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第4章 魔道スキルと研磨スキル
8話 モミジ
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ヒロトシは、北の森を捜索していた。サーチを使い森の中を駆け巡っていた。すると、声をかけてくる人間がいたのだ。
「ヒロトシ!待っていたよ。さすが1日も経たずここにやって来るとはたいしたものね」
「カエデさん?何であんたがここに?いや違うのか?」
ヒロトシは、すぐさまカエデを神眼で鑑定をすると、モミジと表示された。
「あたしは、カエデだよ。今日までお前を騙し、お前の奴隷であるマインを攫う計画を立てていたんだ」
「馬鹿な事を!俺を騙そうと思っても無駄な事だ」
「信じれない気持ちも分からないではないが、あたしは最初からお前を騙す為近づいたんだよ」
モミジは、何とかしてヒロトシに精神ダメージを与えようとしていたが、神眼で見ていた為、カエデではなく双子の姉妹のモミジと言う事は分かっていた。
「あんたが、カエデさんの姉妹と言う事は分かっているよ」
「なっ⁉何でそれを!」
「そんなのちょっと考えればわかる事だからな!カエデさんがいくら強いとはいえ、あの場所から一人でここにやって来る事は出来ないよ」
シュガー村があるのは、魔の森の目と鼻の先である。そんなところから1人でここにやってこれるはずは絶対にあり得ない事だった。
「そんな事はどうでもいい!マインはどこだ!」
「くははははは!お前の愛しいマインは闇ギルドのアジトだよ!」
「やはり闇ギルドか……懲りない連中だな。何回やられたら諦めるんだよ」
「諦める?それこそ笑わすんじゃないよ!闇ギルドが舐められたらやっていけないんだよ!」
「その割にはいつも表に出てこないじゃないか?いつも、裏に籠って悪さばかりして、人様に迷惑ばかりかけやがって!」
「うるさい!全て王国が悪いのよ!貴族達こそ迷惑ばかりかけ、あたし達平民は虐げられ、犯罪をしないと生活出来なかったんだ!」
モミジやカエデは、王国でもミトンの町の出身ではなかったのだろう。王国の中でも、あくどい貴族はたくさんいる。全員がシルフォードのような善政をしている貴族ばかりではないのだ。
「それは言い訳だな!王国の中でも犯罪をせず、立派に生活をしている人間はたくさんいる!」
「あんたに、何が分かるんだい!」
「だが、あんたの姉さんは闇ギルドから脱走した。それは闇ギルドのやり口に辟易したからだ!それに未来ある子供を犯罪者にさせたくないと思ったからこそ闇ギルドを脱走したんだ」
「はっ!今更そんなきれいごとを」
「綺麗ごとの何が悪い!その子供達を自分のようにしたくないからこそ、闇ギルドから脱走したんだ。立派じゃないか?」
「姉さんは、子供達を理由に闇ギルドから逃げたんだよ!自分じゃどうしようもないから、あんたに逃げたんだよ!」
「俺から言わせればカエデさんの行動は、勇気ある逃走だよ!そのおかげで一緒に逃げた子供達は、カエデさんと一緒に幸せに生活が出来ている」
「う、うるさい!」
「あんたも、カエデさんの事が羨ましいんじゃないのか?」
「そ、そんなことあるわけないじゃないか!あたしは闇ギルドで貴族達に仕返しをするんだ!貴族から金を搾り取るこそが、あたしの生き甲斐なんだよ!」
モミジは闇ギルドでの活動は暗殺ではない。諜報部隊として、貴族の情報を得て弱みを握る事にあった。そして、それを元にゆすり恐喝することが目的だった。その時に使うのが誘拐した人間に拷問を行う事だった。
「そうか……残念だよ。あんたはカエデさんと同じく殺人はしていないから、まだ更生の余地があったのにな……」
ヒロトシは本当に残念に思った。モミジも又、理不尽な世の中の犠牲者の1人だったからだ。
「黙れ!あんたも貴族の一人ならあたしの敵だよ。あんたの大事な大事な奴隷は今頃廃人になっているだろうよ!」
「なっ⁉マインになにをした?まさか薬を!」
「きゃははははは!その顔いいねえ。貴族がうろたえる姿は滑稽だよ」
