研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第5章 意外なスキル

6話 ミトンの町へ帰還

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 ヒロトシはビアンカを連れてシュガー村に帰ってきた。ビアンカはすっかりシュガー村で癒し的な存在となっていた。
 昼間は、カエデ達と畑仕事に精を出していた。ちなみに、モミジも今では姉であるカエデと一緒に畑仕事をしていた。
 結局は、この1ヶ月セバス達は自分のできる事を探して休憩などはせず、毎日なにかしら仕事を見つけては働いていたのだった。

 そして、ヒロトシはオリハルコンのプレートに模様をつけて、魔法石のダイヤモンドを設置した物を2枚製作していた。

「ご主人様?何を作っているのですか?」

「瞬間移動のできる魔道具を作っているんだ」

「それは本当ですか?」

「マイン……嘘を言ってどうするんだよ……」

「で、でも、そんなものが開発されたら革命ですよ?」

「これは売り物じゃないよ。シュガーの村と㋪美研をつなぐ為のものだからね」

「それは凄いですね」

「これで行き来が楽になるし、シュガー村に1ヶ月単位で出張もしなくても良くなるだろ?」

「それで出来そうですか?」

「ああ!このプレート2つで1セットだよ。」

 ヒロトシは、そのプレートを設置した。設置する場合魔力を登録し、設置した本人じゃないと取れない様にしておいた。

「じゃあマイン、こっちのプレートに乗って見てくれるか?」

「は、はい……」

 マインは、そのプレートに乗ると一瞬にして、もう一つのプレートに瞬間移動をしたのだった。

「えっ?」

 そして、そのプレートから降りてもう一度乗ると、もう一つのプレートに移動したのだった。

「す、すごい……」

「成功したようだな……なんとか、ミトンの町に帰る日までには間に合ったようだな」

 そして、1か月が経ちヒロトシ達は、ミトンの町へと帰還する日になった。

「ビアンカはどうする?」

『ヒロトシと一緒に行く!』

 これからは転移プレートのおかげで、シュガー村とはいつでも行き来が出来る。その為、シュガー村でサトウキビの生産をしたいものは自主的に残る事になった。
 カエデ達は今まで通り、ここで野菜を生産することになっていた。モミジは姉と会ったことで、このままシュガーの村で残る事を選択した。やはり、離れていたことを思いなおし、姉妹仲良くここで生活する事にしたようだ。

 そして、ヒロトシは第一陣としてセバス達をトラックに乗せて、ミトンの町へと帰還したのだった。

「ヒロトシ様!よく帰還してくれました」

 町の兵士達は1ヵ月ぶりのヒロトシの姿に笑顔となった。ミトンの町は建物が建ち始めて、賑わいを取り戻し始めていた。

「長い間、休憩させてもらって悪かったな。これからまたよろしく頼みます」

「「「「「こちらこそよろしくお願いします」」」」」

 町の兵士達は、ヒロトシに丁寧にあいさつをしたのだった。ヒロトシはその日、ミトンの町とシュガー村を何往復もして、全員を移住させた。
 そして、セバス達は屋敷に着くや否やすぐに屋敷内を掃除し始めた。ガイン達も自分の工房の掃除や整理をして、明日からの仕事に備えたのだった。

