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第4章 魔道スキルと研磨スキル
31話 地震
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オーランの町の事も、気にすることは無くなりいつも通り、㋪美研では客でにぎわっていて、冒険者達が研磨依頼に来ていた。また、サンライトでも客の憩いの場としていつも通り盛況だった。
その時、町全体がグラグラっと揺れたのだった。
「きゃっ!な、何⁉」
マイン達が小さく悲鳴を上げた瞬間、下から突き上げるような衝撃があり大きく揺れたのだ。
「「「「「きゃああああああああ!」」」」」」
㋪美研では、何が起こったのか分からず、マインを始めアイたち全員が床に伏せた。冒険者達もこんな事は初めてでパニック状態に陥った。
しかし、地震と分かるまで少し時間がかかった。揺れは20秒ほど続き、ようやく収まったように感じた。㋪美研の外からは悲鳴や助けを呼ぶ声が聞こえていた。
すると、一斉に㋪美研にいた冒険者達のギルドカードが鳴り響いたのだ。今の地震で、冒険者ギルドが招集アラームを鳴らしたようだった。
「マインちゃん達は大丈夫か?」
「わたしたちは大丈夫です」
「そ、そうか。俺達は一度ギルドに向かうからよろしく!」
「は、はい!お気をつけて。アイ!ここはいいからすぐに、ご主人様を!貴方達は屋敷の方に向かって、怪我をしている人がいないか救護をよろしく!」
「「「「「「はい!」」」」」」
㋪美研には棚とかは無くカウンターがあるだけだ。倒れてくるものはなくホールに怪我人が出なかったのは不幸中の幸いだった。
その頃、ヒロトシは工場の中で陣頭指揮を取っていた。
「ガイン!魔道具の電源を落とせ。ハンナ達は魔晄炉の火を落とすんだ!怪我人はいないか?」
「はい……何とかわたしは大丈夫です……」
しかし、その額からは血が流れ、周りにいる部下達も怪我をしていて動けない人間もいた。
「「「「「「ううううううう……」」」」」」
鍛冶工場でいきなりの地震だったので、怪我をしていない人間がいないわけがなかった。
金床でハンマーを使っていたのだ。熱く熱したミスリルを加工中での天災である。金づちで手を叩いた者や、ふらついて手を着いたところが熱い鉄だった者もいた。
ヒロトシも又、気丈に振る舞っていたが高速回転するバフに、腕が触れて腕の皮がめくれて摩擦熱で血だらけになっていた。ヒロトシが指示を出して、動ける人間はまず魔道具を止めていた。
周りを見ると血だらけの人間がうめき声をあげていて、とんでもない状況で棚が倒れて、外に出る事が出来なかったのだ。
「おい!大丈夫か?」
「「「「「うううううう……」」」」」」
「ご主人様!怪我人が多数。死者は無し。機械類はすべて停止しました」
「棚とかの下敷きになっている者はいないか?」
「「「「「はい……大丈夫です……」」」」」
ヒロトシは、ガインやハンナの顔を見ると額から血を流しているのが確認できた。すると、工場の扉をダンダン叩く音が聞こえた。
「主君!大丈夫ですか?」
「中の様子は?」
ミルデンスやセバスが、外で悲痛な叫び声をあげていた。
「俺達は大丈夫だ!他の工場をまわって救助をしろ!」
「分かりました。ご無事で何よりです」
外に駆けつけたミルデンス達は、材木工場や細工工場の方に救助に向かったようだ。
「みんな俺の周りに集まれ。歩けない者はそのままでいい」
ヒロトシは、エリアヒールを使った。すると、ヒロトシの周囲にヒールが発動して、全員の怪我が治った。
「「「「「「おおおおおお!」」」」」」
「す、すごい!主!ありがとう。これからどうすれば?」
ヒロトシは、すぐに散乱した工場の棚や道具をインベントリに収納したのだ。すると、工場の扉は立て付けが悪くなっていたが、タックルすると扉は開き、全員が怪我もなく外に出る事ができた。
