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第6章 研磨という職
17話 王国貴族の実態
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エリオット子爵は、衛兵に逮捕されてしまった。贈賄だけならまだ良かったのだが、子供達を誘拐し奴隷商に売っていたことが発覚してしまえばもうどうにもならなかった。
「ヒロトシ!これは本当の事なのか?」
「何で、ローベルグ様がサンライトに事情を聴きに来るのですか?用事があるのなら呼び出してくださいよ!」
「す、すまん……」
「見てください!みんな恐縮してお客様まで土下座しているじゃないですか」
ローベルグがいきなり店に現れたようで、サンライト2号店は騒然となり、お客全員がその場で土下座したのだった。これにはヒロトシもあわてて裏の寮の方にローベルグを案内した。
「しかしだな!エリオット子爵が子供を誘拐だなんて……冗談だろ?」
「その報告書は本当の事ですよ。今回贈賄で逮捕されて、出るわ出るわあ奴とんでもない貴族ですよ」
「しかし、エリオットは子供の事を考えて孤児院に支援をしていた位立派な貴族だったんだぞ?」
「まあ、悪い事をする奴は隠そうとしますからね。孤児院に支援を送り、その裏では孤児院の責任者と共謀し、支援するかわりに見栄えのいい子供を受け取っていたことも発覚しています」
「そ、そんな……」
「当然、その責任者も逮捕し鉱山送りとなりましたよ」
「……」
「いいですか?ローベルグ様は悪くありません。しかし、監視の目が届いていないのも事実なんです。今回、エリオットが逮捕されたおかげで、ジェニファーの錬金屋は救われたと言っていいでしょう。これから、ポーションの値は元に戻る……いや、今より安くなりエリオットやクーパーのような悪人に、その利益が流れることは無くなります」
「ああ……そうだな」
「そうなれば平民達にその利益は還元される事になり、王都にも税金として還元されるはずです」
「しかし……」
「まさか、これだけでは十分な税金が無いと言いませんよね」
「実際そうではないか?エリオットは優秀な貴族であったのは間違いはないのだぞ?」
エリオットは不正や犯罪もしていたが、有能な事貴族だったのだ。ローベルグは不正が見つかったがエリオットという人材がいなくなった方が問題だった。
「あんな貴族はいなくなった方が王都の為ですよ。それに今回の事で、贈賄は悪い事だと印象付けましたからね」
「どういうことだ?」
「俺は贈賄は許さないということですよ。王都にはまだまだ同じ事をしている貴族がたくさんいます。俺はそれらを全部あぶりだすつもりですよ」
「ばかな!そんな事が出来る訳……」
その時、ヒロトシとローベルグがいる部屋に、セレンとシアンが入ってきた。
「ご主人様、お話中申し訳ありません……王都では塩の値が高沸しております。塩問屋では塩を買いだめて値を釣り上げている模様」
「こちらは材木問屋でも同じ事が起こっております……」
「馬鹿な!」
その報告を受けてローベルグは大声を出した。
「これが王都の現状なんですよ」
「その者達は一体誰なんだ?その情報は確かなのか?」
「ええ!確かな情報ですよ。この女性達は今は俺の奴隷ですが、元は闇ギルド最強と言われたアサシンです。こっちがポイズンマスターのシアン。こっちが首狩りと言われたセレンです」
「まさか、あの幻のアサシンと言われたポイズンと首狩りか?」
「さすが、ローベルグ様です知っておいでですか?」
「当たり前だ!しかし、本当に実在しておったのか?」
「まあ、一流のアサシンだけあって情報収集もピカイチですよ」
「しかし、これが本当ならバックには誰がついておるのだ?」
「さすが話が早い!ブロッケン男爵とファート男爵ですよ。男爵だけあって、金を集めて上に成り上がろうとしているのでしょうね」
「あの二人か……あの二人は親からその地位を受け継いだばかりだったな……」
ブロッケンとファートは、まだ若いがその野望は凄いものがあった。金を貯めてもっと位の高い貴族に賄賂を贈ろうとしていた。その為、金を稼ぐために今回の事をしたのであろう。
「ヒロトシ、あの二人はまだ若い。今回は俺に任せてくれぬか?」
「俺に目をつむれと?」
「頼む!あの親は優秀な貴族だ。今回の事を話して復帰してもらう。このままヒロトシに任せれば、家系は取りつぶしになるだろう?」
「それはしょうがないですよ。今は塩問屋や材木問屋から賄賂を受け取り独占しようとしていますが、他にどんな犯罪をしているかわかったものじゃありません」
「「ローベルグ様、犯罪についてもう少し情報があります」」
「な、なんだ?」
「ブロッケン男爵様とファート男爵は麻薬の密売にも手を染めています」
「な、なんだと⁉」
「二人は裏で繋がっております。材木問屋は伐採のついでに、麻薬草を採取それを製錬して結晶を作り出し、塩問屋がそれらを買い取り一見見た目に分かりずらい塩を一緒に輸出しています」