「お前!カエデさんの妹だから手加減をしてやろうと思ったが気が変わったよ。マインに薬を使ったとなれば話は別だ。俺の家族に手を出したことを後悔させてやるよ」
ヒロトシは、今までと違いモミジを睨みつけた。その威圧はモミジ程度の人間が受け止めれるものではなく、睨まれた瞬間からだが硬直してしまった。
(な、なんなのこれは……)
まさに、蛇に睨まれた蛙の様に身動きが出来なかった。
「ぐっ……」
「アジトに案内してもらおうか?」
モミジは、ヒロトシの存在に恐怖を感じた。確かに身動きは出来なかったが、ヒロトシから一瞬も目を離していなかった。いや、離せなかったのだ。
しかし、ヒロトシとの距離は十分に余裕があったはずなのに、自分の真後ろから話しかけられていた。そして、その首筋にはダガーが突きつけられていて、そのダガーは自分のものだったのだ。
「い、いつの間に……貴様……」
「アジトまで案内よろしく」
ヒロトシがそう言って促そうとした瞬間、モミジの心臓に矢が突きささったのだ。
「なっ⁉」
「何故、あたしを……切り捨てられた?……」
「お、おい!モミジ!しっかりしろ!」
ヒロトシは咄嗟にモミジを抱きかかえ、ヒールを唱えた。傷口はヒロトシの魔力の強さで一瞬に塞がり一命をとりとめたのだ。しかし、口から吐血したのだった。
「矢に毒が……」
すぐさま、ヒロトシはキュアをした。ヒロトシだったからこそ処置が可能だった。
世の中に全属性を扱える人間などいない。その中でも光聖闇無属性のような、上級属性は更に扱える人間は少ないのだ。
そのため、冒険者にはスクロールやポーションは必須のアイテムだった。だからこそ、シルフォードが所有するシャープネスオイルのような強力な効果を持つ消費アイテムは需要がある。
「なんで、あたしを助けた?」
「なんでって、お前が哀れだったから。でも、これで分かっただろ?これが闇ギルドのやり口だよ」
「そんなのは知っているさ!今回はあたしがミスしたからさ。それが分かって、あたしは闇ギルドに籍を置いているんだよ」
「お前はそれでいいのか?今さっき切り捨てられたんだぞ?」
「いいわけあるか!あのまま死んでいれば、こんな気持ちにはならなかったのに、あたしに情けをかけやがって!どうしてくれるんだ?」
「どうしてくれるってどういうことだよ!」
「これであたしは、闇ギルドに帰る事も出来ないじゃないか。あのまま死んでいればこんな事にならなかったんだ」
「そんなのしらねえよ!俺の目の前で殺されそうになったのを放って置けるかよ。目覚めが悪くなるわ!」
「くっそぉ!あたしは、これで一生闇ギルドに狙われる事になった……」
「おい?モミジとか言ったな?マインはどこに囚われている?そいつを教えろ?救いだす協力をしたら俺が匿ってやる」
「ほ、本当か?い、いや……貴族なんか信じられるか。どうせ、後であたしを突き出すつもりだろ?」
「まあ、協力しないなら、これからの人生闇ギルドの追手に怯えながら生きるんだな?」
「ぐっ……」
「よく考えるんだな?最後のチャンスだ。俺に協力して、カエデさんのいる場所で平和に暮らすか?俺との協力を断って、これからの人生表社会にも裏の社会からも追われて生きるのか?」
モミジは、顔をしかめて黙ってしまった。そして、1分ほど目を閉じていた。
「そうか……そんなに嫌ならしょうがないな?俺も暇じゃないし、君を助ける義理は俺には無いしな」
「ま、待って!分かったよ……あんたを信じるよ。このままじゃあたしは生きていられない」
「そうか。しかし、お前を救うには条件をつけさせてもらおうか?」
「条件?」
「モミジ、お前には俺の奴隷になってもらう」
「なっ⁉何であたしがお前の奴隷になんか?」
「あたりまえだろ、俺だって闇ギルドの人間だった奴をそう簡単に信じる事なんかできないからだよ。しかし奴隷になれば、身の安全は保障してやろう!」
「ひ、卑怯な……」
「いやならこのままサヨナラだ。好きに生きるがいいよ」