外に出てきたヒロトシを見たマイン達は、ホッとした安心した顔つきになっていた。
「すぐに工場に救助活動。全員を必ず助けるぞ」
その時には、町中を走り回る冒険者達でいっぱいだった。火の手が上がる家もあったが、魔法使いがウォーターで消火活動をし、瓦礫の下敷きになった人間の救助を再開していた。
㋪美研では、材木工場で材木の下敷きになり10人が犠牲になってしまった。手鏡の取っ手部分や鏡台の台座に使われる木材だった。
蚤を使ったりする仕事で、怪我をした人間もいたが、ヒロトシが全てヒールを使って治療した。しかし、10人は丸太の下敷きになってしまい、ヒロトシが駆けつけた時には、すでに息を引き取っていたのだった。
「お前達は、屋敷に待機!護衛メンバーは俺と一緒にサンライトに向かう」
「「「「「「はい!」」」」」」
ヒロトシは町の様子を見て、大変な事になったと思った。倒壊した建物があり、冒険者達が一生懸命救護作業をしていたのだった。
「みんな大丈夫か?」
「「「「「「ご主人様!」」」」」」」
ヒロトシはサンライトを建設した時、丈夫に建築していた。さすがは魔の森の材木である。歪みすらなく被害は最小限に収まっていた。
サンライトの店長であるリサは、従業員達にお客の誘導の指示をして安全な広場に誘導。従業員たちの安全を確保していた。
「お客様には、広場に誘導させてもらいました。怪我人は一人もいません!」
「そうかよく頑張ってくれた」
すると、リサがサンライトの寮の方に使いをやっていたみたいだが、そちらの方も大丈夫だった。
「寮の方も大丈夫です!」
「そうか。ありがとうな」
「ご主人様、㋪美研の方は大丈夫でしたか?」
「いや……材木工場で10人犠牲者が……」
「「「「「「そ、そんな……」」」」」」
ヒロトシの報告を聞き、ウェイトレスやウェイターは悔しそうに、目に涙を溜めていた。
「だが、お前達が無事で本当に良かった……サンライトも頑丈に作って置いたから被害もなかったみたいだし、後は大丈夫か?」
「ミルデンス!お前達は倒壊した瓦礫の救護作業に向かってくれ」
「「「「「はっ!」」」」」
ミルデンスやアイリーン達護衛メンバーは、ヒロトシの指示で倒壊した建物に生存者がいないか救助活動をした。
「ご主人様は?」
「俺も町が心配だ!俺達はもう大丈夫だから、救護にまわる」
「分かりました。お気をつけてください」
ヒロトシはサンライトをリサに任せて、倒壊した建物の瓦礫をインベントリに収納していくのだった。かろうじて息のある者はすぐにヒールで治療していき、周りにいる冒険者達は目を丸くして驚いていた。
「ヒロトシ様!こちらを手伝ってくれますか?」
「どこだ?」
「孤児院が潰れてしまい子供達が中に生き埋めになっています!」
「嘘だろ?孤児院は新築だったはずなのに……分かったすぐに行く!」
ヒロトシは、出来たばかりの孤児院が潰れたと聞いてびっくりした。できたときは結構話題に上り、子供達はこれで寒くないと喜んでいたことを思いだしていた。
ヒロトシは孤児院に着くと、そこには本当に瓦礫と変わった孤児院があり、難を逃れた子供達の泣き声が響いていた。
シスターたちも子供を落ち着かせたり、冒険者は瓦礫を運んでいたりして、子供達を助けようと一生懸命だった。
ヒロトシもすぐに瓦礫をインベントリに収納した。すると下から犠牲者となった子供がいた。しかし、その中でも助かった子供が多数いて、冒険者が瓦礫が無くなると同時に抱きかかえて安全な場所へと移動させていた。
「マーくん!何で……」
「アケミちゃんも……この間、5歳の誕生日をしたばかりなのに……」
子供達の遺体を見たシスター達は泣き崩れていた。サーチで確認すると瓦礫の下にいる子供達はもういなかった。
そして、怪我をしていた子供やシスター達に、ヒールを掛けて次の場所へと移動した。
