研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第5章 意外なスキル

37話 心構えの変化

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 ヒロトシは、三日後から店を開く事にした。それは、㋪美研の前にはシルフォードや町の役員達が揃っていたからだ。

「おかえりなさい。ヒロトシ様」
「「「「「おかえりなさい」」」」」

 シルフォード達が一斉に頭を下げるのだった。

「ど、どうしたのですか?皆さんも止めてくださいよ。頭を上げてください」

「そういう訳には……貴方様はもう私達より実質上の位に就く人間なのです」

「別にそんなの構いませんよ。俺はもちろんシャーロットもこれからこの町で商売していくのですからね」

「はっ?シャーロット王女も働いていくのですか?」

「ええ。そのつもりですわ」

 そのように答えたシャーロットに、シルフォード達は驚いていた。

「まあ、こんなところで何なんだし。ギルドの大部屋にでも案内していただけませんか?屋敷に案内したいのですが一週間何もしていないので屋敷は遠慮して頂きたいのです」

「ああ……そ、そうか……」

「それではうちの大部屋をどうぞ」

 冒険者ギルドに全員で向かう事になり、ヒロトシはミルデンス達に屋敷の事を任せることにした。ギルドに着いたヒロトシとシャーロットは、今回の事を説明した。

「という訳で、俺達は明日……いや、三日後から通常業務に戻ります」

「わ、分かった……しかし、不に落ちない点があるのだが、ヒロトシ様の家族達はどうしていたのですか?」

「シルフォード様……その喋り方どうにかならないのですか?なんかむずかゆいのですが……」

「そのような事を言われても、あなた方はもう王族の一員なのです。私達が、今までのように気軽に話せる存在ではないのですよ」

「ですが……俺は今まで通りにこの町で商売したいと考えています。この町の領主はシルフォード様なのに、商人に対してその喋り方はいかがなものかと……」

「そういう事を言われてもですね。貴方が王族だと言う事を自覚して貰わねばならん事なのです」

「いやいや……自覚も何も、これから王族の仕事をしていく訳じゃないですし、自然にしてくれたらと言っているんですよ」

「そこまで言うのであらば……本当によろしいのですね」

「俺も平民の頃から言葉遣いはなっていませんでしたしね」

「わかった。ではヒロトシ君。改めて聞きたいのだが君の家族はどうしたんだね?君がいない間、屋敷には人の気配が無かった」

「そりゃ、俺の土地の方に移住してもらったに決まってますよ。実際の所移って貰わないと、王国騎士達に拘束されていた可能性があったんだしね」

「それはそうだが、私が言っているのはそこじゃないんだ。君の家族は大人数だ。トラックで輸送するにしても1日がかりになる。それなのに、人知れずあの人数をどうやって」

「それは言えませんよ。俺には敵がいっぱいいますからね」

「敵とはどういうことかね?」

「今回は王族が相手でした。まあ、今回上手く行ったからよかったですが、最悪の結末をむかえていたら、俺は王国領を離れているところでしたよ」

「そんな事は……」

「そうですか?俺はシャーロットを庇い王国領を離れることも躊躇なくしていましたよ?そうなっていればどうなっていました?」

「そ、それは……」

「そうです。俺は王女誘拐の罪になっていたでしょうね」

「だが、敵というのは……」

「まあまあ、今回はという事ですよ。だけど、俺には闇ギルドという厄介な相手もいるんです」

「しかし、闇ギルドは……」

「ええ。今は大人しくしていますよ。だけど、ずっとという保証はどこにもありませんよね?」

「た、確かに……」

 ヒロトシは、闇ギルドを警戒していると説明した。今は闇ギルドの総帥ノアは、ヒロトシには手を引くと言っていたが、ヒロトシには知らない事である。
 ヒロトシもこちらから闇ギルドを攻めるつもりはないが、何かあった場合自衛は徹底するつもりだった。

「と、言う訳でそのあたりは内緒です」

「しかし、わたし達がヒロトシ君にそんな事をするつもりは!」

「当然そう信じてますよ。しかし、情報はどこから流れるかわかりません!それを予防するのも、俺の役目ですからね。これは諦めてください」

「そ、そうか……」

「その代わりに、新しい商品を開発するので楽しみにしておいてください」

「それは本当か?」

「ええ、ミトンの町には迷惑をかけましたからね」

「それはどういう物……」

「できるまで内緒に決まっているでしょ。俺は商人ですよ」

「そ、そうか……」

 ヒロトシは、今回の事を詳しく説明して、シルフォード達には納得してもらった。そして、改めて三日後からの営業を説明したのだった。

 ヒロトシは、屋敷に帰りみんなを迎えにいった。

「みんなお待たせ。全部済んだよ」

「旦那様!」
「「「「「「ご主人様!」」」」」」

「今まで通りの営業が出来るようになったので帰る準備をしてくれ」

「わかりました」

 セバス達は、ヒロトシの言葉で順次、ミトンの町へと帰っていくのだった。

 そして、三日後の朝には㋪美研とサンライトには長蛇の列ができた。ヒロトシは研磨依頼が入った所から磨き始めた。
 他のメンバー達も久しぶりに働けた充実感でいっぱいだった。シュガー村では農作業がメインで、カエデたちの手伝いをしていたのだ。

 そして、サンライトではお客が驚いていた。シャーロットの存在だった。

「なあ、シャーロット様って王女様なんだよな?」
「えぇ……そう聞いているけど」
「なんで、厨房で皿洗いしているんだ?」
「そんな事あたしに言われてもわからないわよ」

 サンライトに来たお客は、この状況に目を白黒させて驚いていた。

「にしても、このドラゴン焼き久しぶりに味わったな」
「ほんと、これを食べれたらまた明日からの1週間が頑張れるわ」
「あたしはクッキーとお茶がいいわね」

 ミトンの町の人間は、サンライトが開店してくれて幸せそうだった。冒険者達は研磨をして次の日から難しい冒険を再開したのだった。研磨の効果が落ちていた冒険者達は依頼のランクを落としていたのだ。



 シルフォードはこの町の活気をみて、ほっと安心したのは言うまでもなかった。

「これで何とかなりそうだな……」

「ええ。㋪美研がしまった時はどうなるかと……ですが、これでもう大丈夫だとおもいます」

「この町は、もうヒロトシ君があって機能する町になってしまったからな。いなくなった時はどうなるかと……」

「しかし、シルフォード様。ヒロトシ様が言っていた新しい商品とはどういう物でしょうかね?」

「それは、やっぱり研磨関連何だろうな?」

「どんなものなのか楽しみですね」

「それはそうだが、ヒロトシ君頼みでは駄目だろ?何かこちらでもいい商品を開発しないとな。何かいい案が出たのか?」

「そ、それは今だ……」

「そ、そうか……」

 シルフォード達も、このままではいけないと頭を悩ませていた。シャープネスオイルの開発なども頑張っていたのだ。3倍以上の効力の物を開発したりしていたが、いまだ開発に至っていなかった。

「何とか私達も、ヒロトシ様におんぶにだっこじゃなく頑張らないと行けませんな……」

「ああ、その通りだ。その為にも、お主達の協力は必要不可欠だからな。頑張ってくれ」

「「「「「はい!」」」」」

 今回、ミトンの町からヒロトシがいなくなるハプニングで、ようやく自分達もなんとしないという危機感が生まれたのだった。そして、各部署から色んなアイデアが出てきたのだった。


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