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第3章 新しい研磨
36話 新しいお店と報告
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その日のうちに、ミトンの町へと帰ってきたヒロトシ達は、城門の衛兵達に心配されていた。いつもなら日帰りで帰って来るのに、1泊して帰って来たからだ。
「ヒロトシ様おかえりなさい。心配しましたよ」
「えっ?なんで心配を?」
「何でって……いつもなら日帰りなのに、昨日は帰ってこなかったじゃないですか?」
「あっ……そういう事か。心配かけてすまない。実はシルフォード様の依頼も請け負っていたから、昨日はオーランの町に行ってたんだよ」
「そうだったのですね。それで依頼の方は上手く行ったのですか?」
「ああ!ばっちりだよ」
「それはよかったです」
衛兵達からは歓迎の言葉を貰って、そのまま㋪美研へと帰宅した。家に帰ると、セバスが迎え入れてくれた。
「旦那様おかえりなさいませ。領主様の依頼は上手く行きましたか?」
「ああ!これでまたミスリルやオリハルコンが手に入ったよ」
「それはようございましたね」
「それと、オーランの町に行くときに、ヤンさんと街道で出会ったんだよ」
「ほう!そんな場所で出会うなんて偶然ですね」
「それで、サーベルタイガーに襲われててな」
「それで大丈夫でしたのですか?」
「ああ、それは大丈夫だったんだが、そのお礼としてこの二人を譲り受けたんだ。名前はララとナミだ。これから一緒に生活をすることになったからよろしく頼む」
「承知いたしました」
「ララ、ナミ。わからない事はセバスに何でも聞く様にしてくれ」
「「分かりました」」
「セバスさん、どうぞよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
ララとナミは、少し緊張して挨拶を済ませた。そして、大部屋に案内されてマイン達にも挨拶をして、ようやく落ち着く事が出来たのだった。
そして、次の日ヒロトシは大通りにある新しくオープンした【サンライト】にやってきた。喫茶サンライトでは、紅茶とクッキーを出す店として恋人たちが集まる店となっていた。砂糖を使った菓子なので割高だがそれでも、お客様は途絶えることはなく、いつも行列が出来ていた。
その店のウェイトレスに、ララとナミをやってもらおうとここサンライトに連れてきた。
「それじゃ、ここで一日働いてくれ」
「こんなきれいで人気な店であたし達がウェイトレスだなんて無理ですよ」
「そうですよ。あたし達は奴隷なんですよ」
「大丈夫だよ。他の女の子達も立場は奴隷だよ」
「嘘……」
店の中を見たら、全員がニコニコしながら明るく働き、お客様も奴隷だからと言ってさげすむ人はいなかった。
これは、ヒロトシの人望がなせるわざであり、ここに来る人間はここの奴隷の主人がヒロトシだと知っているからだ。それに、ウェイトレスは全員が綺麗な姿をしていて、奴隷だなんて思えないのだ。
「だから大丈夫だよ。リサ!この二人を頼むな」
「わかりました。お任せください」
リサと呼ばれた女性は、ここの店長を任されていて28歳の女性だ。当然だが、リサもヒロトシの奴隷でお客から人気の店長だ。
恋人達がデートで使うと言ったが、冒険者もやって来る。今は㋪美研ではクッキーの販売はしておらず、この店に買うことになっているからだ。そして、この店にはウェイターも働いていて、町の女性達に人気なのだ。
ヒロトシは、リサに二人を預けて、研磨工場に帰った。ミトンの町を1日留守にしたため仕事が溜まっていた。その分を早急に片づけないといけなかったので、シルフォードの所には後日伺う事にした。
「ララ、リサ。今日はもう終いだよ。早く閉店の準備をして!」
「「えっ⁉もう終わりですか?」」
サンライトの営業時間は、朝10時から夜の7時までであり、休憩時間も1時間あった。どう考えても奴隷の働き方ではなかったので2人してびっくりしていた。
今日はまだ初日だったので二人は厨房で主に皿洗いをしていて、後は雑用をしていただけだった。
