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第3章 新しい研磨
31話 奴隷商店での出来事
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ヒロトシは、オーランの町へと向かった。その際、ヤンからお礼にと貰った奴隷を、トラックの助手席に座らせたのだった。
「ご、ご、ご、ご主人様!い、いや!もう、止めてください」
「まあ、最初は怖いけどすぐになれるよ」
「い、いやああああああああ!」
「そんなに怖がらなくて大丈夫だから、まずはちゃんと話そう」
「い、いや!あああ!ぶ、ぶつかる!ひいい!」
「大丈夫だって!」
やはり、トラックの助手席に初めて乗った人間は、そのスピードにビックリして恐怖していた。この女性も例外ではなく、ボコボコ道でトラックが刎ねるたびに悲鳴を上げていた。アイリーン達も後ろのコンテナから、その様子を見て苦笑いを浮かべていた。
「気持ちは分かるわ……」
「わたし達もまだ慣れないものね」
「だけど、一番の新人がその席に座ってよね」
「うんうん……」
「いやぁ~~~~~~!ご主人様ぁもう許してください!」
「助手席はお前達にとってジェットコースターか……」
「訳の分からない事言わないでくださいぃ~~~~~~~!」
貰ったばかりの女奴隷は、両手で手すりにつかまりながら目をしっかりつむって身体を硬直させていた。
「ったく、しょうがないな……オーランの町の到着が遅くなるぞ」
「そ、それでもいいです!いいですから、もっとスピードを落としてください!後生ですから!スピードを落としてくれたらなんで致します。だからお願い!」
その時、トラックが石を踏んだようで、バインとはねた。
「いやああああああああああ!」
その女性の叫び声が、助手席でこだましたのだった。しょうがないのでヒロトシはトラックのスピードを半分にまで落として運転をした。
しかし、それでもトラックが刎ねるたび、その女性の悲鳴がでたのは言うまでもなかった。
「ふう……やっと着いたな」
「やっとじゃありません!なんでオーランの町に今日中に着くのですか?」
「いやいや、もう夕暮れじゃないか。もうすぐしたら城門が閉まるだろ?本来なら、もっと陽が高いうちに着いていたんだ」
「だけど!」
「君が怖がるからスピードを落としたんじゃないか。感謝されても怒られるいわれはないよ」
「だって……あんなスピードで走られたら誰だって」
「まあ、とにかく今日はオーランの町で一泊し、明日の朝ダンジョンに向かい用事を済ませて、ミトンの町に帰る事にする」
「「「「「分かりました」」」」」
ヒロトシはそのまま、トラックで貴族専門の出入り口を通り過ぎようとした。
「ちょっと、お待ちください!貴方はいったいどこの貴族様ですか?それにその乗り物は?」
城門前では、オーランの町に入ろうとしている冒険者や旅人が騒然としていた。
「な、何だあれは?」
「どこの貴族様なんだ?」
「あんな乗り物見たことねえな……」
城門を守っている兵士も、見たことのない乗り物に不安になりながら話しかけてきたのだ。しかし、堂々と貴族専用の出入り口を利用したので、言葉遣いに気をつけて話しかけてきたのだった。
「ああ。すいません。ミトンの町から来たヒロトシと言います」
「ヒ、ヒロトシ様だと!こ、これは失礼しました!申し訳ありませんが、身分証のほどを提示して頂けますか?」
城門を守っていた兵士は、ヒロトシと聞き直立不動となった。
それもそのはずで、ヒロトシの顔までは認識していなかったが、その名はオーランの町にまで聞こえており、再三にわたるスタンピードを抑えこみ、ミトンの町の闇ギルドを壊滅させた絶対的英雄がヒロトシだったのだ。
ギルドカードを提示し、そこには大豪商伯と記載されていて、兵士はその記載を確認すると敬礼をした。
「ご協力感謝いたします!どうぞそのままお入りください!」
