158 / 347
第4章 魔道スキルと研磨スキル
41話 知っている怪物
しおりを挟む
ヒロトシは、バンパイア真祖を苦もなく討伐してしまった。これに焦りを見せたのは、当然ながら魔王スルトだった。
「カミュラがやられたか……おい、何をやっておるシュテン持ち場に戻らぬか!」
「はっ!しかし……まさか、あのカミュラを倒す人間がいるなんて……」
「馬鹿者!早くいかぬか」
スルトに怒鳴られた男性は、シュテンと呼ばれて持ち場に戻れと言われていた。少し小柄だが筋肉隆々でたくましい身体をしていて、その頭には立派な角が生えており、鬼人だと言う事が分かる。
「しかし、どういう事だ……あの人間この間よりさらに強くなっておる……」
魔王スルトが驚くのは無理もなかった。カミュラにしても、前回戦ったスルトと同等の強さを有していたはずだった。
前回の轍を踏まない様に、魔王スルトは魔力を蓄えてパワーアップをしていた。その為、クローンは魔力を消費し過ぎるのでパワーアップのほうを選択し、配下の者を召還した。
いま、持ち場に戻らせたのは酒呑童子である。鬼人の中でも最強と謳われた鬼の一族だ。カミュラより数段上の強さだが、先ほどの戦いで不安を募らせたのだ。
ヒロトシは、さらに奥へと進んでいた。すると、まさに地獄をイメージする場所に出た。
「なんだここは?地獄そのものだな……」
「わはははははははははは!よく来たな下等生物よ!俺はシュテン!」
「シュテン?お前まさか酒呑童子か?」
ヒロトシはその名前と、頭に生えた角を見てそう答えた。
「ほう!俺の事を知っている人間がいるとはな……おそれいったぜ!俺様も結構有名なんだな」
「いや、この世界の人間は知らないだろうぜ。俺自身もお伽噺で知っているだけだよ!そして、知られないままお前もこの世から消滅させてやるよ」
「わははははははは!下等生物如きが俺様を消滅だと、その愚かな自信後悔しながら死んでいくがよい!」
シュテンは、そう怒鳴りながら日本刀、童子切安綱(どうじぎりやすつな)を構えて突っ込んできた。
「この刀を見たら、ノーザンの奴喜ぶだろうな」
「戦いの最中に何を言ってやがる!」
ヒロトシは、シュテンの太刀筋を完全に見切っていて、余裕でかわし続ける。
「俺の家族が刀を作っていてな。それを見たら喜ぶよ。それにしても、それが限界なのか?もっとしっかりしろよ」
「ちぃ!当たらねえ!」
「いやああ。面白いものだな!酒呑童子がその刀を持っているだなんて!」
「何を言ってやがる!」
「お前知っているのか?その刀はお前にとどめを刺した刀なんだぞ?」
「はっ!馬鹿な事を!俺にとどめだと?にしても貴様は一体何なんだ!本当に人間なのか?」
「ほらほらどうした?鬼さんこちら?」
「ば、馬鹿にするな!」
シュテンはヒロトシの言葉に、童子切を振りかぶりヒロトシの脳天を斬りつけようとした。
「なっ⁉」
シュテンはヒロトシを真っ二つにしたつもりだったが、ヒロトシにあたる瞬間刀がビクとも動かなくなった。
「これぞ、真剣白羽取り!」
シュテンの童子切は、ヒロトシの両手で見事までに捕らえられ、ビクとも動かなかった。
「くっ!は、放しやがれ……」
「ほらどうした?先ほどまでの威勢はどこに行った?」
「ぐうううううう!」
ヒロトシはそのまま手首をひねり、シュテンを引き寄せた。
シュテンは、その力にバランスを崩し前のめりになった。その時、後頭部に衝撃が走り地面に膝を付き、両手を地面についてしまった。
「ぐがあああああああああ!」
ヒロトシは刀を引き寄せた瞬間身体をひねり、シュテンの後頭部に踵落しをくらわせたのだった。そして、その姿はヒロトシに土下座している格好となったのだ。
「おいおい。鬼族最強の酒呑童子が土下座だなんて情けないのもほどがあるぞ?まあ、今更謝ってもお前の命運は決まっているがな」
「き、貴様ぁ~~~~~~~!」
シュテンが激怒したのだ。先ほどまで小柄な体だったが、あまりにヒロトシのなめた態度に激怒し、身体がドンドン大きくなり身の丈3mを越える鬼の姿へと変化した。