お客さんに閉店の知らせをしたり、帰ったテーブルの皿やカップを片づけた。この店は大人気になるのが分かっていたかのように、最初からとても大きな店だったので、最後の片づけは戦争のようになる。
「それにしても、この店の食器は綺麗ですね……」
「ホントピッカピカです」
「これはご主人様のおかげなんですよ」
「「どういう事ですか?」」
「ご主人様の本職が研磨職人なんです。いろんなものを磨き上げるのが仕事で、この食器もご主人様の仕事なんですよ」
「あたしなんか、今日この食器が洗うのをためらいましたよ」
「あっ、わかる!あたしも最初洗った時、擦り傷が出来て冷や汗を流したよ」
ウェイトレスたちはしゃべりながら、ララとナミの説明に同意して笑いながら後片付けをしていた。
そして、ララとナミはこの職場を本当に気に入ったのだった。みんな同じ立場で笑顔いっぱいで優しい人間ばかりで居心地が良かった。
そして、屋敷に帰ってきたら風呂が用意されていて、一日の疲労が吹っ飛び癒された。二人が驚いたのは、石鹸やシャンプー、そしてリンスというものがあった。凄くいい香りがする物で、高価なものだと言うのが分かった。
「これ、凄いいいものなんですが、あたしも使ってもいいのですか?」
「ええ、ここにある物はご主人様が用意してくれた物だから、自由に使ってもいいのよ」
隣にいたマインがそう答えた。ララは㋪での受付嬢をしていたマインを見てボーっとしてしまったのだ。女性から見てもマインは本当に綺麗で、冒険者達から一番人気と聞いたが納得する美しさだった。
そのシャンプーとリンスを使うと、髪がサラサラなった。脱衣所ではヒロトシが、風の魔石と火の魔石を使ったドライヤーがあり、あっという間に髪が乾かせるのである。
マインに聞いた事だが、普通は貴族達は風呂から上がると髪がぼさぼさにならない様に香油を髪につけるらしい。
しかし、ここではその必要がなくドライヤーで髪を乾かすだけで、髪はサラサラになるのがマイン達には好評だったのだ。
「早くしないとご飯に遅れちゃう。ララとナミも急いで!」
「「はい!」」
喫茶サンライトが出来て、みんなのご飯もそちらに合わせて、夜9時になっていた。食堂に行くととんでもない豪華な食事が用意されていて、本当にこれを食べていいのかと疑うものだった。
「本当に1日3食、食事を与えてもらえるの?」
「す、すごい」
「当たり前だろ?ご飯はちゃんと食べなきゃ駄目だ。おかわりが欲しければ自分でよそってくれよ」
「おかわりもいいのですか?」
「今日はいっぱい働いたんだろ?その権利はお前達にはあるよ。いっぱい食べて明日も頑張ってくれ」
「「ありがとうございます!」」
ララとナミは、ヒロトシの言っていたことは本当だとビックリしながらお腹いっぱいに食べた。平民だったころにオークのステーキだなんて絶対に食べれなかったし、周りを見るとガインさんというドワーフはエールまで飲んでいたのだ。これは休日に貰えるお小遣いで買った物だというから驚きだ。
リサ店長からは、週に一回平日に休みが与えられると聞いていた。その時にお小遣いが支給され、どのように使ってもいいそうだ。返還しなくてもよくそれを貯金して服を買うのも良いし、サンライトでお茶をしても構わないそうだ。
ララとナミは、本当にこんな生活を与えて貰えて、奴隷以上の生活と聞いていたが、どう考えても貴族以上の生活だった。
そして、3週間が過ぎヒロトシは、シルフォードの屋敷にやってきていた。
「ご無沙汰してます」
「やっと来てくれたか」
「遅くなって申し訳ございません」
「オーランの領主から連絡が来ているよ。このたびは本当にありがとうと言ってくれと言ってきておるよ」
「喜んでくれて、こちらとしても嬉しいです」
「これが依頼料だ。受け取ってくれ」
「こ、こんなに?」
「これでも少ない方だよ。向こうの領主ももっと出したいのが本音だが、これが精一杯だと言う事だ」
「俺としては貰い過ぎのような感じもしますが……」
「そんな事言わず受け取ってやってくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
そして、ヒロトシは今回の目的でもある事を話し始めた。
「今日はちょっと、シルフォード様に言いたいことがあってきました」
「なんだい?なんか怖いのだが……」