 この事は一気にミトンの町に広まる事になる。ヒロトシのトラックが町に帰ってきて、㋪美研やサンライトにマイン達の姿が忙しなく働いていたからだ。

 町の人間はサンライトの前に、冒険者達は㋪美研の前に集まっていた。

「マインちゃん!やっと戻ってきてくれたのか?俺寂しくてよ……」

「何言っているんですか?もう……」

 マインだけでなく、アイ達も他の冒険者達に話しかけられていた。冒険者達にとって、㋪美研の受付嬢達は活力の源になっていたようだ。

「ちょ、ちょっと皆さん……営業は明日からです。今日は、店の掃除をしないといけないので……」

「そんな事言わないでよ。俺達この一ヶ月マインちゃんがいなくて寂しかったんだぜ」
「もうちょっと話そうぜ」

「だから、明日からの営業の為掃除をしないと……あっ」

「「「「マインちゃんどうしたんだ?」」」」」」

「お前達……そんな事をしていると1ヶ月じゃなくこの店を出禁にするぞ?」

 冒険者達はハッとして後ろから聞こえた声に振り向くと、そこにはヒロトシが仁王立ちしていた。

「「「「「ヒ、ヒロトシ様⁉」」」」」」

「ったく、お前達はマイン達の邪魔をするんじゃない!」

「だ、だけどよう……俺達の癒しがやっと帰って来たんだぜ。ちょっとぐらいお話しさせてくれてもよう……」

「だぁーーーーー!うるさい。明日の営業も出来なくなるだろ?それとももっと休んでやろうか?」

「ちょっと待ってくれよう。そんなことされたら俺達のやる気は……」

「だったら邪魔をするな!言っておくが、明日もマイン達にこんな絡み方すんなよ。やったら冒険者ギルドに営業妨害として苦情を言うからな」

「「「「「そ、そんな……」」」」」

「ほら、出ろ!出ろ!邪魔邪魔!」

 ヒロトシは冒険者達を店から追い出してしまった。

「ヒロトシ様がいなくなったらチャンスだ……」
「今日はマインちゃん達を乗り物でピストン輸送しているみたいだぞ?」
「俺達は頭を使って会いに行くんだ」
「そうだな」

 そんな事を言っていた他の冒険者達の後ろに黒い影が立っていた。

「ったく……マイン達の人気は凄いな……」

「「「「「へっ?」」」」」」

 ヒロトシが、なぜか後ろに立っていたのだった。

「お前達の行動は分かりやすい。この事をギルドに報告してもいいんだぞ?」

「な、なんで後ろに?」

「そんなことどうでもいい。マイン達の邪魔をするな!」

「「「「「「は、はい!ごめんなさい!」」」」」」

 ヒロトシは、時空魔法2レベルの【テレポ】を使ったのだ。この魔法は、目視出来る範囲で瞬間移動する魔法である。この魔法で戦術があり得ない程幅が広げる事が出来る。

 その時、冒険者ギルド副ギルドマスターのカチュアが、㋪美研に血相を変えてやってきたのだった。

「ヒロトシ様、うちの冒険者達が迷惑をかけて申し訳ございません」

 見事なまでに、カチュアはスライディング土下座を決めたのだった。なんでも、女性冒険者がギルドにちくったようだ。それを聞きカチュアは顔から血の気が引きとんできたようだった。

「カチュアさん、頭を上げて」

「で、でも……」

「明日から㋪美研は営業を再開するから、このままじゃ明日も開店できないかもしれない。なんとかしてくれるのなら大丈夫だからさ」

「では、女性冒険者達を店の前に配置します。店の中には入れさせない様にしますので」

「ああ!じゃあ、よろしく頼むよ。俺はまだミトンの町に連れてこないといけない家族がいるから助かるよ」

 カチュアはそう言って、ギルドに帰り女性冒険者達に㋪美研の警護の指示をだした。これは、サンライトの方も同様で、こちらのウェイトレスにお熱になっている冒険者から守る為だ。

「ったく……男ってホント馬鹿よね……」
「ほんとほんと。そんな事したら反対に引かれるってわからないのかしら」
「分からないから馬鹿なんだよ」

「皆さん本当にありがとうございます」

「いえ。あいつ等が悪いんだから気にしなくていいよ。本当にごめんね」

 ミトンの町では、マイン達の立場は平民と変わらないほどである。これもヒロトシのおかげと言ってもいい。女性冒険者達はマイン達に深々と頭を下げていた。

 女性冒険者達のおかげで、㋪美研に男性冒険者達は一歩も入れなかったのは言うまでもなかった。そして、ヒロトシは全員をその日のうちに、ミトンの町に移住させることができたのだった。


 
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