救護作業を夜通ししたヒロトシは、クタクタに疲れていた。しかし、インベントリのおかげで72時間以内どころか24時間以内に倒壊した家屋から全員を救い出す奇跡をやってのけたのだった。
それも、救いだしたところからヒールを唱えていくのである。これには、冒険者達は開いた口が塞がらなかった。
行き場を無くした街の住人は、教会やギルドのホールに集められて毛布が配られていた。
ギルドの対策本部にはシルフォードが陣頭指揮を取り、怪我人にはポーションを配ったり、食事の炊き出しを指示したりしていた。
「ど、どういう事なんだ?あれほど激しい地震で怪我人が少なくないか?」
「誰かわかる者はいないか?」
「それでしたらヒロトシ様のおかげです!」
「な、何⁉どういう事だ?」
「ヒロトシ様が、次々収納スキルで瓦礫を収納しているのです!そして、怪我人を救い出した地点で回復魔法をかけているのですよ」
「なんだと?そんな事をして大丈夫なのか?」
「我々も心配したのですが、ヒロトシ様が問題ないと言われまして」
「とんでもないな……ヒロトシ君は……」
「ですが、ヒロトシ様のおかげで、死者も大分少ないと思います」
「カチュア……本当に我々はヒロトシ君に感謝をせねばならんな……」
「確かにそうですね」
ミトンの町に、これほどの地震が起きるとは思いもしなかった。これは、シルフォードも予想がつかなかった。ミトンの町は山側にある町で、地震が起きたという経験をしたのはエルフ族ぐらいというほど昔の事だった。
そして、地震が起きて20時間ほどした頃、ヒロトシが冒険者達と冒険者ギルドに入ってきた。
「ヒロトシ様!それに皆さんも!」
「カチュアさん、もう大丈夫だよ。瓦礫の下にはもう誰も残っていないから」
カチュアはそれを聞いて、目に涙を溜めた。そして、ヒロトシの手をきつく握って何度もありがとうと繰り返したのだった。炊き出しをしていた受付嬢達も笑顔となって、冒険者達の労いの言葉をかけていた。
そして、冒険者達が戻ったと聞いて、あまりにも早すぎる救助作業にシルフォードとギルドマスターは慌ててホールに出てきた。
そこには、ヒロトシと冒険者達が町の人達から歓声を受けて、何とも言えない笑顔の集団がそこにいた。
その時、町全体がグラグラっと揺れたのだった。
「きゃっ!な、何⁉」
マイン達が小さく悲鳴を上げた瞬間、下から突き上げるような衝撃があり大きく揺れたのだ。
「「「「「きゃああああああああ!」」」」」」
㋪美研では、何が起こったのか分からず、マインを始めアイたち全員が床に伏せた。冒険者達もこんな事は初めてでパニック状態に陥った。
しかし、地震と分かるまで少し時間がかかった。揺れは20秒ほど続き、ようやく収まったように感じた。㋪美研の外からは悲鳴や助けを呼ぶ声が聞こえていた。
すると、一斉に㋪美研にいた冒険者達のギルドカードが鳴り響いたのだ。今の地震で、冒険者ギルドが招集アラームを鳴らしたようだった。
「マインちゃん達は大丈夫か?」
「わたしたちは大丈夫です」
「そ、そうか。俺達は一度ギルドに向かうからよろしく!」
「は、はい!お気をつけて。アイ!ここはいいからすぐに、ご主人様を!貴方達は屋敷の方に向かって、怪我をしている人がいないか救護をよろしく!」
「「「「「「はい!」」」」」」
㋪美研には棚とかは無くカウンターがあるだけだ。倒れてくるものはなくホールに怪我人が出なかったのは不幸中の幸いだった。
その頃、ヒロトシは工場の中で陣頭指揮を取っていた。
「ガイン!魔道具の電源を落とせ。ハンナ達は魔晄炉の火を落とすんだ!怪我人はいないか?」
「はい……何とかわたしは大丈夫です……」
しかし、その額からは血が流れ、周りにいる部下達も怪我をしていて動けない人間もいた。
「「「「「「ううううううう……」」」」」」
鍛冶工場でいきなりの地震だったので、怪我をしていない人間がいないわけがなかった。
金床でハンマーを使っていたのだ。熱く熱したミスリルを加工中での天災である。金づちで手を叩いた者や、ふらついて手を着いたところが熱い鉄だった者もいた。