「分かったよ……死ぬより奴隷の方がマシだからね。それにあんたの奴隷となれば、そんなにひどい状況にはならないだろうしな」
さすがは諜報部員のモミジだ。ヒロトシの奴隷は、平民以上の生活が保証されていると知っていた。
「よく知っているな?」
「当たり前だ。あたしは闇ギルドの諜報部隊だぞ?お前が一番大事にしているのがマインだと調べたのもあたしだ」
ヒロトシは、その情報に鼻で笑ったのだった。
「何を馬鹿にする。あたしの情報が間違っているとでも?」
「確かに一番大事なのはあっているよ」
「だったら何で鼻で笑う?」
「マインが一番大事じゃない。家族が一番大事なんだ。つまり、マインだけでなくアイやセバスも大事なんだよ」
「……」
「それよりアジトに案内しろ!アジトについたら俺から離れるなよ。死んでも責任は取らんからな」
ヒロトシは、モミジの案内で崖の下にある新たな闇ギルドのアジトにやってきた。
「こっちか?」
ヒロトシはサーチをして、マインの存在を確認した。モミジは、案内もしていないのにマインがいる拷問部屋に真っ直ぐ向かっていたのに驚いていた。
「何で場所が?」
「内緒だ!」
「もしわかっているのなら、あたしの案内なんかいらないはずじゃない!いや、そればかりかアジトも最初から自分で発見することも……」
「今は黙っていろ!俺の奴隷になったら教えてやるよ」
「貴様!何でこの場所に?」
アジトに突入と同時に、アサシンや盗賊達が襲い掛かってきた。
「どけええええ!」
ヒロトシは襲い掛かって来る、アサシンや盗賊達を拳と蹴りでドンドン戦闘不能にしていく。その様子をモミジはただ見ていただけだった。
「モミジ危ない!」
「えっ⁉」
ヒロトシが、モミジに放たれた弓矢を蹴り落した。そして、離れていたアサシンにはマジックアローを飛ばし撃退していくのだった。
「絶対に離れるなよ?」
「う、うん……」(ど、どういう事?なんであんなに周りが見えているの?)
モミジは、ヒロトシの戦闘能力に驚愕していた。あんなに迫りくるアサシンや盗賊達を相手にして、自分に危険が及ばないようにフォローしながら戦える事が信じられなかった。
「ここか!」
ヒロトシは扉を蹴破った。すると、そこには裸にされ拷問を受けていたマインがいた。
「ヒロトシ!待っていたよ。さすが1日も経たずここにやって来るとはたいしたものね」
「カエデさん?何であんたがここに?いや違うのか?」
ヒロトシは、すぐさまカエデを神眼で鑑定をすると、モミジと表示された。
「あたしは、カエデだよ。今日までお前を騙し、お前の奴隷であるマインを攫う計画を立てていたんだ」
「馬鹿な事を!俺を騙そうと思っても無駄な事だ」
「信じれない気持ちも分からないではないが、あたしは最初からお前を騙す為近づいたんだよ」
モミジは、何とかしてヒロトシに精神ダメージを与えようとしていたが、神眼で見ていた為、カエデではなく双子の姉妹のモミジと言う事は分かっていた。
「あんたが、カエデさんの姉妹と言う事は分かっているよ」
「なっ⁉何でそれを!」
「そんなのちょっと考えればわかる事だからな!カエデさんがいくら強いとはいえ、あの場所から一人でここにやって来る事は出来ないよ」
シュガー村があるのは、魔の森の目と鼻の先である。そんなところから1人でここにやってこれるはずは絶対にあり得ない事だった。
「そんな事はどうでもいい!マインはどこだ!」
「くははははは!お前の愛しいマインは闇ギルドのアジトだよ!」
「やはり闇ギルドか……懲りない連中だな。何回やられたら諦めるんだよ」
「諦める?それこそ笑わすんじゃないよ!闇ギルドが舐められたらやっていけないんだよ!」
「その割にはいつも表に出てこないじゃないか?いつも、裏に籠って悪さばかりして、人様に迷惑ばかりかけやがって!」
「うるさい!全て王国が悪いのよ!貴族達こそ迷惑ばかりかけ、あたし達平民は虐げられ、犯罪をしないと生活出来なかったんだ!」
モミジやカエデは、王国でもミトンの町の出身ではなかったのだろう。王国の中でも、あくどい貴族はたくさんいる。全員がシルフォードのような善政をしている貴族ばかりではないのだ。
