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第4章 魔道スキルと研磨スキル
39話 討伐依頼
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ローベルグはそのまま、今度は冒険者ギルドミトン支部へと連絡を入れた。
「こちら王都本部だ!早急に連絡したいことがある」
「はい!こちらミトン支部。どうかなさいましたか?」
「私は国王ローベルグだ!すぐにヒロトシを呼び出してほしい」
「こ、こ、こ、こ、国王陛下⁉な、なんで……」
いきなり国王陛下と聞き、ギルド職員は言葉が上ずっていた。
「いいから至急、ヒロトシを呼び出してほしい。王国の災害だ!」
「わ、わかりました!少々時間がかかるのでお許しください」
「ああ。わかっておる。なるべく早く頼むぞ」
「は、はい!」
ギルド職員は、その足ですぐに㋪美研へと駆けだした。そして、息を切らして㋪美研へと駆けこんだ職員は、ヒロトシに取り次ぎをお願いしたのだった。
「す、すす……すいません!至急、ヒロトシ様に取り次いでいただきたいのですが!」
「申し訳ありません。只今、主人はお客様と面会中にございます。また日を改めてお願いできますか?」
「ギルドマスターとですよね?だったらすぐに取次ぎを。たった今、通信機で国王陛下から連絡が入り、すぐにヒロトシ様を呼び出してほしいと」
それを聞いたマインは、慌てて屋敷の方にヒロトシを呼びに行ったのだった。
「失礼します!ご主人様、たった今冒険者ギルドから連絡が入りまして、早急に冒険者ギルドの方に来てほしいとの事です……」
「ちょっと待ちたまえ!今、大事な話し合いの最中だ!それに冒険者ギルドマスターもここにいるんだぞ?」
「そうだ。俺がここにいるのに何でギルドが呼び出しているのだ」
「それが王都から通信が入ったようで、通信の相手が国王陛下らしいのです」
「へ、陛下が⁉」
「なんでローベルグ様が俺を呼び出してんだ?」
「と、とにかく陛下が呼んでいるのなら、すぐにギルドに行った方がいい。私達も同行する」
「わ、わかりました」
すぐさま話し合いは解散し、ヒロトシはシルフォード達と冒険者ギルドへと急いで戻った。
「どうぞこちらです」
ギルド通信室に通されて、ヒロトシは緊張して話した。
「こちらミトン支部。ローベルグ様聞こえますか?ヒロトシです」
「おお!久しぶりだな。前に俺の息子がそちらに行った時、世話になったな」
「いえいえ。こちらこそ楽しい時を過ごせました。それでいきなり連絡をしたのはどういう要件ですか?」
「ああ!それがだなミトンの町に新たなダンジョンが出来たそうだな?」
「なぜそれを?」
「俺の昔の仲間が知らせてくれた。そして、そのダンジョン攻略をお前にしてもらいたい。俺の願いを是非にでも聞いてくれぬか?」
「いや……何でいきなりダンジョン攻略なのですか?訳を言ってください!」
「あのダンジョンは、魔王の居城だ!俺の仲間が女神の啓示を受けたと言ってだな。このままでは王国どころか大陸がやばい事になる」
「なっ⁉魔王の居城?」
「なんでも、闇ギルドが召還に成功した魔王らしいんだ。俺達が出張るような依頼だが、何でも女神様が言うには時間が惜しいらしい。俺がミトンの町に行く事も考えたが、それでもミトンの町は遠すぎる。仲間も今はどこにいるか
分からない状態では、ヒロトシに頼るしかないんだ」
「そ、そんな……俺はただの商人ですよ」
「はっ!俺と互角に戦うような奴が何を言っておる。お前が商人と言っても説得力がないわ。わはははははは!」
「断れる選択はないみたいですね……」
「ああ……よろしく頼む。この通りだ!」
通信だが、ローベルグが頭を下げたのが分かった。
「分かりましたよ……ローベルグ様に頭を下げられたら聞かないわけにはいけませんね」
ヒロトシがそう言うと、後ろで聞いていたシルフォード達が歓声をあげた。
「後ろに誰かいるのか?」
「ええ、先ほどまでシルフォード様達と話し合いをしておりまして、そのダンジョンの偵察をお願いされていたところでした」
「シルフォード。そこにいるのか?」
「はっ!ここに」
「ダンジョンが出来たと言うからには、簡易村を設置しているんだな?すぐに兵士達を引きあがらせろ。あのダンジョンは危険すぎる一刻も早くだ!」
「しょ、承知いたしました」
