研磨職人！異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

第５章 意外なスキル

３１話 シャーロットのやる事

　シャーロットは、まさかの王族だった。そんな事も知らず、シャーロットは日々の生活をサンライトで生活しようとしていた。

「旦那様ちょっと待ってください。何で㋪美研の奥方様候補がウェイトレスを？」

「何でって、そりゃ働きたいと言うからじゃないか」
「セバス駄目なのですか？」

「駄目に決まっているではないですか、そういうわけにはまいりません」

「セバス何を言っているんだよ？」

「よろしいですか？旦那様は商人でありますが男爵の地位にいるお方なのです。シャーロット様はいずれ、貴族様の奥方様達との交流会（お茶会等）に参加しないといけないんじゃありませんか？」

「はぁ？そんなの別に構わないよ。俺は貴族位にはあるが基本商人だ。それに、ローベルグ様も貴族位の事は気にしなくてもいいとおっしゃられたんだぞ？」

「いやいや、そういう訳にもまいりませんでしょ？」

「なんでだよ？」

「旦那様は、まだお一人であられ妻がいませんがいずれ結婚をすれば、シルフォード様の妻であられるベルナータ様とはどうするつもりだったのですか？」

「あっ……」

「気づきましたか？当然ですが、シャーロット様を男爵の妻として、お茶会にお誘いになられるはずです。その時に所作や礼儀、貴族としての常識を身に着けて置かないと、シャーロット様はもちろん旦那様も恥をかく事になるのですよ？」

「じゃあ、あたしも貴族の常識を身に着けないといけないの？」

「当たり前でございます！その話し方からして駄目です」

「なんでよぉ！」

「よろしいですか？貴婦人はあたしなんて言いません。わたくしといいます」

「嘘でしょ……」
「いやいや……仮に交流会に参加したところで、シャーロットは何をするんだよ？」

「当然、旦那様を支えるとおっしゃったのですから恥をかかせる事をせず、お付き合いという物をしていただかないといけません」

「そんなの必要か？シルフォード様から聞いたが結局は自慢大会で、長い間ベルナータ様には辛い思いをさせていたと聞いたぞ？」

「いいですか？こう言っては何ですが、それはこの辺り周辺でやるからですよ。旦那様の交流は、そういうわけにはまいりません」

「はぁあ？どういう事だよ！」

「旦那様は国王陛下に認められ、数少ない平民から貴族になりあがった人間の一人なのですよ？名誉貴族じゃなく男爵の地位にあるお人なのです。そんな方の奥方が交流会に出ないなんてあり得ないことです」

「だけど、そんな常識どこで学ぶんだよ？」

「当然学園ですよ。貴族様は子供のころから王都の学校に通い常識を学ぶのです。そこでシャーロット様は、常識や所作を学ばないといけません」

「だけど、シャーロットはまだ貴族じゃないぞ？」

「旦那様とご結婚が決まっているではありませんか？シャーロット様はまだ成人になっておりません。学校に通い貴族としての常識を身に着けるべきです。成人してから学ぼうとしても大変でございますよ」

「ねえ、セバス？」

「何でございましょう？」

「王都の学校って事はやっぱり？」

「そうですね。学園寮に入る事になりますね」

「そ、そんな……ヒロトシ様と離れるなんて……」

「まあ、ちょっと待ちなよ。俺は貴族として生活はこの先するつもりはないよ？シャーロットが、交流会に出た所で意味はないだろ？」

「しかし、それでは……」

「まあ、待ってって。俺が、仮に自分の土地を町に成長させて、シルフォード様のように領主となれば貴族としての関係を繋げる為に、シャーロットも交流会に参加しないといけないと思う」

「それはそうですが……」

「だが、俺は㋪美研やサンライトの経営だ。俺を支えると言う意味が違ってくるだろ？」

「……では旦那様はどうお考えで？」

「シャーロットには、ウェイトレスや帳簿の付け方やリサ達の指導とかだろ？つまり、顔を広げると言うより勉強のほうだ」

「ゲッ……」

「ゲッてなんだよ？まさか計算が出来ないって訳じゃないだろ？」

　シャーロットは姉のサキから働けないからと言われ続けて、ベットで安静にして過ごし続けていた。当然計算が出来るはずもなく、サンライトでは料理を運ぶだけのつもりでいた。ヒロトシはサキやジュリが計算が出来るので、シャーロットもできるもんだと思い込んでいたのだった。

