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第6章 研磨という職
29話 王族、決断の時
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ローベルグでもこの情報は寝耳に水だった。まさか、魔の森が広がっているだなんて思いもしなかったのだ。しかし、冒険者ギルドでは町の外の異変を感じ取っていた。
「なあ……一年前、魔物の数が少なくなっただろ?」
「ああ……そうだったな?あの時は討伐対象の取り合いだったよな」
「だけどこの間、森の中でデスベアを見たんだよ」
「あれを発見したのはお前だったのか?」
「ああ……あんな魔物が森をうろつくだなんて、俺は生きた心地がしなかったよ」
「しかし、すぐにギルドが討伐してくれたんだよな?」
「ああ……しかし、その一件で俺達のパーティーは王都を離れて、ミトンの町に移住を考えていてな」
「はぁあ?なんでだよ。ここから半年も掛けて田舎に移住するのか?」
「それがな、さっき北の森でダークパンサーを見かけて、ギルドに報告したばかりなんだよ」
「はぁあ⁉ダークパンサーだと?嘘だろ?」
「本当さ!あんな魔物達が出没するんじゃ、俺達にはやっていけねえ。それに王都は消費物も高騰して、貴族達が好き放題だ。それなら、今生活しやすいと言われるミトンの町に移住した方がましだぜ?」
王都の冒険者達は、王都が都会と言う情報しかない。その為、生活しやすいが田舎で不便という先入観があり、移住と言う考えがなかなかしづらいのである。
しかし、まだCランク冒険者となれば話は変わってくる。魔物が強力になり、討伐出来なし物価は上昇するとなれば、田舎に移り住んだ方が不便だがましなのだ。
「だが、お前達はもうすぐBランクじゃないか?」
「Bランクだとしても、ダークパンサーやデスベアがうろつく森ではいくらなんでもリスクが高すぎる……お前達もそう思わないか?」
「うぐっ……」
「まだ、王都の物価が低ければ考える余地はあるだろうが……」
実際の所、王都から北の方向に魔の森は拡がっている、要は大陸の中心にどれだけの規模で広がっているかはわからないが、存在しているのである。
なので、王都から南に行けばまだ冒険者として活動が出来る。しかし、問題は王都にありいろんなものが高騰し品薄で色々と不便になっている。それならば、田舎で生活しても変わりないからだ。
「た、確かに……俺もパーティーのみんなに相談してみるよ」
後日、この話が冒険者ギルドで広まる事になる。
「おい!いったいどうなっているんだ?」
「そうだ!北の森は一体どうなっているんだ?」
「そうよ!これじゃいくらなんでも危険すぎるじゃない!」
冒険者達はギルドに押し掛けていた。ダークパンサーの目撃があった日から、犠牲者が増え始めていたのだ。
それに、文句を言う冒険者がギルドに説明を求めていた。しかし、冒険者ギルドでもこの状況を説明できなくて、今は北の森の立ち入り禁止を言い渡していた。
「ちょっと待ってください!今ギルドでも北の森の事を調べている最中なのです」
「それでなにかわかったのかよ?」
「それが、調査隊が戻ってこないのです。なので新たに昨日調査隊を派遣しました」
「その調査隊も戻ってこないんじゃないのか?」
「なんて事言うのですか?」
「俺は立ち入り禁止になる前に、北の森でダークゴブリンエリートを見たんだぞ?もう少しであの世へ行くとこだったぜ?」
「はあ!ダークゴブリンだと?それもエリートが出たと言うのか?」
「そうだ!みんなこれはとんでもない事だ!ギルドは何か隠しているに違いない」
「「「「「まじかよ!」」」」」
「そんな隠し事なんてしていません!それは貴方の誤解です」
「だったら、情報を公開しろよ!」
「だから、それを今調査をしているのです」
ギルドが情報を掴む事は出来なかった。それは当然である。魔の森が毎日1cmづつ広がっているのだ。魔の森に行ける人間は、ヒロトシ達だけであり、それを確認するには魔の森の入り口に行かねばならない。
そして、魔の森が広がった事で魔の森の魔物が北の森に進出したのだ。そうなると、北の森の奥にいた強い魔物は追い出される形になり、北の森の浅い場所に姿を見せるようになっだけである。
こうして、徐々にではあるが王都には住めないと思う冒険者達が王都を去り出したのだった。