「ヒロトシ、お主に厄介事を押し付けてすまん……よろしく頼むぞ」
「わかりました。友人の頼みならしょうがないですね。一つ貸しにしておきます」
「はははははは!こいつ言うよるわ!」
その会話を聞き、シルフォード達はハラハラし通しだった。国王陛下にこんな事を言える人間を知らないからだ。
「それじゃあ、わざわざありがとうございました。ダンジョン攻略の準備をするのでこれで失礼します」
「ああ!よろしく頼んだぞ」
「はい」
そこで、ヒロトシは通信を切ったのだ。
「ヒ、ヒロトシ君……相手は国王陛下なんだぞ?あの言い方はいくらなんでも……肝を冷やしたよ」
「ローベルグ様も笑っていたではありませんか?単なる冗談ですよ」
「国王陛下に冗談だなんて……」
「まあ、いいですよ。それよりダンジョン前から、兵士の皆様を撤退させてください」
「わ、わかった!」
シルフォードは、南の森のダンジョンに早馬を飛ばした。そして、簡易村を作っていた人間すべてをダンジョンから撤退させた。
そして、ギルドマスターからは冒険者に㋪美研が当分の間休業に入る事が告げられた。そして、サンライトもまた休業をしざるを得なかった。
町の人間から不満が出たが、それはシルフォードが手をまわしてくれて問題はなかった。屋敷に帰ったヒロトシはセバス達から言い寄られる事になるのは当然の事だった。
「何で旦那様がこんな事をしないといけないのですか?」
「そうですよ!いくらなんでも横暴というものです!」
「今からでも断る事は出来ないのですか?」
「無茶を言うなよ。この依頼は言ってみたら国王からじゃないよ」
「「「「「どういうことですか?」」」」」」
「考えてみろよ。ローベルグ様は仲間からこの事を聞いたんだ。その仲間はエルフの聖職者だよ。つまりこの依頼は女神ミレーヌ様からのものだ」
「「「「「……」」」」」
「お前達は、女神様からのお願いを断れと言うのか?」
「それは……」
「なっ?そんな事は出来ないだろ?」
「わ、わかりました……」
「それとお前達には、シュガー村に行って貰うからな」
「何でですか?」
「そりゃ相手は魔王だからだよ。俺が留守の間に何かあったら困るだろ?」
「ですが、今までは魔道砲を使えと留守番させていたではありませんか」
「いやいや、それは相手が闇ギルドだからだ。今度は魔王で何が起こるか分からないだろ?」
「あそこなら村全体に結界が張れる。俺としても安心だからな」
「ご主人様は一人でダンジョンに行くつもりですか?」
「当たり前だろ?ローベルグさんが言っていたしな。魔王の部下でさえバンパイアの真祖とのことだ。護衛メンバー最強のミルデンスでも相手にはできないだろう。一緒に連れてはいけないよ」
「主君!それはいくらなんでも納得できません」
「いやいや。納得してもらうよ。ダンジョンに行っても死ぬだけだ。護衛と言っても足手まといになるだけじゃないか」
「ぐっ……」
「お前が魔の森に、サトウキビを一人で収穫できると言うのなら話は別だが、入り口付近をパーティーでやっと行けるほどじゃないか」
「……わかりました」
「今日は、ちょっと行ってくるところがあるから、明日から順次にシュガー村にピストン輸送するから準備しておいてくれ」
ヒロトシはそう言って、ミルデンスと共に教会に訪れた。すると、久しぶりに教会に訪れたことでシスターが嬉しそうに近づいてきた。
「ヒロトシ様、お久しぶりですね」
「そうですね。お祈りさせていただいてよろしいですか?」
「はい。女神様も喜んでいると思います。ゆっくりしていただいて結構ですよ」
「ありがとう」
そして、ヒロトシは教会の女神神像の前に膝まつきお祈りをすると女神神像が輝きだし、ヒロトシを包み込んだ。
「ヒロトシさん。教会に来てくれてありがとうございます」
ヒロトシはゆっくり目を開けると、そこには女神ミレーヌがお茶をしていた。
「ヒロトシさん、今回は本当に申し訳ありません」
「本当ですよ。なんで俺が、こんな事に駆り出されないといけないのですか?」
「しょうがなかったのです……今、魔王とまともに相手が出来るのはヒロトシさんだけなんです」
「だけど、ミレーヌさんは俺をこの世界に送るとき、使命みたいなものはないと言ったではありませんか?俺だって生活はあるのですよ?」
「ですが、魔王をそのままにしておいては、その生活もなくなるかもしれないのですよ?」
「だからと言って、神様ならなんとかしてくれてもいいじゃないですか?」