「できません……」

「だったら、シャーロットはウェイトレスは出来ないだろ？料理を運んだ時にお金を頂くんだぞ。お釣りはどうするつもりだったんだよ」

「それは誰かに出来る人に……」

「そんなわけあるか！当分の間、シャーロットは奥で皿洗いか。料理担当だな！」

「当分の間？」

「ああ。シャーロットには家庭教師をつける事にする。聖の日はシャーロットは勉強だからな」

「い、いやぁ～～～～～！計算なんて無理ぃ～～～～～！」

「じゃあ、結婚は無かったことにする」

「そんなのもっといやぁ！」

「だったら、商人の妻として頑張るんだな」

「ですが、旦那様？交流会はどうなさるおつもりですか？」

「別に構わんだろ？」

「そんなわけには……」

「大丈夫だって！俺がローベルグ様に詳しい事を聞いてくるから？」

「まさか、旦那様……男爵位を返上するなんて考えておりませんよね？」

「そんなのは最終手段だ。ローベルグ様は俺に貴族の事はしなくていいとおっしゃったんだ。男爵の位も与える報奨がそれしかなかったからだよ」

「それならよろしいのですが……」

「うううううう……なんで計算を……」

　勉強が嫌なシャーロットは、涙を流してその場に崩れ落ちていた。そして、ヒロトシが王都に行く事でシャーロットの存在が、ローベルグとレオナの耳に入る事になり騒動となる事をまだ知らなかった。





　その頃。王城のローベルグは公費でシャーロットの捜索が出来なくなり、部下達に早く探し出すように指示を出していた。

「何をしている早くシャーロットを探し出せ！」

「お気持ちは分かりますが……１０年以上も前の人間の足取りはそう簡単には……」

「ほう！俺に逆らうとは良い度胸だ。これは王国の捜索としての腕が落ちていると判断をしざるを得ないな」

「こ、国王……それはいくらなんでも……」

「俺自身が鍛え直してやろう」

　諜報部隊長が、ローベルグに直々の訓練をすると聞かされ、顔から血の気がひいた。

「ちょっと、あなた！何を言っているのですか？」

「お、お前いつからそこに？」

「シャーロットを早く見つけろと言った所からかしら」

　つまり、部下に無理難題を言っていたことをレオナに全て聞かれていたので、ローベルグは真っ青になって震え出していた。

「い、いや……そうじゃなくて俺はだな……」

「ったく……貴方という人は！シャーロットの心配をしているのならまだわかります」

「当然じゃないか！」

「貴方は、自分の給料から引かれ続ける事を心配しているのでしょう？だから、そんなに急がせようと！」

「ち、違うぞ……俺はちゃんと我が子の事をだな……」

「黙りなさい！」

「うぐっ……」

「諜報部隊長！シャーロットの捜索はなるべく急いでほしいですが、無理をすることはありません。今まで通りでお願いします」

「あ、ありがとうござい……」

　諜報部隊長は、レオナの心遣いに感謝をしてお礼を言おうとしたが、ものすごい視線を感じたので横目でローベルグをみると、分かってんだろうな？という視線を送っていた。

「あなた！」

「は、はいっ！」

「諜報部隊長、安心しなさい。主人が何か理不尽な事を言うのなら、いつでも遠慮なくわたくしに報告しなさい！」

「お、おい……それはいくらなんでも……」

「そうですか……じゃあ、誰が一番かわからせてあげますがいいのですか？」

「い、いえ！結構でございます！」

「よろしい！じゃあ、あなたは早く公務に戻りなさい！」

　ローベルグはトボトボと書斎に向かうのだった。そんな姿を見てレオナは苦笑いをしたのだった。

「諜報部隊長、無理をせずなるべく早くシャーロットを見つけるのですよ」

「はっ！承知いたしました」

　レオナはそう言い、自分の業務をする為仕事部屋に戻っていった。

「さすがは、レオナ様だ……ここで一番の権力者はあの人だな……」

　そういって、諜報部隊長は業務に戻り、部下に指示を出したのだった。