「そんなバカな……」
「そんな家系は無くなった方がいいですよ」
「待ってくれ!俺に任せてほしい……」
ローベルグはヒロトシに頭を下げたのだった。そこまでされたらヒロトシも引き下がるしかなかった。
「大丈夫ですか?昔からのしがらみだった場合、親の代から続いていたかもしれないのですよ?」
「それもこちらでしっかり調べる!」
ヒロトシの調査に、驚愕したローベルグはもう一度貴族の実態を把握しようと思っていた。このままでは、王都周辺の地域が枯れ地となった以前の問題だと思ったからだ。
「本当にいいのですか?」
「本当にいいとはどういう事だ?」
「こういう事は、俺みたいに外部の人間に任せた方がすんなりいくと思いますよ」
「外部の人間とは聞き捨てならないな。お主は俺の娘の婚約者だぞ?どこが外部の人間だ!」
「俺は王国の政には関心が無いからね。それにシャーロットの婚約者になったのは最近だし、王族や貴族のしがらみなんか関係ないと思っています」
「それはそうかもしれんが、外部の人間というのは違うだろ?」
「いいですか?ローベルグ様は国の事を考えて行動しますが、俺にとってブロッケンやファートは貴族ではなく犯罪者としか見ていません。ローベルグ様は今までの功績を見て動く事になるでしょう?」
「当たり前だ!あの貴族達は、王国の為に働いて来てくれたのだからな」
「そこに温情を与えても、腐敗した貴族の為にはならないと思いますが」
「王国貴族は腐敗してはおらぬ!」
「そうですか?」
「当たり前だ!ヒロトシもシルフォードの事はよくわかっているではないか?あ奴は善政をしている貴族の一人だ」
「まあ、そのあたりは分かりますよ。だけど、王都に住む貴族はどうでしょうね?ローベルグ様の目が届かないのをいいことに好き放題しているではありませんか?」
「ぐっ……」
「俺も、王都に住む貴族がシルフォード様のような貴族ばかりだったらいいとは言いませんが、あの人の様に平民の事を想ってくれる貴族が多ければ、ビアンカを2号店ですぐにでも働いてもらってますよ」
「そんなにめちゃくちゃ王国批判するでない!お主ぐらいだぞ?国王にそこまでずけずけ言うのは!」
「今まで言える人がいなかっただけでしょ?俺は、王国が良い国になる為に苦言を申しているだけですよ」
「しかしだな……」
「いつも犠牲になるのは弱い人間なんです。奴らは、貴族という権力を使って薬の売人として、弱い人間を犠牲にして私腹を肥やしているのを忘れないでください!」
「……」
ローベルグは、ヒロトシの言葉に押し黙ってしまった。そして、ヒロトシから国を運営するのに、貴族が大事なのも分かるが、平民達の方がもっと大事だと言われた。
「ヒロトシ!これは本当の事なのか?」
「何で、ローベルグ様がサンライトに事情を聴きに来るのですか?用事があるのなら呼び出してくださいよ!」
「す、すまん……」
「見てください!みんな恐縮してお客様まで土下座しているじゃないですか」
ローベルグがいきなり店に現れたようで、サンライト2号店は騒然となり、お客全員がその場で土下座したのだった。これにはヒロトシもあわてて裏の寮の方にローベルグを案内した。
「しかしだな!エリオット子爵が子供を誘拐だなんて……冗談だろ?」
「その報告書は本当の事ですよ。今回贈賄で逮捕されて、出るわ出るわあ奴とんでもない貴族ですよ」
「しかし、エリオットは子供の事を考えて孤児院に支援をしていた位立派な貴族だったんだぞ?」
「まあ、悪い事をする奴は隠そうとしますからね。孤児院に支援を送り、その裏では孤児院の責任者と共謀し、支援するかわりに見栄えのいい子供を受け取っていたことも発覚しています」
「そ、そんな……」
「当然、その責任者も逮捕し鉱山送りとなりましたよ」
「……」
「いいですか?ローベルグ様は悪くありません。しかし、監視の目が届いていないのも事実なんです。今回、エリオットが逮捕されたおかげで、ジェニファーの錬金屋は救われたと言っていいでしょう。これから、ポーションの値は元に戻る……いや、今より安くなりエリオットやクーパーのような悪人に、その利益が流れることは無くなります」
「ああ……そうだな」
「そうなれば平民達にその利益は還元される事になり、王都にも税金として還元されるはずです」
「しかし……」
「まさか、これだけでは十分な税金が無いと言いませんよね」
「実際そうではないか?エリオットは優秀な貴族であったのは間違いはないのだぞ?」
エリオットは不正や犯罪もしていたが、有能な事貴族だったのだ。ローベルグは不正が見つかったがエリオットという人材がいなくなった方が問題だった。
「あんな貴族はいなくなった方が王都の為ですよ。それに今回の事で、贈賄は悪い事だと印象付けましたからね」
「どういうことだ?」
「俺は贈賄は許さないということですよ。王都にはまだまだ同じ事をしている貴族がたくさんいます。俺はそれらを全部あぶりだすつもりですよ」
「ばかな!そんな事が出来る訳……」
