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第1 章 自分だけの職業
10話 規格外の能力
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半日かけて、バフをとりあえず設置型に使う分を20枚づつ作った。
「ご主人様。これで準備は整ったのですか?」
「いや、これは設置型のグラインダーに付けるバフだけだよ」
「設置型?」
「商品を、手で持てる大きさならこれで磨くけど、仮に手で持つ事が出来ない大きなものだった場合、フレーキという魔道具を使うんだ」
ヒロトシの研磨道具召還は、地球で使っていた機械は魔道具として召還されるのだ。エネルギーは電気の代わりに魔石を乾電池替わりにして起動できるのだ。
「そんな大きなものも磨けるのですか?」
「とりあえず、仕事をしてた時は創意工夫をして、その商品に合わせた道具を作って磨いていたから、磨けない物はなかったよ」
「すごいですね」
「だから明日は、もう少し小さめのバフを作る事にするよ」
「分かりました。明日こそはご主人様の役に立ちたいと思います」
「明日も、バフづくりをするつもりなのか?」
「ぜったい、ご主人様の役に立ちたいと思います」
「これは職人のやる仕事だからなあ……」
「じゃあ、ご主人様はわたし達はいらないとおっしゃるのですか?」
「そうじゃないよ。二人には二人のやれることがあるって言っているんだよ」
「「えっ?それってどういう事ですか?」」
「さっき冒険者のようなごろつきに絡まれただろ?その時君達はどうしてた?」
「何もできませんでした」
「本当にごめんなさい……」
「いやいや、謝る必要はないんだよ」
「しかし、本来ならご主人様を守らないといけない立場なのに……」
「いやいや、そんな事をしたら君達がナイフで刺されてしまうだろ。そんな事は絶対やめてくれよ」
「「……はい……」」
「でだ、出来ない事をやるより、出来る事をやってもらった方が役に立てると思わないか?絡まれた時、君達が対処するより、俺が対処した方が確実だっただろ?」
「それはそうですが……それじゃ、わたし達はいったい何を?」
「そんなの言わなくても分かるだろ?」
「「えっ?」」
「家を引き渡してもらったら、店舗での受付業務だよ」
「「わたし達みたいな奴隷が、本当に受付嬢を⁉」」
この世界で受付嬢は、女性がやる仕事のなかでも人気の職業だった。その中でもギルドの受付嬢は、とんでもない倍率である。それほどまでに人気の職業であり、奴隷の身分でなれるような業務ではなかったのだ。
「そんな、わたし達は家の掃除や厨房で裏方の仕事があっています」
「そうですよ……奴隷のわたし達が受付だなんて……」
「そうかなあ?マインもアイもそれだけ可愛いんだから、受付業務はあっているとおもうよ。商人ギルドの受付嬢を見ただろ?」
「「全然違うじゃないですか!」」
「たしかに、マインとアイの方が可愛いから、全然違うと言ったらそうかもな」
「違いますよ!ギルドの受付嬢の方が人気だと言っているのです」
「そうですよ。受付嬢の方がスタイルぜんぜんいいじゃないですか?」
「その辺は大丈夫だよ」
「どこがですか!」
「それは君達が、今まで満足に食べてこなかっただけだよ。確かに、今は女性特有の丸みは無く痩せすぎなんだよ」
「えっ……」
「それに、君達はそのあたりのノウハウがないだけなんだよ」
「ノウハウ?」
「今は自分が奴隷と思い込んでいるから、受付嬢としての自信がないだけだよ。見た目の良さだけで受付嬢は出来ないって事だよ。あの人達は、日々努力をして知識や経験を積んでいるんだよ」
「それは……」
「マインもアイも、その辺は間が未知の領域だろ?だから、不安になるんだ」
「それじゃ、屋敷の事はどうするのですか?」