「ようやく本気になったか?あのまま消滅したら悔やんでも悔やみきれないものな?」
「この姿を見せたのは300年ぶりだ!後悔してももう遅い。頭から食ってやるわ!ぐははははははははは!」
シュテンは豪快に笑いながら、その拳をヒロトシに振り上げた。
「何が鬼族最強だ……力任せの猪突猛進かよ」
ヒロトシは、シュテンの拳にあわせてパンチを打った。
「がははははは!己は馬鹿か。体格差で撃ちあえるわけなかろう!」
しかし、シュテンの思惑が外れた。ヒロトシの拳はシュテンの握り拳にめり込み、指の骨が大きな音を立てて折れたのだ。
「ぐわあああああああ!」
「お前の力など、オーガと変わらないんだよ。さて力の差が分かったか?」
「俺が力負けするなんて!」
シュテンは気力を振り絞り突進し、頭突きをくらわせようとした。シュテンの角は鋭く硬い。ドラゴンの鱗も貫けるほど強力な武器だった。
「おいおい。鬼族は角を大事にしないといけないだろ?」
ヒロトシは、シュテンの頭突きにあわせて、横にずれた。そして、角の根元に拳を討つと見事その角を圧し折ったのだ。
「ぎゃあああああああああああああああああああ!俺の角があああああああああああああああ!」
シュテンは、自分の頭を押さえて転がりまわった。角には神経が通っていたみたいで、シュテンはその激痛に耐えられなかったのか、そのまま気絶してしまった。
「なんだ?すげえ弱いじゃん……じゃあ伝承通り、自分の武器で死んで貰おうか……」
ヒロトシは、童子切安綱を手に持ち、息を大きく吸い振りかぶりシュテンの首を刎ねたのだった。そして、シュテンの遺体をインベントリに収納してしまった。
「また、名前付きの宝剣を手に入れれたな」
童子切を鑑定すると、+5刀と表示され、オーガや鬼人に対して5倍のダメージを与える。ヒューマンタイプに対して2倍のダメージとあった。
そして、MPを50使用で乱撃が使用可能とあり、武器のアクティブスキルがあった。
乱撃
混戦状態で敵に囲まれた時、全ての敵の攻撃を回避しながら反撃が出来る。効果時間1分 ダメージ基本攻撃力×0.75+STR値
「凄い!強力な武器だな……しかし、刀は使えないから宝の持ち腐れだな……まあ、これもインベントリの肥やしだな」
そう独り事言って、ヒロトシはインベントリに収納して、ダンジョンの奥へと進んだ。すると、とうとうミレーヌの言った居城がその姿を現した。
「ここが魔王スルトがいるのか。早く倒して村に帰ろう」
ヒロトシはその巨大な門をくぐると、居城の大広間に出た。もっとドロドロしいものと思ったが、真っ白な大理石を使った綺麗なお城である。
中に入るとそこには、似つかわしくない大きな3つ首の犬が待ち構えていた。
『ぐるるるるるるるる!ぐがあああああああああああああ!』
「何でもありかよ……今度は地獄の門番ケルベロスとはな」
ケルベロスは5mほどある大きな番犬だった。首は3つもあり漆黒のボディーを持ちその尻尾は大蛇である。ケルベロスの怖いところは、その大きな巨体に係わらず俊敏な動きで敵を追い詰め、牙で食いちぎり3回攻撃に加えて爪の2回攻撃、そして最後に尻尾の大蛇が猛毒攻撃を仕掛けてくるのだ。
「魔王も馬鹿だな……こんなのを最後に持って来るとは何を考えているんだか」
『ぐぁあああああああああああああああ!』
ケルベロスは、いきなりヒロトシに突進してきた。しかし、そんな攻撃がヒロトシに通じる訳もなくあっさり交わされた。そして、ヒロトシはケルベロスの下に潜り込んで、腹に数発のパンチを連続で打った。
『ぐおおおおおおおおおおおおおおおお!』
ヒロトシの拳は、ケルベロスにも十分通じていた。いきなり腹に痛みがが走ったケルベロスは、その場所から飛びのき、ヒロトシに向かって口を大きく開けたのだ。
そして、雄たけびと共にその大きく開いた3つの口から炎を吹き出した。これの攻撃はドラゴンが持っているのと同じ炎のブレスだ。
