上 下
75 / 347
第2章 研磨という技術

閑話② ある日のマインとアイ

しおりを挟む
 休日だったヒロトシが部屋で読書をしていた時、マインとアイの2人が部屋の扉をノックして入ってきた。 

「「ご主人様、部屋に入って大丈夫ですか?」」

「いいよ。何か用か?って……お前達までなんだ?」

「今日は私達で奉仕させてください」
「させてください!」

「何を言っている……まだ陽が高いしとにかく服を着ろよ」

「でも、最初の奉仕はわたし達でと思っていたのに、なんでカノンとやっちゃうのですか?」
「そうですよ!カノンに先を越されるなんて……」

「待て待て……そうはいっても、カノンは夜に主人に呼び出されて、何もせずに部屋に返されれば恥となると言っていたんだぞ?」

「「それはそうですが……」」
「なら、わたし達もこのまま帰るのは恥になるので奉仕させてください」

「なんでだよ。俺が呼びだしたわけじゃないだろ?それにお前達は無理にそんな事をする必要性はないんだよ?」

「「無理じゃありません!」」

「そんな怒鳴るなよ」

「「すいません……」」
「だけど、ご主人様に奉仕することは嫌々ではございません」
「そうです。わたし達、いえ……わたし達だけでなく、彼女達もご主人様からの寵愛は待ち望んでいます」

「だけど、今までそんな素振りすらなかったじゃないか」

「それは……ご主人様がまだ成人していなかったからです。ですが、カノンと一晩一緒に過ごしたとなれば、話は変わってきます」
「そうです!わたし達はオークに捕まってご主人様に救ってもらい、日々の生活でご主人様に感謝をしています。そのご恩を返す為にも奉仕させてください」

「それだよそれ!そんな感情で奉仕するから無理をするなと言っているんだよ」

「「えっ?」」

「もし、君達が奴隷という立場でないとするよな?」

「「わたし達はご主人様の奴隷です」」

「いや、仮にだよ。平民だったころはあっただろ?もし、俺がご飯を驕って上げたり、君達をオークから救ったとするよな?」

「「はい……」」

「そうしたら、君達は俺に奉仕をするのか?」

「「それは……」」

「しないだろ?お礼や感謝をするとは思うが、身体を差し出す事はしないはずだ。だから、そういう事は違う感情でするものだと思うよ」

「だけど、私達はご主人様に感謝を……」

「そうだな。感謝は日頃、二人にはお店をまわしてくれているじゃないか。アヤ達も、俺にご飯を作ってくれたり屋敷を管理してくれている。カノンたちは店の警護だろ?」

「それは仕事として……」

「だけど、その仕事をちゃんとしてくれていることに、俺は感謝しているんだよ。だから、そんな身体を捧げるような事はしなくてもいいんだよ」

「「そんな……」」

「そんなじゃないから早く服を着なさい!目のやり場に困るだろ?」

「でも!わたしだって、ご主人様に可愛がってほしいんだもん!」
「わたしだって!」

「何言ってんだよ。いつも可愛がっているだろう?」

「そうじゃなくて……」

 ヒロトシは、2人から言い寄られて困った顔をした。

「わたし達はご主人様の事を尊敬しています。だからこそ、身体を許してこうして自ら来ているのですよ?」
「そうですよ!わたしが言う事ではないですが、普通奴隷の奉仕は、主人が部屋に呼んだ時に逆らう事が出来ないから、渋々奉仕する事が殆どなんですよ」

「……」

「だけど、わたし達はご主人様に対して、嫌々奉仕をしている訳じゃありません」
「そうです。わたしもマインも、純粋にご主人様を愛しているからこうしてやってきているんです」

「俺を愛している?」

「「そうですよ」」
「ご主人様は、わたし達を家族として愛してくれていますが、わたし達はご主人様を、一人の男性として愛しています!」
「わたしもです」

 マインとアイは、ヒロトシの目を真っ直ぐみて告白したのだった。ヒロトシは女性から、こんなにも真っ直ぐに告白された事はなかった。
 そして、ヒロトシは黙って二人の気持ちを受け止めて、二人の手をもち抱き寄せたのだった。

 その日は、ヒロトシの部屋でマインとアイの二人と一緒に過ごすのだった。



 そして、その日の夕飯時にアヤが、ヒロトシの部屋に報せにやってきた。

「ご主人様。お食事の準備が出来ました」

「……」

「あれ?返事がないわね……寝ていらっしゃるのかしら?」

「ご主人様?部屋に入りますよ?」

 アヤは、何回も扉をノックしたが返事がない事に首を傾げながら部屋を開けると、そこにはヒロトシとマインとアイの二人が、ベットの上で気持ちよさそうに寝ていたのだった。
 アヤは部屋に入った瞬間、その後景を目の当たりにして悲鳴を上げたのだった。