「新たに人材を揃える事にするよ。屋敷を管理のエキスパートがいるって教えてくれただろ?」
「それはそうですが……」
「俺は、君たち二人の知識量や人格の明るさをみて、受付業務に適していると判断したつもりだよ」
ヒロトシは、個人事業をしていた時の経験で、二人を受付に適していると思っていた。それに、二人は自分の奴隷なので、自分の規格外の能力を話す事はないと思っていたので安心もしていた。
「わかりました。ご主人様の期待に応えるように頑張りたいと思います」
「そんな緊張しなくてもいいよ。気軽に気軽に」
「「気軽になんかなれません!」」
「大丈夫だって!二人はすぐに人気が出ると思うよ」
「「ご主人様は変なとこで強引なんだから……」」
そうして、一週間が経ち商人ギルドから家の受け渡しをされた。
「ここからが本当にスタートだな!」
「「はい!」」
この一週間、ヒロトシはマインとアイに商品の説明をして準備は整っていた。商品と言っても何かを製作して売る事ではないと、二人は聞いて驚いたのだ。
その仕事内容は、冒険者の武器を預かり、その武器を磨く事で生計を建てる事だった。マインとアイは銅鏡を磨くような、お小遣い稼ぎのようなものを想像していたので、驚きを隠せなかった。
この世界の冒険者が使っている武器は、鋳型で型を取り、インゴットを溶かし型を取るようなもので、斬るというより殴ると言った方がいい。
ダガーやナイフのようなものは砥石で砥ぐので切れ味がいいのだが、ロングソードやブロードソードのような大きな武器は、力任せに叩き斬っている感じである。
切れ味は錬金術師がつくるポーションで、シャープネスオイルという物がある。それを塗るとナイフのように切れ味が増すオイルがあるのだ。
しかし、その効果は20分と短いが重宝していた。後は、ダンジョンのボスを討伐した時、宝箱から出るマジカルアイテムである。
その武器は+1ソードでも最高品質のアイテムより2倍の攻撃力を持ち、切れ味も凄まじいものだった。その武器で+5ソードとなれば、国宝級よりさらに上とされるぐらい価値がるアイテムだった。
そして、驚くべきことにヒロトシの能力とは、研磨をすることで一時的に武器に+の効果を付与することにあったのだ。
ダンジョンからしか取れない武器の能力を付与することが出来たら、当然冒険者達はこぞって依頼してくるはずで、マインとアイはヒロトシの能力に驚いたのだった。
家を手に入れて、ヒロトシはまず家の敷地内に、このミトンの町にきた時に野営の時に使っていた結界石を使い防犯を徹底した。これで、ヒロトシのレベルより下の、悪意ある人間は入れなくなったのだ。
そして、家の管理をする人間は、執事やメイド経験のある奴隷を購入した方がいいと、マインとアイに強く勧められた。ヒロトシの技術や魔法全属性が使えるというとんでもないことを、外にもらさない処置だった。
「旦那様。これからよろしくお願いします」
「セバス、これからよろしく頼むな」
執事の経験があった奴隷は、セバスという名前だった。ヒロトシはやっぱりそうだよなと一人納得していた。
そして、厨房や屋敷の掃除などしてくれるメイドも、屋敷の大きさと店舗と工場から10人と数多くのメイドを購入した。
「ご主人様、よろしくお願いします」
「「「「「よろしくお願いします」」」」」
メイド長に任命したアヤが挨拶をすると、残り9人も整列して頭を下げた。
「みんな、これからよろしく頼みますね」
「「「「「はい!」」」」」
セバスたちが驚いたのは、ヒロトシが屋敷の部屋を個室に使い、セバスたちに一人一部屋づつ与えようとしたことだ。
「旦那様!それはいけません。わたし達に個室など」
「だけど、部屋は必要だろ?」
「もし許されるのなら、工場の2階にある部屋で十分でございます」
「いやいや……こんなに部屋が余っているじゃないか。君達で使っても何の問題はないだろ?」