王城では会議を開き、人口の流出を止める案を出し合っていたが、時すでに遅しと言う感じだった。
「ヒロトシ!頼む。何とかしてくれないか?」
「ローベルグ様……まず貴族達を何とかしましょう。話はそれからですよ。これがうちで掴んでいる貴族達の悪行です」
ヒロトシは、自分の意見を言い貴族達の賄賂の証拠をテーブルの上に出した。
「こんなにもか!」
「これは多分氷山に一角ですよ。8件程度なわけありません」
ヒロトシは、とりあえずこの8件が片付けば、平民達の生活が保たれるのではないかと思っていた。平民達の主食はパンである、しかし、おかずにはジャガイモやトウモロコシが必ず使われていた。
そのほか、スクロールに使われる羊皮紙など単価は安いが、必需品と言われるもので大量に消費される物を、貴族達は賄賂のターゲットとしていた。
その必需品が王都では高騰していたのである。
「こいつ等をまず何とかしてください!話はそれからです」
「そ、そんなバカな!こやつらが王都の経済を破壊していると言うのか?」
「こいつらはそんなこと考えもしてませんよ」
「考えもしていない?」
「ええ、自分の昇進の為に金を集めているだけですよ。みんなもやっているから自分達もこれぐらいと……つまり罪の意識なんかありませんよ」
「そんな事があり得るのか?」
「だから言っているじゃないですか?王国の歴史は賄賂の歴史です。罪の重さなどこれっぽちも考えていませんよ」
「……」
「これも今までは豊穣の土地だったから成り立っていただけで、土地が他と一緒になれば、今まで暮らしやすいと錯覚していたことが露呈しただけです。王族や貴族が考え方を改めないと、魔の森が侵食する前に崩壊しますよ」
「しかし……本当に、こやつらを逮捕するのか?そうなれば……」
「もししなければ、サンライト2号店と裁縫工場は王都から撤退します」
「なんだと!」
「こちらも本気です!もう、王族の面子と思いハボリムを国王にして面子を保とうとしましたが、この状況下でも躊躇するなら王都は滅亡した方がいいと思います」
「馬鹿なここが滅亡すれば、他の国が攻めてくることが分からんのか?実際王国の滅亡を意味するのだぞ?」
「1000年も持った国と言いたげですが、たかが1000年ですよ。よくもった方ですよ」
「何を言っておる!そんな事になれば、ミトンの町だって!」
「えぇ……そうなれば北にある聖教国があの地を手に入れるでしょね。しかし、国民はその地で普通に生活していきますよ」
「ヒロトシお前は何を言っているんだ!そんな事になればお前もただでは済まない事に!」
「いえ、俺は俺で自給自足の生活をしていきますよ」
「そんな事が……」
「できますよ。聖教国相手に取引でもしてね。鏡を始め絹やスリーピングシープの寝具が取引商品です。それに、俺の研磨技術は冒険者にとっても必要な技術です。大陸中に広がるギルドでは俺を取り合うでしょうね」
「あっ……」
「自分で言うのも何なんですが、俺一人で王国と取引するより有意義だと言う事が分かりましたか?しかし、今は王国で生活をしているから、俺は協力しようと言うだけです」
「そんな……」
「もう、ローベルグ様がここに記載されている貴族達を逮捕してください!そうすれば、王都の経済は少し良くなります。そうなれば、俺が北の森の事をなんとかしましょう」
ヒロトシは、強引な取引を持ち掛けたのだった。
「そんな事をすれば……」
「貴族達から反感を買うでしょうね。ですが、賄賂は犯罪です。王国でも決められているはずです」
「だが……」
「賄賂だけでは逮捕できないと?」
ヒロトシの証拠は貴族達の賄賂だけだった。ヒロトシはまだ調査の途中である。まだ調べれば、麻薬草の取引や誘拐などの犯罪が出てくるかもしれないし出てこない可能性もある。
この状況で、貴族達を逮捕し家を取りつぶせとヒロトシは言っていた。理由は王都を不況に陥れたと言う理由だけでだ。
そうなれば、ブロッケン家やファート家にも責任を取ってもらい、お家は取りつぶしとしないといけなくなる。この家系は、麻薬草の密輸と言う大罪を犯したからだ。そうなると王家は貴族達に過ちを認め、謝罪しないといけなくなるのだ。
「そ、それだけは……」
「いったでしょ?もう王家の面子などどうでもいいと!過ちはしっかり謝罪してください」
「何でこんな事に……」