「オーランの町から帰ってきて3週間、俺はガーラの町で集めた証拠です。これを見てもらえませんか?」
「ガーラの町にいっていたのかね?それに、これはなんだね?」
シルフォードは、ヒロトシが提出した物を見た。
「俺がずっと前に忠告した事が本当になりましたよ。塩を横流しをして、あのケルビンは私腹を肥やしています」
「馬鹿な!」
「ケルビンは、行き場を無くした者を雇い入れ奴隷の様に酷使させた挙句、その従業員を過労死させています。そして、その妻や子供を借金の型に嵌め奴隷に落としているんです」
「そんなはずは……」
「だから俺が言ったじゃないですか?経費削減もいいけど人件費は削ると大変な事になると……」
「だが、ケルビンにはそれ相応の給金は渡しているぞ?」
「そうじゃありません。実際、人手不足でシルフォード様にこの現状が届かなければ意味がありません。ようは、ケルビンを見張るシルフォード様の信頼できる人材が必要なんですよ」
「うぐっ……」
「いいですか?塩工場は安定してミトンに供給する為に作った工場です。町の税金を使って建てられたんです。それを我が物の様に利用する責任者では駄目なんですよ」
「それは分かるが……ケルビンは信用のおける人物だぞ?」
「そんなのは猫をかぶってたら分からないですよ。俺が調査した限りでは真っ黒ですよ。その着服した金で、他の貴族に賄賂を贈り、推薦状を貰おうとしているのですよ?」
「馬鹿な!そんなはずは……」
「まあ、成り上がろうとしているのは確かな事ですよ。多分役職を貰いそこで成果を出す事で、上級貴族になり土地を貰って、シルフォード様と同じ立場に立ちたいのでしょう」
「……」
「しかし、あのような人間が町の領主だなんて、地獄のような町になるかもしれませんね」
「分かった……わたしの方でも抜き打ちで監視官を送ってみる。話はそれからだ。しかし、これは本当の事なんだろうね?」
「えぇ……俺の所に犠牲者になり奴隷に落とされた人間が2人います。だから、俺はそれを確かめにガーラの町で調査をしてきました」
「わかった。ヒロトシ君を信じよう。後は私に任せてもらおう」
「よろしくお願いします」
ヒロトシは調査表をそのまま置いていき、後はシルフォードに任せることにして、シルフォードの屋敷を後にしたのだった。
「ヒロトシ様おかえりなさい。心配しましたよ」
「えっ?なんで心配を?」
「何でって……いつもなら日帰りなのに、昨日は帰ってこなかったじゃないですか?」
「あっ……そういう事か。心配かけてすまない。実はシルフォード様の依頼も請け負っていたから、昨日はオーランの町に行ってたんだよ」
「そうだったのですね。それで依頼の方は上手く行ったのですか?」
「ああ!ばっちりだよ」
「それはよかったです」
衛兵達からは歓迎の言葉を貰って、そのまま㋪美研へと帰宅した。家に帰ると、セバスが迎え入れてくれた。
「旦那様おかえりなさいませ。領主様の依頼は上手く行きましたか?」
「ああ!これでまたミスリルやオリハルコンが手に入ったよ」
「それはようございましたね」
「それと、オーランの町に行くときに、ヤンさんと街道で出会ったんだよ」
「ほう!そんな場所で出会うなんて偶然ですね」
「それで、サーベルタイガーに襲われててな」
「それで大丈夫でしたのですか?」
「ああ、それは大丈夫だったんだが、そのお礼としてこの二人を譲り受けたんだ。名前はララとナミだ。これから一緒に生活をすることになったからよろしく頼む」
「承知いたしました」
「ララ、ナミ。わからない事はセバスに何でも聞く様にしてくれ」
「「分かりました」」
「セバスさん、どうぞよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
ララとナミは、少し緊張して挨拶を済ませた。そして、大部屋に案内されてマイン達にも挨拶をして、ようやく落ち着く事が出来たのだった。
そして、次の日ヒロトシは大通りにある新しくオープンした【サンライト】にやってきた。喫茶サンライトでは、紅茶とクッキーを出す店として恋人たちが集まる店となっていた。砂糖を使った菓子なので割高だがそれでも、お客様は途絶えることはなく、いつも行列が出来ていた。