「しかし、ここは線を引いた方が!」
「何だよ。その線って、君達は奴隷という立場だが、これから一緒に生活をする仲間だぞ?当然、ご飯も一緒に食べるし、お風呂だって入る事になる家族なんだよ?」
「はぁあ?旦那様は何を言っているのですか?ご飯を一緒?わたし達にお風呂?そんな事をするつもりだったのですか?」
「当たり前だ!これは決定事項だよ」
「そんな待遇聞いたことありませんよ!」
「聞いたことが無いのなら、俺が初めてにやった事でいいじゃないか?何も、他と一緒にすることはないだろ?」
「それじゃ、奴隷という立場が……」
「それじゃ、その立場は忘れてくれたらいいよ。俺は自分だけがいい思いをして、セバス達に辛い思いなどさせたくないんだからな」
「そ、それでは……旦那様の立場が……」
「そんなに言うのなら、この大部屋をみんなで使え。工場で寝泊まりなんて俺は絶対認めないからな。それとセバスだけは個室だからな」
「なっ!何を言うのですか?」
「当たり前だろ。男性はセバスだけじゃないか」
「私が、旦那様の物に手を出すと思ってらっしゃるのですか?そんなこと!」
「違うよ。セバスは男性アヤたちは女性だ。俺の所有物じゃなく人間だと言っているんだよ」
「あっ……」
「「「「「えっ……」」」」」
「いいか?俺はこういう人間だ。君達にも人権があると考えている。だから、セバスにもプライベートは必要と思ったんだ」
「あ、ありがとうございます……しかし、個室など……私達には」
「そうですよ。ご主人様の気持ちは本当に嬉しいですが、私達に個室など必要ありません」
アヤたちも、ヒロトシの提案を断ったのだった。ヒロトシもセバス達の説明に折れる事にした。結局は、大部屋に仕切りを置く事で、セバス達全員で大部屋を使う事になった。
「もうわかったよ……本当にそれでいいんだな?」
「「「「「はい!」」」」」」
「この部屋は、絨毯が敷いてあって暖かいですし、贅沢な部屋です」
「はっ?何を言っているんだよ。まさか雑魚寝しようとしているのか?」
そう言って、ヒロトシは大部屋に13台のベットを並べたのだ。これには全員が目を見開き驚いた。そして、セバスの場所との仕切りの代わりにタンスを並べたのだ。
「こ、これは一体……」
「今日から寝る所だよ。雑魚寝って体が痛くなって、働くのに支障がでるから駄目に決まっているじゃないか」
「ですが、これらの家具は平民より豪華なものじゃ……」
「マインとアイもここで寝ろよ」
「ですが、こんな立派なベットをいつの間に購入していたのですか?」
「マインとアイには受付をお願いするにあたって、ギルド受付嬢に協力してもらったことがあっただろ?」
「あっ……その時にご主人様一人で買い物を?」
マインとアイに受付をすることで、ギルド受付嬢に化粧の仕方を教えてほしいと、ヒロトシはお願いしていたのだった。
ヒロトシには、その辺は教える事は出来なかったので、ギルドにお願いしたのだった。そして、マインとアイの二人は、受付嬢から流行りの化粧を教えてもらっていたのだった。
そして、女性部屋には5台の化粧台も設置したのだった。
「マインとアイは、アヤ達にも化粧を教えてやって」
「ご主人様。わたし達は受付をやる訳では……」
「いやいや。アヤたちも化粧には興味あるでしょ?それに、休日には外出することもあるんだしさ」
「はあ?休日ってそんなの奴隷にある訳……」
「休日は絶対必要だ!過労死したらどうするつもりだよ!」
「ですが……」
「うちの店も、風・火・水・闇・光・土の日はしっかり働き、聖の日(地球では日曜日)はしっかり休む。これは厳守だ」
「しかし、旦那様……家の管理で休日など……それに、食事の準備もあるのですよ?」
「なるほど……じゃあ交代制で、週一で二人一組で休んでくれ」