「一年以上も贈賄を放っておいたからですよ。俺が忠告した時にハボリムと世代交代して、クリーンな国づくりをしてれば王族の面子も保たれたんです」
ヒロトシが、そういうとローベルグ達はテーブルに手を置きうつ伏してしまった。
「なあ……一年前、魔物の数が少なくなっただろ?」
「ああ……そうだったな?あの時は討伐対象の取り合いだったよな」
「だけどこの間、森の中でデスベアを見たんだよ」
「あれを発見したのはお前だったのか?」
「ああ……あんな魔物が森をうろつくだなんて、俺は生きた心地がしなかったよ」
「しかし、すぐにギルドが討伐してくれたんだよな?」
「ああ……しかし、その一件で俺達のパーティーは王都を離れて、ミトンの町に移住を考えていてな」
「はぁあ?なんでだよ。ここから半年も掛けて田舎に移住するのか?」
「それがな、さっき北の森でダークパンサーを見かけて、ギルドに報告したばかりなんだよ」
「はぁあ⁉ダークパンサーだと?嘘だろ?」
「本当さ!あんな魔物達が出没するんじゃ、俺達にはやっていけねえ。それに王都は消費物も高騰して、貴族達が好き放題だ。それなら、今生活しやすいと言われるミトンの町に移住した方がましだぜ?」
王都の冒険者達は、王都が都会と言う情報しかない。その為、生活しやすいが田舎で不便という先入観があり、移住と言う考えがなかなかしづらいのである。
しかし、まだCランク冒険者となれば話は変わってくる。魔物が強力になり、討伐出来なし物価は上昇するとなれば、田舎に移り住んだ方が不便だがましなのだ。
「だが、お前達はもうすぐBランクじゃないか?」
「Bランクだとしても、ダークパンサーやデスベアがうろつく森ではいくらなんでもリスクが高すぎる……お前達もそう思わないか?」
「うぐっ……」
「まだ、王都の物価が低ければ考える余地はあるだろうが……」
実際の所、王都から北の方向に魔の森は拡がっている、要は大陸の中心にどれだけの規模で広がっているかはわからないが、存在しているのである。
なので、王都から南に行けばまだ冒険者として活動が出来る。しかし、問題は王都にありいろんなものが高騰し品薄で色々と不便になっている。それならば、田舎で生活しても変わりないからだ。
「た、確かに……俺もパーティーのみんなに相談してみるよ」
後日、この話が冒険者ギルドで広まる事になる。
「おい!いったいどうなっているんだ?」
「そうだ!北の森は一体どうなっているんだ?」
「そうよ!これじゃいくらなんでも危険すぎるじゃない!」
冒険者達はギルドに押し掛けていた。ダークパンサーの目撃があった日から、犠牲者が増え始めていたのだ。
それに、文句を言う冒険者がギルドに説明を求めていた。しかし、冒険者ギルドでもこの状況を説明できなくて、今は北の森の立ち入り禁止を言い渡していた。
「ちょっと待ってください!今ギルドでも北の森の事を調べている最中なのです」
「それでなにかわかったのかよ?」
「それが、調査隊が戻ってこないのです。なので新たに昨日調査隊を派遣しました」
「その調査隊も戻ってこないんじゃないのか?」
「なんて事言うのですか?」
「俺は立ち入り禁止になる前に、北の森でダークゴブリンエリートを見たんだぞ?もう少しであの世へ行くとこだったぜ?」
「はあ!ダークゴブリンだと?それもエリートが出たと言うのか?」
「そうだ!みんなこれはとんでもない事だ!ギルドは何か隠しているに違いない」
「「「「「まじかよ!」」」」」
「そんな隠し事なんてしていません!それは貴方の誤解です」
「だったら、情報を公開しろよ!」
「だから、それを今調査をしているのです」
ギルドが情報を掴む事は出来なかった。それは当然である。魔の森が毎日1cmづつ広がっているのだ。魔の森に行ける人間は、ヒロトシ達だけであり、それを確認するには魔の森の入り口に行かねばならない。
そして、魔の森が広がった事で魔の森の魔物が北の森に進出したのだ。そうなると、北の森の奥にいた強い魔物は追い出される形になり、北の森の浅い場所に姿を見せるようになっだけである。
こうして、徐々にではあるが王都には住めないと思う冒険者達が王都を去り出したのだった。
王城では会議を開き、人口の流出を止める案を出し合っていたが、時すでに遅しと言う感じだった。
「ヒロトシ!頼む。何とかしてくれないか?」
「ローベルグ様……まず貴族達を何とかしましょう。話はそれからですよ。これがうちで掴んでいる貴族達の悪行です」