「ああ!それとここから馬車で3日ほどの距離の街道沿いで、サーベルタイガーが5匹も出没したんだ。気をつけてくれ」
「何ですって!それは本当ですか?」
「うん。俺達が討伐はしておいたので、もう大丈夫だとは思うけど一応な」
「そうですか。情報提供ありがとうございます」
兵士達は慌ただしく連絡をして、一部隊が馬に乗り街道沿いを警護したのだった。
オーランの町は、ヒロトシがトラックで入場すると騒然となった。
「なんだ?あの乗り物は?馬がいなくても走るのか?」
「す、すげえええ!」
「あんな乗り物が開発されたのか?」
しかし、町の人間は遠巻きにみるだけで、誰も近寄ってくることはなかった。それもそのはずで、その乗り物は貴族専用の入り口から入って来たので、貴族に気軽に話しかける事が出来なかったのだ。
そして、ヒロトシはそのまま、オーランの町の奴隷商店に向かって貰った奴隷の契約を結ぶことにした。
「ここがヤンさんのオーラン支店だな」
「いらっしゃいませ!」
カウンターにいる受付奴隷達が挨拶をしてきた。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「ああ!この事契約を結んでほしいんだ。それとこれを」
「これは?」
「ヤンさんからの手紙だよ」
「主からの?」
受付奴隷は、主の手紙と聞きその手紙をすぐに、この支店の責任者を呼びに行った。すると、出てきたのは艶っぽい女性でスタイル抜群の女性だった。
その手紙には、道中ヒロトシ様に命を救ってもらいお世話になったと書いてあり、奴隷を一人差し上げたと書いてあり、契約の料金もタダにしてあげてほしいと書いてあった。
「ヒロトシ様!わたしの父のお命を助けていただき本当にありがとうございます。わたしはヤンの娘でロゼッタといいます」
「それは、ご丁寧にありがとうございます。俺はヒロトシと言います。ミトンの町で㋪美研を経営しています」
「ヒロトシ様の噂は、ここオーランの町まで聞こえています。本当に父を助けていただきありがとうございます」
「いえいえ、偶然通りかかっただけなのでお気になさらず。多分3日後にはオーランの町に着くと思いますよ」
「3日後?どういうことですか?手紙には今日の朝方に救われたと書いてありましたが?」
「俺の乗り物は馬車じゃないからね」
ロゼッタは、ヒロトシの説明に驚愕した。馬車で3日の距離をたった数時間で走る乗り物があるとは思いもしなかったからだ。
「そういえば、ヒロトシ様は王都まで短期間で往復したと聞いたことがあります。それはその乗り物でですか?」
「そんなことまで噂が広まっているのですか?」
「今やヒロトシ様の噂は色んな所で聞きますからね。まあとにかく、その奴隷との契約を済ませましょうか?」
「ああ。よろしくたのむよ」
ヒロトシは、ヤンから貰った女奴隷との契約を済ませた。そしてお礼を言い帰ろうとしたら、今度はロゼッタから話しかけられたのだった。
「このたびは本当にありがとうございました」
「いやそんなに気にしなくてもいいですよ。ヤンさんを救えたのはホント偶然にその場に居合わせただけだからさ」
「それで、父からはその奴隷を差し上げる事が出来ましたが、わたしからもお礼をしたいのですが……」
「いやいや、本当に気を遣わなくてもいいですよ」
「いえ!そういうわけにはいきません。父を助けてくれて本当に助かりました。父がいなくなったらこの店はつぶれていたと思うし、家族が路頭に迷ったかもしれません」
本来ならここまでしつこくお礼をすることはない。これは、相手がヒロトシだったからである。ここでヒロトシに気に入られれば何かと都合がいいからだ。
「どうしても譲るつもりはないみたいだね……」
ヒロトシも、ロゼッタの内心を見抜いていた。これは当然であり、国王であるローベルグに感謝状を与えられ貴族位を貰った頃から、貴族や権力者からお近づきの挨拶や懇意にしてほしいと袖の下を渡してくるからだ。
「当たり前でございます。ヒロトシ様とお近づきになれるのなら、この機会をのがしてたまるものですか」