ヒロトシも又、気丈に振る舞っていたが高速回転するバフに、腕が触れて腕の皮がめくれて摩擦熱で血だらけになっていた。ヒロトシが指示を出して、動ける人間はまず魔道具を止めていた。
周りを見ると血だらけの人間がうめき声をあげていて、とんでもない状況で棚が倒れて、外に出る事が出来なかったのだ。
「おい!大丈夫か?」
「「「「「うううううう……」」」」」」
「ご主人様!怪我人が多数。死者は無し。機械類はすべて停止しました」
「棚とかの下敷きになっている者はいないか?」
「「「「「はい……大丈夫です……」」」」」
ヒロトシは、ガインやハンナの顔を見ると額から血を流しているのが確認できた。すると、工場の扉をダンダン叩く音が聞こえた。
「主君!大丈夫ですか?」
「中の様子は?」
ミルデンスやセバスが、外で悲痛な叫び声をあげていた。
「俺達は大丈夫だ!他の工場をまわって救助をしろ!」
「分かりました。ご無事で何よりです」
外に駆けつけたミルデンス達は、材木工場や細工工場の方に救助に向かったようだ。
「みんな俺の周りに集まれ。歩けない者はそのままでいい」
ヒロトシは、エリアヒールを使った。すると、ヒロトシの周囲にヒールが発動して、全員の怪我が治った。
「「「「「「おおおおおお!」」」」」」
「す、すごい!主!ありがとう。これからどうすれば?」
ヒロトシは、すぐに散乱した工場の棚や道具をインベントリに収納したのだ。すると、工場の扉は立て付けが悪くなっていたが、タックルすると扉は開き、全員が怪我もなく外に出る事ができた。
外に出てきたヒロトシを見たマイン達は、ホッとした安心した顔つきになっていた。
「すぐに工場に救助活動。全員を必ず助けるぞ」
その時には、町中を走り回る冒険者達でいっぱいだった。火の手が上がる家もあったが、魔法使いがウォーターで消火活動をし、瓦礫の下敷きになった人間の救助を再開していた。
㋪美研では、材木工場で材木の下敷きになり10人が犠牲になってしまった。手鏡の取っ手部分や鏡台の台座に使われる木材だった。
蚤を使ったりする仕事で、怪我をした人間もいたが、ヒロトシが全てヒールを使って治療した。しかし、10人は丸太の下敷きになってしまい、ヒロトシが駆けつけた時には、すでに息を引き取っていたのだった。
「お前達は、屋敷に待機!護衛メンバーは俺と一緒にサンライトに向かう」
「「「「「「はい!」」」」」」
ヒロトシは町の様子を見て、大変な事になったと思った。倒壊した建物があり、冒険者達が一生懸命救護作業をしていたのだった。
「みんな大丈夫か?」
「「「「「「ご主人様!」」」」」」」
ヒロトシはサンライトを建設した時、丈夫に建築していた。さすがは魔の森の材木である。歪みすらなく被害は最小限に収まっていた。
サンライトの店長であるリサは、従業員達にお客の誘導の指示をして安全な広場に誘導。従業員たちの安全を確保していた。
「お客様には、広場に誘導させてもらいました。怪我人は一人もいません!」
「そうかよく頑張ってくれた」
すると、リサがサンライトの寮の方に使いをやっていたみたいだが、そちらの方も大丈夫だった。
「寮の方も大丈夫です!」
「そうか。ありがとうな」
「ご主人様、㋪美研の方は大丈夫でしたか?」
「いや……材木工場で10人犠牲者が……」
「「「「「「そ、そんな……」」」」」」
ヒロトシの報告を聞き、ウェイトレスやウェイターは悔しそうに、目に涙を溜めていた。
「だが、お前達が無事で本当に良かった……サンライトも頑丈に作って置いたから被害もなかったみたいだし、後は大丈夫か?」
「ミルデンス!お前達は倒壊した瓦礫の救護作業に向かってくれ」
「「「「「はっ!」」」」」
ミルデンスやアイリーン達護衛メンバーは、ヒロトシの指示で倒壊した建物に生存者がいないか救助活動をした。
「ご主人様は?」