その店のウェイトレスに、ララとナミをやってもらおうとここサンライトに連れてきた。
「それじゃ、ここで一日働いてくれ」
「こんなきれいで人気な店であたし達がウェイトレスだなんて無理ですよ」
「そうですよ。あたし達は奴隷なんですよ」
「大丈夫だよ。他の女の子達も立場は奴隷だよ」
「嘘……」
店の中を見たら、全員がニコニコしながら明るく働き、お客様も奴隷だからと言ってさげすむ人はいなかった。
これは、ヒロトシの人望がなせるわざであり、ここに来る人間はここの奴隷の主人がヒロトシだと知っているからだ。それに、ウェイトレスは全員が綺麗な姿をしていて、奴隷だなんて思えないのだ。
「だから大丈夫だよ。リサ!この二人を頼むな」
「わかりました。お任せください」
リサと呼ばれた女性は、ここの店長を任されていて28歳の女性だ。当然だが、リサもヒロトシの奴隷でお客から人気の店長だ。
恋人達がデートで使うと言ったが、冒険者もやって来る。今は㋪美研ではクッキーの販売はしておらず、この店に買うことになっているからだ。そして、この店にはウェイターも働いていて、町の女性達に人気なのだ。
ヒロトシは、リサに二人を預けて、研磨工場に帰った。ミトンの町を1日留守にしたため仕事が溜まっていた。その分を早急に片づけないといけなかったので、シルフォードの所には後日伺う事にした。
「ララ、リサ。今日はもう終いだよ。早く閉店の準備をして!」
「「えっ⁉もう終わりですか?」」
サンライトの営業時間は、朝10時から夜の7時までであり、休憩時間も1時間あった。どう考えても奴隷の働き方ではなかったので2人してびっくりしていた。
今日はまだ初日だったので二人は厨房で主に皿洗いをしていて、後は雑用をしていただけだった。
お客さんに閉店の知らせをしたり、帰ったテーブルの皿やカップを片づけた。この店は大人気になるのが分かっていたかのように、最初からとても大きな店だったので、最後の片づけは戦争のようになる。
「それにしても、この店の食器は綺麗ですね……」
「ホントピッカピカです」
「これはご主人様のおかげなんですよ」
「「どういう事ですか?」」
「ご主人様の本職が研磨職人なんです。いろんなものを磨き上げるのが仕事で、この食器もご主人様の仕事なんですよ」
「あたしなんか、今日この食器が洗うのをためらいましたよ」
「あっ、わかる!あたしも最初洗った時、擦り傷が出来て冷や汗を流したよ」
ウェイトレスたちはしゃべりながら、ララとナミの説明に同意して笑いながら後片付けをしていた。
そして、ララとナミはこの職場を本当に気に入ったのだった。みんな同じ立場で笑顔いっぱいで優しい人間ばかりで居心地が良かった。
そして、屋敷に帰ってきたら風呂が用意されていて、一日の疲労が吹っ飛び癒された。二人が驚いたのは、石鹸やシャンプー、そしてリンスというものがあった。凄くいい香りがする物で、高価なものだと言うのが分かった。
「これ、凄いいいものなんですが、あたしも使ってもいいのですか?」
「ええ、ここにある物はご主人様が用意してくれた物だから、自由に使ってもいいのよ」
隣にいたマインがそう答えた。ララは㋪での受付嬢をしていたマインを見てボーっとしてしまったのだ。女性から見てもマインは本当に綺麗で、冒険者達から一番人気と聞いたが納得する美しさだった。
そのシャンプーとリンスを使うと、髪がサラサラなった。脱衣所ではヒロトシが、風の魔石と火の魔石を使ったドライヤーがあり、あっという間に髪が乾かせるのである。
マインに聞いた事だが、普通は貴族達は風呂から上がると髪がぼさぼさにならない様に香油を髪につけるらしい。
しかし、ここではその必要がなくドライヤーで髪を乾かすだけで、髪はサラサラになるのがマイン達には好評だったのだ。
「早くしないとご飯に遅れちゃう。ララとナミも急いで!」
「「はい!」」
喫茶サンライトが出来て、みんなのご飯もそちらに合わせて、夜9時になっていた。食堂に行くととんでもない豪華な食事が用意されていて、本当にこれを食べていいのかと疑うものだった。
「本当に1日3食、食事を与えてもらえるの?」
「す、すごい」
「当たり前だろ?ご飯はちゃんと食べなきゃ駄目だ。おかわりが欲しければ自分でよそってくれよ」