「はぁあ……」
ロゼッタも必死である。ヒロトシはこういう事は絶対にしないので、貴族や商会の責任者は頭を悩ましていると情報が入ってきているのだ。
しかし、こういったお礼と言う形なら断り辛いので、ロゼッタとしてもこの機会を絶対に逃せないのである。
「そういう訳ですので、うちのカウンターにいる奴隷の一人を持って行ってください」
「いや……その子たちはいいよ」
「何でですか?この子達はここで上位に入る気品や礼儀を持った奴隷達です。ヒロトシ様の箔をつけるような……」
「ちょっと待った。俺は奴隷にそういう事を望んでいない。それにここにいる奴隷は元貴族様なんだろ?」
「まあ、その通りですが。しかし、ヒロトシ様こういう女性達を自分の物にしたいと思わないのですか?」
「俺は女性を物だとか所有物、そんな風には思えないよ。それにその人達は、本来自分の金で買って初めて価値が出てくるような特別奴隷だ。貰ったとしてもこの人達の価値を貶めてしまうだろ」
それを聞き、カウンターにいる女性達の顔には笑みがこぼれていた。噂に聞くヒロトシの気持ちが本当に嬉しかったのだ。この女性達は、主になる人間により高く購入してもらう為に努力をしていた。高額で購入してもらう事で、自分の価値を上げ奴隷の身分でも大事にしてもらう事が唯一の誇りとなっていたからだ。
「では、お礼に何を渡せば……」
「だったら、先ほど契約を結んだ人間と同じ町の人間の奴隷はいるかい?」
「たしか、一人いたと思いますが……本当にそのような奴隷でよろしいのですか」
「ああ!構わないよ」
そして、ロゼッタが連れてきた奴隷に、目を見開いて驚いていたのがヤンから貰って先ほど、ヒロトシと契約を済ませたばかりの女性だった。
「お、お義姉さん!」
「ララちゃん!何でここに⁉」
連れてこられてきたのは、ララの死んだ兄の嫁さんだった。つまり、ララの義理の姉となる人間だった。
「何で……ララちゃんがこんなとこに……あたしは、あなたの為に奴隷に落ちたというのに……」
ララの義姉は、その場に泣き崩れてしまったのだった。この二人は、ケルビンにまんまと騙されて奴隷に落とされてしまったのである。
「ご、ご、ご、ご主人様!い、いや!もう、止めてください」
「まあ、最初は怖いけどすぐになれるよ」
「い、いやああああああああ!」
「そんなに怖がらなくて大丈夫だから、まずはちゃんと話そう」
「い、いや!あああ!ぶ、ぶつかる!ひいい!」
「大丈夫だって!」
やはり、トラックの助手席に初めて乗った人間は、そのスピードにビックリして恐怖していた。この女性も例外ではなく、ボコボコ道でトラックが刎ねるたびに悲鳴を上げていた。アイリーン達も後ろのコンテナから、その様子を見て苦笑いを浮かべていた。
「気持ちは分かるわ……」
「わたし達もまだ慣れないものね」
「だけど、一番の新人がその席に座ってよね」
「うんうん……」
「いやぁ~~~~~~!ご主人様ぁもう許してください!」
「助手席はお前達にとってジェットコースターか……」
「訳の分からない事言わないでくださいぃ~~~~~~~!」
貰ったばかりの女奴隷は、両手で手すりにつかまりながら目をしっかりつむって身体を硬直させていた。
「ったく、しょうがないな……オーランの町の到着が遅くなるぞ」
「そ、それでもいいです!いいですから、もっとスピードを落としてください!後生ですから!スピードを落としてくれたらなんで致します。だからお願い!」
その時、トラックが石を踏んだようで、バインとはねた。
「いやああああああああああ!」
その女性の叫び声が、助手席でこだましたのだった。しょうがないのでヒロトシはトラックのスピードを半分にまで落として運転をした。
しかし、それでもトラックが刎ねるたび、その女性の悲鳴がでたのは言うまでもなかった。
「ふう……やっと着いたな」
「やっとじゃありません!なんでオーランの町に今日中に着くのですか?」
「いやいや、もう夕暮れじゃないか。もうすぐしたら城門が閉まるだろ?本来なら、もっと陽が高いうちに着いていたんだ」