「神も万能ではありません」
「確かに苦しい時の神頼みと言う言葉はあっても、何も起こらないですがそれは地球での言葉ですし、ミストラルでは神が地球より身近に感じられるじゃないですか」
「それはそうですけれども、勇者が誕生して成長するまで時間がかかりすぎるのです。今回、魔王スルトの存在は本当にイレギュラーだったのです。まさか闇ギルドの総帥が召還に成功するとは思わなかったのです。こういっては何なんですが、宝石研磨がこれほどのものとは私も予想できなかったのです」
「はぁあ?じゃあ、俺のせいというのか?」
「そうは言いませんが、今回は本当にイレギュラーだったのです。あの魔王スルトは前回の魔王を下回ります。どうかお願いします。ヒロトシさんなら倒す事が出来るんですから協力してくださいよ」
「協力しないとはいってないよ。ただ文句が言いたかっただけだ。それに、何かあればみんな俺達に丸投げするのが気に入らなかっただけだ」
「そんな事を言わないでください。他の人間はヒロトシさんの様に強くは無いんですから。あのローベルグですら、ヒロトシさんの足元にも及ばないのですよ」
「それは分かってますよ」
「それに、今回の討伐を成功すれば、報酬として新しいスキルをあげますから頑張ってくださいよ」
「本当か?どんなスキルをくれるんだ?」
「それは後のお楽しみと言う事で」
「何だよ……教えてくれてもいいだろ?」
「こういうのは後の楽しみにしておいた方がいいでしょ?でも、ヒロトシさんしかない物にしておきますから、楽しみにしておいてください」
「そんな事を言って万が一の時の為に、そのスキルで俺を利用できる事を考えているんじゃないだろうな?」
「そ、そ、そ、そんな訳あるわけないじゃないですか」
「何でそんなにドモるんだよ。むっちゃ怪しいじゃないか」
「あっ!そろそろ時間です。地上はよろしく頼みましたよ」
「あ~~~~!誤魔化すな!何を考えている。説明をちゃんとしろ!」
ヒロトシの声がこだまして、景色は雲に包まれたように真っ白になりフェードアウトした。そして、目を開けたヒロトシは納得いかずにブチブチ文句をもらした。しかし、魔王をそのままにしておく事は出来ないと思い、討伐の準備をすることにした。新しいスキルにも興味があり、なんだかんだ言ってお人よしのヒロトシであった。
「こちら王都本部だ!早急に連絡したいことがある」
「はい!こちらミトン支部。どうかなさいましたか?」
「私は国王ローベルグだ!すぐにヒロトシを呼び出してほしい」
「こ、こ、こ、こ、国王陛下⁉な、なんで……」
いきなり国王陛下と聞き、ギルド職員は言葉が上ずっていた。
「いいから至急、ヒロトシを呼び出してほしい。王国の災害だ!」
「わ、わかりました!少々時間がかかるのでお許しください」
「ああ。わかっておる。なるべく早く頼むぞ」
「は、はい!」
ギルド職員は、その足ですぐに㋪美研へと駆けだした。そして、息を切らして㋪美研へと駆けこんだ職員は、ヒロトシに取り次ぎをお願いしたのだった。
「す、すす……すいません!至急、ヒロトシ様に取り次いでいただきたいのですが!」
「申し訳ありません。只今、主人はお客様と面会中にございます。また日を改めてお願いできますか?」
「ギルドマスターとですよね?だったらすぐに取次ぎを。たった今、通信機で国王陛下から連絡が入り、すぐにヒロトシ様を呼び出してほしいと」
それを聞いたマインは、慌てて屋敷の方にヒロトシを呼びに行ったのだった。
「失礼します!ご主人様、たった今冒険者ギルドから連絡が入りまして、早急に冒険者ギルドの方に来てほしいとの事です……」
「ちょっと待ちたまえ!今、大事な話し合いの最中だ!それに冒険者ギルドマスターもここにいるんだぞ?」
「そうだ。俺がここにいるのに何でギルドが呼び出しているのだ」
「それが王都から通信が入ったようで、通信の相手が国王陛下らしいのです」
「へ、陛下が⁉」
「なんでローベルグ様が俺を呼び出してんだ?」
「と、とにかく陛下が呼んでいるのなら、すぐにギルドに行った方がいい。私達も同行する」
「わ、わかりました」
すぐさま話し合いは解散し、ヒロトシはシルフォード達と冒険者ギルドへと急いで戻った。
「どうぞこちらです」
ギルド通信室に通されて、ヒロトシは緊張して話した。
「こちらミトン支部。ローベルグ様聞こえますか?ヒロトシです」