ヒロトシの提案で、セバス達は思考が停止してしまったのだった。ヒロトシからしたら、地球で親会社に無理ばかり言われていた為、休日を特に重視していただけのことだった。
「ご主人様。これで準備は整ったのですか?」
「いや、これは設置型のグラインダーに付けるバフだけだよ」
「設置型?」
「商品を、手で持てる大きさならこれで磨くけど、仮に手で持つ事が出来ない大きなものだった場合、フレーキという魔道具を使うんだ」
ヒロトシの研磨道具召還は、地球で使っていた機械は魔道具として召還されるのだ。エネルギーは電気の代わりに魔石を乾電池替わりにして起動できるのだ。
「そんな大きなものも磨けるのですか?」
「とりあえず、仕事をしてた時は創意工夫をして、その商品に合わせた道具を作って磨いていたから、磨けない物はなかったよ」
「すごいですね」
「だから明日は、もう少し小さめのバフを作る事にするよ」
「分かりました。明日こそはご主人様の役に立ちたいと思います」
「明日も、バフづくりをするつもりなのか?」
「ぜったい、ご主人様の役に立ちたいと思います」
「これは職人のやる仕事だからなあ……」
「じゃあ、ご主人様はわたし達はいらないとおっしゃるのですか?」
「そうじゃないよ。二人には二人のやれることがあるって言っているんだよ」
「「えっ?それってどういう事ですか?」」
「さっき冒険者のようなごろつきに絡まれただろ?その時君達はどうしてた?」
「何もできませんでした」
「本当にごめんなさい……」
「いやいや、謝る必要はないんだよ」
「しかし、本来ならご主人様を守らないといけない立場なのに……」
「いやいや、そんな事をしたら君達がナイフで刺されてしまうだろ。そんな事は絶対やめてくれよ」
「「……はい……」」
「でだ、出来ない事をやるより、出来る事をやってもらった方が役に立てると思わないか?絡まれた時、君達が対処するより、俺が対処した方が確実だっただろ?」
「それはそうですが……それじゃ、わたし達はいったい何を?」
「そんなの言わなくても分かるだろ?」
「「えっ?」」
「家を引き渡してもらったら、店舗での受付業務だよ」
「「わたし達みたいな奴隷が、本当に受付嬢を⁉」」
この世界で受付嬢は、女性がやる仕事のなかでも人気の職業だった。その中でもギルドの受付嬢は、とんでもない倍率である。それほどまでに人気の職業であり、奴隷の身分でなれるような業務ではなかったのだ。
「そんな、わたし達は家の掃除や厨房で裏方の仕事があっています」
「そうですよ……奴隷のわたし達が受付だなんて……」
「そうかなあ?マインもアイもそれだけ可愛いんだから、受付業務はあっているとおもうよ。商人ギルドの受付嬢を見ただろ?」
「「全然違うじゃないですか!」」
「たしかに、マインとアイの方が可愛いから、全然違うと言ったらそうかもな」
「違いますよ!ギルドの受付嬢の方が人気だと言っているのです」
「そうですよ。受付嬢の方がスタイルぜんぜんいいじゃないですか?」
「その辺は大丈夫だよ」
「どこがですか!」
「それは君達が、今まで満足に食べてこなかっただけだよ。確かに、今は女性特有の丸みは無く痩せすぎなんだよ」
「えっ……」
「それに、君達はそのあたりのノウハウがないだけなんだよ」
「ノウハウ?」
「今は自分が奴隷と思い込んでいるから、受付嬢としての自信がないだけだよ。見た目の良さだけで受付嬢は出来ないって事だよ。あの人達は、日々努力をして知識や経験を積んでいるんだよ」
「それは……」
「マインもアイも、その辺は間が未知の領域だろ?だから、不安になるんだ」
「それじゃ、屋敷の事はどうするのですか?」
「新たに人材を揃える事にするよ。屋敷を管理のエキスパートがいるって教えてくれただろ?」
「それはそうですが……」
「俺は、君たち二人の知識量や人格の明るさをみて、受付業務に適していると判断したつもりだよ」