「俺も町が心配だ!俺達はもう大丈夫だから、救護にまわる」
「分かりました。お気をつけてください」
ヒロトシはサンライトをリサに任せて、倒壊した建物の瓦礫をインベントリに収納していくのだった。かろうじて息のある者はすぐにヒールで治療していき、周りにいる冒険者達は目を丸くして驚いていた。
「ヒロトシ様!こちらを手伝ってくれますか?」
「どこだ?」
「孤児院が潰れてしまい子供達が中に生き埋めになっています!」
「嘘だろ?孤児院は新築だったはずなのに……分かったすぐに行く!」
ヒロトシは、出来たばかりの孤児院が潰れたと聞いてびっくりした。できたときは結構話題に上り、子供達はこれで寒くないと喜んでいたことを思いだしていた。
ヒロトシは孤児院に着くと、そこには本当に瓦礫と変わった孤児院があり、難を逃れた子供達の泣き声が響いていた。
シスターたちも子供を落ち着かせたり、冒険者は瓦礫を運んでいたりして、子供達を助けようと一生懸命だった。
ヒロトシもすぐに瓦礫をインベントリに収納した。すると下から犠牲者となった子供がいた。しかし、その中でも助かった子供が多数いて、冒険者が瓦礫が無くなると同時に抱きかかえて安全な場所へと移動させていた。
「マーくん!何で……」
「アケミちゃんも……この間、5歳の誕生日をしたばかりなのに……」
子供達の遺体を見たシスター達は泣き崩れていた。サーチで確認すると瓦礫の下にいる子供達はもういなかった。
そして、怪我をしていた子供やシスター達に、ヒールを掛けて次の場所へと移動した。
救護作業を夜通ししたヒロトシは、クタクタに疲れていた。しかし、インベントリのおかげで72時間以内どころか24時間以内に倒壊した家屋から全員を救い出す奇跡をやってのけたのだった。
それも、救いだしたところからヒールを唱えていくのである。これには、冒険者達は開いた口が塞がらなかった。
行き場を無くした街の住人は、教会やギルドのホールに集められて毛布が配られていた。
ギルドの対策本部にはシルフォードが陣頭指揮を取り、怪我人にはポーションを配ったり、食事の炊き出しを指示したりしていた。
「ど、どういう事なんだ?あれほど激しい地震で怪我人が少なくないか?」
「誰かわかる者はいないか?」
「それでしたらヒロトシ様のおかげです!」
「な、何⁉どういう事だ?」
「ヒロトシ様が、次々収納スキルで瓦礫を収納しているのです!そして、怪我人を救い出した地点で回復魔法をかけているのですよ」
「なんだと?そんな事をして大丈夫なのか?」
「我々も心配したのですが、ヒロトシ様が問題ないと言われまして」
「とんでもないな……ヒロトシ君は……」
「ですが、ヒロトシ様のおかげで、死者も大分少ないと思います」
「カチュア……本当に我々はヒロトシ君に感謝をせねばならんな……」
「確かにそうですね」
ミトンの町に、これほどの地震が起きるとは思いもしなかった。これは、シルフォードも予想がつかなかった。ミトンの町は山側にある町で、地震が起きたという経験をしたのはエルフ族ぐらいというほど昔の事だった。
そして、地震が起きて20時間ほどした頃、ヒロトシが冒険者達と冒険者ギルドに入ってきた。
「ヒロトシ様!それに皆さんも!」
「カチュアさん、もう大丈夫だよ。瓦礫の下にはもう誰も残っていないから」
カチュアはそれを聞いて、目に涙を溜めた。そして、ヒロトシの手をきつく握って何度もありがとうと繰り返したのだった。炊き出しをしていた受付嬢達も笑顔となって、冒険者達の労いの言葉をかけていた。
そして、冒険者達が戻ったと聞いて、あまりにも早すぎる救助作業にシルフォードとギルドマスターは慌ててホールに出てきた。
そこには、ヒロトシと冒険者達が町の人達から歓声を受けて、何とも言えない笑顔の集団がそこにいた。
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