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第4章 魔道スキルと研磨スキル

6話 拷問されるマイン

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 マインは闇ギルドと聞き冷や汗がながれた。シアンはマインの生唾を飲み込む音が聞こえ、クスクス笑いだした。

「白状するのなら今のうちよ。拷問が始まったら貴方は気が狂う事になっても拷問は終わらないわよ?」

「シアン!それ以上言うな!獣人などどうなっても構わん」

「申し訳ございません……」

「モミジ、お前の得意技だ。しっかり聞き出せ!じゃないと分かっておるな?」

「承知しました!」

「わたしは何をされても、ご主人様の事はしゃべらないわ」

「それじゃあ、困るのよ。いい?今のうちにしゃべっておいた方がいいわよ?」

「はっ!獣人は耐久力があるのよ?」






 マインは、モミジの拷問を舐めていた。マインは洞窟のような所で拷問を受けて、いっそのこと殺してほしいと思っていた。

「きゃはははははははははは!止めて止めて止めて!死んじゃはははははうからあははははははは!」

「死にたくなければ、ヒロトシの弱点を言え!」

「しらない!しらないから!くあはははははははははははははははは!」

 モミジの拷問は痛みではなかった。くすぐりが、こんなに辛いとはマインは思い知らされていた。

「ほんとに、あはははははははは!し、しら、きゃははははははははは!そこだめえええええええええ!息が、息が出来ない!もうやめてぇ~~~~~~~~~~~!」

「まだ口を割らないのね?本当に知らないよ?どうなっても!」

「止めて!お願い、いやあああああああははははははははははは!」

「ほら!早く口をわりな?」

「し、知らないの!ホントあはははははっは!」

「知らないじゃない!早く口を割らないか!あたしの命が亡くなるだろうが!」

 モミジは、マインの脇腹のあばらの窪みを刺激した。マインは大声をあげ狂ったように笑い続けていた。

「そこはだめええええええええええ!」

「だめじゃない!早く吐け!」

 モミジも必死だった。口を割らせないと、総帥からどんな罰を受けるか分からないのだ。罰ならいいが役立たずと言われ、そのまま処刑されてもおかしくないからだ。
 モミジは、マインから必死の形相で拷問を続けた。そして、マインは大声で笑い続け、脳に酸素がまわらなくなりそのまま気絶してしまった。

「し、しまった……やり過ぎたか……」

 モミジは、マインの心臓に手を当てると鼓動が感じ取られて、生きている事に安堵した。

「しかし、あれだけやってまだしゃべらないとなれば本当に知らないのか?」

 モミジは、マインに1時間もくすぐっていた。しかし聞き出せたことは本当に何もなかったのだ。普通ならこの拷問をやめてほしくて、嘘を言ったりするものだがそれさえもなかった。

「知らないと言った時、この女は嘘を言っていたか?」

「いえ……本当の事ばかりで嘘を言ってはいないようでした」

 モミジの部下である魔法使いは【ディテクト】を使用していた。この魔法は嘘をつくと赤色に体が光る様に見え、嘘を見破ることが出来る魔法である。

 モミジは、総帥に正直に報告をしたのだった。知らないと言う情報を聞き出す事で許しを得ようとしたのだ。

「総帥……あの物はヒロトシの弱点を本当に知らないようです……」

「何だと?そんな事があるわけなかろう!あの獣人はヒロトシの一番のお気に入りだと情報が入っているのだぞ?」

「しかし……」

「モミジ、お前。聞き出せなかったからと言って、知らなかったと嘘をついているのではなかろうな?」

「そんな事はありません!あの獣人を1時間に及び拷問にかけたのですが、嘘をついてはいなかったのです!」

「本当か?」

「本当です!嘘などついたら余計にあたしの立場は悪くなりますよね?そんなバカな事をあたしはしません」

「そうか?じゃあ、その言葉を信じよう!」

 総帥の言葉で、モミジは安堵したのだった。

「しかし、あの獣人忌々しいな……無駄な時間を掛けさせやがって!」

「……」

「モミジ!お前に命令する。あの獣人に拷問を続行しろ!」

「ですが、聞き出す情報がありません」

「そんなのはどうでもいい!シアン、お前は神経が過敏になる毒を持っていたよな?それをあの獣人に飲ませろ!」

 総帥は、シアンにとんでもない事を命じたのだ。神経が過敏になったところで、先ほどまでの拷問を続けたら本当に精神が壊れるだろうとモミジは思った。

「モミジ!」

「は、はい!」

「お前は、部下と共に24時間拷問を続けろ!」

「承知いたしました」

 モミジは、あの獣人の命運は尽きたなと思った。指示を出した総帥の顔は歪み、この人を絶対に敵に回してはいけないと身震いした。



 その頃、ヒロトシはマインのアクセサリーを持って、落ちていた場所に来ていた。そして、【ホーチュン】の魔法をかけるとヒロトシの運が跳ね上がった。

「おい!俺のねぐらで何をやっている!」

「えっ?」

 振り向くとそこには、汚らしい男が一人立っていた。

「あっ!ごめん。悪気はなかったんだ?」

「って、あんた?ヒロトシ様か?」

「ああ、そうだけど俺と知り合いか?ごめん。俺はちょっと見覚えが無いんだがどこかで会ったか?」

「いやいや、この町であんたを知らない人間はいないさ。俺が一方的に知っているだけだよ。それでこんなとこに何かようか?」

「ここで俺の奴隷が人攫いにあったんだ。何か知っていることはないか?」

「ヒロトシ様よ。情報が欲しいなら出すもん出さないといけないだろ?」

「そうか悪い悪い……」

「でも、まあヒロトシ様はこの町を何回もスタンピードから救ってくれたからタダで協力してやるよ」

「いや、別にいいよ。商人はタダほど怖いモノはないと言うからな。有益な情報なら高く買うよ」

「さすがヒロトシ様だ!乗ってこないな。それで何が聞きたいんだ?」

「俺の家族である女性が誘拐されたみたいなんだ?なにかおかしなことはなかったか?」

 ヒロトシはあえて女性だと言い、猫獣人の事は伏せて説明した。

「ひょっとして、尻尾が二股に分かれた猫獣人の事か?」

「知っているのか?」

「ああ!たしか、いきなり男に腹を殴られ気絶させられて、北の方に連れていかれたぜ。まさか、あの獣人がヒロトシ様の奴隷とは知らなかったからな」

 一緒に来ていたミランダが、男に向かって大きな声を出した。

「貴方それを知っていて、見て見ぬふりを⁉」

「こんな場所に女1人で来るもんじゃないって事さ。ミトンの町は平和だがそれでもこんな場所に来たら連れ去られても文句言えないさ。俺はそんな厄介事にはクビは突っ込まないだけだよ」

「あなたねえ!」

「ミランダ!やめるんだ。この人の言う通りだよ。路地裏に女性一人で入るほうが悪い。情報ありがとう!これはお礼だ」

 ヒロトシは、浮浪者である男に金貨5枚を手渡した。

「こんなに良いのか?」

「俺にとったらそれほどの情報だ!遠慮するな」

「さすがヒロトシ様だ。じゃあ、もう一つ情報をやるよ。その女を連れ去った時、その男の頭には大きな角があったぜ。多分あれは魔族だな」

 誘拐したのは、まさかの闇ギルドの総帥だった。しかし、ヒロトシは疑問に思う事が出てきたのだった。そんな魔族に、マインがほいほいついていくのだろうか?ヒロトシはその魔族の正体が気になってしょうがなくなった。



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