ヒロトシは、個人事業をしていた時の経験で、二人を受付に適していると思っていた。それに、二人は自分の奴隷なので、自分の規格外の能力を話す事はないと思っていたので安心もしていた。
「わかりました。ご主人様の期待に応えるように頑張りたいと思います」
「そんな緊張しなくてもいいよ。気軽に気軽に」
「「気軽になんかなれません!」」
「大丈夫だって!二人はすぐに人気が出ると思うよ」
「「ご主人様は変なとこで強引なんだから……」」
そうして、一週間が経ち商人ギルドから家の受け渡しをされた。
「ここからが本当にスタートだな!」
「「はい!」」
この一週間、ヒロトシはマインとアイに商品の説明をして準備は整っていた。商品と言っても何かを製作して売る事ではないと、二人は聞いて驚いたのだ。
その仕事内容は、冒険者の武器を預かり、その武器を磨く事で生計を建てる事だった。マインとアイは銅鏡を磨くような、お小遣い稼ぎのようなものを想像していたので、驚きを隠せなかった。
この世界の冒険者が使っている武器は、鋳型で型を取り、インゴットを溶かし型を取るようなもので、斬るというより殴ると言った方がいい。
ダガーやナイフのようなものは砥石で砥ぐので切れ味がいいのだが、ロングソードやブロードソードのような大きな武器は、力任せに叩き斬っている感じである。
切れ味は錬金術師がつくるポーションで、シャープネスオイルという物がある。それを塗るとナイフのように切れ味が増すオイルがあるのだ。
しかし、その効果は20分と短いが重宝していた。後は、ダンジョンのボスを討伐した時、宝箱から出るマジカルアイテムである。
その武器は+1ソードでも最高品質のアイテムより2倍の攻撃力を持ち、切れ味も凄まじいものだった。その武器で+5ソードとなれば、国宝級よりさらに上とされるぐらい価値がるアイテムだった。
そして、驚くべきことにヒロトシの能力とは、研磨をすることで一時的に武器に+の効果を付与することにあったのだ。
ダンジョンからしか取れない武器の能力を付与することが出来たら、当然冒険者達はこぞって依頼してくるはずで、マインとアイはヒロトシの能力に驚いたのだった。
家を手に入れて、ヒロトシはまず家の敷地内に、このミトンの町にきた時に野営の時に使っていた結界石を使い防犯を徹底した。これで、ヒロトシのレベルより下の、悪意ある人間は入れなくなったのだ。
そして、家の管理をする人間は、執事やメイド経験のある奴隷を購入した方がいいと、マインとアイに強く勧められた。ヒロトシの技術や魔法全属性が使えるというとんでもないことを、外にもらさない処置だった。
「旦那様。これからよろしくお願いします」
「セバス、これからよろしく頼むな」
執事の経験があった奴隷は、セバスという名前だった。ヒロトシはやっぱりそうだよなと一人納得していた。
そして、厨房や屋敷の掃除などしてくれるメイドも、屋敷の大きさと店舗と工場から10人と数多くのメイドを購入した。
「ご主人様、よろしくお願いします」
「「「「「よろしくお願いします」」」」」
メイド長に任命したアヤが挨拶をすると、残り9人も整列して頭を下げた。
「みんな、これからよろしく頼みますね」
「「「「「はい!」」」」」
セバスたちが驚いたのは、ヒロトシが屋敷の部屋を個室に使い、セバスたちに一人一部屋づつ与えようとしたことだ。
「旦那様!それはいけません。わたし達に個室など」
「だけど、部屋は必要だろ?」
「もし許されるのなら、工場の2階にある部屋で十分でございます」
「いやいや……こんなに部屋が余っているじゃないか。君達で使っても何の問題はないだろ?」
「しかし、ここは線を引いた方が!」
「何だよ。その線って、君達は奴隷という立場だが、これから一緒に生活をする仲間だぞ?当然、ご飯も一緒に食べるし、お風呂だって入る事になる家族なんだよ?」
「はぁあ?旦那様は何を言っているのですか?ご飯を一緒?わたし達にお風呂?そんな事をするつもりだったのですか?」
「当たり前だ!これは決定事項だよ」
「そんな待遇聞いたことありませんよ!」
「聞いたことが無いのなら、俺が初めてにやった事でいいじゃないか?何も、他と一緒にすることはないだろ?」
「それじゃ、奴隷という立場が……」
「それじゃ、その立場は忘れてくれたらいいよ。俺は自分だけがいい思いをして、セバス達に辛い思いなどさせたくないんだからな」
「そ、それでは……旦那様の立場が……」
「そんなに言うのなら、この大部屋をみんなで使え。工場で寝泊まりなんて俺は絶対認めないからな。それとセバスだけは個室だからな」
「なっ!何を言うのですか?」
「当たり前だろ。男性はセバスだけじゃないか」
「私が、旦那様の物に手を出すと思ってらっしゃるのですか?そんなこと!」
「違うよ。セバスは男性アヤたちは女性だ。俺の所有物じゃなく人間だと言っているんだよ」
「あっ……」
「「「「「えっ……」」」」」
「いいか?俺はこういう人間だ。君達にも人権があると考えている。だから、セバスにもプライベートは必要と思ったんだ」
「あ、ありがとうございます……しかし、個室など……私達には」
「そうですよ。ご主人様の気持ちは本当に嬉しいですが、私達に個室など必要ありません」
アヤたちも、ヒロトシの提案を断ったのだった。ヒロトシもセバス達の説明に折れる事にした。結局は、大部屋に仕切りを置く事で、セバス達全員で大部屋を使う事になった。
「もうわかったよ……本当にそれでいいんだな?」
「「「「「はい!」」」」」」
「この部屋は、絨毯が敷いてあって暖かいですし、贅沢な部屋です」
「はっ?何を言っているんだよ。まさか雑魚寝しようとしているのか?」
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「こ、これは一体……」
「今日から寝る所だよ。雑魚寝って体が痛くなって、働くのに支障がでるから駄目に決まっているじゃないか」
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「ですが、こんな立派なベットをいつの間に購入していたのですか?」
「マインとアイには受付をお願いするにあたって、ギルド受付嬢に協力してもらったことがあっただろ?」
「あっ……その時にご主人様一人で買い物を?」
マインとアイに受付をすることで、ギルド受付嬢に化粧の仕方を教えてほしいと、ヒロトシはお願いしていたのだった。
ヒロトシには、その辺は教える事は出来なかったので、ギルドにお願いしたのだった。そして、マインとアイの二人は、受付嬢から流行りの化粧を教えてもらっていたのだった。
そして、女性部屋には5台の化粧台も設置したのだった。
「マインとアイは、アヤ達にも化粧を教えてやって」
「ご主人様。わたし達は受付をやる訳では……」
「いやいや。アヤたちも化粧には興味あるでしょ?それに、休日には外出することもあるんだしさ」
「はあ?休日ってそんなの奴隷にある訳……」
「休日は絶対必要だ!過労死したらどうするつもりだよ!」
「ですが……」
「うちの店も、風・火・水・闇・光・土の日はしっかり働き、聖の日(地球では日曜日)はしっかり休む。これは厳守だ」
「しかし、旦那様……家の管理で休日など……それに、食事の準備もあるのですよ?」
「なるほど……じゃあ交代制で、週一で二人一組で休んでくれ」
ヒロトシの提案で、セバス達は思考が停止してしまったのだった。ヒロトシからしたら、地球で親会社に無理ばかり言われていた為、休日を特に重視していただけのことだった。
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