「だけど!」
「君が怖がるからスピードを落としたんじゃないか。感謝されても怒られるいわれはないよ」
「だって……あんなスピードで走られたら誰だって」
「まあ、とにかく今日はオーランの町で一泊し、明日の朝ダンジョンに向かい用事を済ませて、ミトンの町に帰る事にする」
「「「「「分かりました」」」」」
ヒロトシはそのまま、トラックで貴族専門の出入り口を通り過ぎようとした。
「ちょっと、お待ちください!貴方はいったいどこの貴族様ですか?それにその乗り物は?」
城門前では、オーランの町に入ろうとしている冒険者や旅人が騒然としていた。
「な、何だあれは?」
「どこの貴族様なんだ?」
「あんな乗り物見たことねえな……」
城門を守っている兵士も、見たことのない乗り物に不安になりながら話しかけてきたのだ。しかし、堂々と貴族専用の出入り口を利用したので、言葉遣いに気をつけて話しかけてきたのだった。
「ああ。すいません。ミトンの町から来たヒロトシと言います」
「ヒ、ヒロトシ様だと!こ、これは失礼しました!申し訳ありませんが、身分証のほどを提示して頂けますか?」
城門を守っていた兵士は、ヒロトシと聞き直立不動となった。
それもそのはずで、ヒロトシの顔までは認識していなかったが、その名はオーランの町にまで聞こえており、再三にわたるスタンピードを抑えこみ、ミトンの町の闇ギルドを壊滅させた絶対的英雄がヒロトシだったのだ。
ギルドカードを提示し、そこには大豪商伯と記載されていて、兵士はその記載を確認すると敬礼をした。
「ご協力感謝いたします!どうぞそのままお入りください!」
「ああ!それとここから馬車で3日ほどの距離の街道沿いで、サーベルタイガーが5匹も出没したんだ。気をつけてくれ」
「何ですって!それは本当ですか?」
「うん。俺達が討伐はしておいたので、もう大丈夫だとは思うけど一応な」
「そうですか。情報提供ありがとうございます」
兵士達は慌ただしく連絡をして、一部隊が馬に乗り街道沿いを警護したのだった。
オーランの町は、ヒロトシがトラックで入場すると騒然となった。
「なんだ?あの乗り物は?馬がいなくても走るのか?」
「す、すげえええ!」
「あんな乗り物が開発されたのか?」
しかし、町の人間は遠巻きにみるだけで、誰も近寄ってくることはなかった。それもそのはずで、その乗り物は貴族専用の入り口から入って来たので、貴族に気軽に話しかける事が出来なかったのだ。
そして、ヒロトシはそのまま、オーランの町の奴隷商店に向かって貰った奴隷の契約を結ぶことにした。
「ここがヤンさんのオーラン支店だな」
「いらっしゃいませ!」
カウンターにいる受付奴隷達が挨拶をしてきた。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「ああ!この事契約を結んでほしいんだ。それとこれを」
「これは?」
「ヤンさんからの手紙だよ」
「主からの?」
受付奴隷は、主の手紙と聞きその手紙をすぐに、この支店の責任者を呼びに行った。すると、出てきたのは艶っぽい女性でスタイル抜群の女性だった。
その手紙には、道中ヒロトシ様に命を救ってもらいお世話になったと書いてあり、奴隷を一人差し上げたと書いてあり、契約の料金もタダにしてあげてほしいと書いてあった。
「ヒロトシ様!わたしの父のお命を助けていただき本当にありがとうございます。わたしはヤンの娘でロゼッタといいます」
「それは、ご丁寧にありがとうございます。俺はヒロトシと言います。ミトンの町で㋪美研を経営しています」
「ヒロトシ様の噂は、ここオーランの町まで聞こえています。本当に父を助けていただきありがとうございます」
「いえいえ、偶然通りかかっただけなのでお気になさらず。多分3日後にはオーランの町に着くと思いますよ」
「3日後?どういうことですか?手紙には今日の朝方に救われたと書いてありましたが?」
「俺の乗り物は馬車じゃないからね」