ヒロトシはその攻撃方法も見破っていた。神眼に隠し通せるものではなく炎を吐き出す前に、自分にアイスオーラをエンチャントしておいた。
アイスオーラは、水属性3レベルで使える魔法である。かけた相手に氷の膜を張り、炎のダメージを80%軽減する魔法だ。
「ふっ!そんな攻撃がいまさら効くと思っているのか?」
80%軽減なのに、ヒロトシは一切ダメージを負っていなかった。実は炎属性1レベルのレジストファイヤーも唱えていた為だ。これは、1レベルだというのに炎のダメージを50%も軽減するとても強い魔法だ。つまり、この2つの魔法を併用する事で炎ダメージを無効化した事になる。
そして、ヒロトシは吐き出す炎に突っ込み、ケルベロスの攻撃をキャンセルしつつ殴り飛ばした。
その威力は、ケルベロスの巨体を吹き飛ばすもので、殴った衝撃で左首の骨が折れて、一体のケルベロスが戦闘不能となった。後は中央の首と右首が生き残っていたが、左首がだらんとぶら下がりバランスを崩し地面に倒れ込んでいた。
「さすが動物だな。これならシュテンの方がよほど強かったぞ?」
ヒロトシは倒れたケルベロスの腹を殴り飛ばした。
『ぐわあああああああああああ!』
ケルベロスはあまりの衝撃に悶え苦しんでいた。弱点の腹を何発も殴られていたのだ。
ケルベロスの背には、毛が生えていて装甲が固いが腹には毛が無かった。漆黒の肌が丸見えなのだ。ケルベロスは必死に伏せの状態で腹を庇っていたが、今度は中央の首を殴られ続けて瀕死状態になる。
そのせいで、余計に体の重心が狂い、左側に倒れてしまう。倒れた所をまた腹を狙われるのだった。
「さてもうそろそろかな?」
そして、どんどんHPを削られてケルベロスは、ヒロトシに撲殺されてしまったのだった。
『ぐっ、がっがっがっが……ぐおおおおおおおおおおおお!』
最後は力を振り絞ったが、そのまま地面にひれ伏せて死んでしまった。ヒロトシは、ケルベロスの死体もインベントリに収納して大広間から続く大きな階段を上ったのだった。
「カミュラがやられたか……おい、何をやっておるシュテン持ち場に戻らぬか!」
「はっ!しかし……まさか、あのカミュラを倒す人間がいるなんて……」
「馬鹿者!早くいかぬか」
スルトに怒鳴られた男性は、シュテンと呼ばれて持ち場に戻れと言われていた。少し小柄だが筋肉隆々でたくましい身体をしていて、その頭には立派な角が生えており、鬼人だと言う事が分かる。
「しかし、どういう事だ……あの人間この間よりさらに強くなっておる……」
魔王スルトが驚くのは無理もなかった。カミュラにしても、前回戦ったスルトと同等の強さを有していたはずだった。
前回の轍を踏まない様に、魔王スルトは魔力を蓄えてパワーアップをしていた。その為、クローンは魔力を消費し過ぎるのでパワーアップのほうを選択し、配下の者を召還した。
いま、持ち場に戻らせたのは酒呑童子である。鬼人の中でも最強と謳われた鬼の一族だ。カミュラより数段上の強さだが、先ほどの戦いで不安を募らせたのだ。
ヒロトシは、さらに奥へと進んでいた。すると、まさに地獄をイメージする場所に出た。
「なんだここは?地獄そのものだな……」
「わはははははははははは!よく来たな下等生物よ!俺はシュテン!」
「シュテン?お前まさか酒呑童子か?」
ヒロトシはその名前と、頭に生えた角を見てそう答えた。
「ほう!俺の事を知っている人間がいるとはな……おそれいったぜ!俺様も結構有名なんだな」
「いや、この世界の人間は知らないだろうぜ。俺自身もお伽噺で知っているだけだよ!そして、知られないままお前もこの世から消滅させてやるよ」
「わははははははは!下等生物如きが俺様を消滅だと、その愚かな自信後悔しながら死んでいくがよい!」
シュテンは、そう怒鳴りながら日本刀、童子切安綱(どうじぎりやすつな)を構えて突っ込んできた。
「この刀を見たら、ノーザンの奴喜ぶだろうな」
「戦いの最中に何を言ってやがる!」
ヒロトシは、シュテンの太刀筋を完全に見切っていて、余裕でかわし続ける。