その時、ヒロトシとローベルグがいる部屋に、セレンとシアンが入ってきた。
「ご主人様、お話中申し訳ありません……王都では塩の値が高沸しております。塩問屋では塩を買いだめて値を釣り上げている模様」
「こちらは材木問屋でも同じ事が起こっております……」
「馬鹿な!」
その報告を受けてローベルグは大声を出した。
「これが王都の現状なんですよ」
「その者達は一体誰なんだ?その情報は確かなのか?」
「ええ!確かな情報ですよ。この女性達は今は俺の奴隷ですが、元は闇ギルド最強と言われたアサシンです。こっちがポイズンマスターのシアン。こっちが首狩りと言われたセレンです」
「まさか、あの幻のアサシンと言われたポイズンと首狩りか?」
「さすが、ローベルグ様です知っておいでですか?」
「当たり前だ!しかし、本当に実在しておったのか?」
「まあ、一流のアサシンだけあって情報収集もピカイチですよ」
「しかし、これが本当ならバックには誰がついておるのだ?」
「さすが話が早い!ブロッケン男爵とファート男爵ですよ。男爵だけあって、金を集めて上に成り上がろうとしているのでしょうね」
「あの二人か……あの二人は親からその地位を受け継いだばかりだったな……」
ブロッケンとファートは、まだ若いがその野望は凄いものがあった。金を貯めてもっと位の高い貴族に賄賂を贈ろうとしていた。その為、金を稼ぐために今回の事をしたのであろう。
「ヒロトシ、あの二人はまだ若い。今回は俺に任せてくれぬか?」
「俺に目をつむれと?」
「頼む!あの親は優秀な貴族だ。今回の事を話して復帰してもらう。このままヒロトシに任せれば、家系は取りつぶしになるだろう?」
「それはしょうがないですよ。今は塩問屋や材木問屋から賄賂を受け取り独占しようとしていますが、他にどんな犯罪をしているかわかったものじゃありません」
「「ローベルグ様、犯罪についてもう少し情報があります」」
「な、なんだ?」
「ブロッケン男爵様とファート男爵は麻薬の密売にも手を染めています」
「な、なんだと⁉」
「二人は裏で繋がっております。材木問屋は伐採のついでに、麻薬草を採取それを製錬して結晶を作り出し、塩問屋がそれらを買い取り一見見た目に分かりずらい塩を一緒に輸出しています」
「そんなバカな……」
「そんな家系は無くなった方がいいですよ」
「待ってくれ!俺に任せてほしい……」
ローベルグはヒロトシに頭を下げたのだった。そこまでされたらヒロトシも引き下がるしかなかった。
「大丈夫ですか?昔からのしがらみだった場合、親の代から続いていたかもしれないのですよ?」
「それもこちらでしっかり調べる!」
ヒロトシの調査に、驚愕したローベルグはもう一度貴族の実態を把握しようと思っていた。このままでは、王都周辺の地域が枯れ地となった以前の問題だと思ったからだ。
「本当にいいのですか?」
「本当にいいとはどういう事だ?」
「こういう事は、俺みたいに外部の人間に任せた方がすんなりいくと思いますよ」
「外部の人間とは聞き捨てならないな。お主は俺の娘の婚約者だぞ?どこが外部の人間だ!」
「俺は王国の政には関心が無いからね。それにシャーロットの婚約者になったのは最近だし、王族や貴族のしがらみなんか関係ないと思っています」
「それはそうかもしれんが、外部の人間というのは違うだろ?」
「いいですか?ローベルグ様は国の事を考えて行動しますが、俺にとってブロッケンやファートは貴族ではなく犯罪者としか見ていません。ローベルグ様は今までの功績を見て動く事になるでしょう?」
「当たり前だ!あの貴族達は、王国の為に働いて来てくれたのだからな」
「そこに温情を与えても、腐敗した貴族の為にはならないと思いますが」
「王国貴族は腐敗してはおらぬ!」
「そうですか?」
「当たり前だ!ヒロトシもシルフォードの事はよくわかっているではないか?あ奴は善政をしている貴族の一人だ」
「まあ、そのあたりは分かりますよ。だけど、王都に住む貴族はどうでしょうね?ローベルグ様の目が届かないのをいいことに好き放題しているではありませんか?」
「ぐっ……」
「俺も、王都に住む貴族がシルフォード様のような貴族ばかりだったらいいとは言いませんが、あの人の様に平民の事を想ってくれる貴族が多ければ、ビアンカを2号店ですぐにでも働いてもらってますよ」
「そんなにめちゃくちゃ王国批判するでない!お主ぐらいだぞ?国王にそこまでずけずけ言うのは!」
「今まで言える人がいなかっただけでしょ?俺は、王国が良い国になる為に苦言を申しているだけですよ」
「しかしだな……」
「いつも犠牲になるのは弱い人間なんです。奴らは、貴族という権力を使って薬の売人として、弱い人間を犠牲にして私腹を肥やしているのを忘れないでください!」
「……」
ローベルグは、ヒロトシの言葉に押し黙ってしまった。そして、ヒロトシから国を運営するのに、貴族が大事なのも分かるが、平民達の方がもっと大事だと言われた。
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