ロゼッタは、ヒロトシの説明に驚愕した。馬車で3日の距離をたった数時間で走る乗り物があるとは思いもしなかったからだ。
「そういえば、ヒロトシ様は王都まで短期間で往復したと聞いたことがあります。それはその乗り物でですか?」
「そんなことまで噂が広まっているのですか?」
「今やヒロトシ様の噂は色んな所で聞きますからね。まあとにかく、その奴隷との契約を済ませましょうか?」
「ああ。よろしくたのむよ」
ヒロトシは、ヤンから貰った女奴隷との契約を済ませた。そしてお礼を言い帰ろうとしたら、今度はロゼッタから話しかけられたのだった。
「このたびは本当にありがとうございました」
「いやそんなに気にしなくてもいいですよ。ヤンさんを救えたのはホント偶然にその場に居合わせただけだからさ」
「それで、父からはその奴隷を差し上げる事が出来ましたが、わたしからもお礼をしたいのですが……」
「いやいや、本当に気を遣わなくてもいいですよ」
「いえ!そういうわけにはいきません。父を助けてくれて本当に助かりました。父がいなくなったらこの店はつぶれていたと思うし、家族が路頭に迷ったかもしれません」
本来ならここまでしつこくお礼をすることはない。これは、相手がヒロトシだったからである。ここでヒロトシに気に入られれば何かと都合がいいからだ。
「どうしても譲るつもりはないみたいだね……」
ヒロトシも、ロゼッタの内心を見抜いていた。これは当然であり、国王であるローベルグに感謝状を与えられ貴族位を貰った頃から、貴族や権力者からお近づきの挨拶や懇意にしてほしいと袖の下を渡してくるからだ。
「当たり前でございます。ヒロトシ様とお近づきになれるのなら、この機会をのがしてたまるものですか」
「はぁあ……」
ロゼッタも必死である。ヒロトシはこういう事は絶対にしないので、貴族や商会の責任者は頭を悩ましていると情報が入ってきているのだ。
しかし、こういったお礼と言う形なら断り辛いので、ロゼッタとしてもこの機会を絶対に逃せないのである。
「そういう訳ですので、うちのカウンターにいる奴隷の一人を持って行ってください」
「いや……その子たちはいいよ」
「何でですか?この子達はここで上位に入る気品や礼儀を持った奴隷達です。ヒロトシ様の箔をつけるような……」
「ちょっと待った。俺は奴隷にそういう事を望んでいない。それにここにいる奴隷は元貴族様なんだろ?」
「まあ、その通りですが。しかし、ヒロトシ様こういう女性達を自分の物にしたいと思わないのですか?」
「俺は女性を物だとか所有物、そんな風には思えないよ。それにその人達は、本来自分の金で買って初めて価値が出てくるような特別奴隷だ。貰ったとしてもこの人達の価値を貶めてしまうだろ」
それを聞き、カウンターにいる女性達の顔には笑みがこぼれていた。噂に聞くヒロトシの気持ちが本当に嬉しかったのだ。この女性達は、主になる人間により高く購入してもらう為に努力をしていた。高額で購入してもらう事で、自分の価値を上げ奴隷の身分でも大事にしてもらう事が唯一の誇りとなっていたからだ。
「では、お礼に何を渡せば……」
「だったら、先ほど契約を結んだ人間と同じ町の人間の奴隷はいるかい?」
「たしか、一人いたと思いますが……本当にそのような奴隷でよろしいのですか」
「ああ!構わないよ」
そして、ロゼッタが連れてきた奴隷に、目を見開いて驚いていたのがヤンから貰って先ほど、ヒロトシと契約を済ませたばかりの女性だった。
「お、お義姉さん!」
「ララちゃん!何でここに⁉」
連れてこられてきたのは、ララの死んだ兄の嫁さんだった。つまり、ララの義理の姉となる人間だった。
「何で……ララちゃんがこんなとこに……あたしは、あなたの為に奴隷に落ちたというのに……」
ララの義姉は、その場に泣き崩れてしまったのだった。この二人は、ケルビンにまんまと騙されて奴隷に落とされてしまったのである。
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