「それは言い訳だな!王国の中でも犯罪をせず、立派に生活をしている人間はたくさんいる!」
「あんたに、何が分かるんだい!」
「だが、あんたの姉さんは闇ギルドから脱走した。それは闇ギルドのやり口に辟易したからだ!それに未来ある子供を犯罪者にさせたくないと思ったからこそ闇ギルドを脱走したんだ」
「はっ!今更そんなきれいごとを」
「綺麗ごとの何が悪い!その子供達を自分のようにしたくないからこそ、闇ギルドから脱走したんだ。立派じゃないか?」
「姉さんは、子供達を理由に闇ギルドから逃げたんだよ!自分じゃどうしようもないから、あんたに逃げたんだよ!」
「俺から言わせればカエデさんの行動は、勇気ある逃走だよ!そのおかげで一緒に逃げた子供達は、カエデさんと一緒に幸せに生活が出来ている」
「う、うるさい!」
「あんたも、カエデさんの事が羨ましいんじゃないのか?」
「そ、そんなことあるわけないじゃないか!あたしは闇ギルドで貴族達に仕返しをするんだ!貴族から金を搾り取るこそが、あたしの生き甲斐なんだよ!」
モミジは闇ギルドでの活動は暗殺ではない。諜報部隊として、貴族の情報を得て弱みを握る事にあった。そして、それを元にゆすり恐喝することが目的だった。その時に使うのが誘拐した人間に拷問を行う事だった。
「そうか……残念だよ。あんたはカエデさんと同じく殺人はしていないから、まだ更生の余地があったのにな……」
ヒロトシは本当に残念に思った。モミジも又、理不尽な世の中の犠牲者の1人だったからだ。
「黙れ!あんたも貴族の一人ならあたしの敵だよ。あんたの大事な大事な奴隷は今頃廃人になっているだろうよ!」
「なっ⁉マインになにをした?まさか薬を!」
「きゃははははは!その顔いいねえ。貴族がうろたえる姿は滑稽だよ」
「お前!カエデさんの妹だから手加減をしてやろうと思ったが気が変わったよ。マインに薬を使ったとなれば話は別だ。俺の家族に手を出したことを後悔させてやるよ」
ヒロトシは、今までと違いモミジを睨みつけた。その威圧はモミジ程度の人間が受け止めれるものではなく、睨まれた瞬間からだが硬直してしまった。
(な、なんなのこれは……)
まさに、蛇に睨まれた蛙の様に身動きが出来なかった。
「ぐっ……」
「アジトに案内してもらおうか?」
モミジは、ヒロトシの存在に恐怖を感じた。確かに身動きは出来なかったが、ヒロトシから一瞬も目を離していなかった。いや、離せなかったのだ。
しかし、ヒロトシとの距離は十分に余裕があったはずなのに、自分の真後ろから話しかけられていた。そして、その首筋にはダガーが突きつけられていて、そのダガーは自分のものだったのだ。
「い、いつの間に……貴様……」
「アジトまで案内よろしく」
ヒロトシがそう言って促そうとした瞬間、モミジの心臓に矢が突きささったのだ。
「なっ⁉」
「何故、あたしを……切り捨てられた?……」
「お、おい!モミジ!しっかりしろ!」
ヒロトシは咄嗟にモミジを抱きかかえ、ヒールを唱えた。傷口はヒロトシの魔力の強さで一瞬に塞がり一命をとりとめたのだ。しかし、口から吐血したのだった。
「矢に毒が……」
すぐさま、ヒロトシはキュアをした。ヒロトシだったからこそ処置が可能だった。
世の中に全属性を扱える人間などいない。その中でも光聖闇無属性のような、上級属性は更に扱える人間は少ないのだ。
そのため、冒険者にはスクロールやポーションは必須のアイテムだった。だからこそ、シルフォードが所有するシャープネスオイルのような強力な効果を持つ消費アイテムは需要がある。
「なんで、あたしを助けた?」
「なんでって、お前が哀れだったから。でも、これで分かっただろ?これが闇ギルドのやり口だよ」
「そんなのは知っているさ!今回はあたしがミスしたからさ。それが分かって、あたしは闇ギルドに籍を置いているんだよ」
「お前はそれでいいのか?今さっき切り捨てられたんだぞ?」
「いいわけあるか!あのまま死んでいれば、こんな気持ちにはならなかったのに、あたしに情けをかけやがって!どうしてくれるんだ?」