「俺の家族が刀を作っていてな。それを見たら喜ぶよ。それにしても、それが限界なのか?もっとしっかりしろよ」
「ちぃ!当たらねえ!」
「いやああ。面白いものだな!酒呑童子がその刀を持っているだなんて!」
「何を言ってやがる!」
「お前知っているのか?その刀はお前にとどめを刺した刀なんだぞ?」
「はっ!馬鹿な事を!俺にとどめだと?にしても貴様は一体何なんだ!本当に人間なのか?」
「ほらほらどうした?鬼さんこちら?」
「ば、馬鹿にするな!」
シュテンはヒロトシの言葉に、童子切を振りかぶりヒロトシの脳天を斬りつけようとした。
「なっ⁉」
シュテンはヒロトシを真っ二つにしたつもりだったが、ヒロトシにあたる瞬間刀がビクとも動かなくなった。
「これぞ、真剣白羽取り!」
シュテンの童子切は、ヒロトシの両手で見事までに捕らえられ、ビクとも動かなかった。
「くっ!は、放しやがれ……」
「ほらどうした?先ほどまでの威勢はどこに行った?」
「ぐうううううう!」
ヒロトシはそのまま手首をひねり、シュテンを引き寄せた。
シュテンは、その力にバランスを崩し前のめりになった。その時、後頭部に衝撃が走り地面に膝を付き、両手を地面についてしまった。
「ぐがあああああああああ!」
ヒロトシは刀を引き寄せた瞬間身体をひねり、シュテンの後頭部に踵落しをくらわせたのだった。そして、その姿はヒロトシに土下座している格好となったのだ。
「おいおい。鬼族最強の酒呑童子が土下座だなんて情けないのもほどがあるぞ?まあ、今更謝ってもお前の命運は決まっているがな」
「き、貴様ぁ~~~~~~~!」
シュテンが激怒したのだ。先ほどまで小柄な体だったが、あまりにヒロトシのなめた態度に激怒し、身体がドンドン大きくなり身の丈3mを越える鬼の姿へと変化した。
「ようやく本気になったか?あのまま消滅したら悔やんでも悔やみきれないものな?」
「この姿を見せたのは300年ぶりだ!後悔してももう遅い。頭から食ってやるわ!ぐははははははははは!」
シュテンは豪快に笑いながら、その拳をヒロトシに振り上げた。
「何が鬼族最強だ……力任せの猪突猛進かよ」
ヒロトシは、シュテンの拳にあわせてパンチを打った。
「がははははは!己は馬鹿か。体格差で撃ちあえるわけなかろう!」
しかし、シュテンの思惑が外れた。ヒロトシの拳はシュテンの握り拳にめり込み、指の骨が大きな音を立てて折れたのだ。
「ぐわあああああああ!」
「お前の力など、オーガと変わらないんだよ。さて力の差が分かったか?」
「俺が力負けするなんて!」
シュテンは気力を振り絞り突進し、頭突きをくらわせようとした。シュテンの角は鋭く硬い。ドラゴンの鱗も貫けるほど強力な武器だった。
「おいおい。鬼族は角を大事にしないといけないだろ?」
ヒロトシは、シュテンの頭突きにあわせて、横にずれた。そして、角の根元に拳を討つと見事その角を圧し折ったのだ。
「ぎゃあああああああああああああああああああ!俺の角があああああああああああああああ!」
シュテンは、自分の頭を押さえて転がりまわった。角には神経が通っていたみたいで、シュテンはその激痛に耐えられなかったのか、そのまま気絶してしまった。
「なんだ?すげえ弱いじゃん……じゃあ伝承通り、自分の武器で死んで貰おうか……」
ヒロトシは、童子切安綱を手に持ち、息を大きく吸い振りかぶりシュテンの首を刎ねたのだった。そして、シュテンの遺体をインベントリに収納してしまった。
「また、名前付きの宝剣を手に入れれたな」
童子切を鑑定すると、+5刀と表示され、オーガや鬼人に対して5倍のダメージを与える。ヒューマンタイプに対して2倍のダメージとあった。
そして、MPを50使用で乱撃が使用可能とあり、武器のアクティブスキルがあった。
乱撃
混戦状態で敵に囲まれた時、全ての敵の攻撃を回避しながら反撃が出来る。効果時間1分 ダメージ基本攻撃力×0.75+STR値