ヒロトシは、自分の意見を言い貴族達の賄賂の証拠をテーブルの上に出した。
「こんなにもか!」
「これは多分氷山に一角ですよ。8件程度なわけありません」
ヒロトシは、とりあえずこの8件が片付けば、平民達の生活が保たれるのではないかと思っていた。平民達の主食はパンである、しかし、おかずにはジャガイモやトウモロコシが必ず使われていた。
そのほか、スクロールに使われる羊皮紙など単価は安いが、必需品と言われるもので大量に消費される物を、貴族達は賄賂のターゲットとしていた。
その必需品が王都では高騰していたのである。
「こいつ等をまず何とかしてください!話はそれからです」
「そ、そんなバカな!こやつらが王都の経済を破壊していると言うのか?」
「こいつらはそんなこと考えもしてませんよ」
「考えもしていない?」
「ええ、自分の昇進の為に金を集めているだけですよ。みんなもやっているから自分達もこれぐらいと……つまり罪の意識なんかありませんよ」
「そんな事があり得るのか?」
「だから言っているじゃないですか?王国の歴史は賄賂の歴史です。罪の重さなどこれっぽちも考えていませんよ」
「……」
「これも今までは豊穣の土地だったから成り立っていただけで、土地が他と一緒になれば、今まで暮らしやすいと錯覚していたことが露呈しただけです。王族や貴族が考え方を改めないと、魔の森が侵食する前に崩壊しますよ」
「しかし……本当に、こやつらを逮捕するのか?そうなれば……」
「もししなければ、サンライト2号店と裁縫工場は王都から撤退します」
「なんだと!」
「こちらも本気です!もう、王族の面子と思いハボリムを国王にして面子を保とうとしましたが、この状況下でも躊躇するなら王都は滅亡した方がいいと思います」
「馬鹿なここが滅亡すれば、他の国が攻めてくることが分からんのか?実際王国の滅亡を意味するのだぞ?」
「1000年も持った国と言いたげですが、たかが1000年ですよ。よくもった方ですよ」
「何を言っておる!そんな事になれば、ミトンの町だって!」
「えぇ……そうなれば北にある聖教国があの地を手に入れるでしょね。しかし、国民はその地で普通に生活していきますよ」
「ヒロトシお前は何を言っているんだ!そんな事になればお前もただでは済まない事に!」
「いえ、俺は俺で自給自足の生活をしていきますよ」
「そんな事が……」
「できますよ。聖教国相手に取引でもしてね。鏡を始め絹やスリーピングシープの寝具が取引商品です。それに、俺の研磨技術は冒険者にとっても必要な技術です。大陸中に広がるギルドでは俺を取り合うでしょうね」
「あっ……」
「自分で言うのも何なんですが、俺一人で王国と取引するより有意義だと言う事が分かりましたか?しかし、今は王国で生活をしているから、俺は協力しようと言うだけです」
「そんな……」
「もう、ローベルグ様がここに記載されている貴族達を逮捕してください!そうすれば、王都の経済は少し良くなります。そうなれば、俺が北の森の事をなんとかしましょう」
ヒロトシは、強引な取引を持ち掛けたのだった。
「そんな事をすれば……」
「貴族達から反感を買うでしょうね。ですが、賄賂は犯罪です。王国でも決められているはずです」
「だが……」
「賄賂だけでは逮捕できないと?」
ヒロトシの証拠は貴族達の賄賂だけだった。ヒロトシはまだ調査の途中である。まだ調べれば、麻薬草の取引や誘拐などの犯罪が出てくるかもしれないし出てこない可能性もある。
この状況で、貴族達を逮捕し家を取りつぶせとヒロトシは言っていた。理由は王都を不況に陥れたと言う理由だけでだ。
そうなれば、ブロッケン家やファート家にも責任を取ってもらい、お家は取りつぶしとしないといけなくなる。この家系は、麻薬草の密輸と言う大罪を犯したからだ。そうなると王家は貴族達に過ちを認め、謝罪しないといけなくなるのだ。
「そ、それだけは……」
「いったでしょ?もう王家の面子などどうでもいいと!過ちはしっかり謝罪してください」
「何でこんな事に……」
「一年以上も贈賄を放っておいたからですよ。俺が忠告した時にハボリムと世代交代して、クリーンな国づくりをしてれば王族の面子も保たれたんです」
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