「どうしてくれるってどういうことだよ!」
「これであたしは、闇ギルドに帰る事も出来ないじゃないか。あのまま死んでいればこんな事にならなかったんだ」
「そんなのしらねえよ!俺の目の前で殺されそうになったのを放って置けるかよ。目覚めが悪くなるわ!」
「くっそぉ!あたしは、これで一生闇ギルドに狙われる事になった……」
「おい?モミジとか言ったな?マインはどこに囚われている?そいつを教えろ?救いだす協力をしたら俺が匿ってやる」
「ほ、本当か?い、いや……貴族なんか信じられるか。どうせ、後であたしを突き出すつもりだろ?」
「まあ、協力しないなら、これからの人生闇ギルドの追手に怯えながら生きるんだな?」
「ぐっ……」
「よく考えるんだな?最後のチャンスだ。俺に協力して、カエデさんのいる場所で平和に暮らすか?俺との協力を断って、これからの人生表社会にも裏の社会からも追われて生きるのか?」
モミジは、顔をしかめて黙ってしまった。そして、1分ほど目を閉じていた。
「そうか……そんなに嫌ならしょうがないな?俺も暇じゃないし、君を助ける義理は俺には無いしな」
「ま、待って!分かったよ……あんたを信じるよ。このままじゃあたしは生きていられない」
「そうか。しかし、お前を救うには条件をつけさせてもらおうか?」
「条件?」
「モミジ、お前には俺の奴隷になってもらう」
「なっ⁉何であたしがお前の奴隷になんか?」
「あたりまえだろ、俺だって闇ギルドの人間だった奴をそう簡単に信じる事なんかできないからだよ。しかし奴隷になれば、身の安全は保障してやろう!」
「ひ、卑怯な……」
「いやならこのままサヨナラだ。好きに生きるがいいよ」
「分かったよ……死ぬより奴隷の方がマシだからね。それにあんたの奴隷となれば、そんなにひどい状況にはならないだろうしな」
さすがは諜報部員のモミジだ。ヒロトシの奴隷は、平民以上の生活が保証されていると知っていた。
「よく知っているな?」
「当たり前だ。あたしは闇ギルドの諜報部隊だぞ?お前が一番大事にしているのがマインだと調べたのもあたしだ」
ヒロトシは、その情報に鼻で笑ったのだった。
「何を馬鹿にする。あたしの情報が間違っているとでも?」
「確かに一番大事なのはあっているよ」
「だったら何で鼻で笑う?」
「マインが一番大事じゃない。家族が一番大事なんだ。つまり、マインだけでなくアイやセバスも大事なんだよ」
「……」
「それよりアジトに案内しろ!アジトについたら俺から離れるなよ。死んでも責任は取らんからな」
ヒロトシは、モミジの案内で崖の下にある新たな闇ギルドのアジトにやってきた。
「こっちか?」
ヒロトシはサーチをして、マインの存在を確認した。モミジは、案内もしていないのにマインがいる拷問部屋に真っ直ぐ向かっていたのに驚いていた。
「何で場所が?」
「内緒だ!」
「もしわかっているのなら、あたしの案内なんかいらないはずじゃない!いや、そればかりかアジトも最初から自分で発見することも……」
「今は黙っていろ!俺の奴隷になったら教えてやるよ」
「貴様!何でこの場所に?」
アジトに突入と同時に、アサシンや盗賊達が襲い掛かってきた。
「どけええええ!」
ヒロトシは襲い掛かって来る、アサシンや盗賊達を拳と蹴りでドンドン戦闘不能にしていく。その様子をモミジはただ見ていただけだった。
「モミジ危ない!」
「えっ⁉」
ヒロトシが、モミジに放たれた弓矢を蹴り落した。そして、離れていたアサシンにはマジックアローを飛ばし撃退していくのだった。
「絶対に離れるなよ?」
「う、うん……」(ど、どういう事?なんであんなに周りが見えているの?)
モミジは、ヒロトシの戦闘能力に驚愕していた。あんなに迫りくるアサシンや盗賊達を相手にして、自分に危険が及ばないようにフォローしながら戦える事が信じられなかった。
「ここか!」
ヒロトシは扉を蹴破った。すると、そこには裸にされ拷問を受けていたマインがいた。
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