「凄い!強力な武器だな……しかし、刀は使えないから宝の持ち腐れだな……まあ、これもインベントリの肥やしだな」
そう独り事言って、ヒロトシはインベントリに収納して、ダンジョンの奥へと進んだ。すると、とうとうミレーヌの言った居城がその姿を現した。
「ここが魔王スルトがいるのか。早く倒して村に帰ろう」
ヒロトシはその巨大な門をくぐると、居城の大広間に出た。もっとドロドロしいものと思ったが、真っ白な大理石を使った綺麗なお城である。
中に入るとそこには、似つかわしくない大きな3つ首の犬が待ち構えていた。
『ぐるるるるるるるる!ぐがあああああああああああああ!』
「何でもありかよ……今度は地獄の門番ケルベロスとはな」
ケルベロスは5mほどある大きな番犬だった。首は3つもあり漆黒のボディーを持ちその尻尾は大蛇である。ケルベロスの怖いところは、その大きな巨体に係わらず俊敏な動きで敵を追い詰め、牙で食いちぎり3回攻撃に加えて爪の2回攻撃、そして最後に尻尾の大蛇が猛毒攻撃を仕掛けてくるのだ。
「魔王も馬鹿だな……こんなのを最後に持って来るとは何を考えているんだか」
『ぐぁあああああああああああああああ!』
ケルベロスは、いきなりヒロトシに突進してきた。しかし、そんな攻撃がヒロトシに通じる訳もなくあっさり交わされた。そして、ヒロトシはケルベロスの下に潜り込んで、腹に数発のパンチを連続で打った。
『ぐおおおおおおおおおおおおおおおお!』
ヒロトシの拳は、ケルベロスにも十分通じていた。いきなり腹に痛みがが走ったケルベロスは、その場所から飛びのき、ヒロトシに向かって口を大きく開けたのだ。
そして、雄たけびと共にその大きく開いた3つの口から炎を吹き出した。これの攻撃はドラゴンが持っているのと同じ炎のブレスだ。
ヒロトシはその攻撃方法も見破っていた。神眼に隠し通せるものではなく炎を吐き出す前に、自分にアイスオーラをエンチャントしておいた。
アイスオーラは、水属性3レベルで使える魔法である。かけた相手に氷の膜を張り、炎のダメージを80%軽減する魔法だ。
「ふっ!そんな攻撃がいまさら効くと思っているのか?」
80%軽減なのに、ヒロトシは一切ダメージを負っていなかった。実は炎属性1レベルのレジストファイヤーも唱えていた為だ。これは、1レベルだというのに炎のダメージを50%も軽減するとても強い魔法だ。つまり、この2つの魔法を併用する事で炎ダメージを無効化した事になる。
そして、ヒロトシは吐き出す炎に突っ込み、ケルベロスの攻撃をキャンセルしつつ殴り飛ばした。
その威力は、ケルベロスの巨体を吹き飛ばすもので、殴った衝撃で左首の骨が折れて、一体のケルベロスが戦闘不能となった。後は中央の首と右首が生き残っていたが、左首がだらんとぶら下がりバランスを崩し地面に倒れ込んでいた。
「さすが動物だな。これならシュテンの方がよほど強かったぞ?」
ヒロトシは倒れたケルベロスの腹を殴り飛ばした。
『ぐわあああああああああああ!』
ケルベロスはあまりの衝撃に悶え苦しんでいた。弱点の腹を何発も殴られていたのだ。
ケルベロスの背には、毛が生えていて装甲が固いが腹には毛が無かった。漆黒の肌が丸見えなのだ。ケルベロスは必死に伏せの状態で腹を庇っていたが、今度は中央の首を殴られ続けて瀕死状態になる。
そのせいで、余計に体の重心が狂い、左側に倒れてしまう。倒れた所をまた腹を狙われるのだった。
「さてもうそろそろかな?」
そして、どんどんHPを削られてケルベロスは、ヒロトシに撲殺されてしまったのだった。
『ぐっ、がっがっがっが……ぐおおおおおおおおおおおお!』
最後は力を振り絞ったが、そのまま地面にひれ伏せて死んでしまった。ヒロトシは、ケルベロスの死体もインベントリに収納して大広間から続く大きな階段を上ったのだった。
1
お気に入りに追加
424
あなたにおすすめの小説
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる