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第1 章 自分だけの職業
28話 生産ギルドの謝罪
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半年後、㋪美研のホールは冒険者以外の人間達でごった返していた。手鏡が販売されたせいだ。貴族用の手鏡は既存の鏡台にもおけるようにしていたもので、その手鏡を見本に置いたのだ。
「すごいわ!これが本当に鏡?」
「今までの銅鏡って何なの?」
「顔にゆがみが無いわ!」
この貴族用の鏡は表面の装飾は、ブロッガンの渾身の気合が入ったものだった。値段も40万ゴールドと平民には手の届かない物だ。
しかし、直径10cmほどの装飾のない手鏡も平民用に販売したので、これほどまでに人が集まっていた。
こっちのお手軽に購入できる手鏡は、1000ゴールドとちょっと平民にしては厳しいモノだが、銅鏡の手鏡からしたら安く購入できるものだった。
この手鏡は、装飾もないので時間はかからない。ヒロトシは研磨道具でサンドペーパーが、ベルトコンベアのように高速回転する魔道具をだした。
これは、表面を真っ直ぐ削り取るもので、ブロッガンは取っ手の部分だけを製作すればよくなり、時間短縮が出来たのだ。
そして、手鏡が売れ切れたころに、そのうわさを聞き付けた生産ギルドのギルドマスター達が、血相を変えて㋪に乗り込んできたのだった。
「ヒロトシ殿に取り次いでいただきたい!」
「これはロドン様、どうかしたのですか?」
マインは、生産ギルドマスターに笑顔で対応した。
「どうしたもくそもない。㋪は売れる商品が無いのではなかったのか?なのに、この手鏡はどうしたのだ」
「そうよ!こんなの卑怯だわ!」
「そうです!こんな商品があれば!」
「どうしたのだ?と言われても、これは㋪が半年をかけて発明した物ですよ。やっぱり、私のご主人様は凄いお人です」
「ちょっと、マイン!私のじゃない!私達のでしょ?」
アイは、マインの言葉に頬を膨らませていた。
「そんな事はどうでもよい!ヒロトシ殿に訳を聞きたい!」
「わかりました。こちらへどうぞ。すぐに呼んでまいります」
マインは、生産ギルドの面々を客室に案内した。そして、ヒロトシに生産ギルドが来たことを伝えたのだった。
「鏡販売初日に来るとはご熱心だなあ……」
「そりゃそうでしょ?ご主人様、分かってて言ってますね」
「まあな」
「とにかく、生産ギルドの皆さん血相を変えていたので、対応をよろしくお願いします」
「わかったよ」
ヒロトシが、客室に入るとロドンがいきなり身を乗り出してきた。
「ヒロトシ殿!これはいったいどういう事なんだ?」
「どういう事って、何を言っているのですか?」
「惚けるのもいい加減にしてください!」
「えーっとあなたは?」
「あたしは生産ギルド副ギルドマスターのアリベスです。以後、お見知りおきを」
「俺はヒロトシです。どうぞよろしく」
「それよりこれはどういうことか。説明をしてくれ!」
「説明も何も、新しく商品を作っただけじゃないか。それとも貴方達の許可が無いと売り出す事が出来ないのか?」
「いや、そうではない!ヒロトシ殿は売り出す商品が無いと、半年前生産ギルドの加入を断ったじゃないか?」
「いやいや……俺は加入の意思はあると伝えたよね?それに、最後に決断を下したのは貴方のはずだ」
「それは!ヒロトシ殿が、俺が生産ギルドに加入した時のデメリットを……」
「だから、どうしたんだよ?あの時は本当に商品が無かっただろ?あのまま所属したらそう思ったからこそ、ロドンさんはああいう決断を下したんだろ?」
「しかし!こんな商品があるなら、わしはあんな決断はしなかった!」
「おいおい!その言い方はおかしいだろ?商品があれば利用価値は大きい?そうじゃないだろ?生産者は全員平等じゃないのか?ギルドは、利用価値のない人間には用はないと言っているのと一緒じゃないか?」
「そうではない!ギルドは、貴方を何とか所属させたいと言っていたじゃないか?」
「しかし、最後は自分の身と天秤にかけて、そこまで守れないと判断したじゃないか?そして、その後㋪で今日売り出した鏡ができたら、見事なまでの手のひら返ししただけじゃないか?」
「ぐっ……」
「俺は、何も間違った事は言っていないはずだぞ?それに、俺は最後に独り言で呟いたはずだよ。もっと、生産者に目を向けろってね」
「あれはそういう意味だったのか?」
「あんた達は、基本自分が良ければいいんだよ。ギルドに所属させて都合が良ければすり寄ってきて、都合が悪くなれば平気で切り捨てるんだ」
「そんな事は!ありません!ヒロトシ様の誤解です。あたし達は!」
「だったら、ブロッガンの事は何で見捨てた?」
「ブロッガン?」
「「「「「あっ……」」」」」
「ギルドマスターのロドンさん以外は、思い当たる節があるみたいだな?」
ロドン以外は、額から汗が噴き出していたようだった。
「おい!ブロッガンとは何者だ?いったい何があったというのだ?」
「ギルドマスター、忘れてしまったのですか?納品が遅れて貴族様がお怒りになり、その店の責任者が責任を取らされたでは……」
「あっ!」
「やっと、ギルドマスターも思いだしたようだな?なぜその時に、生産者を守ってやれなかったんだ?」
「しかし、あれは責任者が納品の期日に……」
「だから、責任者一人に責任を押し付けたのか?生産ギルドが紹介した弟子の一人がミスしたのに、自分達は関係ありませんって態度を貫いたんだ?」
「その事は……今は全然関係のない事だ!」
「ああ!そうだね……そう思うのなら、そうかもしれないね」
「そうだ!今はこうして売る商品が出来たのなら、生産ギルドに所属してほしい!」
「それは無理です!一度、貴方は俺を生産ギルドに入れないと決断を下したはずです」
「それは取り下げる!だから‼」
生産ギルドは必死だった。副ギルドマスター達は、ヒロトシの所属を願って土下座を繰り返した。
「何度も言うが、生産ギルドに俺が所属するのは諦めてくれ」
「なぜだ?」
「そりゃそうだろ?ブロッガンのことがあるからだよ」
「それは、㋪には関係のない事ではありませんか?」
「アリベスさん、関係ない事はありませんよ?その装飾を作ったのは、ブロッガンなんですからね」
「えっ……」
「ブロッガンは今は俺の家族なんですよ。あの鏡は、貴方達が見捨てたブロッガンの作ですよ。そのブロッガンが、生産ギルドの為に働く事はもうないということですよ」
「「「「「……」」」」」
「そ、そんな……」
「ブロッガン、入ってきて」
ブロッガンは、部屋の外で待たされていた。そして、この場に呼ばれて入ってきたのだった。
「いったい何を……」
「ロドンさん……いったい何をじゃないよ。ブロッガンに謝罪をしてください」
「「「「「なっ⁉」」」」」」
「何でワシが!奴隷に謝罪など……」
「ロドンさんに謝罪をしてくれと言っていません。生産ギルドとしてです」
「何だと……ギルドが奴隷に謝罪だと?そんな事が出来る訳が……」
「本当にいいのですか?俺は生産ギルドに、最後のチャンスを与えているのですよ?」
「最後のチャンス?それはギルドとして謝罪をすれば、ヒロトシ殿が生産ギルドに所属するというのか?」
「所属は無理だと言ったはずです。それは諦めてください」
「だったら、謝罪する意味が!」
「生産ギルドは、俺とのつながりがあればいいはずだ!なにも、所属こだわる必要はない!」
「何を言っておるのだ?」
「まさか、ヒロトシ様は……」
「どこのギルドも、副ギルドマスターの方が頭の回転がいいみたいだね」
「何を言っておるのだ?」
「ギルドマスター!ここはギルドとしてブロッガンに謝罪を!」
「アリベスさんはそう言っているが、どうするんだ?本当に最後のチャンスを不意にするのか?」
「本当に何を……」
「ギルドマスター、今はヒロトシ様の言う事を聞き、謝罪しないとあの鏡に携わる事が出来なくなります!」
「よくわかっているね。ギルドが謝罪しないとブロッガンは気を悪くした状態で働く事になる。ギルドが本当に謝罪をしたら、そのわだかまりも無くなるかもしれないという事だよ」
「しかし、ヒロトシ殿はギルドに所属しないのだろう?」
「そうだね?しかし、言葉の表面だけを捉えて決断を下すと痛い目にあったよな?そこをちゃんと考えて、行動した方が身のためって事だよ?」
「むぐぐぐぐ……」
ギルドマスターは、長い事悩み続けていた。ギルドが奴隷に謝罪など前代未聞だからだ。そのプライドが邪魔をしていたのだった。
「しょうがないなあ……」
「「「「「ギルドマスター!このままでは本当に……」」」」」
「す、すまなかった……わたし達生産ギルドは、ブロッガンさんを見捨てて一人に責任を負わせたことを謝罪する……この通りだ!」
「ブロッガン、どうだ?気が晴れたとは言わないが、少しはすっきりしたか?」
「はい!その謝罪を受け取らせていただきます」
ブロッガンは、瞳に涙を溜めながら笑顔となった。
「ギルドマスターさん、ありがとうな。これで俺の目的は、ブロッガンから店を乗っ取った人間だけになったよ」
「……どういうことなんだ?それより、ギルドとして謝罪はした。ギルドとの繋がりは出来るのであろうな?」
「ああ!それについては約束させてもらうよ。今後は、生産ギルドミトン支部に、定期的に鏡の部品を受注させてもらう事にするよ」
「それは本当ですか?」
「ああ。嘘は言わないよ。受注数や値段はこちらで発注するよ」
「えっ?」
「ああ。ギルドが損するような値段にはしないから安心しな。しかし、商品の検品はうるさいからな」
その後、ヒロトシは生産ギルドに、平民用の手鏡の部品の木工細工と直径10cmほどのプレートを依頼として出した。木工細工は1個250ゴールド、プレートは1枚300ゴールドを5セットで依頼した。1ヶ月50セットにした。
この事に慌てたのは、当然だがブロッガンの元お店だったのは言うまでもない。
「すごいわ!これが本当に鏡?」
「今までの銅鏡って何なの?」
「顔にゆがみが無いわ!」
この貴族用の鏡は表面の装飾は、ブロッガンの渾身の気合が入ったものだった。値段も40万ゴールドと平民には手の届かない物だ。
しかし、直径10cmほどの装飾のない手鏡も平民用に販売したので、これほどまでに人が集まっていた。
こっちのお手軽に購入できる手鏡は、1000ゴールドとちょっと平民にしては厳しいモノだが、銅鏡の手鏡からしたら安く購入できるものだった。
この手鏡は、装飾もないので時間はかからない。ヒロトシは研磨道具でサンドペーパーが、ベルトコンベアのように高速回転する魔道具をだした。
これは、表面を真っ直ぐ削り取るもので、ブロッガンは取っ手の部分だけを製作すればよくなり、時間短縮が出来たのだ。
そして、手鏡が売れ切れたころに、そのうわさを聞き付けた生産ギルドのギルドマスター達が、血相を変えて㋪に乗り込んできたのだった。
「ヒロトシ殿に取り次いでいただきたい!」
「これはロドン様、どうかしたのですか?」
マインは、生産ギルドマスターに笑顔で対応した。
「どうしたもくそもない。㋪は売れる商品が無いのではなかったのか?なのに、この手鏡はどうしたのだ」
「そうよ!こんなの卑怯だわ!」
「そうです!こんな商品があれば!」
「どうしたのだ?と言われても、これは㋪が半年をかけて発明した物ですよ。やっぱり、私のご主人様は凄いお人です」
「ちょっと、マイン!私のじゃない!私達のでしょ?」
アイは、マインの言葉に頬を膨らませていた。
「そんな事はどうでもよい!ヒロトシ殿に訳を聞きたい!」
「わかりました。こちらへどうぞ。すぐに呼んでまいります」
マインは、生産ギルドの面々を客室に案内した。そして、ヒロトシに生産ギルドが来たことを伝えたのだった。
「鏡販売初日に来るとはご熱心だなあ……」
「そりゃそうでしょ?ご主人様、分かってて言ってますね」
「まあな」
「とにかく、生産ギルドの皆さん血相を変えていたので、対応をよろしくお願いします」
「わかったよ」
ヒロトシが、客室に入るとロドンがいきなり身を乗り出してきた。
「ヒロトシ殿!これはいったいどういう事なんだ?」
「どういう事って、何を言っているのですか?」
「惚けるのもいい加減にしてください!」
「えーっとあなたは?」
「あたしは生産ギルド副ギルドマスターのアリベスです。以後、お見知りおきを」
「俺はヒロトシです。どうぞよろしく」
「それよりこれはどういうことか。説明をしてくれ!」
「説明も何も、新しく商品を作っただけじゃないか。それとも貴方達の許可が無いと売り出す事が出来ないのか?」
「いや、そうではない!ヒロトシ殿は売り出す商品が無いと、半年前生産ギルドの加入を断ったじゃないか?」
「いやいや……俺は加入の意思はあると伝えたよね?それに、最後に決断を下したのは貴方のはずだ」
「それは!ヒロトシ殿が、俺が生産ギルドに加入した時のデメリットを……」
「だから、どうしたんだよ?あの時は本当に商品が無かっただろ?あのまま所属したらそう思ったからこそ、ロドンさんはああいう決断を下したんだろ?」
「しかし!こんな商品があるなら、わしはあんな決断はしなかった!」
「おいおい!その言い方はおかしいだろ?商品があれば利用価値は大きい?そうじゃないだろ?生産者は全員平等じゃないのか?ギルドは、利用価値のない人間には用はないと言っているのと一緒じゃないか?」
「そうではない!ギルドは、貴方を何とか所属させたいと言っていたじゃないか?」
「しかし、最後は自分の身と天秤にかけて、そこまで守れないと判断したじゃないか?そして、その後㋪で今日売り出した鏡ができたら、見事なまでの手のひら返ししただけじゃないか?」
「ぐっ……」
「俺は、何も間違った事は言っていないはずだぞ?それに、俺は最後に独り言で呟いたはずだよ。もっと、生産者に目を向けろってね」
「あれはそういう意味だったのか?」
「あんた達は、基本自分が良ければいいんだよ。ギルドに所属させて都合が良ければすり寄ってきて、都合が悪くなれば平気で切り捨てるんだ」
「そんな事は!ありません!ヒロトシ様の誤解です。あたし達は!」
「だったら、ブロッガンの事は何で見捨てた?」
「ブロッガン?」
「「「「「あっ……」」」」」
「ギルドマスターのロドンさん以外は、思い当たる節があるみたいだな?」
ロドン以外は、額から汗が噴き出していたようだった。
「おい!ブロッガンとは何者だ?いったい何があったというのだ?」
「ギルドマスター、忘れてしまったのですか?納品が遅れて貴族様がお怒りになり、その店の責任者が責任を取らされたでは……」
「あっ!」
「やっと、ギルドマスターも思いだしたようだな?なぜその時に、生産者を守ってやれなかったんだ?」
「しかし、あれは責任者が納品の期日に……」
「だから、責任者一人に責任を押し付けたのか?生産ギルドが紹介した弟子の一人がミスしたのに、自分達は関係ありませんって態度を貫いたんだ?」
「その事は……今は全然関係のない事だ!」
「ああ!そうだね……そう思うのなら、そうかもしれないね」
「そうだ!今はこうして売る商品が出来たのなら、生産ギルドに所属してほしい!」
「それは無理です!一度、貴方は俺を生産ギルドに入れないと決断を下したはずです」
「それは取り下げる!だから‼」
生産ギルドは必死だった。副ギルドマスター達は、ヒロトシの所属を願って土下座を繰り返した。
「何度も言うが、生産ギルドに俺が所属するのは諦めてくれ」
「なぜだ?」
「そりゃそうだろ?ブロッガンのことがあるからだよ」
「それは、㋪には関係のない事ではありませんか?」
「アリベスさん、関係ない事はありませんよ?その装飾を作ったのは、ブロッガンなんですからね」
「えっ……」
「ブロッガンは今は俺の家族なんですよ。あの鏡は、貴方達が見捨てたブロッガンの作ですよ。そのブロッガンが、生産ギルドの為に働く事はもうないということですよ」
「「「「「……」」」」」
「そ、そんな……」
「ブロッガン、入ってきて」
ブロッガンは、部屋の外で待たされていた。そして、この場に呼ばれて入ってきたのだった。
「いったい何を……」
「ロドンさん……いったい何をじゃないよ。ブロッガンに謝罪をしてください」
「「「「「なっ⁉」」」」」」
「何でワシが!奴隷に謝罪など……」
「ロドンさんに謝罪をしてくれと言っていません。生産ギルドとしてです」
「何だと……ギルドが奴隷に謝罪だと?そんな事が出来る訳が……」
「本当にいいのですか?俺は生産ギルドに、最後のチャンスを与えているのですよ?」
「最後のチャンス?それはギルドとして謝罪をすれば、ヒロトシ殿が生産ギルドに所属するというのか?」
「所属は無理だと言ったはずです。それは諦めてください」
「だったら、謝罪する意味が!」
「生産ギルドは、俺とのつながりがあればいいはずだ!なにも、所属こだわる必要はない!」
「何を言っておるのだ?」
「まさか、ヒロトシ様は……」
「どこのギルドも、副ギルドマスターの方が頭の回転がいいみたいだね」
「何を言っておるのだ?」
「ギルドマスター!ここはギルドとしてブロッガンに謝罪を!」
「アリベスさんはそう言っているが、どうするんだ?本当に最後のチャンスを不意にするのか?」
「本当に何を……」
「ギルドマスター、今はヒロトシ様の言う事を聞き、謝罪しないとあの鏡に携わる事が出来なくなります!」
「よくわかっているね。ギルドが謝罪しないとブロッガンは気を悪くした状態で働く事になる。ギルドが本当に謝罪をしたら、そのわだかまりも無くなるかもしれないという事だよ」
「しかし、ヒロトシ殿はギルドに所属しないのだろう?」
「そうだね?しかし、言葉の表面だけを捉えて決断を下すと痛い目にあったよな?そこをちゃんと考えて、行動した方が身のためって事だよ?」
「むぐぐぐぐ……」
ギルドマスターは、長い事悩み続けていた。ギルドが奴隷に謝罪など前代未聞だからだ。そのプライドが邪魔をしていたのだった。
「しょうがないなあ……」
「「「「「ギルドマスター!このままでは本当に……」」」」」
「す、すまなかった……わたし達生産ギルドは、ブロッガンさんを見捨てて一人に責任を負わせたことを謝罪する……この通りだ!」
「ブロッガン、どうだ?気が晴れたとは言わないが、少しはすっきりしたか?」
「はい!その謝罪を受け取らせていただきます」
ブロッガンは、瞳に涙を溜めながら笑顔となった。
「ギルドマスターさん、ありがとうな。これで俺の目的は、ブロッガンから店を乗っ取った人間だけになったよ」
「……どういうことなんだ?それより、ギルドとして謝罪はした。ギルドとの繋がりは出来るのであろうな?」
「ああ!それについては約束させてもらうよ。今後は、生産ギルドミトン支部に、定期的に鏡の部品を受注させてもらう事にするよ」
「それは本当ですか?」
「ああ。嘘は言わないよ。受注数や値段はこちらで発注するよ」
「えっ?」
「ああ。ギルドが損するような値段にはしないから安心しな。しかし、商品の検品はうるさいからな」
その後、ヒロトシは生産ギルドに、平民用の手鏡の部品の木工細工と直径10cmほどのプレートを依頼として出した。木工細工は1個250ゴールド、プレートは1枚300ゴールドを5セットで依頼した。1ヶ月50セットにした。
この事に慌てたのは、当然だがブロッガンの元お店だったのは言うまでもない。
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