「おお!久しぶりだな。前に俺の息子がそちらに行った時、世話になったな」
「いえいえ。こちらこそ楽しい時を過ごせました。それでいきなり連絡をしたのはどういう要件ですか?」
「ああ!それがだなミトンの町に新たなダンジョンが出来たそうだな?」
「なぜそれを?」
「俺の昔の仲間が知らせてくれた。そして、そのダンジョン攻略をお前にしてもらいたい。俺の願いを是非にでも聞いてくれぬか?」
「いや……何でいきなりダンジョン攻略なのですか?訳を言ってください!」
「あのダンジョンは、魔王の居城だ!俺の仲間が女神の啓示を受けたと言ってだな。このままでは王国どころか大陸がやばい事になる」
「なっ⁉魔王の居城?」
「なんでも、闇ギルドが召還に成功した魔王らしいんだ。俺達が出張るような依頼だが、何でも女神様が言うには時間が惜しいらしい。俺がミトンの町に行く事も考えたが、それでもミトンの町は遠すぎる。仲間も今はどこにいるか
分からない状態では、ヒロトシに頼るしかないんだ」
「そ、そんな……俺はただの商人ですよ」
「はっ!俺と互角に戦うような奴が何を言っておる。お前が商人と言っても説得力がないわ。わはははははは!」
「断れる選択はないみたいですね……」
「ああ……よろしく頼む。この通りだ!」
通信だが、ローベルグが頭を下げたのが分かった。
「分かりましたよ……ローベルグ様に頭を下げられたら聞かないわけにはいけませんね」
ヒロトシがそう言うと、後ろで聞いていたシルフォード達が歓声をあげた。
「後ろに誰かいるのか?」
「ええ、先ほどまでシルフォード様達と話し合いをしておりまして、そのダンジョンの偵察をお願いされていたところでした」
「シルフォード。そこにいるのか?」
「はっ!ここに」
「ダンジョンが出来たと言うからには、簡易村を設置しているんだな?すぐに兵士達を引きあがらせろ。あのダンジョンは危険すぎる一刻も早くだ!」
「しょ、承知いたしました」
「ヒロトシ、お主に厄介事を押し付けてすまん……よろしく頼むぞ」
「わかりました。友人の頼みならしょうがないですね。一つ貸しにしておきます」
「はははははは!こいつ言うよるわ!」
その会話を聞き、シルフォード達はハラハラし通しだった。国王陛下にこんな事を言える人間を知らないからだ。
「それじゃあ、わざわざありがとうございました。ダンジョン攻略の準備をするのでこれで失礼します」
「ああ!よろしく頼んだぞ」
「はい」
そこで、ヒロトシは通信を切ったのだ。
「ヒ、ヒロトシ君……相手は国王陛下なんだぞ?あの言い方はいくらなんでも……肝を冷やしたよ」
「ローベルグ様も笑っていたではありませんか?単なる冗談ですよ」
「国王陛下に冗談だなんて……」
「まあ、いいですよ。それよりダンジョン前から、兵士の皆様を撤退させてください」
「わ、わかった!」
シルフォードは、南の森のダンジョンに早馬を飛ばした。そして、簡易村を作っていた人間すべてをダンジョンから撤退させた。
そして、ギルドマスターからは冒険者に㋪美研が当分の間休業に入る事が告げられた。そして、サンライトもまた休業をしざるを得なかった。
町の人間から不満が出たが、それはシルフォードが手をまわしてくれて問題はなかった。屋敷に帰ったヒロトシはセバス達から言い寄られる事になるのは当然の事だった。
「何で旦那様がこんな事をしないといけないのですか?」
「そうですよ!いくらなんでも横暴というものです!」
「今からでも断る事は出来ないのですか?」
「無茶を言うなよ。この依頼は言ってみたら国王からじゃないよ」
「「「「「どういうことですか?」」」」」」
「考えてみろよ。ローベルグ様は仲間からこの事を聞いたんだ。その仲間はエルフの聖職者だよ。つまりこの依頼は女神ミレーヌ様からのものだ」
「「「「「……」」」」」
「お前達は、女神様からのお願いを断れと言うのか?」
「それは……」
「なっ?そんな事は出来ないだろ?」
「わ、わかりました……」
「それとお前達には、シュガー村に行って貰うからな」
「何でですか?」
「そりゃ相手は魔王だからだよ。俺が留守の間に何かあったら困るだろ?」
「ですが、今までは魔道砲を使えと留守番させていたではありませんか」
「いやいや、それは相手が闇ギルドだからだ。今度は魔王で何が起こるか分からないだろ?」
「あそこなら村全体に結界が張れる。俺としても安心だからな」
「ご主人様は一人でダンジョンに行くつもりですか?」