「おかわりもいいのですか?」
「今日はいっぱい働いたんだろ?その権利はお前達にはあるよ。いっぱい食べて明日も頑張ってくれ」
「「ありがとうございます!」」
ララとナミは、ヒロトシの言っていたことは本当だとビックリしながらお腹いっぱいに食べた。平民だったころにオークのステーキだなんて絶対に食べれなかったし、周りを見るとガインさんというドワーフはエールまで飲んでいたのだ。これは休日に貰えるお小遣いで買った物だというから驚きだ。
リサ店長からは、週に一回平日に休みが与えられると聞いていた。その時にお小遣いが支給され、どのように使ってもいいそうだ。返還しなくてもよくそれを貯金して服を買うのも良いし、サンライトでお茶をしても構わないそうだ。
ララとナミは、本当にこんな生活を与えて貰えて、奴隷以上の生活と聞いていたが、どう考えても貴族以上の生活だった。
そして、3週間が過ぎヒロトシは、シルフォードの屋敷にやってきていた。
「ご無沙汰してます」
「やっと来てくれたか」
「遅くなって申し訳ございません」
「オーランの領主から連絡が来ているよ。このたびは本当にありがとうと言ってくれと言ってきておるよ」
「喜んでくれて、こちらとしても嬉しいです」
「これが依頼料だ。受け取ってくれ」
「こ、こんなに?」
「これでも少ない方だよ。向こうの領主ももっと出したいのが本音だが、これが精一杯だと言う事だ」
「俺としては貰い過ぎのような感じもしますが……」
「そんな事言わず受け取ってやってくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
そして、ヒロトシは今回の目的でもある事を話し始めた。
「今日はちょっと、シルフォード様に言いたいことがあってきました」
「なんだい?なんか怖いのだが……」
「オーランの町から帰ってきて3週間、俺はガーラの町で集めた証拠です。これを見てもらえませんか?」
「ガーラの町にいっていたのかね?それに、これはなんだね?」
シルフォードは、ヒロトシが提出した物を見た。
「俺がずっと前に忠告した事が本当になりましたよ。塩を横流しをして、あのケルビンは私腹を肥やしています」
「馬鹿な!」
「ケルビンは、行き場を無くした者を雇い入れ奴隷の様に酷使させた挙句、その従業員を過労死させています。そして、その妻や子供を借金の型に嵌め奴隷に落としているんです」
「そんなはずは……」
「だから俺が言ったじゃないですか?経費削減もいいけど人件費は削ると大変な事になると……」
「だが、ケルビンにはそれ相応の給金は渡しているぞ?」
「そうじゃありません。実際、人手不足でシルフォード様にこの現状が届かなければ意味がありません。ようは、ケルビンを見張るシルフォード様の信頼できる人材が必要なんですよ」
「うぐっ……」
「いいですか?塩工場は安定してミトンに供給する為に作った工場です。町の税金を使って建てられたんです。それを我が物の様に利用する責任者では駄目なんですよ」
「それは分かるが……ケルビンは信用のおける人物だぞ?」
「そんなのは猫をかぶってたら分からないですよ。俺が調査した限りでは真っ黒ですよ。その着服した金で、他の貴族に賄賂を贈り、推薦状を貰おうとしているのですよ?」
「馬鹿な!そんなはずは……」
「まあ、成り上がろうとしているのは確かな事ですよ。多分役職を貰いそこで成果を出す事で、上級貴族になり土地を貰って、シルフォード様と同じ立場に立ちたいのでしょう」
「……」
「しかし、あのような人間が町の領主だなんて、地獄のような町になるかもしれませんね」
「分かった……わたしの方でも抜き打ちで監視官を送ってみる。話はそれからだ。しかし、これは本当の事なんだろうね?」
「えぇ……俺の所に犠牲者になり奴隷に落とされた人間が2人います。だから、俺はそれを確かめにガーラの町で調査をしてきました」
「わかった。ヒロトシ君を信じよう。後は私に任せてもらおう」
「よろしくお願いします」
ヒロトシは調査表をそのまま置いていき、後はシルフォードに任せることにして、シルフォードの屋敷を後にしたのだった。
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