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第5章 意外なスキル
27話 病名
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医者は、シャーロットに薬を投与して何とか動悸息切れを治し、シャーロットは覚醒させ一命をとりとめたようだった。
「えっ⁉何であたし病院にいるの?」
「シャーロットちゃん、気が付いたかい?」
「カイゼル先生!なんで?あたしお金が無いのに……」
「大丈夫じゃよ。サキちゃんの知り合いのお人が君の治療費を払ってくれるからのう」
「お姉ちゃんの知り合い?」
「良かったのう……サキちゃんは生きているそうじゃよ」
「本当ですか?」
シャーロットは、サキからの手紙を見ていなかった。具合が悪くなってしまい郵便物は郵便受けにたまっていたからだ。
「お姉ちゃんの知り合いの人は?」
「安心しなさい。待合室で君の治療を心配そうに待っているからね」
シャーロットはそれを聞き、今まで動けなかったのが嘘のように病室を勢いよく出たのだった。シャーロットはサキとは似てはいない。親の再婚で連れ子同士だったのでサキとは血が繋がっていないからだ。
シャーロットは腰まである金髪ストレートで目がブルーで本当に可愛らしい美少女である。さっきまで苦しそうだった感じは一切なく、ヒロトシはその少女に見惚れてしまったほどだった。
「あ、ありがとうございます。貴方が治療費を出してくれなかったら、あたしは今頃永遠に眠り続けていました」
「いや、本当に間に合ってよかったよ」
「それでお姉ちゃんが生きているって本当ですか?」
「本当だよ。だから、こうして俺が君を迎えに来たんだ」
「なんで、お姉ちゃんは来てくれなかったのですか?」
「ちょっと色々あってな。ここでは話せないから家で説明させてもらうよ」
「パルランの町を離れると言う事ですか?」
「ああ、君にはミトンの町に来てもらう事にする」
「ちょっと待ってください!お姉ちゃんは一体どうなっているのですか?」
「じゃあ、家で説明させてもらっていいかな?」
「わ、分かりました……」
ヒロトシは、町医者のカイゼルに治療費を払い、まずシャーロットの病状を説明された。シャーロットは魔力欠病症というものだった。
「魔力欠病症?」
「そうじゃ。滅多にかかる病気じゃないんだが、シャーロットちゃんは赤ん坊の時に掛かってしまったようじゃな」
カイゼル先生の説明では、魔素だまりという特殊な場所があると言う。大人なら別に害はないのだが、1歳児までにその場所に当てられると体内の魔力機関が異常をきたすと言うのだ。
つまり、MPがドンドン消費されていき昏睡状態になるらしい。その治療法は、錬金術師が魔緑草という薬草を煎じて作ったリチャージポーションや、薬師が作る丸薬を飲ませればMPが回復し普通に行動が出来るらしいのだ。
「じゃあ、その丸薬かリチャージポーションがあれば、シャーロットさんは普通に生活が出来ると?」
「そうじゃな。しかし、この薬は結構な値段がするんじゃ……ワシも、タダで治療するわけにもいかなかったんじゃよ」
「そうだよな?先生も生活があるんだし、俺も商人だからその気持ちはよくわかるよ」
「なあ、シャーロットちゃんや。悪い事は言わん。この方を頼るんじゃ。じゃないと、又君は倒れてしまうのは目に見える。それに、サキちゃんもこの方の所におるんじゃし、その方がいいじゃろ?」
「はい……」
シャーロットは、思い出の詰まったこの町を離れるのは抵抗があったのだ。もういない両親がいたあの家を離れる事に躊躇していた。
「ヒロトシさんや。シャーロットちゃんをよろしく頼む」
「大丈夫だよ。その為にこの町に迎えに来たんだからさ」
その言葉を聞き、カイゼルは笑顔となった。そして、シャーロットと一緒にサキの家に帰る事にしたのだった。そして、家に帰ると元気になったシャーロットの姿を見た近所に住むハンナは喜び安心していたようだった。
「それでお姉ちゃんは本当にミトンの町にいるんですか?」
シャーロットは他人を信じれなくなっているようだった。当然と言えば当然の事だった。治療費を払って貰ったのだが、冒険者風の男に有り金を巻き上げられたのだから。また同じような事を言って自分を騙していると警戒してもおかしくはなかった。
「まあ、警戒するのはよくわかるがこれを見てくれ」
ヒロトシは、サキから預かっていたお守りを、シャーロットにみせた。このお守りはシャーロットの手作りで、冒険に出ているとき危険が無いようにとシャーロットが手作りした物だった。そして、ヒロトシはジュリの分も見せたのだった。
「これはジュリ姉ちゃんのお守り?」
「ああ!ジュリも今はミトンの町にいるんだよ」
「でも、何で?一緒に来ないの?」
「君のような小さい子にはショックだろうが、サキとジュリは盗賊達に囚われ酷い事をされたんだよ。その後遺症で外に出る事が出来ないでいる」
「そ、そんな!」
「本当は、今日も一緒に迎えに来たかったんだが、どうしても外に出れなくて涙ながらに、俺に頼んだと言う訳なんだ」
「……もう一つお聞きしてもいいですか?」
「どうぞ?」
「なんで、サキお姉ちゃんとジュリお姉ちゃんは貴方の所にいるのですか?どういったお知り合いですか?」
ヒロトシはベックという行商人の事から包み隠さず今までの事を説明した。サキ達を救いだした時には、悪徳奴隷商に奴隷へと落とされた後で、主人となっていた人間を討伐し、サキ達の主人は現在ヒロトシとなっている事を言うと、シャーロットは机にうつ伏して泣いてしまった。
「そ、そんな!お姉ちゃん達が奴隷になってしまっただなんて!」
シャーロットは、自分の治療費を稼ぐために危険な冒険者となって苦労をさせてしまったあげく、その大切な人が奴隷になってしまった事にいたたまれない気持ちになって、疲れ果てるまで泣いたのだった。
ヒロトシにはどうする事も出来ず、ただシャーロットを慰めていた。しかし、その姿にミルデンスやカノン達が黙っていなかった。サキ達は奴隷と落ちてしまったが、想像するような事は無く、大切に保護されていると説明していた。
「そんなの嘘よ!」
「本当です!ご主人様はわたし達に対して大切にしてくれています。平民だった時より幸せと言っても過言ではありません」
シャーロットは信じれなかった。奴隷である人間がこんなにも主の事を擁護していたのだ。それに信じれない事だが、カノンやミルデンスは悲壮感が全くなくやせ細ってもおらず、物凄く魅力的な人間と言ってもよかった。
「本当に?お姉ちゃんたちは大事にされて幸せなの?」
「ああ!大事にしているが今は幸せかどうかわからないな」
「えっ?」
「今、サキ達は後遺症に苦しんでいるからな。幸せかと聞かれたらそうじゃないはずだ。しかし、シャーロットさんがミトンの町に来て、サキ達の側にいてやってくれたら、後遺症も楽になるかもしれない」
「だけど……この家はお父さんとお母さんの思い出が詰まった場所なの」
「申し訳ないが、この家はもう俺の物だ」
「そ、そんな!」
「この家はサキの物だろ?」
「あっ……で、でも……」
「驚かせてすまないな。売る事はしないから安心してくれ。君にはミトンの町に移住いてほしいんだよ。ここにいて病状は再発したらサキが心配する。それにもうサキは冒険に出る事は出来ないし、一緒にいてやってほしいんだよ」
シャーロットは、サキがこの人の奴隷となったと聞かされ、ここで生活するのは無理だと思った。大事に保護されているとはいえ、身分は奴隷であり他の町で生活するのは無理だと理解したのだ。 それにもうこの家はサキの主人であるこの人の物となってしまったが、しかし売る事はしないと言ってくれたのだ。
「わかりました。ミトンの町に移住させていただきます」
「そうか。わかってくれて良かったよ」
シャーロットは近所の人に挨拶をして、近所の人達から喜ばれていた。近所の人達は少なからず心配はしていたのだった。サキが生きていて、移住すると聞き本当に喜んでいた。
「でも、この家ずっと誰も住まないのですか?」
「まあ、ちょっと考えがあってだな。後で俺がここに転移マットを設置して置くよ」
「なるほど!それならいつでもこの町に来れますね」
「今回、ここに来るのに転移マットを作っている暇が無かったからな。ここに結界石を置いておけば、泥棒に入られる事もないしな」
「た、確かに……ご主人様のレベルは高いですからね……まず結界を突破することはありませんし安心ですよ」
そんな話をしていたところに、シャーロットが近所の人達に挨拶を済ませて家に帰ってきた。そして、家の事は結界石で防護し、シャーロットを連れてミトンの町へと出発したのだった。
「えっ⁉何であたし病院にいるの?」
「シャーロットちゃん、気が付いたかい?」
「カイゼル先生!なんで?あたしお金が無いのに……」
「大丈夫じゃよ。サキちゃんの知り合いのお人が君の治療費を払ってくれるからのう」
「お姉ちゃんの知り合い?」
「良かったのう……サキちゃんは生きているそうじゃよ」
「本当ですか?」
シャーロットは、サキからの手紙を見ていなかった。具合が悪くなってしまい郵便物は郵便受けにたまっていたからだ。
「お姉ちゃんの知り合いの人は?」
「安心しなさい。待合室で君の治療を心配そうに待っているからね」
シャーロットはそれを聞き、今まで動けなかったのが嘘のように病室を勢いよく出たのだった。シャーロットはサキとは似てはいない。親の再婚で連れ子同士だったのでサキとは血が繋がっていないからだ。
シャーロットは腰まである金髪ストレートで目がブルーで本当に可愛らしい美少女である。さっきまで苦しそうだった感じは一切なく、ヒロトシはその少女に見惚れてしまったほどだった。
「あ、ありがとうございます。貴方が治療費を出してくれなかったら、あたしは今頃永遠に眠り続けていました」
「いや、本当に間に合ってよかったよ」
「それでお姉ちゃんが生きているって本当ですか?」
「本当だよ。だから、こうして俺が君を迎えに来たんだ」
「なんで、お姉ちゃんは来てくれなかったのですか?」
「ちょっと色々あってな。ここでは話せないから家で説明させてもらうよ」
「パルランの町を離れると言う事ですか?」
「ああ、君にはミトンの町に来てもらう事にする」
「ちょっと待ってください!お姉ちゃんは一体どうなっているのですか?」
「じゃあ、家で説明させてもらっていいかな?」
「わ、分かりました……」
ヒロトシは、町医者のカイゼルに治療費を払い、まずシャーロットの病状を説明された。シャーロットは魔力欠病症というものだった。
「魔力欠病症?」
「そうじゃ。滅多にかかる病気じゃないんだが、シャーロットちゃんは赤ん坊の時に掛かってしまったようじゃな」
カイゼル先生の説明では、魔素だまりという特殊な場所があると言う。大人なら別に害はないのだが、1歳児までにその場所に当てられると体内の魔力機関が異常をきたすと言うのだ。
つまり、MPがドンドン消費されていき昏睡状態になるらしい。その治療法は、錬金術師が魔緑草という薬草を煎じて作ったリチャージポーションや、薬師が作る丸薬を飲ませればMPが回復し普通に行動が出来るらしいのだ。
「じゃあ、その丸薬かリチャージポーションがあれば、シャーロットさんは普通に生活が出来ると?」
「そうじゃな。しかし、この薬は結構な値段がするんじゃ……ワシも、タダで治療するわけにもいかなかったんじゃよ」
「そうだよな?先生も生活があるんだし、俺も商人だからその気持ちはよくわかるよ」
「なあ、シャーロットちゃんや。悪い事は言わん。この方を頼るんじゃ。じゃないと、又君は倒れてしまうのは目に見える。それに、サキちゃんもこの方の所におるんじゃし、その方がいいじゃろ?」
「はい……」
シャーロットは、思い出の詰まったこの町を離れるのは抵抗があったのだ。もういない両親がいたあの家を離れる事に躊躇していた。
「ヒロトシさんや。シャーロットちゃんをよろしく頼む」
「大丈夫だよ。その為にこの町に迎えに来たんだからさ」
その言葉を聞き、カイゼルは笑顔となった。そして、シャーロットと一緒にサキの家に帰る事にしたのだった。そして、家に帰ると元気になったシャーロットの姿を見た近所に住むハンナは喜び安心していたようだった。
「それでお姉ちゃんは本当にミトンの町にいるんですか?」
シャーロットは他人を信じれなくなっているようだった。当然と言えば当然の事だった。治療費を払って貰ったのだが、冒険者風の男に有り金を巻き上げられたのだから。また同じような事を言って自分を騙していると警戒してもおかしくはなかった。
「まあ、警戒するのはよくわかるがこれを見てくれ」
ヒロトシは、サキから預かっていたお守りを、シャーロットにみせた。このお守りはシャーロットの手作りで、冒険に出ているとき危険が無いようにとシャーロットが手作りした物だった。そして、ヒロトシはジュリの分も見せたのだった。
「これはジュリ姉ちゃんのお守り?」
「ああ!ジュリも今はミトンの町にいるんだよ」
「でも、何で?一緒に来ないの?」
「君のような小さい子にはショックだろうが、サキとジュリは盗賊達に囚われ酷い事をされたんだよ。その後遺症で外に出る事が出来ないでいる」
「そ、そんな!」
「本当は、今日も一緒に迎えに来たかったんだが、どうしても外に出れなくて涙ながらに、俺に頼んだと言う訳なんだ」
「……もう一つお聞きしてもいいですか?」
「どうぞ?」
「なんで、サキお姉ちゃんとジュリお姉ちゃんは貴方の所にいるのですか?どういったお知り合いですか?」
ヒロトシはベックという行商人の事から包み隠さず今までの事を説明した。サキ達を救いだした時には、悪徳奴隷商に奴隷へと落とされた後で、主人となっていた人間を討伐し、サキ達の主人は現在ヒロトシとなっている事を言うと、シャーロットは机にうつ伏して泣いてしまった。
「そ、そんな!お姉ちゃん達が奴隷になってしまっただなんて!」
シャーロットは、自分の治療費を稼ぐために危険な冒険者となって苦労をさせてしまったあげく、その大切な人が奴隷になってしまった事にいたたまれない気持ちになって、疲れ果てるまで泣いたのだった。
ヒロトシにはどうする事も出来ず、ただシャーロットを慰めていた。しかし、その姿にミルデンスやカノン達が黙っていなかった。サキ達は奴隷と落ちてしまったが、想像するような事は無く、大切に保護されていると説明していた。
「そんなの嘘よ!」
「本当です!ご主人様はわたし達に対して大切にしてくれています。平民だった時より幸せと言っても過言ではありません」
シャーロットは信じれなかった。奴隷である人間がこんなにも主の事を擁護していたのだ。それに信じれない事だが、カノンやミルデンスは悲壮感が全くなくやせ細ってもおらず、物凄く魅力的な人間と言ってもよかった。
「本当に?お姉ちゃんたちは大事にされて幸せなの?」
「ああ!大事にしているが今は幸せかどうかわからないな」
「えっ?」
「今、サキ達は後遺症に苦しんでいるからな。幸せかと聞かれたらそうじゃないはずだ。しかし、シャーロットさんがミトンの町に来て、サキ達の側にいてやってくれたら、後遺症も楽になるかもしれない」
「だけど……この家はお父さんとお母さんの思い出が詰まった場所なの」
「申し訳ないが、この家はもう俺の物だ」
「そ、そんな!」
「この家はサキの物だろ?」
「あっ……で、でも……」
「驚かせてすまないな。売る事はしないから安心してくれ。君にはミトンの町に移住いてほしいんだよ。ここにいて病状は再発したらサキが心配する。それにもうサキは冒険に出る事は出来ないし、一緒にいてやってほしいんだよ」
シャーロットは、サキがこの人の奴隷となったと聞かされ、ここで生活するのは無理だと思った。大事に保護されているとはいえ、身分は奴隷であり他の町で生活するのは無理だと理解したのだ。 それにもうこの家はサキの主人であるこの人の物となってしまったが、しかし売る事はしないと言ってくれたのだ。
「わかりました。ミトンの町に移住させていただきます」
「そうか。わかってくれて良かったよ」
シャーロットは近所の人に挨拶をして、近所の人達から喜ばれていた。近所の人達は少なからず心配はしていたのだった。サキが生きていて、移住すると聞き本当に喜んでいた。
「でも、この家ずっと誰も住まないのですか?」
「まあ、ちょっと考えがあってだな。後で俺がここに転移マットを設置して置くよ」
「なるほど!それならいつでもこの町に来れますね」
「今回、ここに来るのに転移マットを作っている暇が無かったからな。ここに結界石を置いておけば、泥棒に入られる事もないしな」
「た、確かに……ご主人様のレベルは高いですからね……まず結界を突破することはありませんし安心ですよ」
そんな話をしていたところに、シャーロットが近所の人達に挨拶を済ませて家に帰ってきた。そして、家の事は結界石で防護し、シャーロットを連れてミトンの町へと出発したのだった。
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