役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第8章 人類の厄災

47話 デスドラゴン

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 ダガリスは、シオンに攻撃を繰り出しその全てを受け止められ、カノン達はここぞとばかり後方に回り込み、アタッカーとしての役割をはたしていた。

『き、貴様ぁ!いったい私に何をした!グハッ』

 ダガリスは自分の意思に反して、シオンに攻撃を続けながら、後方で腕を組むマルクに声をあげた。

「死んでいくお前に必要なのかい?」

『き、貴様ぁ!私がお前達の攻撃が効くとでも思っているのかぁ!』

 実際のところ、ダガリスはシオンに攻撃を防がれていたが、カノン達からの攻撃を受けたところからすぐさま回復していたからだ。
 つまり、ダガリスの回復能力はカノン達の攻撃を上回っていたのだ。

「じゃあ、これならどうかな?」

 マルクは、神眼でダガリスを鑑定する。

「ほぅ、お前は闇属性のドラゴンなんだね」

『なっ!私のステータスを見れるのか?』

 マルクは、ダガリスを闇属性のドラゴンと鑑定して、カノン達の武器にライトウェポンの魔法を付与する。

『ギャアアアアアアア!』

 ライトウェポンを付与されたカノン達の武器のダメージは、ダガリスに今までの倍のダメージを叩き出す。
 ダガリスは、あまりのダメージに絶叫し、ひとまずこの場を離れようとする。しかし、シオンが逃がすはずがなかった。

挑発ヘイト

『貴様ぁ!な、なぜだ!なぜ、レジスト出来ない』

「しょうがないな。なぜ、レジスト出来ないか種明かししてあげるよ」

『ぐっ!』

「さっき、僕と組んだ時あっただろ?」

『あの時に何をしたぁ?』

強弱体グレートウィークをかけさせてもらった」

 ウィークの魔法は、闇属性魔法で抵抗力を30%下げる魔法だ。しかも、マルクの唱えたウィークは最上位のグレートウィークだ。このグレートウィークはなんと、その人物の抵抗力を80%も下げるとんでもない効力があるのだ。

『いつ、私にかけたのだ?』

「僕の魔法は無詠唱だからね。声に出さなくてもいいのさ」

『ぐっ!シ、シラーぁ!何見ているんだ!』

『はっ?なぜ私が主に手を貸さねばならんのだ?』

『この状況でなに言っている!このままでは大魔王様の怒りを!』

『ハハハハ!何を馬鹿な事を。私の役目は主の付き添いだ』

『なっ!』

『それに大魔王様はお喜びになっておられると思うぞ』

『何を馬鹿な事を!』

『デスドラゴンの主が人間下等生物に殺されかけているんだ。こんな面白いものがあると思うか』

『ぐぬぬぬ・・・・・・』

「どうやら仲間に見捨てられたみたいね」

『おーっと、タンカーの女。訂正してくれ。私がダガリスと仲間だなんて嘘でも言わないでくれ』

 シオンは、シラーの言葉に魔王軍に仲間という概念は皆無だと思い知るのだった。

『ダガリスひとつ言っておく。お前が殺されてたら大魔王様に更に面白いものがみせれそうだ。早く死んでくれても一向にかまわんから、死ぬなら早く死んでくれよ』

『き、貴様ぁ!』

 ダガリスは、シラーの言葉に激昂し本来の姿を現した。
 その姿は、信じられないほど大きく、漆黒の竜燐に真っ赤な目がギョロリと見開き大きな羽根を広げたドラゴンだ。

『ギャアオオオオオオオオ!』

 ダガリスは咆哮あげ、タンカーであるシオンにブレスを叩き出す。

「こんなもの!」

『私のブレスは只の炎ブレスではないぞ』

「傷だらけのあなたが吐くブレスなんて脅威ではないわ」

 確かにドラゴンブレスに限らず、ブレスを叩き出す魔物のブレスダメージは、その魔物のヒットポイントがそのままダメージとなる。つまり、ダガリスのヒットポイントが一万あれば、ブレスダメージは一万というわけだ。
 ドラゴン退治する場合、このブレスを当然最初に吐き出された場合、並みの冒険者はブレスの一撃で全滅もありうるのだ。

『死ぬがよい!デスブレス』

 ダガリスのブレスは、漆黒のブレスで即死ブレスだった。

「「「「シオン!」」」」

 デスブレスと聞いて、カノン達は顔を青くして叫んだ。ダガリスはもう遅いと、その大きく開いた口角をあげた。

「だから言ったじゃない。あなたのブレスは脅威ではないと」

『な、なぜだ?なぜ私のブレスが効かない!』

 漆黒のブレスがかき消されると、そこには即死ブレスに耐えたシオンが無傷で立っていた。

「このイージスの盾のおかげよ」

 イージスの盾は、状態異常はもちろん効かない。その上、光属性の抵抗値が上がり闇属性の攻撃の抵抗力が高まるのだ。

「カノン、オウカ、システィナ、このままこの蜥蜴を倒すわよ」

「「「了解!」」」

『ぐぬぬぬ!まさかここまで強いとは』

「おい!デスドラゴン。僕を忘れるなよ。ライトアロー!」

 マルクは、ダガリスに光属性魔法の光の矢ライトアローを撃ち込む。システィナはマルチプルアロー、オウカは破砕拳、カノンは千連突きとラッシュをかける。
 ダガリスは、シオンのヘイトになすすべもなく、その巨体を支えきれず倒れてしまった。

「ふぅ。最弱のボスキャラだったわね」

 シオンの感想だった。
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