「きゃああああ!」

 その声に、ヒロトシは飛び起きたのだった。マインとアイは腰が抜けて起き上がる事が出来ないようだ。

「な、なんだ?何があった?」

 ヒロトシの前には、アヤが両手で顔を隠し耳まで真っ赤になって、その場に座り込んでいた。

「ア、アヤ……」

「ご主人様の馬鹿ぁ……なんで昼間からそんな事を……」

「なんでって……2人がさそってくれたから」

「「「「何だ今の悲鳴は!」」」」
「アヤ、大丈夫か?何があった?」

「主!何が……あった……」

「「きゃあああああ!」」
「ガイン!こっちを見ないで!」
「男は入るなあぁ!」

 真っ裸でうつ伏せになっている二人は悲鳴を上げた。その悲鳴に驚きガインやブロッガン、セバスとミルデンスは部屋を慌てて出るのだった。
 アヤは、顔を真っ赤にして部屋を飛び出て行き、ヒロトシは急いで服を着て部屋を出ると、男達4人が部屋の外で待ち構えていた。

「旦那様。アヤの方は大丈夫です」

「そ、そうか……」

「もうすぐ晩御飯なので、まずはシャワーでも浴びてきてはいかがですか?」

「わ、わかった。セバスありがとな」

「いえいえ……アヤは少し純情すぎる娘なのでちょっと驚いただけです」

「そ、そっか」

「しかし、主も昼間からやるのう」
「奥手だと思っておったが、これで安心した」
「主君、私はそういう事は昼間からやるものではないかと……」
「ミルデンス。お主はちょっと考え方が固すぎる。主ぐらい甲斐性があり彼女等から好かれておるのだから別に構わん」

「あ~~~!お前達はうるさい。早く食堂にいけ」

 ヒロトシは、シャワーを浴びに行くのだが、3人はそれについて行ってしまった。セバスはその様子をみて、暖かな笑顔を浮かべていたのだった。

「セバス……ちょっと……」

「どうしたのですか?」

「入ってこないで……恥ずかしいから」

「ですが、どうかしたのですか?」

「カノンでも誰でもいいから、護衛メンバーの女性の方を……」

「わ、分かりました」

 セバスはすぐに、アイリーン達戦闘能力がある人間を呼びに行ったのだった。そして、部屋の中に入ったアイリーン達はマインとアイの脱力した姿に驚き、すぐに女性部屋に運んだのだった。
 アイリーン達はマイン達の説明に絶句したのだった。あまりにヒロトシの体力がありすぎる為、全然休ませてくれなくて、腰が抜けて動けなくなってしまったのだ。
 そして、彼女達は獣人族であり、性感帯の尻尾をモフられて何回も絶頂させらていた。その日は、マインとアイの二人は、立ち上がる事が出来ず、ずっと寝る事になってしまった。



 そして、お風呂から上がったヒロトシは女性達から、無理をさせ過ぎと怒られるのは別のお話である。合唱……



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界居酒屋さわこさん細腕繁盛記

鬼ノ城ミヤ(天邪鬼ミヤ)
ファンタジー
陸奥さわこ 3*才独身 父が経営していた居酒屋「酒話(さけばなし)」を父の他界とともに引き継いで5年 折からの不況の煽りによってこの度閉店することに…… 家賃の安い郊外へ引っ越したさわこだったが不動産屋の手違いで入居予定だったアパートはすでに入居済 途方にくれてバス停でたたずんでいたさわこは、そこで 「薬草を採りにきていた」 という不思議な女子に出会う。 意気投合したその女性の自宅へお邪魔することになったさわこだが…… このお話は ひょんなことから世界を行き来する能力をもつ酒好きな魔法使いバテアの家に居候することになったさわこが、バテアの魔法道具のお店の裏で居酒屋さわこさんを開店し、異世界でがんばるお話です

異世界往来の行商生活《キャラバンライフ》:工業品と芸術品でゆるく生きていくだけの話

RichardRoe(リチャード ロウ)
ファンタジー
【短いあらすじ】 ・異世界と現世を往来できる不思議な鏡を見つける ・伝統工芸品を高値で売りさばいて大儲けして、裕福な生活を送る ・ホームセンターは最強() 【作品紹介】 「異世界と日本を行き来できるって、もしかしてすごく儲かるんじゃないか……!?」  異世界に転移できる鏡を見つけてしまった灰根利人(はいね りひと)。転移した先は、剣と魔法のいわゆるナーロッパ世界。  二つの世界を見比べつつ、リヒトは日本の物を異世界に持ち込みつつ、日本にも異世界の映像などを持ち込むことで一儲けすることを企むのだった――。  可愛い亜人娘たちに囲まれる生活もいいが、コツコツ副業に精を出すのもいい。  農業、商業、手工芸、あれもこれもと手を出して進める。  そんな異世界まったりスローライフ物語。 ※参考:出てくる工芸品・織物等(予定含む)  江戸切子  津軽塗(唐塗梨子地)  九谷焼(赤色金襴手)  ベルナルド<エキュム・モルドレ>  シフォン生地のシュミーズ  ベルベット生地(天鵞絨)  カガミクリスタル<月虹>  西陣織(金襴生地・七宝柄)  マイセン<ノーブルブルー> ※参考:出てくる金儲けネタ(予定含む)  しいたけ栽培  Amazon Kindle出版  キャンドル作り  仮想通貨マイニング  歌ってみた  Vtuber稼業  イアリング作り  ライトセイバーバトル ※参考:出てきた魔道具(予定含む)  遠見の加護の首飾り  快眠の指輪  匂いくらましの指輪  深呼吸の指輪  柔軟の加護の耳飾り  暗視の加護の首飾り  鼻利きの加護の指輪  精神集中の指輪  記憶の指輪

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

処理中です...