役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依

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第8章 人類の厄災

46話 アタッカーが焦る

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 いきなりの攻撃でマルクのどてっ腹にダガリスの拳がめり込む。

「グハッ!」

『いいのが入ったな』

 闘いを見学するシラーはニヤリと笑う。
クククッ。この調子だと、大魔王スルト様にとても面白いものがみせれそうだ。

「マルク!大丈夫?えっ?」

 ダガリスの攻撃で後方にふきとんだマルクに、クレアが駆け寄る。だがしかし、その場にはマルクの姿はなかった。そして、すぐさまシオンが、ダガリスにヘイトをかける。

『クハハハハハ!ガウディが手も足も出なかった挑発がそれか!』

「あなたの相手はあたしがするわ」

『クハハハハハ!私があのガウディいぬのように挑発に乗るわけないだろうが!』

 ダガリスはそう言って、シオンのヘイトを簡単に抵抗レジストし、オウカやカノンに攻撃を仕掛ける。

「あたしのヘイトを!」

「「な、なっ!」」

 暁月の明星のパーティー連携でこんな事は今までなかった。レベル低かった頃はたびたびあったが、高レベルになってからはなく、シオンのヘイトのおかげでオウカやカノンは、安心してアタッカーとして攻撃できていた。

『まずはお前達から死ぬがよい』

「オウカ、横に跳べ」

 オウカはカノンの言葉に頷き、オウカとカノンは違う方向に跳ぶ。それでも、ダガリスは直角に跳びオウカに狙いをさだめて拳をくりだす。

「なっ!」

 ダガリスは拳をオウカに突き出す。オウカはダガリスの拳このままでは避ける事は出来ず、大ダメージを受けるだろうと容易に想像ができた。

『死ね!』

 ダガリスの拳がオウカにめり込む瞬間、オウカとダガリスの間に人影が割り込み、ダガリスの拳を受け止める。

「ふぅ。パンチを受け止めるのは久しぶりだな」

『き、貴様。最初に片付けたはず・・・・・それに魔法職が、私の拳を受けて無事に済むとは』

「僕がお前のパンチで殺られる訳ないだろ」

 マルクは、ダガリスの拳を握りしめる。ダガリスは魔法職の力じゃないと顔を歪めた。

『は、離せ!』

 マルクはダガリスに怒りをおぼえていた。自分ならまだしも、オウカがこの拳を受けたら致命傷になりかねないからだ。その怒りが、ダガリスの拳を握りしめる。

『ぐっ・・・・・・は、離せ!』

「どうした?そんなんじゃ死聖獣の名が泣くぞ?」

『だ、黙れぇ!』

 ダガリスは顔を歪めながら、マルクの言葉に激高し、拳を振りほどこうと反対の拳でマルクを殴ろうとする。
 
「そんな体勢で僕にダメージを与えれる訳ないだろう?やはり、お前も僕の敵じゃないね」

 マルクはそう言ってダガリスの拳を難なく受け止める。

『な、なんだと!』

 そして、マルクはダガリスの両拳を握りしめた。ギリギリときしむ自分の両手に、ダガリスは脂汗が流れた。

「さぁ、どうする?」

 マルクはダガリス問うように、更に拳を握りしめる。しかし、ダガリスはマルクの問に顔をニヤリと笑う。

『油断したな』

 ダガリスが勝ち誇ったように笑い、ダガリスは口を開けた。その瞬間、ダガリスの口から、漆黒の炎が吐き出された。

「うわぁああああああ!」

「「「「「マルク!」」」」」

 マルクは至近距離から、ダガリスのブレスを受けてしまった。

『クハハハハハ!馬鹿め!私のブレスを受けてしまったな!』

 マルクはダガリスの拳を握りしめ、そのまま炭のように炭化したようにみえる。その様子にシオン達はその場に立ちすくむ。

「まだだ!」

 その重い空気の中大声を上げて、ダガリスに突進したのはカノンだった。

「くらえ!千連突き!」

『ギャアアアアアアア!』

 カノンの無数に突き出された槍のアクティブスキルが、ダガリスの背中に会心の一撃が決まる。

「シオン、オウカ、システィナ!しっかりしろ!マルクがこんなブレスで死ぬ訳ない」

 カノンの言葉に、システィナとオウカが攻撃を仕掛ける。

「貴様等ぁ調子に乗るなぁ!」

 ダガリスが、システィナにターゲットに絞り突進しようする。

「あたしに来た!?」

 システィナは焦る。今まで、全線立つ事はまずなかったからだ。これを見たカノンとオウカが顔を青くしてシスティナの方へ向かった。

「「間に合わない!」」

 しかし、ここでマルクの声が聞こえる。

「シオン、ヘイトだ!」

 シオンはマルクの声に瞬時に反応し、ダガリスにヘイトをかける。

挑発ヘイト

 すると、あれだけ何度もキャンセルされた挑発ヘイトがダガリスにかかる。

『な、なんだと!』

 ダガリスの意思に反して、ダガリスはシオンにターゲットを変える。

「ど、どういう事?」

 掛けたシオンも信じられないとばかりに目を見開き驚いていた。

『な、なぜだ!』

 ダガリスは信じられないとばかりに、シオンに攻撃を仕掛ける。当然とばかりに、シオンはダガリスの拳を受け流しダメージを受けなかった。

「カノン、オウカ、システィナ、いつも通りに攻撃をぶちこむんだ」

 マルクはダガリスのブレスから復活していた。

「「「「マルク!」」」」

「私の言った通りだ。マルクは又フェニックスウィングで復活すると思ったんだ」

『なぜだ?なぜ私が人間下等生物の挑発に!』

 ダガリスは、シオンのヘイトにかかる事実に信じられないと思いながら、ダメージを受け流すシオンに攻撃を繰り出していた。


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