「当たり前だろ?ローベルグさんが言っていたしな。魔王の部下でさえバンパイアの真祖とのことだ。護衛メンバー最強のミルデンスでも相手にはできないだろう。一緒に連れてはいけないよ」
「主君!それはいくらなんでも納得できません」
「いやいや。納得してもらうよ。ダンジョンに行っても死ぬだけだ。護衛と言っても足手まといになるだけじゃないか」
「ぐっ……」
「お前が魔の森に、サトウキビを一人で収穫できると言うのなら話は別だが、入り口付近をパーティーでやっと行けるほどじゃないか」
「……わかりました」
「今日は、ちょっと行ってくるところがあるから、明日から順次にシュガー村にピストン輸送するから準備しておいてくれ」
ヒロトシはそう言って、ミルデンスと共に教会に訪れた。すると、久しぶりに教会に訪れたことでシスターが嬉しそうに近づいてきた。
「ヒロトシ様、お久しぶりですね」
「そうですね。お祈りさせていただいてよろしいですか?」
「はい。女神様も喜んでいると思います。ゆっくりしていただいて結構ですよ」
「ありがとう」
そして、ヒロトシは教会の女神神像の前に膝まつきお祈りをすると女神神像が輝きだし、ヒロトシを包み込んだ。
「ヒロトシさん。教会に来てくれてありがとうございます」
ヒロトシはゆっくり目を開けると、そこには女神ミレーヌがお茶をしていた。
「ヒロトシさん、今回は本当に申し訳ありません」
「本当ですよ。なんで俺が、こんな事に駆り出されないといけないのですか?」
「しょうがなかったのです……今、魔王とまともに相手が出来るのはヒロトシさんだけなんです」
「だけど、ミレーヌさんは俺をこの世界に送るとき、使命みたいなものはないと言ったではありませんか?俺だって生活はあるのですよ?」
「ですが、魔王をそのままにしておいては、その生活もなくなるかもしれないのですよ?」
「だからと言って、神様ならなんとかしてくれてもいいじゃないですか?」
「神も万能ではありません」
「確かに苦しい時の神頼みと言う言葉はあっても、何も起こらないですがそれは地球での言葉ですし、ミストラルでは神が地球より身近に感じられるじゃないですか」
「それはそうですけれども、勇者が誕生して成長するまで時間がかかりすぎるのです。今回、魔王スルトの存在は本当にイレギュラーだったのです。まさか闇ギルドの総帥が召還に成功するとは思わなかったのです。こういっては何なんですが、宝石研磨がこれほどのものとは私も予想できなかったのです」
「はぁあ?じゃあ、俺のせいというのか?」
「そうは言いませんが、今回は本当にイレギュラーだったのです。あの魔王スルトは前回の魔王を下回ります。どうかお願いします。ヒロトシさんなら倒す事が出来るんですから協力してくださいよ」
「協力しないとはいってないよ。ただ文句が言いたかっただけだ。それに、何かあればみんな俺達に丸投げするのが気に入らなかっただけだ」
「そんな事を言わないでください。他の人間はヒロトシさんの様に強くは無いんですから。あのローベルグですら、ヒロトシさんの足元にも及ばないのですよ」
「それは分かってますよ」
「それに、今回の討伐を成功すれば、報酬として新しいスキルをあげますから頑張ってくださいよ」
「本当か?どんなスキルをくれるんだ?」
「それは後のお楽しみと言う事で」
「何だよ……教えてくれてもいいだろ?」
「こういうのは後の楽しみにしておいた方がいいでしょ?でも、ヒロトシさんしかない物にしておきますから、楽しみにしておいてください」
「そんな事を言って万が一の時の為に、そのスキルで俺を利用できる事を考えているんじゃないだろうな?」
「そ、そ、そ、そんな訳あるわけないじゃないですか」
「何でそんなにドモるんだよ。むっちゃ怪しいじゃないか」
「あっ!そろそろ時間です。地上はよろしく頼みましたよ」
「あ~~~~!誤魔化すな!何を考えている。説明をちゃんとしろ!」
ヒロトシの声がこだまして、景色は雲に包まれたように真っ白になりフェードアウトした。そして、目を開けたヒロトシは納得いかずにブチブチ文句をもらした。しかし、魔王をそのままにしておく事は出来ないと思い、討伐の準備をすることにした。新しいスキルにも興味があり、なんだかんだ言ってお人よしのヒロトシであった。
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