ううん。ヒロトシ様も商売だもん」

「ありがとうございます」

 ヒロトシはナコという少女からお金をもらい、丁寧に接客をした。

「さぁ!そろそろいいかな?ナコちゃん、耳をふさいで。大きな音がなるから、みんなも耳をふさいでくれ」

 ヒロトシの言葉に、子供達は素直に耳をふさいで周りにいた大人達は、余裕で腕を組み様子を見ていた。

 ヒロトシは子供達が、耳をふさいでいるのを確認してから、圧力釜の蓋の金具をハンマーで叩いた。
すると、町の広場中にバンと大きな音が鳴り響き、中に入っていた米が、網の中に飛び出たのだった。
 その大きな音に、腕を組み余裕ぶっていた大人達もびっくりして耳をふさいでいた。

「なんだよ!びっくりしたぁ~~~~~~」
「脅かすのはやめてよ」
「なんだ!何の音だ!」
「心臓がとまるかと思った」

 この音に、巡回していた兵士もびっくりしていたのだった。

「ヒロトシ様、いったい何事ですか?」

「今のは子供達のおやつを作っていたんだ。騒がしてすまない」

 ヒロトシは兵士に謝罪してから、ナコが持ってきた米を器に移して、熱した砂糖のシロップをポン菓子にかき混ぜていた。
 その大きな音に、ヒロトシの屋台の周りには、人盛りができていた。
 ポン菓子は、砂糖のシロップで固められてレンガのような形にして、ヒロトシはナコに手渡した。

「はい。どうぞ」

「ヒロトシ様、ありがとう」

 ナコは、手渡されたポン菓子を少し食べた。するとナコは、満面の笑顔となって喜んでいた。

「甘~~~~~い!そして、このサクサクして美味しい!」

「だろ?」

「うん!ヒロトシ様ありがとう!」

 ナコがそういうと、周りにいた子供達が一斉にヒロトシに米を渡してきた。

「「「「「ヒロトシ様、俺も!」」」」」

「待て待て!順番をちゃんと守って!」

 大人達も、興味津々で自分達も売って欲しいと言ってきた。しかし、今日は子供達の楽しみだと説明して丁寧に断った。

「そんな事言わず売って下さい」

「大人はサンライトでスイーツを注文できるじゃないか」

「そんな意地悪言わず売って下さい!」

「今日は駄目。子供達のサービスデーだ。大人相手に1ゴールドで販売なんかしないよ」

「そんな・・・・・・」

「今日は子供達が、日頃親の手伝いを頑張っているだろ?」

「それはそうかもしれないけど」

「ねえ!ヒロトシ様」

「ナコちゃんどうした?」

 ヒロトシが、大人達に今日は子供達のサービスデーと説明していると、ナコが話しかけてきた。

「1ゴールドで本当にいいの?」

「いいんだよ。俺はナコちゃんが元気に大きくなって欲しいと思っているからね」

「そうなの?」

「ナコちゃんだけじゃなく、ディオンも大きくなって幸せを感じてほしいんだ。このポン菓子は子供達が喜んでくれると思って作ったんだよ」

「ヒロトシ様ありがとう!」

「だから、お前もわがまま言わない!」

「うっ・・・・・・」

「それじゃ、ヒロトシ様?このポン菓子は?」

「ああ、毎日は販売は無理だけど月終わりに、今日みたいに販売しようかと思っているよ」

「「「「「ヒロトシ様本当に?」」」」」

「1ヶ月間お父さんとお母さんのお手伝いを頑張ってやれると約束できるか?」

「うん!あたし頑張る!」
「俺も!」
「僕も!」
「わたしも!」

「そうか!じゃあ約束できる人手をあげて」

「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」

 子供達は、ポン菓子を持って元気よく手をあげて笑っていた。

 そして、月終わりは子供達のサービスデーとして町の広場は、お米を一握り持った子供達で賑わうお祭りとなるのだった。
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